「女性と子供を支援できる人でありたい」株式会社育ikイーク代表取締役社長 上野美幸さん

建築デザインを核に子供や女性を対象にした様々な事業を行う育ikイーク。依頼主の想い、作り手側の優しさが伝わる育ik イークがデザインした「GALLERY+SAKAN ミントカフェ」での取材を行いました!

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プロフィール

上野 美幸(うえの みゆき)北海道帯広市出身。20年間保育士として活躍後、創業者である父の後を継ぎ、注文住宅事業を行う株式会社ヨシダホームの代表取締役社長となる。初年度に2000万円の赤字を出すも、前任である父の言葉を糧に、自分も周囲も生かし合いながら、立て直しに成功する。
2015年音更町学童委託事業を2カ所開所。2016年からとかち子育てフェス実行委員長を務める。2017年音更町議会議員に当選。
2018年株式会社育ikイークを立ち上げ、建築デザインを核に、子どもからシニアにまで優しい保育福祉事業を含めたさまざまな衣食住のサービスを提供。北海道男女平等参画チャレンジ賞「輝く女性のチャレンジ賞」受賞。
2019年音更町議会議員に再当選町議を務める。
座右の銘 肩書きで生きているんじゃなくて、上野美幸で生きている。

北海道十勝で多様な活動に取り組む女性経営者

質問1:上野さんが今行なっている活動や事業についてお伺いできますか?

上野美幸さん(以下敬称略):いろいろ、沢山あるんですよ。北海道十勝にある株式会社育ikイークの代表取締役社長、ぷちとまとほいくえんの園長、注文住宅事業を行う株式会社ヨシダホームの副社長、音更町柳町と緑陽台の2つの学童保育施設長音更町町議員(町民から選挙で選出され、町長に町の仕事内容やお金の使い方について審議、決定するや役割)、とかち子育てフェスの実行委員長をしています。あと、育ikイークでは、アロマ講座の講師もしていますね。

地域のおかげ、まわりのおかげ。だから地域に貢献したい。

質問2:今後どのようなことをしていきたいですか?
上野:ヨシダホームは創業33年目。ここまで続けられたのは地域のおかげ、まわりのおかげです。だから、地域に貢献していきたいですね。父や夫、黙ってついて来てくれる社員のおかげで、ここまで来られました。

20年間ずっと保育士しかしてなかった私が、突然ヨシダホームの社長になったんです。「会社が潰れるから」と、当時の社員が辞めていったことも銀行も撤退してしまい、1社のみになって、窮地に立たされましたね。でも、周囲の協力があったのでここまで来られて、それを貢献しながら返していきたいです。
私自身も女性であり、母であり、嫁でもあります。保育士としての経験もあって、もっともっと良い環境で子供達が過ごせるようにしたいですね。さらに女性が活躍できる地域づくりに貢献できる会社、人でありたいです。 私の目標は「女性と子供を支援できる人になりたい。」なんです。

みんなと同じ目線であること

質問3:どんな「人」でありたいと思っていますか?
上野:みんなと同じ目線、同じ立ち位置でいたいですね。 家庭の中でも互いに寄り添いあって、驕らない人。謙虚で誠実でありたいと思っています。実際、謙虚で誠実な人は少ないなって思うんです。一人で生きている、自分一人でやっている、という感じの人が多い。けど、一人では実は何もできない。そのことにヨシダホームに入って気付きました。

私は住宅のことなんて何ひとつ知らずに40歳で父の会社を継ぐことになりました。知らない世界で、一人では踏ん張れないことを知りました。社員、家族、仲間にすごく助けてもらったんです。その時、いろんな人が手を差し伸べてくれました。とても感謝しています。感謝しかないです。

社員も私が住宅の素人だと知ってて任せてくれたりするんです。そんな風に信用してくれる相手に対して誠実で謙虚でありたいと思いました。

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(上野さんが育ikイークデザインのカフェ。懐かしさと新しさの融合に、心もほぐれる空間で極上のコーヒーがいただけます。)

2000万円の大赤字から自分の立ち位置をつくりあげる

質問4:なぜ20年間お勤めした保育士業界から住宅業界を選択できたんですか?上野:社長である父も昔は大工だったんです。その仕事ぶりをずっと観ていましたね。土日も無いくらい一生懸命働いて。私が朝、起きたらいないし、寝るときもいない。

でも唯一、休める日曜日は朝から晩まで遊んでくれたんです。父のことは大好きだし、人として、男として、父として、経営者として尊敬しています。お父さんと結婚したかったくらいです。

