滑らかなファシリテートで人と夢をつなぐ—合同会社Staylink柴田涼平さん

北海道から心、体、社会の健康を創造する内科医原田と、世界30カ国以上を巡り日本を心から愛する新原が北海道で宿泊業を営む柴田涼平さんにオンライン取材を行いました!

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【プロフィール】
出身地:北海道稚内市
活動地域:北海道札幌市、小樽市など
経歴:北星学園大学附属高等学校卒、明治学院大学国際学科を卒業後2014年6月、友人の河嶋峻さん、木村高志さんとともに合同会社Staylinkを設立。札幌市と小樽市で6つのゲストハウスを開店。2020年7月にサンドイッチ店とコラボレーションした宿泊施設を開店予定。また、認可学童保育とフリースクールを運営するNPO法人E—LINKの理事を務める。クラウドファディングの成功経験やサポート体験を生かし、クラウドファンディングを支援活動も行う。
座右の名:感謝・素直・誠実

場を通して、人をプロデュースし、夢を実現できる社会を創る

原田:夢やビジョンを教えてください。

柴田涼平さん(以下敬称略):会社(Staylink)のミッションが「場を通して、人をプロデュースし、夢を実現できる社会を創る」なんですが、僕自身のミッションもその通りですね。

これまでもさまざまな場づくりを通して、繋がり作りや誰かがやりたいことを実現してきました。関わった人たちが小さな成功体験だったとしても自信につながって、より大きなチャレンジにつながっていくこともあります。誰かのやりたいを0.5歩でもいいから後押ししたいですね。

原田夢を実現するためにどんな計画や目標がありますか?

柴田:まず現実的に損益分岐点(売り上げ高と経費が等しくなる点)を超えないと会社を続けていけないので、今はコロナの影響がありますが、もがいて、利益をだしていくことですね。全ての事業を続けていくことに意味があるかはわからないけど、残したいと思う会社は残していきたいと思っています。Staylinkは残したいですね。

もう一つは、いろんな人とコラボしながら、北海道中をつなぎ合わせていきたい。オンラインとオフラインの垣根ないコミュニティー作りをやっていきたいと思っています。

これまでも出会いの場を作ることで繋がっていなかった人たちに繋がりを作り、思わぬところでマネタイズされてくることもありました。新しい価値を生み出して、経済の活性化もしていきたい。

それと「北海道でっかいどう問題」を解決したいですね。でっかすぎて、どこに何があるのか、どこに誰がいるのか、どんな価値があるのかわからない。価値があるのに注目されていない問題を解決していきたいですね。

場を作るだけじゃ人は繋がらない

原田夢の実現のために日々実践していることはなんですか?

柴田:意識しているのは「滑らかなファシリテート」ですね。場だけ作っても人と人は繋がらなくて、大事なのはファシリテートをうまくやることだと思っています。例えば共通項目をつなげてあげる。山登りが好きな人同士や、海が好きな人同士をつなぐとか。
理想は自分が入っていなくても、場が自走するっていうのを意識してやっていました。

無数に広がるオンライン宿泊の可能性

オンライン宿泊

今はイベントしたり、場に人を呼べないので、新しく「オンラインで宿泊」を始めました。希望者6名をzoomに招待して、ゲストハウスに来たのと同じように、チェックインをして、写真を見せたり、ライブ配信をして部屋の案内やグーグルマップで実際に札幌にきたらどう楽しむかを一緒に見たり、事前に準備してもらった写真についてを1人ずつ話すんです。これがめちゃくちゃ盛り上がって。それに、今までターゲットにしていなかった人に対して旅を提供できるんです。子供やペットがいたり、障害や病気で旅ができない人も、遠くてなかなか来られない外国の方も、家で旅気分を味わえます。現地にいく前に触れることで楽しみが増えますし、オンライン宿泊後に訪れた場所は、全く緊張せず楽しむことに集中できるんです。

