挑戦者の翻訳者 大野幸子さん
挑戦者の翻訳者として、企業や個人事業主の理念づくりをされている大野幸子さんにお話を伺いました。
プロフィール出身地:福岡県活動地域:東京都 現在の活動:「挑戦者の翻訳者」として、挑戦者の溢れる想いを5秒で鮮やかに伝える言葉づくり。言葉で軸を定めるお手伝い。経営理念づくり、社名づくり。
Q1大野さんの夢ビジョンをお聞かせください
大野 『ココロでイキる世界へ』と表現しています。といいますのは、同じ人なのに自分の使命というか軸が定まるだけでその人の持つエネルギーが劇的に変わることがあるんです。理念づくりは、もともと素敵な人が、軸に気付くことによって、より周りの人に良い影響を与えていけることに繋がります。
自分の心に正直に生きられるようになり、その方のエネルギーが伝播していく様を「ココロでイキる世界」と表現しています。
このビジョンは、私自身の経験と繋がっています。1年半前、まだ理念づくりを始める前の自分自身の状態を「ナメクジ時代」と呼んでいるのですが、ずっとウジウジしていたんですね。
「今、何やっているの?」とか「将来何をやりたいの?」という質問されると「今それを聞かないで」と思っていました。
記者 ナメクジ時代。ウジウジしてることをナメクジ時代と表現されるんですね。
大野 はい。その状態だったときに、ある人の言葉をきっかけに、自分が何が得意なのかに気が付くことができて、理念をつくる人になりました。
これをやるんだ、これが生きる意味なんだっていうことに軸が定まると、同じ人がこんなに変わるんだと、自分自身を通して思いました。
記者 そうだったんですね。
大野 社会に対してどう貢献したいのかと、自分自身がどういう存在でいたいかの2つはクロスしていると思っています。天職に目覚める人は2割ぐらいだと思っていますが、その2割の人が周囲への影響力があると思っています。私は影響力の高い人の軸を定めることで、その周りの人にエネルギーが波及していく、そんな循環を作っていきたいです。
記者 それを実現した社会はどんな社会なのでしょうか。
大野 生きる正解がもっと多様になったらいいなと思います。一般社会では、多様性がまだ狭い気がしています。
なぜなら、多種多様なクライアント様を見ていると、生きる意味ってたくさんあるなとびっくりするんです。
記者 そのとき大野さんはどのような状態になっていますか?
大野 利己的に話すと、世界の美しさを切り取り続けたい。私が人生でピュアにやりたいことの核は、それなんです。
私が見ている世界には、人一倍、人生への感動が多いと思っています。ただ旅先で空を見上げただけで感動するなど、人生の何気ない場面でも発生する感動を伝えたいです。それをやり続けられたら最高だなって今は思っています。
文化人類学者の受け売りなんですが、以前“name the world”という言葉を聞いたときに、かっこいいと思いました。私はずっと“name the world”し続けたい です。
記者 この世界の感動を切り取って、名前をつけて伝えるということですか。
大野 そうですね。それに近いです。その感動を共有したいという願いが、結果的に理念づくりや商品の世界観を作るところに波及しています。自分の中で世界の美しさを切り取りたいと、突き詰めていった先に理念づくりを中心にした言葉づくりがありました。それを人に伝えることによって、私自身もその活動が生きる勇気になるんです。
これは、やりながら見えてきた夢です。
切り取るといいましたが、もっとイメージに近い表現をするならば、言葉にすることで世界が立ちのぼる、ですね。
記者 世界が立ちのぼる、美しい表現ですね。
大野 言葉に対する愛着があるんです。ジューシーな感覚とでもいいますか。水が湧き出てくるようにわくわくが湧いて興奮します。 そして、わくわくで世界をとらえようとしています。
自分のレンズに立ちのぼる、わくわくする世界を言葉に宿すんです。
頼まれようが頼まれなかろうが常に世界に対して、その感覚を愛おしんでいます。
Q目標計画として見据えているものはありますか
大野 計画性は薄い人なんですが、そうですね、2つあります。
理念を50社作ったので、そろそろ本を出したいですね。
リアルなデータとして理念やその背景を記しながら、生きる意味は正解がいっぱいあるということを形にしたような本にしたいと思っています。
なぜならば、世の中にキャッチコピー集はあるけれど、創作背景が載っているものってほとんどないんです。どんな思いで切り取ったかを入れて、人に勇気を与えられる本に。脱ノウハウ本で、どちらかというと、文芸書よりの本を出したいと思っています。
一方で、もっとクリエイティブの業界にも足をかけていきたいと思います。その本を名刺がわりに、ものの本質を社会につなげる力みたいなものもできるんですということをアピールできると嬉しいです。
私、共創することが、好きなんですよ。
記者 軸を定めて形にするまでしたいんですね。
大野 はい。
Q人の言葉で気付いたとありましたが具体的にお聞かせください。
大野 お世話になっている女性の経営コンサルタントさんから言われた言葉がきっかけでした。
