コミュニティデザイナーとして地域と人の新しいあり方を創造する studio-L代表“山崎 亮さん”

コミニティデザイナーの第一人者として、自分のことよりも家族や地域のことを考え行動する山崎 亮さん。
“デザインの力を使って、コミュニティが持つ課題解決力を高めるよう支援する”山崎さんにお話を伺ってきました。

山崎 亮さんプロフィール
出身地:愛知県東海市
活動地域:全国各地
経歴:1997年大阪府立大農学部卒,1999年同大大学院修士課程修了。建築・ランドスケープ設計事務所を経て、2005年にstudio-Lを設立し「コミュニティデザイン」に携わる。13年東大大学院修了,博士(工学)。東北芸術工科大学教授(コミュニティデザイン学科長)。慶応義塾大学特別招聘教授。NPO法人マギーズ東京理事も務める。『コミュニティデザイン』(学芸出版社),『ケアするまちのデザイン』(医学書院)など著書多数。
現在の職業及び活動:studio-L代表。地域の課題を地域に住む人たちが解決するためのコミュニティデザインに携わる。まちづくりのワークショップ、住民参加型の総合計画づくり、市民参加型のパークマネジメントなどに関するプロジェクトが多い。
座右の銘:「先生はどこにでも」

僕らができることは、人と人が対話して「その手があったか」とか「これやってみたい」という気持ちを高めるようなこと

Q:山崎さんはどんな夢やVisionをお持ちでしょうか? 

山崎 亮さん(以下、山崎)   実はあまり考えたことがなく、夢やVisionはないんですよ。これから取り組みたいことありますか?とよく聞かれるのですが、ないんですよね、正直なところ。
今で言えば福祉や介護について自分なりにクリエイティブなことができたらいいなと思っています。ただそれらは外部から求められているから、僕自身も関心を持っているということなんです。 

当初はデザイナーとして公園に行って、こんな作品や空間を作りたいといった、自分がやりたいことがいっぱいありました。ただ、公共建築や公園を自分だけの作品にしちゃだめだろう、と思ったわけです。公園を使う人たちに「これ良かった」って言ってもらえるものを作らないといけないと思ったので、使う人の意見を聞きながら設計するようになりました。

地域の人たちと対話しながら設計する。そんな仕事が増えてきた時に、建物を作る仕事ばかりじゃなくていいなと思い始めました。そうして少しずつ、地方自治体の計画策定や商品開発、中心市街地などの分野でも仕事を依頼していただけるようになってきました。

そのうち例えば「建物は建てなくていいんだけど、今あるお寺が全然地域に使われてないから使われるようにするにはどうしたらいいんだろう」という依頼もありました。この5,6年は福祉とか介護とか医療を地域でもっと充実させて、地域の人たち同士がお互いを支えあったり、健康を気づかい合ったりするプロジェクトを起こしてくれないか、という依頼も増えてきました。

そこで僕らができることは、人と人が対話して、「その手があったか」とか「これやってみたい」という気持ちを高めるようなことです。これは僕らがちょっとだけ経験があることなので、その方法を使って、例えば医療・福祉・介護や社会教育、あるいはアートを求められるかもしれない。依頼があったらその分野に行くということを続けていきたいなと思っています。

若い人が活躍しやすい状況をつくるというのがかっこいいと思うんです

Q:3年後5年後の目標や計画はありますか? 

山崎 若い人の教育をちゃんとやらないといけないという気はちょっとしていますね。50歳にもなって「自分が自分が」と前に出るよりは、若い人が活躍しやすい状況をつくる、というのがかっこいいと思うんです。

50歳になるんだったら、若い人たちが活躍できる舞台をつくるとか、みんなが何か始めようと思うきっかけになるような場をつくった方がいい。これから社会に出て行く22歳までの子どもたちに、ちょっと自分の人生の時間を使おうという配慮というか覚悟です。

Q:山崎さんはどんな教育をしたいですか? 