例えばアメリカからも、ブラジルからも、世界のどこからでも参加できる。これからビールで乾杯って人もいれば、アイスコーヒーを飲んで一仕事って人もいる。こっちでは朝日、あっちでは夕日が見えてるとかめちゃくちゃ面白い。映画の予告編のような感じでも楽しむこともできますし、オフライン宿泊がスタートしても並行して進めていきたいと思っています。オンラインだからできることを模索したい。可能性に満ちていますね。コロナが来なくてもやっていたらよかったものだし、感染が落ち着いてからも続けて行くべきと思っています。

原田:なるほど。このコロナ禍だから生み出された新しい価値ですね。コロナの状況下でも新しい発見があるってすごいですね。他の記事でも「ピンチの時ほど燃え上がる」っていうのを知ってすごいと思いました。

柴田:そういうところしかないんですよね(笑。創業メンバー3人とも「ほんとにやばいな」って時ほど、まず笑っちゃうんですよ。3、4月は本当に予約がなくて、売り上げ前年度比が3月65%減、4月は90%減。危機的状況で、今後の予約もほぼない。決算はひどい数字になると予想されてますけど、諦めの笑いと、それでもやってやるっていう「笑み」がこぼれるというか。

それと来月(2020年7月)サンドイッチ店とコラボして新しい店舗を始めます。1階がサンドイッチ屋、2、3階一棟貸しができる宿泊施設です。1号店のWAYAで間借りサンドイッチ屋をしていた仲間が店舗を持ちたいというところから、クラウドファンディング(クラファン )を始めて、サクセスしそうな段階まできています。

クラファンもCAMPFIREでは認定パートナー、Readyforでは認定サポーターとして、起案者のサポートをさせてもらうようになりました。もともと2年で何十回と無料サポートをしていたんですが、今はクラファン がサクセスした時に、起案者ではなくプラットフォーム側から手当をもらう仕組みがすごく良くて、やらせてもらっています。

それとWAYAの2号店で札幌市認定学童保育「E−LINK」にも関わっています。これも「やりたい」人と一緒に始めて、子供達の居場所作りや小学生向けのアフタースクールをしています。

いろんなプロジェクトに呼んでいただけたり、コラボしたり、場所作りやプロデュースなどをしながら、人の成長を後押しを通して自分たちも成長していくことを大切にしています。

原田:夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?

柴田:最初のゲストハウス「WAYA」作った時ですね。WAYAは古民家を自分たちで1から改築して、ゲストハウスにしました。お金を払ったわけじゃないのに、いつのまにか200人ぐらいの人が関わってくれて、一緒に作ってくれました。

出来上がった時に「おめでとう」ではなく、「やっとできたね〜」とか「これから楽しみだね」という声をもらって、関わってくれた人が自分事としてWAYAを想ってくれていたことにすごい感動しましたね。そいう体験を通して、自分も人の力になりたいって思ったんです。

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原田:WAYAを作るのにはどんな人が関わっていたんですか?

柴田:同世代の20代が多かったですね。友達や応援に来てくれた人、起業、改築をするってことに興味持ってくれた人。それと、WAYAの前を通りかかる人にめちゃくちゃ声をかけたました。

原田:通りかかりの人に?知らない人に声をかけるのに抵抗はなかったんですか?

柴田:そうですね。知らない人と話すことにそんなに抵抗がなかったです。海外でも、日本でも小さい飲み屋で隣に座ったおじさんと話すとかよくするタイプです。

机で勉強することと、実際に体験することは違う

原田:日本では珍しいタイプだと思うんですか、何かきっかけがあったんですか?

柴田:今では信じてもらえないんですけど、高校生までは人見知りでした。
明治学院大学の国際学部に入学したんですけど、海外の文化で育った人が多くて。彼らすごく距離が近いんですよ。彼らに影響されて変わりましたね。

記者:なるほど。どうして国際学部に興味を持ったんですか?

