
『恕(じょ)』の精神を世界に伝えている カンナ・プロジェクト代表 橘 凛保さん
孔子の教え『恕(じょ)』の精神を伝えている橘 凛保(たちばな りほ)さんにお話をお伺いしました。
橘 凛保さんプロフィール
出身地:東京都
活動地域:日本33都道府県 世界16カ国
経歴:幼稚園教諭・日本語教師・マナー講師・大学講師を経て恕学アカデミーを創設。
現在の職業及び活動:一般社団法人恕学アカデミー代表・非営利活動カンナ・プロジェクト
座右の銘:『恕』
記者:橘 凛保さん(以下 橘、敬称略)は、どのような夢やビジョンをお持ちですか?
橘:世の中がいつも穏やかであって欲しいと思っています。
記者:それを具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?
橘:私は計画を立てるのが苦手なんですが、いろいろなものが巡ってきてくれるんですね。
その巡ってきてくれたもののご縁を大事にして、そのときできる限りのことをやろうというのが、私のやり方です。
具体的にはカンナ・プロジェクトというのを『恕(じょ)』を伝えるための一つの手段としてやることになりました。

今は子供たちに講演をして、カンナの花を一緒に植えるということ。そして、咲いて増えた球根を、またよそのところにバトンしていく「カンナリレー」をしています。。
いろいろなところにバトンをつなでいく中で、お互いがお互いに思いを馳あっていく。
そうすると万が一その相手のところに爆弾が落ちるというニュースが流れたら、きっと黙っていられないと思うんですね。
「やめて~、助けてあげて」というような声が子供たちから出てきそうなので、そのようなことを願いながらカンナのバトンをつないでいます。
記者:「恕(じょ)」というのは孔子の言葉ということですが。
橘:そうなんです。なかなか皆さんご存じなくて。数年前まではスマホの文字変換も出来なかったんです。
毎回、女の口の心と書きますってカッコ書きをしないと皆様に伝えることができませんでした。

※橘さん、直筆の『恕』
もう一つの読み方が『恕す(ゆるす)』です。
許可する「ゆるす」ではなく、受け入れるということではないかと私は紐解いています。
「こうなってしまったら全部がだめだ」、「悪いってこと」ではなく、そうなってしまった背景やその人の思いなどを理解してあげることが必要なんじゃないかと思います。
そういうのが『恕』なんですね。『己の欲せざる所、人に施すことなかれ』と続きます。
こちらは皆様も聞いたことがあると思うのですが、『自分がされて嫌なことは人にもしない』これだったらわかりやすいかなと思うんですね。
でも難しいことなんですよね。
だから孔子の弟子が「一つだけしたらいいことはなんですか?」、「生涯を通じてすべきことはなんでしょうか?」と聞いた時にそれは『恕』ではないかと孔子がお答えになったんですね。
記者:カンナプロジェクトにその思いが入ってるのですね。
橘:はい。カンナが原爆からたった一カ月で咲いてくれて人々にどれだけの勇気をくれたのか計り知れないと思うんです。
なのに忘れられちゃうんですね。人間って忘れちゃうじゃないですか。それでは、かわいそう過ぎると私は思って。
でも、このかんなちゃん(カンナ・プロジェクトのイメージキャラクター)は、それをゆるします。まさしくこの恕の「ゆるす」なんです。

「いいよ、みんな忘れたって私は平気」
そんなことをかんなちゃんは、つぶやいたと思うんですね。
それで、「よし!宇宙から、天国からみんなを見守ってあげるよ」と、それがかんなちゃんの始まりなんです。
記者:その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような(基本)活動していますか?
橘:カンナの球根をバトンして世界中に咲かせています。

