「心を取り戻して、花業界に革命を起こす」フラワーアーティストDOUBLE CROWN主宰 猪俣悟さん

花屋をしながら、「伝巧節花」というフラワーパフォーマンスグループを立ち上げられた猪俣悟さん。花業界においては極めて異例な取り組みをどんどんされています。その背景には、花業界全体の未来を見る目がありました。そんな猪俣さんにお話を伺いました。

プロフィール
出身地 福岡県久留米市
活動地域 福岡県
経歴   
1998年 日本で1番のお笑い芸人事務所を辞め、福岡へ。花(植物)との運命の出会いを果たす。
2004年 フラワーデザインスタジオ ダブルクラウンを設立。
2012年 尊敬できる先輩方との出会いをきっかけに商売スタイルを変更、ブライダル事業全面撤退。フラワーアートの世界へ。
2016年 日本で唯一のフラワーアートパフォーマンスグループ「伝巧節花」を結成。
現在の職業および活動 DOUBLE CROWN主宰、フラワーパフォーマンスグループ「伝巧節花」設立者
座右の銘 中島みゆきさんの「ファイト」の歌詞

花業界に革命を起こす

Q:どのような夢やビジョンをお持ちですか?

猪俣 悟さん(以下、猪俣) ほとんど知られていませんが、花業界は危機的な状況にあります。日本全体で花の出荷量は毎年減っています。お店は次々と閉店し、10年後には今の半分になると言われています。特に福岡市は、花の生産量が全国第2位にも関わらず、消費量は毎年最下位を争っている状況です。私はこの花業界に革命を起こしたいと思っています。

 革命といっても、ただ新しいことをすればいいというものではありません。今でも高齢の方で、昔ながらの花屋をやっている方たちもいます。それを守りながら成長していけるものでなくてはなりません。そして花業界だけの収益で終わってしまってもいけません。人々が花を好きになり、花を使って心豊かになる生活が当たり前にできるようになることが必要です。

 まずは関心を持ってもらう必要があります。そのために私は「伝巧節花」というフラワーパフォーマンスグループを立ち上げました。通常、人は綺麗に完成された花に注目すると思っています。けれど、私は花をつくる人の動きに着目しました。人の動きをパフォーマンスとして見せることで、来て下さった方に感動をお届けするのが「伝巧節花」です。

 花業界って実はかなり地味な仕事なんです。お店の中で人が来るのを待つだけで、花の素晴らしさをどうアピールするかは全然ありません。その中で私たち「伝巧節花」は、人の動きを見せるというパフォーマンスもそうですが、チラシを配ったり営業に回ったりして、どんどん外に出ていきます。

 「伝巧節花」を見て関心を持ってくれた方たちに、花に出会うきっかけをつくっていきたいです。そして花業界の現状や、花との付き合い方をお伝えし、日常の中に花がある心豊かな生活を提供したいです。それによって花の消費量が上がり、花業界も花業界以外も全体を上昇させていくことができるのです。

2019年が大きな転換期

Q:「花業界に革命を起こす」ことを具現化するために、どのような目標・計画を立てていますか?

猪俣 花に関心がある人は、人口のわずか数%しかいません。多くの花屋は、その数%に働きかけます。けれど花業界全体の上昇のためには、その外の人たちを巻き込んでいく必要があります。私は関心が無い10%の人たちに関心を持ってもらいたいと考えています。

 「伝巧節花」を立ち上げて3年になりますが、実は毎回赤字です。最低金額で開催し、収益も全て次の企画のために投じるので、全く収益は出ません。けれどここ1年間で依頼が急激に増えました。そして今年、念願だった福岡市との企画が立ちがりました。また、嬉しいことに家族連れやカップルで来る方たちも増えてきています。一番働きかけたかった子どもや男性という10%の方たちが来てくださっている現れなのでとても嬉しいです。3年間取り組んできたことが、この2019年で大きく変わる時に来ているのを感じます。

 2019年は東京へ進出したいと思っています。そこで動きを一気に加速させたいです。企画案は色々ありますが、こうしている間にも花屋が倒れていっています。時間の猶予はありません。できることはどんどんやっていきます。

笑顔を返して、戦い続ける

Q:その目標・計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような基本活動をしていますか?

