社長の成長請負人 林健太郎さん

コーチングが社会インフラとして活用されている社会を作りたい!社長の成長請負人として、コーチングを使い活躍されている林さんにお話をお伺いしました。

プロフィール
出身地:東京
居住地:御殿場と東京2拠点住まい
現在の活動:エグゼクティブ・コーチング及び、優れたリーダーを作るためのプログラム運営。リーダーを鍛えるスクール:DELIC(デリック)の運営。社長の成長請負人。
座右の銘:ノーアタック・ノーチャンス(レーシングドライバー:佐藤琢磨氏)

Q夢やビジョンは何ですか

林   世の中、そして、人類のコミュニケーションが変わることですね。今の私達の日常会話では、人間が本来持っているであろうポテンシャルが発揮できていないのではないかと思っています。もし私達が本質的なコミュニケーションを身につけた時、人間のポテンシャルは計り知れないと思っているので、それを目指したいです。

記者 それができたときの社会はどんなイメージなのでしょうか。

林   そうですね。本質的な対話ができるようになることは実質的なスタート地点だと思っているので、「ようやくそこまでたどり着いた」としか思わないかもしれません。そこが最終到達点ではないので。自分の中では、コミュニケーションを変化させていくことは簡単なことなんですけど、他の人にとってはどうも難しいらしいということが、活動の中からわかってきました。ですので、道のりとしては意外と大変かもしれないなと思っています。

人間のポテンシャルが最高に発揮されている社会を観ていたいですね。

記者 そうなったときに林さんはどんなことを感じそうですか。

 普通にムフフとほくそ笑んでいるんでしょうね。今の仕事はコミュニケーションを教えたりする仕事でもあるので、みんなのコミュニケーションの質が上がれば、稼ぐ仕事がなくなる可能性はあるんですが、それでも、「よしよし、次に何しようか」なんて考えているんでしょうね。

今の仕事にしがみついて自分の利益を守りたいとは思っていない、一つ完成したら潔く手放しちゃいます。一個やったらまた次のことができるし、そこに執着することではないと思うんです。

Q目標計画はありますか?

林    ないですね!

記者 あえて作らない?

   そうですね。目の前のものを100%でやる、ただそれだけ。みたいな。目の前の行動に一切の出し惜しみをしないこと、それしかないです。
例えば、資金繰りのために見栄えの良い目標計画を見せてくれと言われたら、それはもちろん作って送りますけど、それが本当に重要なのかと言うと、私の中では必ずしもそうではないんですよね。カチっとした計画がどこまで必要なのか、この移り変わりの早い世の中においては懐疑的に感じています。

私の場合、例えば、これから、コーチングの予定が6件入っていたりしても、お一人目のお客様から全力疾走です。後ろに予定が詰まっているからといって出し惜しみしないんです。結局のところ、良い仕事ってそれの積み上げでしかないんですよね。それを忘れた時に大きな失敗をする。目の前のひとつひとつのことに全力を尽くすことで繋がる未来がある。大義、目的、目標、夢だけを語るのは性に合わないんです。

Q日々心掛けていることはありますか?

林   先ほどのように一つひとつを丁寧にやること。例えばコーチングを受けに来るお客様にとって私との時間は一生に一回の大事な瞬間なんですよね。しかし、そんな大切な時間でさえ、毎日何回もコーチングしている自分にとっては、日常業務の一部だという捉え方もできるわけです。
そういった意味で、毎回毎回その人の人生の一番のターニングポイントに関わっているという前提を忘れないようにと言い聞かせることを心がけています。

これ、実はお客様自身も忘れていたりするんですよね。お金払って、時間を捻出してコーチングを受けに来ているのに、話をする過程で無意識に変化への優先度合いが下がってしまうことがあるんです。そこを思い出させることも私の仕事の一つです。人生のターニングポイントを作りたいんでしょと、耳の痛いチャレンジも時には必要なんです。

記者 どうやってお客様の意識を高めているんですか?

