教育を変革し、思いっきり挑戦できる社会をつくっていきたい 株式会社fust CEO長澤瑞木さん

AI時代の教育の在り方をアップデートするというミッションの実現に向けて、日本と世界のAI・デジタル教育の研究に取り組んでいる長澤瑞木さんにお話をお伺いしました。

 

プロフィール
出身地:北海道函館市
活動地域:東京・札幌・世界各国
経歴:株式会社fust CEO    東京学芸大学大学院教育AI研究プログラム所属。
1995年生まれ。これまで5度のクラウドファンディングで約450万円のご支援を集め、欧米・アフリカを中心に7か国の海外教育視察を実施。
札幌ではオランダ流家庭教師事業Study Coachの代表を務める。
個人としてはパーソナルコーチとしてクライアントの自己実現を支えるライフコーチングを提供している。全国各地での講演活動。オンライン教育メディア「EdtechZine」での連載を担当。

 

やりたいことをチャレンジできるような環境をつくっていきたい

Q.どのような夢やビジョンをお持ちですか?

長澤瑞木さん(長澤 敬称略)    子供たちが「こういうことをやりたい。」ということに対して、取り組める環境をつくっていくことが1番の大きなビジョンです。
「こういうことをやりたい。」というのは、社会的に見た目標例えばお医者さんになるとか、いい会社に入るということだけでなく、子供が主観的に見てやりたいこと、例えば「ケーキ屋さんになりたい。」「おじいちゃんおばあちゃんともっと話をしたい。」など、やりたいことをチャレンジできるような環境をつくっていきたいと思っています。
最近は子供に限らず大人も含めて、皆がやりたいことにチャレンジできるような環境を、日本国内だけでなく、世界中につくっていきたいという思いが強くなってきています。

Q.それを具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?

長澤:研究とビジネスの二つの両軸があります。
研究については、私は今東京学芸大学修士課程の教育AI研究プログラムの1期生に所属しています。
修士論文のテーマが、AI・テクノロジーの部分がどう教育に関係しているか、今後の教育に影響するのかが自分の興味になります。
OECDが出しているEducation2030、「2030年に教育がどうあるべきか」でもただ自分で学ぶのではなく、自分がどう社会に貢献していくのか、どれだけマインドが備わって、学びに向かっているのかが大事になると言われています。
エージェンシーの育成に、デジタル教育がどういうふうに寄与するのか、それがもしかしたらマイナスかもしれないし、プラスかもしれない、これは今研究段階なんですけど、そういうことを国内、教育先進国で国際比較するというのが修士論文のテーマになります。

ビジネスでは、学部生の頃から家庭教師事業をやっていました。オランダの教育を取り入れた家庭コーチ、コーチングで、今はオンラインでコーチングサービスを提供していて、今までは北海道内だけだったのが、全国や世界で活動できるような準備を進めていて、2020年に法人化しました。

記者:長澤さんはよく海外にいかれているようですが、海外の子供と日本の子供の違いはどのようなところですか?

長澤:私が印象に残っているのは、オランダの子供達なのですが、一つの正解がないことを肌感覚で理解し、自分のやりたいことをやっていいんだという子どもが多いですね。
例えば、ある小学校では時間割を自分で作成しています。そういうことを幼少期から場数を増やしていくと、自分で選んでこの時間を学んでいるとつながり、成功しても失敗しても自分の責任であることが身につくのかなと思います。
与えられたものだと嫌々やっていても、失敗したときに人のせいにできるし、本来の力を100%発揮できません。自分で選ぶということが、日本とオランダの子供達の違いだと感じています。
ただ、主体性を育みすぎるあまり、集団で何かやっていくときの規範意識を育むことも課題としてあり、どこに焦点をおくかは国の方針によって違いますが、時代にあった国の教育スタイル、重点の置き方はオランダやフィンランドの方が今の時代にフィットしているんじゃないかというのは一個人としては感じています。
日本でも素晴らしい取り組みをしている学校や先生もあるんですけど、中々広がりにくい。
ちょうど今が教育も転換期であり、新しいものがたくさん生まれ、伝染して良い方に向かってほしいと思いますし、不安定な時代の中で教育に一つの絶対的な答えはないと思っています。

 

失敗することこそ、価値がある時代だと思っています。

Q.その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような(基本)活動をしていますか?

