若い人が力を発揮できる道を作りたい「九州大学起業部」顧問 熊野正樹さん

2017年6月九州大学にて学生が起業するための部活として設立し、あらゆる面を顧問としてサポートされていることが、今の時代の起業したい学生にとって必要でこれからの時代に求められる先生である”熊野正樹さん”にお話を伺いました。

熊野正樹さんのプロフィール

出身地:富山県

活動地域:福岡市

経歴:同志社大学商学部卒業、同大学院商学研究科博士課程後期退学。

大学卒業後、銀行、コンサルティング会社、TV番組制作会社、IT上場ベンチャーを経て2005年に起業。同志社大学商学部専任講師、崇城大学総合教育センター准教授を歴任。2016年6月より現職。University Venture Grand Prix 2015 最終教員賞受賞 

現在の活動:九州大学 学術研究・産学官連携本部准教授/博士(商学)

九州大学起業部顧問/福岡市国家戦略特区法人評価委員会委員長/一般社団法人 QU Ventures 代表理事

座右の銘:覚悟を決める

「日本の起業家教育に一石を投じたい」

Q1.熊野さんはどんな夢やビジョンをお持ちですか
熊野正樹さん:(以下、熊野 敬称略)

熊野 起業部を全国に広めることですね。起業部を設立しようとした時、最初は誰が入るんだと言われました。しかし、今は大学一年生から大学院生まで全学部対象で120人の部員でやっています。

今は昔と比べると、起業できる環境が整っているんですよね。そして今、国は開業率を5%から10%への成長戦略をやっています。私からみると5%の学生は起業したいと思っているんです。大学はベンチャーの歴史とか経営学とか起業家精神やマインドを教えることは出来るんですが、起業したい学生がいるにもかかわらず、実践を教えられていないんです。マーケティングやファイナンス、組織作りや戦い方など学ぶ必要なことがあります。よく大学は夢の実現と言うんですけど、学生のうちに起業出来る夢を叶えるサポートを私が教員としてやっていきたいです。

「10年で50社、うち5社上場」

Q2.どんな目標計画を立てていらっしゃいますか

熊野 目標計画としては10年で50社学生ベンチャーを出して、うち5社の上場企業を創出したいと思っています。今、3社起業していて、年内10社の起業を計画しています。

私個人の目標ということで言えば、今、九大をモデルにして全国に起業部が出来ているんですよね。京都のmiyako起業部というのが出来ていたり、富山でもやってほしいというニーズがあったり、ほかにも多くの問い合わせが私のもとに殺到しています。九州大学起業部を一つのモデルにしてこういう活動を広げていきたいですね。

「いかにして結果を出せるか」

Q3.どんな基本活動や活動指針をお持ちですか

熊野 結果を出すということを意識していますね。有言実行でちゃんとビジョン目標を定めてオープンにして結果を出す。結果を出さないと誰も見向きもしないし、応援してくれないし、やはりプロセスも大事ですがそれ以上に結果にこだわりますね。やったことないことをやる時は期待以上の結果を出すことが必要なんです。

「楽しいか楽しくないか、何かと出会ってみて初めて分かる」

Q4.夢に勝負する様になったきっかけにはどのような発見や出会いがあったのですか

熊野 教員になる前から自分の会社を経営していたんですが、それが社会貢献になっているかというと実際どうなのかは実感できていませんでした。きっかけとなったのは社会人大学院生をやっているときに、恩師から大学で教えてみないかと言われ、同志社大学で初めて教壇に立った時です。
学生と接する中で目がキラキラしている姿を見た時、私が教えることが多少なりとも役に立っているのかと実感でき、私に向いているのかなと思えたことで教育に目覚めたんです。たとえば、九大には2000人の研究者がいますので、技術や研究成果がたくさんあります。ベンチャーキャピタルやファンドもたくさんできて潤沢な資金もあります。ただ、肝心の起業家が少ないんです。大学には優秀な研究者が多いので国は起業する様に言うのですが、実際に研究者はなかなか起業しません。先生方は研究者ですからね。それで大学発ベンチャーが少ないと政府や日本全国の大学は困っていて常に経営者を探しているのです。そこで気付いたのが学生だったんですね。起業したいという学生が大勢いたのです。
学生が起業し、優秀な研究者が技術顧問として力を貸してくれる方に回ってもらうことでどちらも活かせるように機能しだすと、一つ世の中が変わると思うんです。

記者 
つなぎ役がいなかったということですね。

熊野 
そうです。ただ大学の中に入らないと動かせないんですね。実務だけできる人はなかなか入ってこれないですし、私はたまたまアカデミックの採用基準を持っていたし、実務の面も分かる両方を持っていたので出来たのかもしれません。

記者 
その発見、気づきがあって経営者から教員へと主軸を移動されたんですね。

熊野 
新しい社会を担える若い学生を育てていくことにやりがいを感じました。学生が成功することが喜びでもあります。

「責任を取る」

Q5.教育に目覚めたことの気づき発見があった背景に何がありましたか

熊野 私が若いころ年上の方から色々と助けてもらったということがあります。2年銀行に勤めてから大学院に戻り、起業家養成コース1年目の時に講義の課題としてビジネスプランコンテストに出した私のプランが全国で優勝しました。
その時「ベンチャーキャピタルが投資しますから起業しませんか」と言われたのですが、その時自信がなかったので起業しなかったのです。今の私ならしていたと思いますが、当時は出来ませんでした。

だから、学生がお金もない、人脈もない、経験もない中で起業するというのは正直怖いと思うんです。そんな学生を見ていると昔の私を見ているようでなんとかしてあげたいと思うんですよね。私には20年培ってきた実績や経験やネットワークがあるので、それをどういかせばいいか分かるからこそ教えてあげたいと思ったのです。だから学生達にとって、致命傷にはならないようにサポートしています。

学生も本気で腹をくくることとやりきれるかが大事だと思うし、教える側としても学生の起業するという夢の人生に伴走者として支援していく覚悟をもってやっています。

記者 そんな先生がたくさんいたらいいですね。
最後にこれから起業したい学生に向けてアドバイスをお願いします。

熊野 社会をよりよくしていく為に社会にインパクトを与える事業を起こしてほしいです。スケールの大きいビジネスにしてもらいたい。そのためには一人では出来ないので仲間を大切にしてほしいし、たくさんの人を雇用するわけで、人として自分を磨いていく必要があります。
日本の未来、世界の未来を創っていって欲しいです。

記者 貴重なお話聞かせていただきありがとうござました。

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熊野先生の詳細情報についてはこちら
↓ ↓ ↓ 
☆九州大学起業部
 KYUSHU UNIVERSITY INNOVATION CLUB
 http://www.qdai-startup.com/

☆一般社団法人 QU Ventures  
 wwwqu-ventures.com

☆著書『ベンチャー起業家社会の実現ー起業家教育とエコシステムの構築ー』ナカニシヤ出版


【編集後記】
今回取材させていただいた大野、草場です。
大学の教授というと研究者のイメージが強かったのですが、とても笑顔が素敵で柔軟な対応をされる熊野先生でした。世の中をもっとよくしたいと強く思う希望溢れる学生にとってベンチャービジネスを知り尽くした先駆者が身近にいらっしゃることがとてもいいことだなと思いました。何事をやるにも智慧と勇気をもってやりきること、やりながら結果を出していくことを改めて実感させられる貴重で楽しいお話をしていただきました。熊野先生の元から巣立っていく若い起業家たちが未来をより良く美しい時代を創ってくれることを応援したいと思います。

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