林   人が変化を起こすにはきっかけが必要です。変わりたいけどなかなか変われない、きっかけが掴めないということ、あると思うんです。そんな時、例えば雇ったコーチが全面的にあなたの可能性を信じてくれたとします。それもあなた自身が自分を信じるよりも、他人であるコーチが自身の可能性を信じてくれているとしたらどうでしょうか。自分よりも自分を信じてくれる誰かがいるという事実を目の当たりにした瞬間、人は「変われる」ことを信じるようになるんです。「このままではいけない」と強く感じるようになるんです。

ときには挑発的に焚き付けていくこともありますね。お客様に向かって「明日でいいやと思っていませんか?」なんて突きつけたりします(笑)厳しい現実を誰かから突き付けられないと後回しにしちゃうことって誰にでもありますよね。それを焚きつけるのも私の役割です。

これをお読みの皆さまにも1つ問いかけをするならこんな質問になります。
「皆さんの人生が終わる日に、仮に意識があって、ご自身の人生を振り返ったとしますよね。そこで、あなたは思い出します。一番のターニングポイントはあのとき、あの瞬間だったと。そのターニングポイントとして将来思い出す瞬間が実は『今日・いま』のことだとしたらあなたはどんな行動を起こしていると思いますか?」

少し風変わりな質問だと思いますが、未来の自分を想像して、今の自分を俯瞰するための質問です。
ぜひ考えてみてくださいね(笑)

記者 人に対して可能性を確信されているんですね。

林    人間って何でもできると思う。一人だと億劫だったりするけれど、例えば自転車に初めて乗るときと同じで、ちょっとのきっかけでできるようになります。

記者 その核心と出会っているからこそ、今の仕事をされているんですね。

Qお仕事をされるきっかけは?

林    私はもともと好奇心旺盛で、何でも気になったら、すぐにやってしまうんです。そんな感じなので仕事も長く続かなくて、興味をそそる仕事が見つかると、今やってる仕事を辞めてでもそっちの仕事を、やってみたいと思う傾向がありました。

一番最初に就いた仕事は建築現場の職人だったんですけど、その後も英語の先生に応募したり、通訳をやったり、いろいろ経験しました。

そんなことをやりながら、経験を積んでキャリアアップを目指したのが20代。どこまで稼げるか、どこまでキャリアアップしていけるのかといった好奇心に任せて動いていました。当時は何事でも頂点を極めたいという欲求がありました。ただ、そういう考え方が災いして周囲からは「利己的で付き合いきれない」とか「あいつ仕事変えてばかりだから信用ならない」みたいに、そっぽ向かれる経験をして、因果関係を学びました。そんな生き方を30歳ごろまでしてきました。やりたい仕事もできる限りチャレンジしたし、経験も積んだ。でもその先のキャリアを考えると手詰まり感があって、お金も溜まっていなければ、友人と呼べる存在も数えるほどという状況に陥りました。

そんな時、独立開業して始めた事業も上手くいかず、本当の資金難になりました。電車に乗れなくなるほどの資金難。
何か仕事をして日銭を稼がないと生きていけないというところまで追い詰められたところで就職活動を始めたのですが、その過程で知り合ったオーストラリア人の男性がプロのコーチだったんです。彼は「仕事は紹介できないよ、でもコーチングなら無料で1セッションしてあげるよ」と言いました。私は当時、コーチングのことを全く知らなかったので、手ぶらで帰るくらいなら、そのコーチングとやらを受けて元を取って帰ろう、という気持ちでコーチングを受けたんです。

アンソニーから「夢の話しよう。」という提案があり、その話をしていく中で「私の夢はフェラーリを買うことです。赤いフェラーリ。あ、それから、黄色のも買う。」なんて答え始めました。
その後、夢リストは20項目ぐらいになったのですがそのリストを見て彼は「全部お金があれば解決するようなことを書いているけど、それで合ってる?」と言うのです。つまり、あなたの人生の中ではお金が一番重要だということを言ってるよね、という指摘をされたんです。

