「自分の人生を生きる」株式会社アンジュブラン代表取締役 舌間陽子さん

“ママの実家代わり“というコンセプトの株式会社アンジュブラン。代表取締役の舌間陽子さんは、誰でも自分の人生を生きられるという深い愛情と、チャンスをどんどん掴んでいく力強さを持っておられます。そんな舌間さんのお話を伺いました。

プロフィール
出身地   福岡県
活動地域   福岡県福岡市
経歴  2015年に一軒家を借りて、早良区百道で認可外の託児施設を開設→2018年6月弥生に移り福岡市一時預かり事業認定。2017年4月城南区別府に0~2歳児対象の、福岡市認可・小規模保育園を開設。2019年3月 3歳からの施設として、3園目の内閣府認定企業主導型保育園の開園に向け現在絶賛工事中。
現在の活動および職業   株式会社アンジュブラン代表取締役
座右の銘   「やらないで後悔するより、やって後悔する方がいい」「縁と運とタイミング」

誰もが自分自身の人生を生きることができる

Q:どのような夢をお持ちですか?

舌間  陽子さん(以下、舌間)   保育園は、子どものためよりはママのために始めました。ママの実家代わりにしたいと思っています。ママになると、何をやるにも手を止められて途中になり、ゆっくりと自分の時間をとることができません。私自身が、全て自分でしなければならない環境でした。やりたいことをやる時間が全くとれません。預けたいと思っても、数時間でも預けられる場所がありませんでした。子どものことは大好きでしたが、そんな毎日が続くと、とても孤独ストレスが溜まって辛かったです。周りを見れば、私だけでなく、同じような声がたくさん上がっていました。それで保育園をつくろうと思ったのです。

   ママは、自分のために時間を取ることは悪いこと、と無意識に思っています。保育園に預けに来る時、必ず理由を言います。理由なんてなくていいんです。誰でも自分自身の人生を生きることが大切だと私は思っています。だから堂々と子どもを預けて、家でゴロゴロしたっていいんです。そして心豊かになれたら、その分周りにお返しすることができます。だから実家に預けるくらい気兼ねなく預けられる場所にしたいです。

  自分の人生を生きられる人を増やしたい思いで保育園を経営しているので、今後もママたちのニーズによってビジネスは変わっていくでしょうし、保育園以外のこともやるかもしれません。全てが繋がっていくので、その時生まれたニーズに対応して楽しく取り組んでいきたいです。

スタッフとの時間をつくる

Q:その夢を具現化するために、どのような目標や計画を立てていますか?

舌間   今は3園目の建設をしています。正直、最初は3園もするつもりは全くありませんでした。けれどママたちのニーズがあったので開園することにしました。1年に1園のペースで進めてきたので、とにかく外へ向けて走り続けてきました。今は、3園目の事務的な手続きや採用など諸々取り組むことがあり、そこに集中しています。建設が終わったら、これからは中のスタッフとの時間をもっとつくっていきたいと思っています。

人の話を聞くこと

Q:その目標や計画に対して、どのような活動指針を持っていますか?

舌間   人の話を聞くようにしています。新しいことにチャレンジする時は、わからないことがたくさんあって当然です。自分で考えてできることはやりますが、限界があります。そういう時は、素直に人に意見を聞いたり、アドバイスをもらいます。今も経営者の集まりの勉強会に参加しますし、そこで繋がっている先輩経営者方にはよく相談しています。主人や友人にもたくさん助けてもらいました。

   スタッフの話も聞くように心がけています。なかなか時間がとれないこともありますが、毎月必ずミーティングは設けて、スタッフの声を聞くようにしています。

必ず来るチャンスを掴むこと

Q:その夢を持ったきっかけは何ですか?どのようは発見や出会いがありましたか?

舌間   私は普通の主婦から起業したので、経営の知識もカリスマ性もあったわけではありません。そんな中でも諦めず、事業を興すにはどうしたら良いか思案し続けていた時に、友人から経営者の集まりを紹介してもらいました。まだ名刺1枚もなかった時で、事業をしていないのは私くらいでした。緊張しましたが、やらずに後悔をするのは絶対に嫌なので思い切って飛び込みました。そこで先輩経営者方とのご縁ができ、色んな課題がクリアされていきました。今もよく相談をします。あの機会を逃さなくて本当に良かったです。

   事業を始める場所を見つけたことや銀行からお金を借りれたことも、普通に考えたら不可能でしたが、どうすればできるかを考え続けることで、運と縁とタイミングは誰にでもやってきます。けれど時間は戻せないので機会を逃したら二度と来ないかもしれません。その時に掴むことで思った通りの現実をつくっていけるのです。

何もつくれない無力な自分に気づいた

Q:その発見や出会いの背景には何がありましたか?

舌間   私が小学生の時に父が事業に失敗しました。すると今まで優しくしてくれていた周りの大人たちの対応が豹変しました。私は何も変わっていないはずなのに、手の平を返したような扱いがとてもショックでした。自分が何なんなのかわからなくなりました。

   親戚は皆、事業をしていて裕福な中、私は自分の服さえ無くて、親の服を着ていきました。豆電球で過ごしたこともあります。裕福ないとこたちと並ぶと、引け目を感じました。環境に対して無力な自分が悔しくて仕方ありませんでした。頼りたかった母は、私に過干渉でいつも色々言ってきました。家の中にも外にも居場所がありませんでした。だから自分で自分の人生を生きたいと、何か事業を立ち上げたいとずっと思っていました。

   そして主婦だったところから、念願の起業に踏み切りました。けれど自分の人生をつくるどころか、自分の給料は毎月0円。近所からは子どもの声がうるさいと苦情が来ます。どれだけ動いても、いつまでも何の価値にもならない。もう終わりにしよう、そう思うと同時に、やっぱり終わるのは嫌だと強烈な思いが込み上げてきました。それで一歩を踏み出しました。すると新しい気づきや出会いがありました。たくさんの価値を生んできたことに気づきました。今までの人生にも意味があったことを知りました。私は今までもしっかりと自分の人生を生きてきたんです。

   自然と色んなことに感謝の気持ちが湧いてきました。最初は自分のために立ち上げた保育園でしたが、人のための保育園に変わりました。ある日道端で声をかけられ、私の保育園があったことで助かったとお礼の言葉をいただきました。自分がつくってきたことが形になって返ってきたことが、とても嬉しかったです。今では自分のお給料もしっかり取れるようになり、一つずつ形にしていくことがとても楽しいです。

   何も無いところから始まったアンジュ・ブランでしたが、見守り続けてくれた主人やいつもアドバイスを下さった先輩方、ともにつくってきてくれたスタッフたちのおかげでここまでくることができました。私一人では絶対に成し遂げることはできなかったことです。これからも運と縁とタイミングを大切にしながら、自分の人生を生きる人を増やしていきたいです。

記者   ありがとうございました。誰もが自分の人生を生きられる確信があるからこそ、やらずに後悔するのではなく、チャンスを掴み続けられるのですね!

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【編集後記】
今回インタビューをした小水と堂本です。
どんな環境下にも寄らず、人間は自らの力で人生をつくっていくことができるのだという深い尊厳性を感じました。明るく溌剌とした舌間さんの笑顔の背景には、大変な子ども時代を乗り超えてきた力強さと、人の涙を深く共感できる優しさが土台にあると感じました。
舌間さんの益々のご活躍を応援しています!

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