山崎 近代がやってきた教育とは違うことを考えられるような人たちを育てられたらいいなと思っています。
これまではお金を払って各パーツを正確に作ってくれることが仕事だと考えられていたので専門性を求められました。このパーツをちゃんと作れるようにディテールに気をつけて細かいところまで完璧にやりなさいと教育を受けてきたんです。

コミュニティデザイナーは、地域で出会った人たちと繰り返し対話しながら、その人たちの得意なことを組み合わせて、その結果でき上がったものが、想定していたものとは違っていても、これを正解としようじゃないか、という調整役にならなきゃいけないと思っています。これは学校ではあまり教えられていないかもしれないと思っているんですよ。

この人といるとやる気が出てくる人間力

Q:日々どんなことを大事にされていますか? 

山崎 情報をたくさん手に入れるようにしてます。どんな依頼が来るかわからないのでどの分野の依頼が来た時にでもすぐに対応できるように備えています。常々いろんな方向の情報を手に入れて自分なりの仮説を作っておく、みたいなことはしています。

もう一つはコミュニケーションについての技術です。
僕らの仕事では、地域の人たちがやる気になることが大切なので「あんたが言うんやったらやろうか」という風にワクワクして欲しいと思っています。その為にどういう話し合いの方法がいいのか、どんな表情で、どんな話題を作ったらこの人たちがワークショップに行きたいと思うのか、などについても意識しなきゃいけないと思っています。

今までは偏差値や記憶力、応用力が良く、とても正確に仕事をこなす人が求められていたと思いますが、それは人工知能(AI)でもできることが分かってきました。
僕らは人に共感するとか、この人とだったら一緒にいたいと思ってもらえるとか、何か分からないけどこの人といるとやる気が出てくるとか、そういう人間力のようなものが求められていると思っています。

人間力を高めていくことが自分の至上命題

Q:山崎さんが人間力を高める為にしていることはありますか? 

山崎 映画を観るようにしています。僕はコミュニケーションに対してコンプレックスがある気がしていて全然ダメなんですよ。小学校も中学校もそんなに好かれる人間じゃなかったんです。
映画を観ながらそれは今言う話じゃないだろって突っ込んでるわけですが、実社会で自分がそれをやっている可能性があって。そこを変えないことにはこの仕事はできないので、ほとんど無理やり変えてきたという感じです。

Q:これまでにどんな変化があったんですか? 

山崎 人間力的なところをどれぐらい高めていけるのかが、自分の至上命題になっています。正しいことを正しく伝えるだけでは全然人々に共感してもらえないし、逆に地域の方々にはあいつは若いのに偉そうだって言われたこともあります。

幼少期は4年に1回転校する家でしたから、行った先でいじめられないことが大事でした。
自分が強いことや正しいこと、成績が良いことやスポーツができること、自分が長けていることの方が大事でした。そうすればとりあえずいじめられはしないというか、認められるために精一杯やっていました。

コミュニティデザインの世界では、そういったことは求められてなかったんですよ。自分ができないことを明かした方がいいんです。おしるこの作り方がわからなくて、どうやって作るんですか?って地域の方に聞けば、「あんたそんなことも知らんの」って嬉しそうに仰るんですよ。おしるこの作り方も知らんのかねって言いながら、地域の人が嬉しそうに教えてくださることがとても重要だということが分かったんです。
事前にネットでおしるこの作り方を準備して持っていくことは僕の仕事ではない。※コペルニクス的転回でしたね。
(・ω<) テヘペロ、みたいなのが求められてると分かりましたね。

※コペルニクス的転回・・・物事の見方が180度変わってしまうこと。

映画は人間力について学ぶための教科書

Q:最後に読者へメッセージをお願いします。

山崎 映画を観よう!
 今の時代は人間力の勉強がしやすくなったので偏差値について学ぶのと同じかそれ以上の時間を映画から学ぼうじゃないか。

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山崎さんについての詳細情報についてはこちら

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【studio-L】

【Facebook】

【編集後記】
今回インタビューを担当したCallingerの帆足と中村です。
コミュニケーションが苦手でありながらも自身を変化させながらコミュニティデザイナーをやっているという背景に、幼少期の経験や日々の努力を感じました。
自然体の姿で質問に答えてくださる山崎さんは好奇心に溢れ、親近感がありとても楽しく取材させて頂きました。

山崎さんのこれからのご活躍を応援すると共に楽しみにしております。

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