「ありとあらゆる人に、色んな選択肢があるって思えるような場を作りたい」 小学校教諭 牛ノ浜 賢悟さん
「ありとあらゆる人に、色んな選択肢があるって思えるような場を作りたい」
何をどう生きたらいいのか、悩む人が急増しているこの時代。
相手へのリスペクトが生まれれば、相手の人生や生き方、
更に自分の人生に向き合うようになる。その時にどんな選択肢があるのか。
小学校教諭の枠をこえ、多くの方が自分をみつめ「選択肢」を広げられる場を創られている牛ノ浜賢悟さんにお話を伺いました。
【プロフィール】
出身地/活動地域:横浜市
経歴:横浜市小学校教諭
「週明けが楽しみになるセミナー」CKen代表
「自分のあり方を見つめ、自分のやり方で学び続けるサードプレイス」Learn my way 代表
座右の銘:今を生きる。過去にとらわれず、過去に執着せず、未来を恐れず、今を生きろ。
「色んな大人の生き方を知るっていうのは、ひとつ心理的な保険になるんじゃないかな、って。そこから自分で学んで、必要な教育を自分で獲得していってほしい」
記者:教師を始めようと思ったきっかけを教えてください。
牛ノ浜 賢悟さん(以下、牛ノ浜):父親が教師だったので、教師という職業に対してあんまり変なハードルがなくて。それと小学校5,6年の男性の先生。ちょっと型破り風な人。天気がいい日とか、「もうだめだ」とか言って校庭にいく。校庭に行くんだけどその人は朝礼台に寝そべって、もう勝手にしろ、みたいな。その先生、すごく好きでした。
後は、大学時代バンドやってて、バンドが好きだったんですね。ライブも好きで。教育実習をして、ライブと同じだな、って思いました。
記者:バンドと教師が一緒ってあまり思わないですけど、どんなところが同じだな、って思われたんですか?
牛ノ浜:同じですね。授業でどれだけ響くか、心揺さぶられるか、っていうのがあると思ってて。それが意図して、どれだけ授業を練って練って心響く授業ができるかって言ったら、多分違って。そこに集まった子達と先生とのやり取りの中で、ある人が、ある子供が発信した言葉だったり、勿論先生が発信した言葉だったり、そういう本当によくわからない、相互作用みたいなもので生まれるものとか、そういう感じが正にライブですよね。
記者:実際に教師になられてみて、いかがでしたか。
牛ノ浜:日々地獄でした。一生懸命頑張ろうと思っていたんですけど、何やってもダメ。一年目が最悪で、その一年目が終わって担任を外されちゃうんです。とはいえ、後には引けないから、この後は結果だすしかないよね、って思って理科の教科担任になったんですよね。そこでもう、ひたすら色んな先生を盗みました。暇さえあれば、どこか学級行ってちら見して、クラスの仕組みとか、どんなルールを徹底しているのか、とか、そういうところから聞いたり、沢山見てまわりました。丁度その時の学年主任が、僕には合っていたんです。色々話聞けたし、実際教えてもらったし。アドバイス通りにやってみたら結果出たし、いけるって手ごたえがあったんですよね。そうしたら翌年、担任持っていいよ、って。
記者:教師になられて、どのような夢を描くようになられましたか?
牛ノ浜:教育が一人一人に個別化されるといいな、と思いますよね。そもそも学校に行くのがしんどい子っていうのは、いますよね。でも学校は集団で動かざるを得ない。それよりかは、今オンラインサロンとか色々流行っているけど、ちゃんと自分が必要と思って学びに行き、必要としてくれる人の前で何かできることをしていく、っていう風になっていったら素敵ですよね。
記者:教育が個別化される為に、牛ノ浜さんの中で計画とかはありますか?
牛ノ浜:単純に、量的に、色んな大人に会ってもらおうかな、って。色んな大人の生き方を知るっていうのはひとつ保険になりますよね。代理的成功体験って、バンデューラさんという心理学者の人が言ってますけど。例えばスティーブジョブズみたいな人の半生を知っても天才だな、としか思わないですけど、ドロップアウトしちゃったけど、そこから頑張ってきたストーリーって多分勇気を与えますよね。親のフレームもあるから、良い高校、いい大学、良い企業みたいな、多分未だにそういうのも残っているので、そこの道を歩めなさそう、みたいな子にとっては色んな多種多様な大人の生き方を知るっていうのは、ひとつ心理的な保険になるんじゃないかな、って。そこから自分で学んで勝手に自分で必要な教育を自分で獲得していってほしい。
今年度も既に3人呼んでいますね。子供が衝撃を受けていたのは、「横浜が好きで何か皆のために出来る事ないかな、と思ってなりました。」っていう区役所の方のお話を聞いて、そんな事考えるんだ、みたいな。そもそもそんな大人いるんだ、みたいな事を語っていました。
外の大人がやってきて、やっぱりこれ大事だったとか、それでかいですよね。
記者:その計画を達成されるために、日々どんな行動をされていますか?
牛ノ浜:おもしろい人を探しています。ツイッターでも何でもいいんですけど。で、からみます。単純にメッセージとか。今って、自分が会いたいなって人に、自分から選んで会えるんだけど、子供達ってそれを許されず、学校に入れられちゃいますもんね。
記者:今後どんな美しい時代を作っていきたいですか?
牛ノ浜:ありとあらゆる人に、色んな選択肢があるって思えるような場をいっぱい作っていきたいですよね。
記者:その場で出会った人たちによって、どういう相乗効果を生み出すと思いますか?
牛ノ浜:リスペクト感が高まると思っています。その人を一個人としてみるし、その人の今までの背景とか、それって本当に軽視できないですよね。その人に対して接するこっちの気構えが。リスペクトが生まれると、相手の人生、相手の生き方も尊重できるし、そうなると自分も人生とやっぱり真剣に向き合うよね。そうした時にいろんな選択肢があること知れば、自分の人生を選んでいくよね、って。そういうことが一番社会にとっても可能性が広がっていくんじゃないか、って。
記者:人間とは何だと思いますか?
牛ノ浜:今僕も勉強中なんですよね。色んな哲学書も読んでいる。僕は自分の無力感をずっと感じて生きてきた子だと思うんですよね。でも実は一人の個人の主体性って、すごい強力なものなのかな、って。ジャンポール・サルトルっていう哲学者が、凄く個人の主体性っていうものを言っている人なんです。自分自身で道を切り開いていくっていうか、運命に抗えるっていうものを証明している人。自分の行動ひとつで世界を変えてしまう、そういう強さが人間にはあるんじゃないかな、って最近思うんです。
人間とはって聞かれてこうだ、って規定できてないくらい、人間は謎な生き物です。でも人間の捉えをどんどん更新していくのは楽しいし、価値ありますよね。絶対に世界の可能性を広げる事になると思う。
記者 相手や自分自身をどう思うのか。相手へのリスペクトが、自分の人生への向き合い方にも通じる、大事なポイントなのだと思いました。牛ノ浜さん、本日は貴重なお時間どうもありがとうございました。
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【編集後記】
今回、インタビューの記者を担当した、住吉、園田(カメラ)です。
選択肢を増やしていくことは、人生に向き合いプラスもマイナスも受け止めるからこそ広がっていく心の器なのだと、牛ノ浜さんのお話を通して感じました。1人でも多くの方が自分自身と向き合う、そんな場をこれからも創っていかれる事に希望を感じました。ありがとうございました。
この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。