家族の在り方を再定義した拡張家族 ” Cift ” で子育てする平本沙織さん

渋谷キャストの中にあるクリエイターのコミュニティ、拡張家族 ” Cift ” で子育てをしながら活動する平本沙織さんにお話を伺いました。

【プロフィール 】

出身地:大分県佐伯市

活動地域:東京、大分、飛騨高山

経歴:日本女子大学家政学部卒業。3Dプリントサービス運営を経て株式会社wipを設立。著書「3D Printing Handbook」2014年オライリー・ジャパン、他。2015年、独創的なICT(情報通信分野)への挑戦者を応援する総務省「異能vation」プロジェクトに採択され研究にも取り組む。2017年より拡張家族として共に暮らし、協同組合として共に働くCiftメンバー。多拠点生活、コミュニティ子育てを実践している。

現在の職業及び活動:株式会社wip 取締役、拡張家族Ciftメンバー、子連れ100人カイギ実行委員長

座右の銘:人生桂馬飛び(まっすぐでもナナメでもなく、飛び越えて予想外に進んで行く

自分には無いものでも、相手の立場や視点を拡張してそこに自分の意識をつなげることでお互いの立場にたって理解しあうことができる家族のイメージ

Qあなたの夢やビジョンは何ですか?

平本沙織さん(以下平本、敬称略):今の夢としては、短期的というかひとつのステップで言えば、同じように子育てが楽になったといえる人を増やしたいです。私の場合はそれがCiftでした。
さらにもうひとつの夢は、拡張家族がフューチャーされがちだけど、多拠点生活をしているっていうことです。いろんな場所に暮らしの拠点を置いているっていうのもひとつのポイントで、だからこそ血縁関係のオリジナルの家族から離れたところにいったときにも、家族と呼べる人たちとコミュニティで生きていくってことを実践しています。

記者:Ciftとはどういったものですか?

平本Ciftで言ってる拡張家族というのが、“自分には無いものでも、相手の立場や視点を拡張してそこに自分の意識をつなげることでお互いの立場にたって理解しあうことができる家族のイメージ”です。なのでCiftは壮大にいうと、全然立場や職業の違う人たちが集まっていて、どうやったらお互いを否定せずに同じ方向を向いて一緒に歩みを進めていけるか、その向かう先に世界平和というものをおくことで、だったらみんな一歩踏み出せるかなという意識になったんですよね。Ciftの唯一の共通点は世界平和を目指しているということです。

子どもの関係人口を増やす取り組みをしたい

Qその夢やビジョンに対してどのような目標や計画を持っていますか?

平本:計画でいうと、私最近すごく人生が加速していて、特にこの半年くらいが凄くて、ほんとに、大げさにいうと日に日に毎日夢が叶っていくみたいな感じになっています。明日はどうなる、みたいな感じなんですよ!

記者:毎日ワクワクみたいな感じですか?

平本:毎日ワクワクです。すごい大変な時も、明日は楽しいっていうか、明日は明日だって思えるというのもあります。それは全て人との繋がりから起こっていることなんですけど、「子連れ100人カイギ」というイベントを開催しています。大きなイベントを、何もなかったゼロのところから立ち上げて、自分たちで自主運営して3回やっているということが大きいんですよね。本当にただの思いつきなんですよ。全ては東急電鉄さんがCiftと渋谷キャストの繋がりの中からスポンサーになってくれて、渋谷キャストの場所を使って通算3回やらせてもらいました。

また、子どもの世界は、親との関係が主になってできています。その狭い世界の中で生きている訳です。ですので、そこにどうやって他の人と触れ合ってもらうかということが課題です。特に最近考えているんですけど、関係人口を増やす、ファンを増やすみたいな取り組みをしたいです。
例えば、子どもを住み込みで見てくれるとか、あそこの街にたまに一緒に行ってくれるとか、今日は一緒に過ごしてみようとか、本当に1時間ご飯を一緒に食べてくれるだけも、お母さんは気が晴れるし、楽な訳じゃないですか。

そういう子どもの関係人口を増やしておけば、頼る先が増えます。例えば今の私の場合でいうと、2年間Ciftの活動をやってみて、Ciftのメンバーの中でも最初は同じ部屋の中で、家族だよねっていう3人との狭い輪だったのが、今だと20人くらいは1時間でも半日でも普通に過ごして、感覚的には預けられる状態です。チームみたいな応援団みたいな輪が広がっているなっていう感じがします。
Ciftじゃなくても、子どもの関係人口を増やすということについては、色々な人に伝えていきたいなってすごく思いますね。

子どもと一緒にいようとしてくれてる人との関係性に委ねる

Qどのような活動指針を持って、どのような活動をされていますか?