父の仕事は一切クレームがなくて、家づくりには全く問題がなかった。その父に「社長を引退したい」という相談を受けたんですよね。夫も職人なんですが、夫と相談して「潰さずに、私たちでやろう」ということに。やらない選択肢もなかったし、親がやっていることを子供がやるのが当たり前の感覚だったんです。その時に何かのスイッチが「パンっ!」って入って「やるわ!」ってなったんです。

でも、ヨシダホームで最初は何もできませんでしたね。分からないことを必死に分かろうと没頭しすぎて、経営そのものができない状態でした。そのことに気づかず、できない劣等感でいっぱいでした。社長2年目に2000万の大赤字を出して。自分のできなさに激しく落ち込んだ時に、父が「2000万なんて結婚して家建てたらそれくらいかかるだろう」と、言ってくれたんです。その言葉に本当に衝撃を受けました。できないことばっかりに没頭している自分に気づけました。

家を建てたいと依頼してくれるファミリーのために自分がしっかりすること、自分ができないことは社員に振ることの大切さに気づきました。私は女性であり、保育士だったんだから、女性と子供たちの目線になれる。その姿勢でやり続けていたら、話題になって、私が手がけた家が売れ残ることは無くなりました。 保育士と住宅建築の融合ができて、自分の立ち位置は自分でつくるものということを実感しました。 そして自分が経営者だったらあまり喋らず、むしろその人の可能性を伸ばしてあげることも大切だと気づきました。社長だろうがなんだろうが相手の可能性を潰す権利は誰にも無いんです。

女性には角を丸くしようとする、世の中を丸くする力がある

質問5:未来に向けて、どんな思いがありますか?
上野:未来を作る人たちの人材育成に重点を置いています。次の世代へ、自分たちがやっていることや想いを引き継ぎたいと思っています。
世の中や、今ある環境が悪いんじゃない、その人の受け止め方、解釈の仕方に全てがあると伝えています。 私自身、保育士は天性の仕事だと思っていたにも関わらず、とても苦しい時期がありました。人間関係の問題や、組織の方針の転換に納得がいかず、もがいた時期もありました。お話したようにヨシダホームでも、とても辛い時期がありましたしね。そんな経験からも受け止め方、解釈の仕方が重要だということに、気づかされる良いきっかけをもらいました。

心にゆとりがない人が多くなっていると感じていました。受け止め方の変化を自ら作ることや、心を通わせる仲間さえいたら、もっと心にゆとりができて広がっていく。 そんなつながりや育みを広めていきたいです。

今は世の中は何かがぶつん、ぶつんと切れいて、さまざまな繋がりが感じにくくなっています。
例えば組織の中で、みんなで作っていこう!という繋がり感が弱い。もっと繋がってやっていけば今より短い時間で良いものができるかも知れない。
それから、組織や地域の中で女性は自然といざこざや競争を止めようとする傾向にあります。女性には角を丸くしようとするし、世の中を丸くする力があると思うんです。 だからこそ、女性が社会でもっと活躍できるように、子供がいても働けるような仕組みづくりをしています。

私のところでは1歳児がいるお母さんは1日2時間だけとか、2歳児になったら1日3時間とか少しずつ働くことができるようにしています。みんなすごく楽しそうに働いてくれています。

また、女性の活躍や子供を支援することの一環として、様々なスキルを持った(骨盤矯正や占いなど)女性たちがブースを出せるイベント「癒しフェス」の開催や、子育て中のお母さん、お父さんと子どもたちだけでなく、家族、育児・教育・医療関係などのお仕事の人たち、子育てしやすい地域づくりに取り組むあらゆる人たちが「つながる」場所作りとして「とかち子育てフェス」を開催しています。

記者:今回は大変お忙しい中、取材を受けていただきありがとうございました!私もとかち子育てフェスや癒しフェスにぜひ参加してみたいと思います!

*株式会社育ikイークについてはこちら
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〜編集後記〜
取材を担当した深瀬と原田です。「この人は色々やっているすごい人だ!けど、一体本当は何がしたい人なんだろう?」というクエスチョンからスタートした取材。調べれば調べるほどやっていることは多岐に渡り、好奇心がくすぐられる方でした。
実際お会いしてお話を聞いてみると中心軸がはっきりと見え、まっすぐ太陽に向かって伸びる植物のようにブレない方だと感じました。たくさんの方の協力を得て今があるという驕らない謙虚な姿勢。そして思い(愛)は通じるという信念。十勝が彼女を中心にもっと住みやすく、女性や子供にも優しい地域になる!という可能性を感じさせていただきました。

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