「変化を受け入れ、真の幸せを共感する社会をつくる」倫理研究員・剣武天真流師範 丸山貴彦さん

【 ストーリー概要 】武道はむしろ「心身を開放する」のもでもあり、固定観念に縛られず、流れに身を任せることで、新たな可能性が開けることもある。そんな柔軟な丸山さんは、人と喜びを共有することを大切にされていました。

【プロフィール】丸山貴彦(まるやま たかひこ)東京都生まれ。早稲田大学教育学部卒業。同大学院文学研究科修士課程修了(文学)。大学生の時に「新体道」(現・天真体道)創始者の青木宏之に師事し、その後15年以上にわたり直接指導を受ける。2008年に新たに創始された「剣武天真流」の本部正師範を長く務め、現場での稽古指導はもちろん、数々の国際合宿や全国各地での奉納演武を経験。また、2018年からは世界無形文化遺産李氏太極第四代伝承者の邢起林に師事し、太極拳や坐禅などの稽古も開始。2023年に一般社団法人倫理研究所に入所。現在は、倫理研究所研究員、剣武天真流師範(四段)ならびに剣武天真流華笑支部道場長、早稲田大学非常勤講師、天真太極文化在日普及研究員。

――本日はよろしくお願いします。まず、丸山さんの夢やビジョンについて教えていただけますか?

丸山:夢やビジョン……実は、明確な目標というものをあまり持っていないんです。昔からそういう傾向はありましたが、大人になるにつれて、より強くそうなっていきました。

特定の夢や目標というよりも、自分の持って生まれた才能や能力を活かしながら、その場その場で役割を果たし、多くの人と喜びを共有できれば、それでいいのかなと思っています。

――喜びの共有、素敵ですね。では、人との関わりの中で大切にしていることはありますか?

丸山:人との共感ですね。私はできるだけ人と関心を向け合い、共感しながら関われる世の中になればいいなと思っています。

今は倫理研究所の研究員として、純粋倫理の普及に携わっていますが、そのことを通じて、より多くの人が「真に幸せを感じる」ことができるようになればと思っています。

――「真に幸せを感じる」とは、どのような状態を指すのでしょうか?

丸山:純粋倫理の基本テキストである『万人幸福の栞』の中に、「心の欲する所に従ってのりをこえない」という言葉があります。人は社会の中で生きている以上、完全なるエゴイスティックな自由はあり得ません。でも、その中で自分のやりたいことと、社会の中での役割が一致したとき、心からの充実感や幸せを感じられるのではないでしょうか。

――丸山さんのこれまでの歩みについてもお聞きしたいです。倫理研究所に入ることは、もともと決めていたのでしょうか?

丸山:実は、そうでもなかったんです。私は倫理の家系に生まれましたが、「絶対にこの道に進もう」と決めていたわけではありません。ただ、倫理の活動や親祖先に対して強い尊敬の念を抱いていましたし、もし別の道に進んでしまったら絶対に後悔すると思ったんです。やらないことによる後悔だけはしたくなかった。それで、一度やってみようと。もし合わなければ辞めればいいと思っていましたが、結果的に今はそんな気すら起こりません。使命感みたいなものを持ちながら仕事ができています。

――そうした決断をする上で、何か指針にしている考え方はありますか?

丸山:「宿命を受け入れる」という考え方です。

宿命とは、変えられないもの。どんな時代や家庭環境に生まれたか、どんな身体的特徴を持っているかなどですね。

私は宿命を受け入れた上で、「じゃあ自分はどう生きるか?」と考えたとき、倫理研究所の研究員になる道を選びました。その後の「運命」は自らの力によって切り拓くことができます。自分の能力を最大限に活かしながら、後悔のない生き方をしたいと思っています。

――倫理の普及活動のほかに、武道にも力を入れていると伺いました。どのような活動をされているのですか?

丸山:はい。私は大学時代から武道を学んでいます。新体道(現:天真体道)を創始した青木宏之先生に師事して主に剣術を稽古してきました。「体の力みは我である」という考え方に共感し、体を柔らかくすることで得られる状態や心境の変化などに興味がありました

武道というと、闘いのイメージがあるかもしれませんが、私が学んできたのはむしろ「心身を開放する」ためのものです。例えば、現代社会では多くの人が無意識に体を緊張させています。その体の緊張を解きほぐすことで、心の偏見(バイアス)も取り除けるのではないかと考えています。

――AIの発展など、社会が大きく変化する中で、今後の展望はありますか?

丸山:AIの進化について、私は悲観的ではありません。むしろ、AIが人間の仕事を助けてくれることで、人はもっと「人間らしい」ことに時間を使えるようになるのではないかと考えています。

例えば、これまでデスクワークに費やしていた時間を、もっと人との交流や、自分の体と向き合う時間に使うことができるかもしれないですし、そうすることで、新しい形のコミュニケーションが生まれるのではないかと期待しています。

――最後に、読者の方にメッセージをお願いします。

丸山:今の時代、自分の夢や目標をしっかり持つことが求められることも多いですが、私は「変化に対応できる柔軟さ」も大切だと思っています。

固定観念に縛られず、流れに身を任せることで、新たな可能性が開けることもあります。そして、人と喜びを共有することが、より充実した人生につながるのではないかと思います。

何かに迷ったときは、ぜひ「今、ここ」に目を向けてみてください。

天真会

一般社団法人倫理研究所 https://www.rinri-jpn.or.jp/

「七つの原理」倫理の本棚 / 七つの原理

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