猪俣 私たちは花業界の異端児です。パフォーマンスでは花屋から見たら、普通ならあり得ない花の扱いをすることもあります。「生と死」という演目では、花を徹底的に折り倒していきます。けれど、花は死んでいません。折れて2つに分かれた花は、水に挿せば両方とも成長していきます。美しく咲いていることが生きていることではありません。水の流れのように、花として生きる動きがあることが生きていることなのです。

 こうしたことは多くの花屋からは理解されないので、批判もたくさん受けます。また、「伝巧節花」は有志の集まりなので花業界の外の人たちからも軽くあしらわれることもあります。けれど、私はやり続けます。花業界が消えていく危機は必ずチャンスへと反転させていけます。花業界も花業界の外の人も、皆が心ある生き方を取り戻す未来が見えるから、私はどんな批判を受けても気になりません。ただ笑顔を返して、戦い続けるだけです。

センスではなく、必要なことは知識と技術

Q:「花業界に革命を起こす」と決めたきっかけは何ですか?そこにはどのような発見や出会いがありましたか?

猪俣 「伝巧節花」も花屋もすごいアイディアだ、センスがあると言う人が多いですが、実はセンスはあまり関係ありません。必要なことは、正しい知識と技術です。

 例えば花を一輪生けるにも、花瓶の選び方、花の向きなど、ちょっとしたことでプロのように見えます。知るべきことを知って、手順どおりに実行したら、誰でもできるのです。これは花に限らず何事においてもそうだと思います。

 「伝巧節花」を立ち上げる前には、花をお届けした時の相手の表情から花業界の動向など、アンテナを張りながら徹底的に調べました。全体をよく見て正しい知識を得ていくと、何が問題かが見えてきます。何が問題かがわかれば、そこに対して対応策も打てます。意外と多くの人たちが、センスの問題と思って諦めているのでとてももったいないと思います。

心が死んでいたことに気づいた

Q:「センスではなく、必要なことは知識と技術」と気づいた背景には何があったのですか?

 私は全く花に縁がありませんでしたが、花業界の現状を見て「自分が花業界をひっくり返してやる!」という使命感に掻き立てられて、花屋を立ち上げました。最初は大手のウェディング会社の注文を受け、私の会社はどんどん売り上げが伸びて成長していきました。けれどそこはお金が中心の世界でした。お客様の満足度が低いインスタント商品をつくり続けなくてはなりませんでした。そして周りを見たら、日本の花の消費量は年々低下し、花屋はどんどん潰れていきます。だんだん自分が何をやっているのかわからなくなっていきました。何の感動も無くなって、最初の心が死んでしまった空虚な自分に気づきました。こんな状態は耐えられないと、思い切ったんです。

 そして私は心を取り戻しました。すると奥深くからエネルギーが湧き立ってきました。全てが繋がってものすごい躍動感が私を突き動かします。そして心を失っていた時はいかに自分勝手だったのかを痛感しました。周りの人たちから「何をやっているのか」と何度も指摘していただいていたことの意味が今ならわかります。

 周りを見てみると、今の社会が私のように心が失われている人がたくさんいます。人の繋がりが途絶え、笑顔が消えています。私は心を取り戻す革命をやり続けるのだと、強い思いが湧いてきて、花業界に革命を起こす再決断をしたのです。

 「伝巧節花」は私を含めて5人でやっています。何十人にも声をかけた中で、志を共にして取り組んでくれるこのメンバーが本当にありがたいです。彼らと一緒にチャレンジして大変さも楽しさも共有する時が一番充実感があります。そんな仲間を増やし、新しいチャレンジへとどんどん行きたいです。花業界に革命を起こしたら、次に待っているところに私は行きます。そんな楽しい戦いを仲間と共にやり続けることが、私の本当の夢と言えるかもしれません。

記者 ありがとうございました。心を取り戻すことで、花業界も花業界の外も全体が上昇していきますね!

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猪俣さんの詳細情報はこちら↓↓

ダブルクラウン|福岡・花屋

【編集後記】
今回、インタビューをした小水、草場、大野です。
ただ綺麗に咲いている花が生きていることではない。花を花にする動きが生きていることだと見ておられる猪俣さんの見方に感動しました。全体を見て統制する落ち着きと、部分を徹底的に見る細やかさの両方を兼ね備えておられるシャープさはハッとします。何より使命感を持って戦い続ける熱さに、こちら側の心も熱くなりました。まさしく今の時代に必要なメッセンジャーですね。
猪俣さんの益々のご活躍を応援しています!

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