私は、セッションが終わり、本当に失礼なおっさんだったなと怒りながら帰路についたんですが、帰り道でふと気づいたことがあったんです。
アンソニーはなにか見解を示してくれたのでなく、ただ、私の言ったことを復唱していただけだったという事実。だとすると、お金を中心に回っている私の人生をガラッと変える必要があるのではないかと考え始めたんです。結局アンソニーから、コーチングを受けることにしました。今思えばその決断が後の人生に大きな影響を与えましたよね。アンソニーとの取り組みによって、少しずつ人生が変わり始めた感触がありました。物事が好転し始めたのがわかりました。コーチングの効果って凄いなと単純に思いました。

ここから私はコーチングの手法そのものに興味を持っていくのですが、ある時アンソニーに「私もプロのコーチとして独り立ちできると思う?」と聞いたら「君が思うならそうなんじゃない」と言われました。今思えば単純に「あなたはそういう事を考えたんだね」という復唱の言葉なんですが、当時の私としては「プロのお墨付きをもらった!」という解釈になっていまして、頭の中でファンファーレが鳴っていました(笑)
そして、向いているんだ俺!素質があるんだ!と思ってプロコーチとして独立する道を進み始めたんです。

記者 人生の大前提に軽やかさがあるんですね。

Qその背景には何があったのでしょうか。

記者   親御さんの教育でしょうか。

  あったかもしれないけれど、もともとそういう性分だったんだと思います。弟はもうちょっと普通ですから。

母親はぶっ飛んでて、ずっと一匹狼な人でした。選択肢があったら面白いほうをやるというわかりやすいポリシーを持った人。母は当時、印刷屋さんの経営をしていたのですが、昭和の時代でしたから、女性でしかも主婦が会社を一つ切り盛りするというのは非常に珍しい時代だったんですけど、面白そうだからやる、みたいな感じの母親でした。

「何でも好きなようにやればいい」とずっと言われていました。

父親は真逆で、毎日同じ時間に仕事を終えて家に帰ってくる。

この組み合わせなので、参考にならないんです。

記者 何が正解だというのが作られなかったんですね。

  私の場合は、学校では言いたい事を好きなタイミングで言って、いじめられる対象でした。どちらかというと内向的なタイプで物静かだったのですが、なにか求められてないタイミングで発言してしまうというところがありました。それに、当時から、人間そのものに対する好奇心は旺盛でした。

矢面に立つより見てたほうが面白いなと。

記者 人間そのものに対する好奇心が旺盛だった!!

 実際的には変な子どもなんですよね。「将来何をしたい?」と大人に聞かれたら人と違うことを言うわけです。すると周りの大人からは「そんなのなれるわけないだろ、ちゃんとした大学入って。良い会社入って。」みたいに言われる。いわゆる「きちんとした道」から外れることは許されないのかなと疑問が湧きました。

そんな、ある意味「良い人生」のイメージが決まりきっている日本ってつまらないと思って、中学の頃にアメリカに行かせてもらったんです。アメリカでは、「将来どんなことをしたいの?」という風に問いかけてもらえることが多かった。それが仮に社交辞令であっても、問いかけてくれるし、親身になって聞いてくれるんです。私としては「聞いてくれるんだ」「何言ってもいいんだ」と思えたことが嬉しかったんです。「いいね」と、肯定承認してもらえるので、こういうコミュニケーションって素晴らしいなと思いました。アメリカは、多国籍で、考え方も色々あって良いという文化なので、自分の意思を口に出して表明するのがアメリカの流儀。人と会ったら握手して、調子はどう?と聞いて、どんなことに興味があるのかをお互い言葉で交わす。それがアメリカで私が見た日常でした。

今思えば、自立性と多様性を大事にしているんだなと感じます。そして、これが日本でもできないかなと思って、今それに向かって活動しているんです。

記者 そのあとも好奇心から、ずっと面白い人生を歩んでいるんですね。

  そうですね、自分の中での認識はまっとうに生きているだけなんですけど、周りから見たら面白いんでしょうね。例えば、面白いの絶頂ってどういうのだろう?って思うと、普通の人はテレビや本を読むだけで擬似体験するんだと思うんですけど、私はやっちゃうんですよ。 人の肩代わりをして全部経験している感じですね。