柴田:高校2年の時、海外研修で韓国の従軍慰安婦の方々を訪問したんです。何があったのか学んだ上で訪問したので、すごく緊張していました。でも、想像以上に暖かく接してくださって、ハグをしてくれました。そして、泣きながら話をしてくださって。その時「机で勉強することと、実際に体験することは違う」って気づいて。体験しないと人には語れるようなものにならない。もっと興味・関心を育んで人に話せるようになりたい、と思って国際学部にしました。

1人じゃ絶対出来ないこと、誰かと一緒だから出来ること

原田:夢を持つようになった背景には何がありますか?

柴田:北海道稚内市の出身で、結構田舎なんですけど、サッカーでプロになりたくて札幌の高校に進学したんです。競争が厳しいので「一度試合に出られれば十分」と親から言われていたくらいだったんです。でも、実際は高校2年の1発目の試合からレギュラーになれました。

それが自信になって、プロを目指して東京の大学へ進学したんですが、高校時代ほど熱量が感じられなくて、このままじゃ大好きなサッカーを嫌いになっちゃうじゃないか、というのもあって大学2年になる前に退部しました。

その後、高校から親友だった河嶋から「一緒に会社作ろう」って誘われたんです。河嶋、木村、自分の「3人で起業しよう!」って。

実はそれがサッカーとすごい繋がってて。サッカーってそれぞれの役割・ポジションがあるじゃないですか。役割を生かしながら点を取ったり、ゴールを守ったりそれで全道大会とか、全国大会とかに出る。それって1人じゃ絶対できない。「1人じゃ絶対出来ないこと、いけないところに、誰かと一緒だから行けるところに行く」。その経験とStaylinkのミッションと僕の夢が繋がってますね。

可能性や魅力のある北海道

原田:なぜ「北海道」ですか?

柴田:北海道が好きですね。出身地でもあるし愛着もあります。仕事も大事ですけど、暮らしも大事だなって思っての北海道。まだ命名151年で可能性に満ち溢れている。都道府県のひとつだけど、179市町村もあるし、隠れた魅力がたくさんある。道民みんながその良さになんとなく気づいてて、北海道の人は北海道が好きって口を揃えていうんです。

誰もが無意識でいいなって思ってるものを顕在化して、言語化して世界中に届くともっと北海道の経済が潤うし、北海道の人が繋がっていけると思うんです。可能性や魅力がある北海道を大事にしていきたいですね。

「Fast alone,Far together 」-速く行きたければ1人で行け、遠くに行きたければみんなで行け-

新原:色々な活動がある中で「誰かと一緒だからいける」というのが一貫していますね。

柴田:そうですね、僕ら全国のゲストハウスをつなげるゲストハウスサミットの主催や北海道移住ドラフト会議っていう移住エンターテイメントのような新しいイベントも主催させてもらってます。それも一貫して、1人でできることはちっぽけで、自分は平凡だっていうのをちゃんと認識しています。できるところや得意なところと、自分が全然できないところ苦手なところをわかって、それを無理してやるんじゃなくて。自分たちも生かしながら貢献したいし、価値提供していきたいと思ってます。

「Fast alone,Far together 」-速く行きたければ1人で行け、遠くに行きたければみんなで行け-という言葉が好きで。この言葉、いろんな解釈があると思いますけど、僕は価値や知名度、短期的なお金を求めるなら1人で、利益とかより北海道や日本を変えたい、大義にアプローチするならみんなでやりたい、その意味で捉えています。

原田:素晴らしいですね。今日はありがとうございました。
さらに詳しく柴田さんやStaylinkについて知りたい方はこちらをご覧ください。

⭐️合同会社Staylink https://staylink.co.jp/
⭐️柴田さんのnote https://note.com/rio39
⭐️ゲストハウスWAYA https://www.waya-gh.com/

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【編集後記】
取材を担当した原田と新原です。コロナウイルスの到来で大打撃を受ける宿泊業。そんな状況でも前向きに活路を見出し、新しい企画にワクワクしている柴田さん。サッカーと同じで、1人ではなくみんなで行くからこそ見える世界があり、個人主義、利己主義では何も成功できないことを教えてくれました。どんな時代がきても、誰もが夢を実現する社会を一緒に創って行きたいですね。

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