”美’’は飾るものではなく、本来内在する自信感を引き出すこと。「LaPaisible」”宮原ゆかり”さん

へアスタイル・メイク・着付けを通して、究極のシンプルな美しさを追求されている宮原ゆかりさんにインタビューさせて頂きました。

《プロフィール》

出身地:北九州市小倉

活動地域:主に北九州ですが、依頼があればどこまでも。。。

現在の職業および活動:ヘア・メイク・着付け(ブライダル・成人式・卒業式・七五三・ゲスト etc…) 、着付けレッスン、LIVE~日本の美~

座右の銘:楽しくするために努力する。

「品のある美しさは、形ではなく心。質素の中にある美しさが日本の美。」

Q:宮原さんは、どのような夢やビジョンをお持ちですか?

宮原ゆかりさん(以下、宮原 敬称略):夢は、感動の繋がりや循環をこれからもずっと繋げていくことです。ブライダルを担当させて頂き、当日に向けて事前準備を何度も重ねながら段々とお客様と仲良くなり、そのお客様が出産されたりすると、そのお子さんのお宮参りや七五三参り、そして成人式や卒業式、結婚式のお呼ばれなども、継続して担当させていただいたりしています。また、大切な方を紹介して頂いたりと、感動の繋がりができていっていることが一番嬉しいです。有難い事に、成人式は何年も先まで予約を頂いています。

記者:「日本の美」というテーマでイベントを開催されていますが、文化の継承に関してはどのような思いがありますか?

宮原:日本の伝統文化を古くさいと思う若者が増えているように思います。
日本の授業には自国の文化を学ぶ授業が組み込まれていないため、なかなか和文化に触れる機会がありません。

日本の美しさは、飾り立てる美しさではなく、シンプルな中の美しさ「わびさび」だと思っています。自然の中・質素の中に「美」を見いだせるそのセンスを養ってもらうためにも、幼稚園や小学校など、小さい頃に「本物」に触れる機会を作ると良いと思っています。

伝統は、今までずっと継承されている事自体が凄いことです。
あの人凄い!っていう特別な人にはなかなかなれないけど、伝統技術は教える側と教わる側の本気さによってきちんと継承できれば、凄い人だけができるというものではなく、誰でもできるようになれるものです。

ですから、まず知る機会を増やし「技術を継承したい!この文化を繋げていこう!」と思う人を増やせるように、私に今できることをしていきたいと思っています。

Q.心の繋がり・関係性を広げていくために、いつも心がけていることはどんなことですか?

宮原お客様が満足し納得されるまで、何度も事前打ち合わせを繰り返すようにしています。今は平均5回位ですが昔はもっと多かったです。

言葉だけではイメージがずれるので、ヘアスタイルとメイクも毎回違うものを実際にやってみて撮影をし、その撮影した写真や今までの打ち合わせの写真とも比較してみて、「前回より今回の方が良い!」「このスタイルは私には似合わないな・・」「次はもっとこんなスタイルをしたい!」など、何度もお互いのイメージを融合していくコミュニケーションを重ねます。

その中で、「だったら、今回は私のオススメでやってみてもいいかな?」など提案を挟む事もありますが、あくまでもご本人が一番楽しくて納得できるものが優先ですね。私から見たら「シャープな方が似合う」と思う方でも、ご本人の希望は「プリンセス」というように全く違う事もあります。

ですので、日本髪でも崩したヘアスタイルでもどんな希望でも対応できるように、私たちは裏で様々な技術を磨く努力を重ねています。
今まで多い方では1年間でなんと43回も打ち合わせに来たお客様もいました(笑)

記者:1年間に43回って週1回ペースですね。なぜそこまで徹底的な事前打ち合わせに対応されるのですか?

宮原:事前打ち合わせでは、例えば「アイラインがあと1mm違う・・・」と言われる事もあります。こちらから見たら変わらなくても、ご本人はどうしてもこだわりたいポイントです。

一番の美しさは、色々手を加えることではなく表情の豊かさです。本番当日に最高の表情を引き出すためには、本人の納得した自信感が何よりも大事なので、当日はもう何の迷いもない状態で迎える事ができるように、何度も打ち合わせを重ねています。

記者:だからなんですね〜!どの写真も派手ではなく自然体で素敵です。信頼関係ができているからこそ出せる美しさだったんですね。

宮原:美は、一方通行では絶対に出せません。何度もコミュニケーションする事で少しずつ美に近づいていくと思います。
ドレスやブーケを選ぶとか、アイテムで目立つのではなく、「どのアイテムが凄いとか何が良いとか分からないけど、その人そのものが何かめっちゃ綺麗〜!」っていうトータルでの美しさが理想だと思います。

Q.今実際にされているイベントはどのようなものがありますか?

宮原:どんな風に白無垢の花嫁姿がつくられていくのか、目の前で白無垢を着付ける実演を見て頂く「LIVE〜日本の美」というイベントを定期的に開催しています。
あとは、北九州に寄港する海外のクルーズ船シルバーディスカバラーでのイベント実演を2回、今回はクイーンメリー号での実演を行いました。

海外の方は、日本の「本物」しか求めていません。
なので「高価な物ではなく目立つ物でいいよ〜」と言われますが、私たちは「本物の衣装」を準備します。
衣装は目立つのが美しさではありません。本物かどうかは海外の方も分かりますし、質素の中に美しさがあるのが日本の美なのです。

今はシルバーディスカバラーの方から「あのショーを必ず入れて下さい!」と依頼を頂きますし、「これが見たくて、また船に乗ってきました」という声も頂けるようになりました。

イベントでは、尺八や琴の先生、MC、モデルさんなど、一流の方達に毎回協力を頂いています。「今回これをやります!」ってお知らせをしたら、みなさん忙しい中スケジュールをどうにか押さえてくれて、大体のシナリオを伝えれば自然と意見を出し動いてくれて、本番はビシッと素晴らしい感動の場として開催することができます。
プロの方達とのチームプレーはとても楽だし、もの凄く格好いいです!!
本当に感謝しています。

Q:今のお仕事をされるようになったきっかけは何だったのでしょうか?