苦労する、どん底を味わうってどんなことだろう?って思ったら考える前にやっちゃう。

だけど、その結果、友達・パートナー・従業員・協力者などに、そんな人だと思わなかったとか、がっかりだとか言われたり。志なかばで周囲の人がいなくなっちゃったりする経験もたくさんしました。

私自身は自分の思いを突き詰めているだけなんですけど、周囲の人には理解されないときもあるんですよね。ただ。その中で思うのは、もうちょっと相手を信頼するということをもう少し突き詰めてもいいんじゃないかなということなんです。表層的に見えるものや、瞬間的に感じたものだけで私の価値観や考え方が判断されるのは残念だなと思う。もう少し話し込んだ先に本質的なことがあるので、そこを一緒に話せたら違う関係になるように思うんです。

Q林さんは、コーチングに対する可能性を物凄く感じてるようですが、コーチングについての思いを聞かせてください。

林 コーチングは好きだけど、それだけではうまくいかない。それだけに固執してもいけないと思うんですね。

記者 コーチングは手法として使っていくんですね。

林 コーチングってインフラだと思うんですね、みんなできるようになる。

記者 言い換えれば、大前提になればいいということですね。

林 はい。コーチングって相手の考えが及んでいないところに光を照らしていくようなプロセスでもあると思うんです。論理的に話す人には感情を聞く。あるいは、詳細を話す人には全体を聞く。つまり、観えていないところに光を照らすことで、異なる思考を促すことが、役割だったりもします。ただ、最近考えているのは、もしかしたらAIのほうがそういう対極の思考を引き出すのは得意かもしれないなってことだったりしますが(笑)

記者 人間はその先に何をやるとお考えですか?

林 例えば、AIは相手の思考を広げることや、整理することは得意分野かもしれません。そういう意味ではベーシックなコーチングはAIでも出来てしまうのかもしれません。
しかし、コーチングの最終的な目的は相手の行動変容なんです。目指す方向に変わる。これは人間は大きな変化を目指す時、一人ではなかなかそれを達成できないんです。誰かに寄り添ってもらわないと変わることができないことが多い。ここを支えるのがプロの領分です。より高みを目指すときに、プロの存在価値が出てくる。

誰でも自分のことは可愛いですからね。時に大きな変化を恐れて守りに入ることがあります。そんな時、私がこう問いかけるとしたらどうでしょう?
「本当に変われないまま、今の状態で一生を生きていくの?」
このような刺激もたまには必要です。ここが、恐らくAIに取って代わられない、プロのコーチの力量に任せられている部分だと思います。

記者 可能性を観ていないとできない質問ですよね。

林 コーチングをしているときは、心の中で「あなたはできます」とずっと唱えていますね。

記者 AIは一人ひとりに対して同じ仕組みでしか対応していかない。人間は、エネルギー、魂、思いを乗せて、言葉だけじゃないところから行くというのがAIにできない領域というイメージで受け取りました。

林 一人ひとりに満身創痍、100%でやるから伝わるんです。自分より本気の他人がいることのちから

記者 勇気づけられますね。読者に向けてメッセージ を頂けますか?

 それ、もうちょっとだけ続けてみたら?と言いたいですね。自分を変えたいと、新しいものを始める人は多いんですけど、もうちょっとなんじゃないの、というところで、壁を越えられずにやめてしまう人が多いんですよね。その結果、競合が勝手にいなくなっちゃうから成功者は結構楽してますよ。苦しい、納得いかないの一歩先に成功がある。何かやろうと思ったら、粘った先に成功があると伝えたいです。

記者ステキなメッセージをありがとうございました!

林さんの活動はこちらから
↓ 
合同会社ナンバーツー:https://number-2.jp/
リーダーにコミュニケーションを教える学校(DELIC):https://delic.biz/
オンラインでコーチングを学ぶDELICオンライン:https://number-2.jp/online/

インタビューさせていただいた坂中・稲垣・進藤です。
林さんが、人の可能性に対して確信を持ってらっしゃるのをとても感じ、ワクワクがとまらない時間でした。その可能性を開かせるツールとしてコーチングをインフラにしようと活動されてる林さん。心より応援しています!

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。

https://note.mu/19960301/m/m891c62a08b36
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