平本:「拡張家族」というところで、遠くの親戚より近くの他人を家族にしようという考えでコミュニティをつくっています。近くの他人だけれど友達になれるよね。近くの友達だったらもっと仲良くなれる、家族にもなれるよねという考えです。
活動のひとつとして、私が拡張家族のコンセプトを発信することで、自分もできるかもっていう人に対して、参考になればいいと思っています。別にその方法がCiftじゃなくても、拡張家族じゃなくてもいいと私は思っています。
子育てをこれから始める人に対して、私が子育てに対して訳がわからなく混乱したような時期の苦労をして欲しくないと思います。子育ての辛さとか大変さも絶対ついてくるよって言われていたら、子育てとか妊娠出産に対して、希望がなかなか持てないと思うのです。だからそういう苦しみとか辛さとかを再生産しない、次の人に先送りしないことをしたいです。そのためには、まず自分から楽になることだし、自分はこういう風にして楽になり、今楽しくやっているということを、発信しまくることで、子育てがポジティブでハッピーなものだっていうイメージを寄与できたら嬉しいです。その具体的方法として、もし私たちのやり方が参考になって、何か近しいことをやる人が出てきてくれたら嬉しいです。

Ciftのメンバーの間ではルールがないのですが、子どもを見てもらう時にもルールがありません。たまたまうちの子がアレルギーとかもなくて、特別な配慮が必要ないというのはやりやすいポイントだったと思うんですけど、うちの場合は基本的に死ななきゃOKと言って、みんなに預けています。それでもやっぱり同じ空間にいると、あれしていい?これしていい?とみんなに聞かれるんですよね。でもそれを私が聞かれて、私が判断していると責任がずっとここにあることになってしまいます。私は目を離しているけど、手を離せないというか、私のもとにずっと残ってしまうんですよね。基本的に私が子どもの監督責任者というのは変わらないんですよ。それを放棄するということではなくて、子どもと一緒にいようとしてくれてる人との関係性に委ねて、その二人で決めて欲しいんですよね。相談はいいんだけど、私が決定権を持っているとことではなくて、「子どもに向き合ってあなたがいいと思うことをしてくれたら私は満足です」と伝えるようにしているんです。
そうすると、その人それぞれに、うちの子どもにとって何かしたがってるんだろうなとか、向き合っていいと思うことをやってくれているとわかります。
私が思いもよらないことをしてくれるから、きっと私ではしなかったような反応とか受け答えとかが生まれます。遊びの内容もそうだし、声掛け一つもそうだし、そういうことを色んな人が子どもに向き合ってやってくれる、これって本当に豊かなことだなと思います。だからこういう風に新しい人と触れあったり、受け入れてくれる安心感でうちの子はフレンドリーでいけるのかなって思っています。

母親という存在理由しかなく、仕事から強制的に隔離されたような、突然死した感じ

Qその夢やビジョンをもったきっかけは何ですか?どのような発見や気づきがありましたか?

平本:私は2016年の6月に子どもを産んでるんですけど、子育てしている時の気持ちが大変でした。保育園に入れることもできず、毎日必死で死にそうな生き物と向き合っているけど、これがどうなるのかも全然見通しも立たない状態でした。
さらに、それまで築いてきたキャリアとか、人付き合いみたいなことの繋がりが断たれてしまった感じでした。今の私にはこの子を世話するという母親という存在理由しかなく、仕事から強制的に隔離されたような途切れた感じになってしまったのです。その私の状態は、なんか突然死した感じでした。
仕事に限らず何かを食べに行くとか映画を見るとかそういうことの一切が制限されて、「子育てってこんなに大変なの?こんなに大変なことみんなやって、それでその後、普通の顔をして街に出てきて復帰してるの、やばくない?」みたいなことを感じていました。

それでこの瀕死というか、仮死状態をどうやって生き返ろうかという、生き返り大作戦を考えていました。そんなときにクモの糸のようにCiftの話がツーっと降りてきて、これが私の光だとばかりに飛びついたというところです。

記者:希望が見えたんですね。  

平本:はい。そうですね。Ciftに参加した気づきとして、自分の子育て大変だったと、めちゃくちゃ思い込んでいたけれど、自分が過ぎてきたところだったら多分他の子のお世話ができるなというのを、その次に子どもを産もうとしている人を目にした時に初めて思えたのです。まだ大変なことの進行中なのですけど、それでも私にも誰かを手伝うことはできるかもって初めて思えたので、その彼女に向かって「多分私はあなたの役に立てると思うので、一緒に子育てしませんか」と話をしていました。

そう思えたのは、子どもを産むまで小さい子とほとんど触れ合ってこなかったし、子どものおむつとか換えたこともなかったので、自分の子育てが何もわからず、ぶっつけ本番状態始まり、それもすごく後悔したのですよね。

立場の違う人からは、子育てする人の苦労とか現代社会で子育てするのがどういうことになるのか全くわからず、そこに乖離が生まれる

Qその発見や気づきの背景は何ですか?

