友心まごころサービス代表取締役 岩橋ひろしさん

命を落としてもおかしくない交通事故を経て、生き残った自らの命の使い方に向き合うことに。「想いを大切に」という理念をもって、「命の価値」を伝え続ける岩橋ひろしさんにお話を伺いました。

プロフィール
出身地 福岡県
活動地域 福岡県
経歴 専門学校を卒業後、嬉野温泉旅館「和多屋別荘」にて全国初の男性仲居「男組」の仲居頭を務める。2004年7月、自動車販売店アクション・ロードを創業。2012年3月、遺品整理士を取得し、4月から福岡県大野城市で「友心まごころサービス」を立ち上げる。
現在の職業および活動 生前整理、遺品整理・特殊清掃、相続関係手続き、供養・納骨などを行う友心まごころサービス代表取締役
座右の銘 一日一生

「亡くなったはずの命をつかって、どれだけ人に貢献できるか」

Q:どんな認識の変化や心の在り方が今の活躍につながっていますか?

岩橋  昔は素行が良くなかったので就職先に困って仲居や車の仕事をし、遺品整理の仕事をするようになったのですが、4年前に命を落としてもおかしくない大事故にあいました。そしてその事故をきっかけに妻も亡くしました。このことを通して今までの在り方ではダメだと痛感し、色々と学ぶ中で「愛」のイメージが大きく変わるタイミングがありました。自分がいかに正しさを押し付けていたのか、自分の自己愛は全く周りに関心が向いていないのかを痛感したのです。でも事故を通して、自分は一人ではなく、家族や会社のためにも生きるべき命だと気付いたんです。自分の中の愛が満たされることで、自然と周りを愛せるようになると、愛し方も変わりました。今は、亡くなっていたはずのこの命を使ってどれだけ人に貢献していけるか、人に必要とされるか、それだけです。相手の心、想いを大切にして、相手の真ん中に向けて言葉かけし、社長といたら心が満たされる!という関係性をつくっていきたいと思っています。一期一会。全ての出会いに感謝しています。

記者  一つひとつの出会いに全てをかけている姿勢がすごく感じられます。

岩橋  どうせ時間を費やすのであれば、一生懸命周りの人と向き合いたいと思っています。今ならそれが目の前のお二人ですね。

記者  相手のためにというのが岩橋さんの一貫したテーマなんですね。

「日本ならではの心」

Q:AIが活躍する時代に必要とされるニーズは何だと思いますか?

岩橋  僕が一番大事にしたいと思うのは、やはり日本ならではの心の部分。日本人は相手を想う心、先祖を敬う心が深い。こうした人としての心の部分はどうしてもAIでは測れないと思います。例えば母に怒られたあの時の母の心、自分の心。そんな過去の思い出があって今の自分がいる。こうした心の動きはプログラミングによってつくられる答えではないと思いますし、それを人間は大事にしていかないといけないと思うのです。

記者  岩橋さんのお仕事の遺品整理も単にモノを整理するというより、心を見ていますね。

岩橋  僕たちは自分の心でモノを整理します。単にそこにあるモノを見ているのではないんです。だから現場で迷った時、僕の会社では「想いを大切に」という理念を、軸や判断基準にしています。故人の想いと、残された側の想いをつなぐ架け橋であれ、ということです。その理念を軸にモノを見て判断し、自分の心を信じて整理していくのです。

記者  社名にも「心」が入っていますね。

岩橋  技術は心によって磨かれていくと思います。どれだけ自分のものとして見れるか、どれだけそこに心を入れられるかで、ノウハウやスキルが上がっていく仕事だと思っています。遺品整理に限らず全部そうですよね。工場の流れ作業とかコンビニの仕事もそう。誰かがお弁当を口にする。ではどういう詰め方をするか、とかね。真心を込めること、それは人間だからこそ、日本だからこそできることです。

「『命の価値』を話すことで、自分から人に関わる習慣を取り戻してほしい」

Q:どんな美しい時代を創っていきたいですか?

