「再犯を起こさせない社会づくり」を目指して人間に愛を注ぎ続けている株式会社 ヒューマンハーバー代表 ”副島勲さん”

もともと不動産会社をしながら地域の推薦により、保護司になられて22年。刑務所から出所した人の更生のお手伝いをしていく中で、更生するにもすぐに働ける場があればという思いに駆られ、人間の可能性を信じ、今も現役でご活躍される”副島勲さん”に今に至るまでどんな思いの背景があったのかインタビューさせていただきました。

副島勲氏プロフィール

出身地:福岡県鞍手郡鞍手町

活動地域:東京・大阪・九州地域

経歴:昭和53年2月1日 新栄不動産商事設立/昭和57年12月11日 有限会社新栄不動産商事 改組/平成6年1月18日 株式会社 オレンジライフ 改組 現在 代表取締役会長/平成24年12月3日 株式会社 ヒューマンハーバー 設立 代表取締役社長

現在の職業および活動:株式会社 ヒューマンハーバー 代表取締役 ユヌス・ソーシャル・ビジネスカンパニー第一号認定 再犯を起こさせない社会づくり

座右の銘:「天道無私の心」「天は見てござる」「我れ事において後悔せず」「一人はみんなのために、みんなは一人のために」「閃き、即行動」「唯克己 唯尽己 唯与尽」

「人間こそ宇宙最大の資源である」

Q1. 副島社長はどのような夢やVisionをお持ちですか(副島勲氏以下、副島敬称略)

副島 保護司になる前から「人間こそ宇宙最大の資源である」ということを思っていました。保護司をやっていく中でこの世の中進化させるのは動物の中でも人間であるということを考えています。
少年院から出た少年少女たちは再非行といい、成人には犯罪を犯して釈放され執行猶予の間、再犯しないようにというのがあり、成人を対象に再犯と言われることを区別しておかなければならないのですが、政府として再犯防止推進法が決められている中には再非行も再犯もひっくるめてのことを指します。けれども成人の場合は居場所づくりとか寄り添いながらとかでは立ち直ることは出来ません。私共が目指しているのは再犯しない成人の方に対するサポートをすることです。通常、元服役者、刑余者、元犯罪者という言われ方をしますが、私どもが表現しているのは“つまづいた人達”と表現しています。
人口減に伴って犯罪は減ってきていると言われていますが犯罪は社会問題であることは分かっていましたから、それを解決するにはどうしたらいいか。刑務所から出てきても、仕事もない、お金もない、泊まるとこもないということのないない尽くしなんですが、そうではないですよということで、あなたが ”ある(生る)”じゃないですかということなんですよね。「更生」という言葉は更に生まれると書いて「甦る」という言葉になりますよね。
再犯させない社会づくりをすることで被害者をなくすことにもつながるんです。人間づくり(そんとく塾)×働く場づくり(ある蔵)×納税者づくり×幸せづくりが社会問題を解決出来るというのが私の思いです。

「早期に進化した社会に馴染むことが出来る教育機関を創ること」

Q2.今後どのような目標計画を立てていらっしゃいますか

副島 これは当初から考えがあったのですが、社会に馴染ませてスタートさせたいのです。今の人は会社との相性もあります。それて逃げたり辞めたりするのでなくてA社に行って合わない、B社に行っても合わない場合でも行って戻って来れる巣立ちが出来る場所が必要なんです。刑務所から出て来ると、だいたいの方が親が身元引受人となり、親元へ返されるのですが、類犯といって何度も同じ犯罪を繰り返すと親も見捨てるんです。そうなると昔の友達のところに戻るんですが、それだとまた同じことをするんです。

今、まさに私がやろうとしていることがあります。刑務所というところは隔離されているので仮釈放の人や満期で社会に出てきても進化した社会に追いつくことが出来ないと社会に馴染めません。私が作りたいのは刑務所からでてすぐが一番大事。早期が大事。3か月の間に進化した社会に追いつくための場と本人が変わりたいと思える教育機関として(リハビリテーションが出来る場)社会に馴染めるよう準備としての教育施設を作ることです。