平本:例えば、子育て世代同士だとお互いの立場も近く、話も通じるから、集うというのはそれ自体素敵なことです。でも、それだけだと立場の違う人からは、子育てする人の苦労とか現代社会で子育てするのがどういうことになるのかというのも全くわからず、そこに乖離が生まれるのかと思います。ですので、私も未知の世界でしたが子連れメンバーとして入ることになりました。
でも、うちの夫は人と関わるのがあまり好きではないので、彼からは「家族で住むなら家族の家は別がいい」と言われました。

うちの夫って究極的に個人主義で、「俺は嫌だけど、自分がやりたいのなら住めばよくない」と言われて、私はちょっと寂しい気持ちになり「えっ、そこまで個人主義なことある?」と思いました。その時は普通であることっていうのがすごく意識にあったので、夫にも家族で行くってことを前提で話していたので、彼が嫌だと言ったから、もうできないかなって思っていたら、「普通である必要はないよ」と、彼は言ってくれたんですよね。
それを聞いて、夫は同意はしないけど、応援してくれるってむしろすごい有り難いなって、ちょっとずつ思うようになりました。それで私はシェアしようって決めることができました。
その時に私自身が、24時間100%母親じゃなくて、かつてのキャリアを持っていた自分と、今一時的に100%母親という自分の、相反するものがぶつかりあっている状態をどう一緒に昇華して、どういう形に持っていけるかと考えていました。それを考えつつ、私は子どもが生まれて、「母親だ」ということを自分自身にすごく暗示をかけていた状態でした。それをほどいてくれたのは多分夫で、「やりたいならやってみればいいんじゃない」というひとことが大きかったです。

Q 読者の方にメッセージをお願いします。         

平本:もし本当に興味があるなら、どうぞCiftを見に来てください!
こっちはウェルカムだよ!と言いたいです。
私は他人に未来をゆだねるということに今興味持っています。これやったらいいんじゃない?って周りで見て思うことは、たぶんやったらいいことなんですよ。

自分がやりたいと思っていることと全く違ったら一考していいと思うのですけど、自分でも気付いてないようなことを、こうやったらいいんじゃない?って言ってくれる人がいることは大事です。自分が丁寧に付き合って関係を築いた人から見た自分の未来というのは結構楽しそうだと思います。

記者:本日はありがとうございました!

********************

平本沙織さんの活動紹介資料
「拡張家族実験にいたるまでのキャリアとライフ」
https://www.dropbox.com/s/gqaawurjgbj0z78/saorikandahiramoto2019_cift_exfamily_exhome%202.pdf?dl=0

「子連れ100人カイギ」facebookページ
https://www.facebook.com/KOZURE100/

********************

【編集後記】
記者を担当した、市川、口野、岸本です。
私は学生の時にコレクティブハウスという集まって住む形を知ったのですが、Ciftは共用空間がある間取りや形としてはかなり似ています。違っているのは、今の時代のクリエイターのライトな感覚やルールを設けず対話で解決し、世界平和という共通のビジョンの基に関係性を築く拡張家族という概念を共有していることでした。(市川)
自らがオープンになることは、他を信頼することでもあり、それによって、様々な問題が問題でなくなるんですね。
自らの問題を放って置くのでなく、同じ事が周りで起こらないように即解決策を提示する、そんな起業家精神に溢れた沙織さんは、正に今の時代の女性の生き方モデルだと感じました!(口野)
とてもオープンな方で、気さくにお話ししてくださいました。子どもの育て方も、いろいろな大人に育ててもらうというような考え方で、1人に固定されないところがとても理想的だと思いました。個人的にはお子さんがどんな豊かな大人へと育つのか興味深いです。(岸本)

本日はありがとうございました。
今後のさらなるご活躍を楽しみにしております!!

(Visited 20 times, 1 visits today)

こちらもぜひご覧ください

【Re·rise Newsはこのムーブメントを応援しています 】

コメントをお寄せください

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です