岩橋  僕は、人には体験できないような人生経験をもとに、いじめ、虐待、差別、自殺、孤立死のない明るい豊かな社会の実現をテーマに講演などをしています。それは、僕の実体験を通して伝えることができる「命の価値」を話すことで、ぜひ自分自身の大切な家族を思い出してもらい、自分から周りに目を向けてもらいたいからです。自分から人に関わっていく、そんな習慣を取り戻してほしい。それが結果的に、離れて過ごす大事な親が地域に守られる社会を築くことにつながっていくと思っています。

記者  今は周りに関心を持たないですし、関わることを止める傾向がありますから。

岩橋  本当にそうです。遺品整理に行くと、自分らしいとはとてもいえない最期だった現場がたくさんあります。そんな故人の声を拾って代わりに発信することで、まだ間に合う人たちの人間性を変えていく。それが僕の役割であり、だから生き残ったのではないかって思っています。僕は講演者ではないんですね。今回みたいに呼ばれる機会って、周りがつくってくれるし、僕が話すことは亡くなった人たちの無念な想いが僕の体をつかって話しているのではないか、そんな風に感じています。

記者  ここまで死に密接に関わる人生ってなかなかありませんね。岩橋さんには何かミッションがあるのでしょうね。

岩橋  救われた命を何のために使うのか、何のために生き残ったのか。真剣に向き合って考えると、この命が助かったことによって救われる人がたくさんいるんじゃないかって思います。

記者  多くの人たちにとって励みになると思います。人生順調そうで実は大変ってこと、ありますから。

岩橋  僕もまだまだ大変ですけどね(笑)

「『今日も私は私でよかった』と思える一日を過ごすこと」

Q:「一日一生」で生きることの難しさとは何だと思いますか?

岩橋   もし癌だと余命宣告されて今日の12時に亡くなると決まっていたら、今ここにいるかというと、たぶんここにはいないはず。最期がわかっていたら、一日の過ごし方が変わるんですね。でも自分自身の最期がわかっている人はほとんどいません。「一日一生」のコツはないと思うけど、ちゃんと今日もやりきったと思えるか。1日を終える時に自己評価をちゃんとできるような毎日を送っていくこと。朝起きた時にはこういう1日にしようとセットアップして、終わった時に「今日も私はやりきった!」と自分で自分を褒める。そうすると365日間、自分は自分で満たされます。そして自然と周りに目を向けた365日になるんですね。自分で自分を大事にしてあげてください。「今日も私は私でよかった」と思えるような一日を過ごすことが大事です。

記者  岩橋さんも毎日セットアップと褒めることを実践しているんですか?

岩橋  していますね。人と出会うときは、ちゃんと向き合って心の記憶に残してもらえただろうか、やり切れたかという自己評価します。だから自然とこういう時間も絶対大事にします。最近では習慣化してきていますね。

記者  「やりきれなかった!悔しい!」っていうことありますか?

岩橋  最近はないですね。言いたいこと言いいますもん。

記者  素晴らしいですね!

岩橋  想いはちゃんと伝えますし、この人と関わっていたら楽しいと思ってもらえるような利他の発信を心がけているので、色んなところで仲良くなるんです。

記者  本当に「一日一生」を実践されていますね。最後の読者へのメッセージをお願いします。

岩橋  自分を大事にしてほしい。たった一度きりの人生です。かけがえのない人生は誰でも平等に1回きり。良くない出来事が起きたと思えても、捉え方によって未来は切り開いていけます。まずは自分で自分を満たしてほしい。自分が満たされたら、周りに心からの愛情で接することができます。

記者  まずは自分で自分を満たすことから。多くの人に響くメッセージだと思います。今日はありがとうございました。

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岩橋さんの詳細はこちらから↓↓

友心まごころサービスHP:http://yushin-magokoro.com/
facebook:https://www.facebook.com/hiroshi.iwahashi.54
自叙伝「あなたが最期に想いを伝えたい人は誰ですか?—遺品整理の現場から—」

【編集後記】
今回インタビューの記者を担当した小水です。
ここまで自らの命を人の想いを大切にすることに使い続けられる人がいるのかと驚きでした。「一日一生」の姿勢で一人ひとりに向き合い続ける岩橋さんだからこそ、壮絶な仕事現場の中でも社員の方たちが誇りと結束力をもって取り組まれているのだと感じました。
今後も岩橋さんの益々のご活躍を応援しています!

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