それに私共の事業は本人が納得する、気づきを与える事業だということです。私共の教育は国語とか算数とか英語とか使って気付かせていくことをしますが、例えば、つまづいた人達にあなた金遣い荒いんだよと言っても、分かっとる、なんで自分で稼いだお金をどう使おうといいだろ!なんであんたに言われなきゃならないんだと思って反発することと同じですよね。それはどういうことかというと価値観が違うということなんですね。
本人が納得し気づきが度重なってくるということが習慣になるんです。それこそ身が美しくなると書いて「躾」ですね。
しかし、習慣になるまで身に着けていく為には時間がかかります。現実にいろんな就労の場を加盟して提供してもらっているんですが、引きこもりの方が今は仕事をしている事例もあります。引きこもりの人は自分がじっとしていても仕方がないことは分かっているけど身体が動かないんです。それを世間ではトラウマというものなんですけど。そういう人にあなた働きに行かないと困るでしょ!ダメでしょ!といっても本人の体が動かないんですよね。私共のプログラムがそういう人たちにどの程度役に立つか分からないけれども、試していけないかということも考えています。

通常、株式会社としたら利益を得るためにやっているのだからと見なされるため行政の補助金とか応援出来ませんということがあります。でもやはり、私共がNPO法人とかでなく株式でビジネスでこの問題を解決していきたいというユヌスソーシャルビジネス=SDGsも持続可能なビジネスと重なる思いがあるので、活動を広げていくために新たな事業も考えています。

「思いを形にすることと教育が必要だ」

Q3.どのような基本活動や活動指針をお持ちですか

副島 私の基本的考え方として一番目指しているのは、思いを形にすることです。「花よりも花を咲かせる土となれ、躓きは竹の節のようなもの」つまづいても節があるから強くなるのです。つまづいた人達の支えになるということです。企業経営というのは資金との闘いや人様が辞めるとか、いろんな問題があります。人様の力をどれだけ借り入れることが出来るかということです。私もまだまだ修行中です、志半ばです。
人生において障害や波乱はあると思っています、それに立ちはだかる壁に直面した時、逃走するということもあるかもしれません。けれども私は闘争の人生でありたいと思っていますし、一緒に働く社員とか部下とかいますが、志を共にする同志だといつも思っています。

私共の事業は教育まで主眼に置いてしていることは全国で初であり、働く場を提供するためにも可能性を広げる資格だけはとっています。刑務所に入って罪を償ったら終わりということではないのです。それは刑期がおわったということ。犯罪者は刑期が終わったら償いが終わったと思うのですが被害を与えたということなのでそれは違うんですよね。犯罪者より被害者の方たちの方がもっと苦しみがあります。なんで加害者の方ばかり守るようなことするのかと言われますが、そうではなくて被害者をなくすために再犯を防ぐ仕組みづくりが必要なのです。それは働くことで納税し、国も喜ぶし、もっと広く見たら被害者に弁償することもできることに繋がるのです。そんな思いが生まれるんですよね。

記者 そんな思いが生まれるということ=他人を思いやれることが出来るということが幸せ=人間教育に繋がるということですよね。

副島 そうなんです。罪を犯した人達は自己評価が低い、自己肯定感が低いのでそれが高まってくると他人を思いやる心を持って生きていけるのではないかという思いがあるのです。そういう形になったら最高だなと思っています。

記者 素敵ですね!!!