「あなた、忙しい経営者の壁打ち相手になったら?ゆっこちゃん(大野さん)と話していると思考が整理されるし、図示や概念化が得意だから重宝されると思うよ」と。その言葉がきっかけです。
そのときに思い出したのが、出版のセミナーに通っていたことです。そのセミナーの最終回で、全員が出版企画をプレゼンする機会がありました。私は誰かが発表するごとに、その場ですぐに、フィードバックをする、みたいなのをやっていたのですが、それがめちゃくちゃ楽しかったんです。それを聞いた方も目の色を変えて「そうです、そうです、私が言いたいのはそれです。もう一回言ってください」って喜んでくださって。。。
意見を言ってくれたことから瞬時に言葉にすることと、先程の「壁打ち相手」というアドバイスが結びついて、それが自分のバリューだと気が付きました。
記者 自分の得意が明確になったんですね。
大野 はい。そのお世話になっている女性の言葉がヒントになっているのですが、その直前に言われたこともとても重要だったと思いいます。彼女から「本当は何をやりたいの?」という質問をされたのですが、私はうつむきながらこう答えました。
「台所から季節のうつろいを眺めながら、旬なものをつかっていろいろな料理がしたい。」
自分としては、こんなこと言うことはよくないと思っていました。 期待くださっているコンサルさんの前で発した言葉が、「料理がしたい」なんかでいいのかなと。なので、うつむきながら呟くように話をしたのですが、顔上げたら彼女が涙ぐみながら、こうおっしゃったんです。
「ゆっこちゃん、それ思いっきりやったらいいじゃない。おうちに入ったらいいじゃない。」と。
ありのままのあなたでいいと言われ、その承認、心の安全があって何かが解けたんです。
その5分後に、最初の「経営者の壁打ち相手になったら」の提案がありました。
記者 ご自身のやりたいことをそのまんま承認される、という経験があったからこそ、新しい軸が入ってきたんですね。
大野 そうですね、それがなかったらたとえ同じことを言われていたとしても、開かなかったかもしれません。
記者 いつも自分と向き合いながらクリエイティブされていますね。
大野 落ち込むことも多いんですけど、芸術肌なんですよね。芸術家って負のエネルギーも創作に昇華してたりすると思います。私も感情が多い分、人の気持ちが理解できると思いますし、日々訓練です。
Q毎日気を付けていること、意識していることはありますか?
大野 「幸せでいること」を大事にしています。なぜならクライアント様が未来の話をいきいきしているときに、隣で話を聞いてる私が羨ましがったら嫌じゃないですか。 「○○さんはいいですね、やりたいことがあって」みたいな感じでひがむ、みたいな(笑)
記者 幸せでいることとはどういう状態ですか。
大野 今の状態を良しと思えることですね。簡単なようで難しいです。これがあったら幸せ、というのではなく、あえて思考を挟まないようにしています。
Qこれまでで一番の気づき発見はなんですか?
大野 私、感情警察だったんです。人の負の感情を無きものにしようとする。取り締まろうとするんですね。今までは負の感情が怖かったんです。その負の感情を自分が出せないから、出す相手に対しては無意識レベルでどこかずるいと、思っていましたね。
記者 感情警察に気づいたきっかけは?
大野 旦那さんと話をしていたときです。最近のキーワードは「全部言って」なんです。いらっとしたことを蓋をしている私に対して、「全部言って」と、聞かれるので、話をしました。すると、さらに「その前にあったでしょ、まだあるでしょ。」と聞いてくれました。
正直、めんどうくさいと思ったのですが、そうやって話していくと最終的には、“普段言ってはいけないと思い込んでいたことも、言ってよかったんだ。それを言っても相手は受け入れてくれるんだ”と思って、号泣しました。普段、全部出さずに負の感情に対して、取り締まりをいつもしていたなぁと気が付きました。いつもパートナーに教えられています。
もったいないくらい素晴らしい関係だと思っています 。彼の職業がコーチなのでたずなを引いてもらっていますね。
記者 旦那さんに質問をして涙を出した後の気持ちは?
大野 温泉に入るというか、ため息を出せるというか
片意地張っていたのがいらなかったんだなぁ。なんだ、、みたいなほっとしましたね。
記者 ステキな関係性ですね!自分の負の感情をも向き合うことによって、ますます大野さんの世界の美しさを表現する力が発揮されていきそうですね。本日はどうもありがとうございました!
編集後記
今回、担当しました坂中、進藤、稲垣です。言葉が大好きだということがよくよく伝わってくる、表現豊かな大野さん。バラエティ豊かにお話してくださる大野さんの美しい言葉にたくさん感動をいただきました!ありがとうございました!
大野さんの事業のサイト https://cocoroiki.com/
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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。