宮原:きっかけは、私の結婚式で着付けを担当して下さった先生、後の師匠となる方との出会いです。私が着付けの免許を持っている事を知った担当の方から「自分で着付けをされるのであれば、値段は高いけど良い先生を紹介できますよ」という話を頂きお願いしてみました。

学院で着付けを習っても見れなかった実践現場を、自分の結婚式を通して目の前で見る機会となり、何だかすごく感動したんです。
感動のあまり、新婚旅行から帰ったその足で先生にお土産を持ってお礼に行き、直接「着付けをしたいです。感動したのでついていっても良いですか?」と尋ねました。先生は「は?」という反応で「良いよ」と言われたわけでもないですが、ショーなど何か機会がある度に、無視されながらも勝手について行っていました。先生の助手さんが辞められたタイミングで、そこから8年間私が助手としてつくことになりました。

記者:宮原さんは、何に感動されたのですか?

宮原:目の前で着付けの実践技術を見れたこともそうですし、先生の人間としての凄さや迫力に惹かれました。
業界の方々から一目おかれる存在でしたので、先生と写真家さんやその他多くの大先生達との会話のやりとりを聞く機会もありました。

尊敬し合ってる先生達が写真を撮る時も話し合いながら微調整し、先生から「1mm衿もとを動かして!」という指示がでるような、そういうミリ単位の感覚や空気感にまでこだわりをもって仕事をしている人がいることに感動しました。

その当時、メイクも段々と流行が変わり今までの知識や道具では対応できなくなり、海外雑誌を買って自己流ですが毎日毎日ノートに覚え込むまで書きながら新しいメイクを覚え、少しずつ先生ではなく私がメイクを担当するようになりました。

40人〜50人くらいの写真撮影イベントにメイク担当で参加した時に、毎回ぶっつけ本番での撮影で納得いかず、「もっとじっくりやりたい!1人でやらせてほしい!」とお願いした事があります。そこからお客さんを自分で集めて当日に向けて準備する中で事前打ち合わせをし始め、それが今にも繋がっています。

そして、まだお嫁さんをつくったことなかった私に、初めてお客様から「ヘアメイクも着付けも全てあなたにお願いしたい」と言われたんです。
20年前はまだ経験がなかったので当日失敗しないように、その依頼して下さったお客様がカツラをつけるところから練習台になってくれて、その後も何回も練習に協力してくれました。
そして、当日は一流の髪結師さんも写真家の先生も来て下さり、そんな1回目の経験があるから今があると思います。

Q:本当の美しさを追求することになった背景は何がありますか?

記者:私も最初は人と違う事をするのが良いと思っていましたが、経験を重ねる中で、最終的にはドレスやメイクなどの美しさではなく、本人の満足した自信感溢れる表情が一番の美しさだと気付きました。身につける物はシンプルでいいのです。

技術者はあくまでも黒子であり、技術者が全く見えないくらい本人そのものが主役になれている状態が、本当の美しさだと思っています。

伝統文化も同じで、表立って出ないけど、基本に忠実に代々受け継がれていく事自体が美しさだと思います。私が今後ヘアメイクや着付けができなくなっても、次の世代へ継承しているから心配なく繋いでいく事ができます。
今までの色々な先人達のメッセージが一個一個繋がってきたからこそ、足袋一つ、帯一つ、多くのものが現代まで継承され、これからもずーっと未来に繋げていくことができます。

記者:インタビューありがとうございました。最後に宮原さんが、イベントの最後にいつも話されるコメントに思いが凝縮されているように思うので、共有させて頂きます。

『私が婚礼を通して思うことは、白無垢は凛としていて清らかで神秘的なはずなのに、最近では着崩したり、派手な洋髪だったり・・・少し残念に思います。私達は、なるべくシンプルで上品な花嫁姿を作っていこう思っています。
かつらは、髪結師さんがモデルさんのお顔に合わせて結っていただいたものです。一般のお客様も同じでお一人お一人かつら合わせをし、結い直して頂いています。
お衣装も掛下から全て正絹です。帯ひとつ、足袋ひとつ、あらゆるところに手間をかけつくりあげられた文化、それを守ろうとする人達、こういった本物を受け継ぎ繋いでいこうと思いこのライブを始めました。
少しでも多くの方に見ていただき知って頂くことで日本の伝統きもの文化を繋いでいくきっかけになればいいなと思っています。』

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≪宮原さんの詳細情報について≫

■La Paisibleホームページ ↓↓
https://lapaisible.info/

■Facebook ↓↓
https://m.facebook.com/yukari.miyahara.7

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【編集後記】
今回インタビューを担当した波多江&多田野です。
ただ見た目を美しくするというだけではなく、自分自身への自信感からくる美しさや魅力が引き出されているたくさんの実例を見せて頂いて、本当に感動しました。

宮原さんとの出会いを通して、これからの生き方の変化に繋がっている方も多いのではないかと思います。
今後の宮原さんのご活躍を心より応援しています。

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