そのときは国境を越えますし、宗教も超えています。なかなか、よその人の宗教を受け入れようとゆるそうというのは難しいと思うんです。
でも、カンナの球根でつながってるので、例えばキリスト教の学校からミャンマーの仏教の学校にも咲かせることができました。
それをまたバトンしていってインドの子たちが育てたりと。ほんとに宗教関係なく、いろんな宗教の子たちが同じ球根を分け合って育ているんです。
これが私が一番大事なことだと思っています。やはり子供たちの教育が大事だなと思います。
記者:そもそも、その夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?
橘:きっかけは、やはり『恕』の精神を伝えたいという思いです。
カンナと出会ったことによって具体的に「行動として、活動として」具現化できています。
記者:カンナとはどのような出会いだったのですか?
橘:今から16年前(2004年)に、広島の原爆資料館にはじめて行きました。あまりにも悲惨な展示物を見て、ちょっと心が苦しくなっちゃったんですね。
「みんな助けて〜」と言ってきているような感じがして。自分がタイムスリップしたような気がしたんです。
でも何も出来ない自分がいて、どうしてあげたらいいんだろうって思ってるときに、最後にカンナの写真と出会ったんです。
見た瞬間に大丈夫なんだなって思わせていただいたんですね。そして、お礼をしたくて、ほんとにありがとうって気持ちでかんなちゃんのお話を書きました。
それをたまたま人に話したら誰も知らなくって。広島でも知らなかったんですね。
こんなに素敵なことを知らないのはもったいないと思って。それで周知活動を始めたのがきっかけでした。
広島の原爆から一カ月で咲いた花なんです。凄いですよね。周りに希望を与える花。
自分だけの生命力じゃなく、自分のエネルギーをみんなに分け与えていく、それがかんなちゃんなんですよね。
記者:その発見や出会いの背景には、何があったのですか?
橘:私の祖母が『恕』のことを教えてくれたんです。子供の頃はよくわかってなかったんですが、だんだん大人になるにつれてよく意味がわかるようになっていきました。
孔子の言葉だったこともわかるし、みんなが知らないってことにも気づいていくんです。知らないのなら伝えなきゃいけないと思ったんです。
今のマナー講師という仕事もそれがきっかけではじめました。
『恕』の学びを私たちが日ごろからしてくこと。そうすれば、きっと世の中はお互いにゆるしあったり、譲りあったり、受け入れたり、尊敬したりでき、自ずと穏やかになっていくのではないかなと思います。
マナーができれば、その場の関係性が非常に良くなって、ほんとに気持ちのいい場が作れますよね。
言葉で説明しても、分かりにくいかもしれない。
でも、カンナのバトンをつないでいく中で、きっと皆様は感じとって下さってるのではないかなと思っています。
橘さんについての詳細情報についてはこちら
↓
※ブログやフェイスブック、ホームページのURLがここに載ります。
編集後記
インタビューを担当した小山です。
今回、橘さんとお話しさせていただき、お腹の底からじわじわ温かくなるような元気をいただきました。あれが大きな心で受けとめてくれる『恕』の感覚なのかもとほんのちょっと実感できました。
かんなちゃんは、私の地元、須坂市の花と緑のまちづくり事業マスコットキャラクターでもあります。街にはカンナの花も咲いています。
そのカンナの花を見るたび、橘さんの想いが地元地域にも息づいているのを感じています。
今後の更なるご活躍を期待しています。
以下報告がございます。
このカンナのバトンはついに宇宙に繋がりました。
全国20(保育園〜高校)の学校の子どもたちが育てたカンナのタネが国際宇宙ステーションに滞在して宇宙を5ヶ月間旅しました。
毎日宇宙から地球の平和を見つめました。(「カンナ子ども平和宇宙ミッション」目的:宇宙的視野で地球の平和を考える)
まさしく、忘れられて宇宙から地球を見守ってきた「かんなちゃん」と同じ視線で地球を見つめました。
今、「宇宙カンナ」として子どもたちが育てこの地球に根を張り、さらなるバトンを繋いでいきます。
参考までに、次のミッションは、そのカンナが滞在した「国際宇宙ステーションとの交信」です。宇宙飛行士さんとの子どもたちが無線で話をします。20校を代表して須坂市の高校生や小学生たちが交信をします。