世の為、人の為、国家の為

Q4.夢に勝負する様になったきっかけにはどんな発見や出会いがありましたか

副島 私は刑務所は人材の宝庫だと思っています。ゲーテの言葉に「不自然は自然に戻る」自然に戻ろうとするエネルギーが強いんですね。私は人から副島さんは生善説ですねと言われたことがあります。それに対して私は生まれてすぐ犯罪しますか?と尋ねます、段々成長して、なぜそうなったのかというと環境(小さい時の育て方)があるのです。けれども大人になっても変われるということなんです。刑務所から出てきた人というのは十把一絡げに”悪人”とされ、雇ってもらえないんですよね。しかし、犯罪といっても殺人もあれば、窃盗、詐欺、薬物などいろいろあり、その犯罪に重いも軽いもないのですが、いろんな人がいるわけなんです。でも刑務所から出てきた人は現実、雇ってもらえないんですよね。仕事が出来ない、長く続かないという経験もあり、それなら自分でつまづいた人が働ける場と泊まれるところを提供したらどうかという思いがあったのです。それだけでも、何が足りないかといったところ「教育」が足りないと思ったのです。三位一体の活動をしないと再犯防止にはつながらないと思ったのです。そして教育というイメージがキャリアアップしたいとか力をつけたいという人が来る教育ではなくて、ほんとにお金がないしという人なわけなので、再犯しないための教育ということが本当に大事だと思っています。”不正” という字がありますよね。「歪」となりますがつまづいた人達には心の歪みがあるということなんですね。例えば中学卒業しても学校に行かず犯罪を犯したからそうなったんだというイメージだからちゃんと学力をつけないからと思われている方が多いとおもうのですが、7年間やってくる中で、一般的な学校教育の学力といったことではない教育が必要だと分かってきたことなんです。
人を変えることは出来ないとよく言われますよね。それは裏を返せば自分が変わることは出来るということですよね。自分が変わるということはどういうことなのかということに繋がってきます。要するに「気づきを与える」ことが大事だということです。私共の塾長で二宮先生と居るんですがそこから”そんとく塾”と名付けました。私は教育のことは専門でないから分かりませんが、私が一番大事にしている言葉に、二宮尊徳「道徳なき経済は犯罪である」その裏返しに「経済なき道徳は寝言である」という教えを大切にしています。
マンション偽装や産地偽装などそういったことは不正でありある意味犯罪なんですよね。我社の原田先生から教えてもらったことは「知る、聞く、理解する、納得する、身に着ける」という5段階のレベルがあるというのです。例えとして、牛に水を飲ませてあげたいと私が思っても、無理やり水辺に連れて行って鞭打って首を下げさせても牛が飲みたいと思わなければ飲まないわけですよね。人が変われるためには納得するということ、納得するということはどういうことかというと「腑に落ちる」ということ。これがあって変わるのです。人間が本来持っているものがあり人間それぞれ働く場があるんではないかと私は思っています。

記者 副島社長のお話聞いていると真の教育者ですね。犯罪を犯す犯さない以前の他人を思いやる心など教えることは教育の基本だなと思います。

副島 出会いとしてはもともと”ある蔵”という名前で事業を立ち上げようと思ったのですがその賛同者を募るために回っていた時、三好不動産の社長さんよりあなたのやっていることはこういうことですよと言われて見せてもらったのが「ソーシャルビジネス革命」という本だったのです。それをやっていらしたのが九州大学の岡田教授がやっているというのを聞き岡田先生に手紙を書きました。私がやりたい事業がソーシャルビジネスでなら実現できると思って立ち上げようと思ったのです。2009年頃ちょうどその時ユヌス博士が来るからユヌス博士の前でこのソーシャルビジネスプランを発表してくださいと言われたのです。

その時”ある蔵”は居酒屋さんみたいな名前だから、何かないかと考えて発表の2日前くらいだったか「ヒューマンハーバー」(=人間の港)(=ここから甦って旅立つ)という名前が決まったのです。事業としてやる為には、資金や場所を決めなければならないし、それが事業として成り立つか立たないかの得意先も見つけなければならないので2年ほど準備を進めてきて事業としてヒューマンハーバーがソーシャルビジネス=SDGsとして設立することが出来ました。