長澤:基本のスタンスは自分から掴みにいくことです。興味のあることや自分の知っている分野だけをやらないこと、軸をずらすことと失敗を恐れないことです。
失敗することこそ、価値がある時代だと思っていますし、日本は過剰に失敗に反応しすぎると感じています。
人との関係については感謝の気持ちを大切にしています。
一番大きなきっかけは、クラウドファンデイングがきっかけなのですが、これまで5回実施し、450万円のご支援をいただきました。
投資する方は金銭的なお返しを求めず、社会や教育にどう貢献できるのかをみています。
クラウドファンデイングは成功してからが大事だと思っていますし、ご支援いただいた後、自分がどう教育に貢献していくのかのプロセスを共有することを意識しています。
実は、吉田松陰を一番尊敬しているのですが、彼はイノベーターを沢山生み出しています。今も大きく社会が変わろうとしている時代、時代を変える人は端から見てもおかしいと思われるくらい、常識から外れて自分の道を突き進むエネルギーと熱量がないと。きれいに成功したいと思ってないし、泥臭く、元々野球部なので。(笑)
思いっきり挑戦できる社会、環境をつくっていきたいと思っています。

日本の教育はこのままじゃいけないなと気づきました。

Q.そもそも、その夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?

長澤:一番最初のきっかけは「違和感」からスタートしています。
大学3年生の夏休みに5週間小学校に教育実習にいく機会がありました。
実習を終えたときに、自分も感動して泣くぐらいすごく良い実習で、子供たちも可愛く担当教官も良い方で、先生は素敵な仕事だなと思いました。
けれどその反面、ふと振り返ったときに、この教育スタイルを続けて行った先に、子供たちが自分で挑戦したり活動できるような大人になっていくのかなと思うと、ちょっと違和感というのが少しありました。
その後もこの違和感をどう解決したら良いかと思っていましたが、自分が教員以外を進む道があまり見出せないままでした。
その後、様々な出会いから、コーチングに触れ、クラウンドファンデイングでオランダにいく機会があり、子供達がより主体的に学んでいる姿を目の当たりにしたのが一つ目のターニングポイントでした。
日本の教育はこのままじゃいけないなと気づきました。
二つ目が教授と一緒に、アメリカとカナダの教育視察にいった時で、ハーバードで開催された国際学会での交流場面で、ほぼ同年代の学生たちが話しているスケール感が全然違うことに愕然としました。皆生き生きと夢やビジョンを語り、活発に交流している。その会話、学生たちのオーラを見たときに自分のプライドを一切捨てました。けれどそこにも負けたくないし、いずれは追いついて抜かしていきたいと思いました。
アメリカの優秀な学生たちをみて、能力の有無ではなくて、ビジョンを伝えて、それを認め合えるような環境にいると人は伸びると気づきました。
逆に日本は大きいとこをいうと叩かれます。
先生や親はその子のためを思って言っているのですが、本質的に見ると、可能性の部分に蓋をしているし、自然と無意識に大人が子供の可能性に蓋をしていて、そういうのを変えていきたいなと思いました。

Q.その発見や出会いの背景には、何があったのですか?

長澤:教育に関心を持った背景は、両親の影響が大きいです。姉も教員で教育の家庭に生まれ育ちました。
母が養護教諭で父が中学校教諭で、母は家に帰ってくる時間は早く、父は教員しながら研究員もしていて、卒業生も家に遊びにきていてそういう関係っていいなと思いましたし、逆に両親が疲弊していたら自分は教員の道は選びませんでした。
教員はブラックだと言われていますけど、幼少期に親の働き方を見ていて、そういうことを一切感じたことがないくらい身近にいた二人は生き生きしていました。
両親はあまり何かやれと言わず、勉強しなさいも言われたことがありません。ただ、「自分で選んだからにはやるんだよ」と言われました。
そのような親の元で育ったことが今の自分に大きな影響を与えていると思います。

 

長澤瑞木さんの活動についてはこちらから↓↓
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●Twitter
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編集後紀
今回、インタビューを担当した岩永と野田です。
長澤さんのお話をお伺いし、大きな視野と世界規模のスケールで物事をみてチャレンジしている姿に勇気と希望を感じました。
時代の最先端であるAIの教育の取り組みは今度の日本と世界にとって非常に重要なことであり、今後の長澤さんの活躍がとても楽しみです。

 

 

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