記者 
そのような素晴らしい発見と出会いがあったんですね。

「天は見てござる」

Q5.その出会いや発見の背景には何があったのですか

副島 私は中国で生まれ4歳の時に日本に引き上げで帰ってきて鞍手の炭住街で育ちました。小学1年生の時両親が離婚し父親と過ごしました。小学校5年生の時不登校でもあったので5年生を2回したんです。一人っ子だったのでよく一人遊びをしていました。猿飛佐助とか本が好きでした。私が小学校卒業の時、私が一人の卒業式だったのですが、校長先生から言われた言葉に「我ことにおいて後悔せず」と文字を書いての祝辞の横に宮本武蔵と書いてあったんです。中学に入るまでにこの意味を考えておくようにということだろうという意味として受け取ったんです。それまで叔父さんの家に住んでいて高校に行かないつもりでしたが、中学卒業の時に離れていた母親が心配してやってきたのでしょう、今からは高校には行っていたほうがいいということを言われ、叔父さんの家から出るためにどうしたらいいかということで寮のある水産高校へ進学しました。卒業後は神戸の伊藤ハムに就職しました。働き始めて2回目の給料をもらったくらいの頃、ある古本屋さんで宮本武蔵6巻と書いた本を見つけたのです。当時の給料が3200円あるかないかの時、本の値段が1800円したんです。何か知らないけどどうしてもその本が欲しくて古本屋のおじさんに相談したらその当時で500円ほどしか財布になかったのでこれしかないと言ったら、1週間待ってやるからと言われそののちにその本を手にしたのを覚えています。当時にしては高価な本を購入したので寮母さんにお金を貸してくれと言ったら、新入社員のくせにお金貸してくれとはどういうことかとこっぴどく叱られたことを思い出します。給料日までまだ一週間もあるなかで、3人の寮母さんが居たのですが、その内の1人の方にあまりこっぴどく怒られたから、寮母さんが心配してなんでなのかと聞かれ、本が欲しいことを話したら、お金を貸してくれたということがありました。なんでそこまで欲しかったのかというのは、校長先生の祝辞にあった、宮本武蔵ということが頭に残っていたからだと思います。

それと、私が子供の頃に人の悪口や文句を言ったりすると、母からよく「あんた天に唾かけてるようなもんだよ」と言われていたし母が年老いてからも言われていました。良いことも悪いことも天はみてござるということでしょう。老子の言葉に「天網恢恢疎にして漏らさず」*注1とあります。
私はいつでも何か事をなす時には良いことも悪いこともあるわけだからいつでもヒューマンハーバーを経営するにも自問自答しています。
この事業をさせてもらえるのは妻の応援のお陰があるからです。

記者 素敵な奥様の応援あってこそなんですね。素晴らしいお話たくさん聞かせていただきありがとうございました。

*注1:老子「天網恢恢疎にして漏らさず」天が悪人をとらえるために張りめぐらせた網の目は粗いが、悪いことを犯した人は一人も漏らさず取り逃さない。天道は厳正であり、悪いことをすれば必ず報いがある。

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副島勲氏詳細情報はこちら
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https://tedxfukuoka.com/Is/spk_salon2013_soejima/

株式会社 ヒューマンハーバーについての詳細情報はこちら
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職親プロジェクト
https://shoku-shin.jp/project/interview/company/99/

【編集後記】
今回インタビューを担当した岩渕、曽田、草場です。人間資源・環境甦り業と銘打って人生の大先輩として現役で生き生きと活動されている姿やウィットに富んだ数々のお話を聞かせていただき副島社長の優しい笑顔と謙虚な姿勢に人間の器の大きさを実感させられました。人間というものを宇宙最大の資源であると言い切れる活動がこれからも多くの方に影響を与え、この世を進化させるのは人間だということを、ご自身の活動でもって証明されていく力強さと、ヒューマンハーバーに関わる社員の方々にふれられたあたたかいインタビューの時間でした。これからのご活躍を応援しています。

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