住をアップデートしよう! SUMACHI仕掛け人 ひかり生活デザイン春口治彦さん
春口治彦さんプロフィール
出身地:鹿児島市
活動地域:福岡
経歴:1967年生まれ 鹿児島市出身。福岡大学商学部中退
不動産仲介会社からデベロッパーを経て、2004年にひかり生活デザインを設立。2005年より不動産メディア[ SELECT ROOM ] の運営を開始。以後、多数のリノベーションプロジェクトに携わる。
2009年薬院てんてん市を企画立案。実行委員として運営に参加。現在に至る。2011年薬院サルー祭りを企画立案。実行委員として約1年間運営に参加。
現在の職業および活動:
・SUMATCHIの立ち上げ
・プランナー
・株式会社ひかり生活デザイン代表取締役
・宅地建物取引主任士
「価値あることをやりたい」
Q1. 春口さんが思い描くこれからの夢を教えてください。
春口治彦さん(以下 春口 敬称略) 形だけの事ではなくて、価値のある事をやりたいですね。価値があることというのは、エンドユーザー、事業者、社会にとって価値があること。一人で儲ける時代はおわって、価値があることをやって初めて利益が出る時代になってきているのではないかと思っています。
僕がやっている不動産は暮らしのベースなので、この分野からいろんなことを解決していくことができると思うんです。沢山の人が関わるし、社会を底上げできるところなんじゃないかと。
それを、まずは福岡からやっていきたい。今は、社会に働きかけるのがやりやすい時代。能動的になっていい時代です。これから新しい時代が広がっていく。どうせ広がるなら、いい事を思い描いてやっていったらいい。どんなにすごい人でも明日の事はわからない。精一杯、能動的に人生をつくっていきたいですね。
「住活」のプラットフォーム「SUMATCHI」立ち上げ
Q2. 春口さんは、価値あることをするために、どのような目標や計画を立てていらっしゃるのでしょうか?
春口 今、「住をアップデートしよう」というコンセプトのもと、次の暮らしをつくる活動「住活」のプラットフォーム「SUMATCHI」を立ち上げています。
社会環境の変化にともない、ライフスタイルの多様化が進んでいます。ところが、暮らしのベースとなる 不動産や制度が現状に追い付いていません。一方、近年、デザイタルテクノロジーやシェアリングエコノ ミーなどの新しい技術やシステムが急速に発展し、私たちの「住」のもつ可能性が大幅に拡大しました。私たちは、「住」のあり方を見なおし、アップデートする時期に入ったのではないかと思っています。SUMATCHIを通して、次の暮らし、住2.0の幕開けをつくっていこうとしています。
「出会う、つながる→不動産の共創→まちづくり」
Q3. SUMATCHIではどのような活動をされているのでしょうか?
春口 活動としては、①住活に役立つ情報の収集、発信。②スマッチテーブル等のイベント実施・交流支援、マッチング。③不動産や商品開発等の共創サポート。④スマッチラボ(未来の住生活を研究)をしています。この活動を通して、住宅業界と多様なニーズ、様々なジャンルをつないでいきたいですね。
SUMATCHIのVISIONは、「出会う、つながる→不動産の共創→まちづくり」です。ここには、専門家や事業者だけでなく、暮らしの主役であるエンドユーザーの皆さまにもご参加いただき、未来の生活を想像し、創造します。また、このプロジェクトが、BtoCだけでなくBtoBやCtoCなど、様々なカテゴリーの皆さまの出会いの場となり、共通のライフスタイルや価値観がシェアされ、住みよい住環境をつくりだしていくような、そんな住まいとまちの共創活動に発展することを目指しています。
「住を良くして幸福度をあげる、ということが夢物語ではなくなった」
Q4.春口さんが今のような夢を持ち活動するようになったきっかけは何ですか?
春口 昔はニッチなものに対して、チラシをつくったり、メディアにお金払ったりが大変だったのですが、今はデジタルテクノロジーが進んでいるので自由に発信できます。尚且つ、特徴があるほうが拡散できるので、ニッチな物件でも人を集めるハードルが低くなったことで、住を良くして幸福度をあげる、ということが夢物語ではなくなったというのは大きいきっかけですね。
例えば賃貸マンションを、趣味や子育て、ペット共生などのテーマ型にしたら? 住むための「空間」が再定義され、何かの目的をかなえるための「装置」として効果的に機能し、同じ趣味を持つ人と出会い、つながるためにそこに住む」のような不動産の新しい使い方が始まりそうです。そういうマンションが組み合わさって、まちづくりになる。
僕は、編集的なものが好きなんです。0から考えなくても世の中にはいい素材がいっぱいある。SUMATCHIのキーワードに「多様性」というのもあるのですが、僕はそれぞれの素材をどう生かすかってことに興味があります。それを、さっとやれることから始めて、ボトムアップでみんなで創っていけたらいいなと思っています。
「人は一人ひとりが主人公」
Q5.多様性をいかしていきたいと思うようになった背景には、何があったのでしょうか?
春口 なぜ、こんな風に思うようになったのかは自分でもわからないのですが、若い頃、大学を辞めて、物書きになりたくて、いろんな経験をしようと日本をまわってた時期がありました。その時、シェアハウスに泊まっていたんですが、そこには本当にいろんな人がいてそれぞれの話を聞くのがとっても楽しかったんです。その後も、バイトで中国の方と仕事をしたり、不動産業を始めてからもいろんな体験から、立場で価値観が変わってくるんだということを実感しました。もしかしたらそういった多様な価値観に触れた経験が今の自分につながっているのかもしれません。自分自身の価値観も時によって変わっていくし、「この価値観が絶対」というのはない。そして、人は一人ひとりが主人公。だから、自分の当たり前で物事や人を観ていたら駄目。「相手と置き換えて考えてみた時にどう感じるのかな?」と考えるようにしています。
今は、「僕は黄色が好き。この人は黒が好きだけど、僕は黒は嫌い」といった、どちらかといえば排他的な世の中になっていると思います。でも、幸せは十人十色。それが、それぞれ叶っていく世の中だったらいいなと思います。
SNSを通して似た価値観の人が集まりやすい時代になっている。でもその反面、その中だけで暮らすのでは息苦しい時代。いろんなコミュニティと関わりながら生きていく時代。それなら、皆の価値観が「それもいいよね」って多様性を受け入れあい、ストレスなく生きていけるにはどうしていったらいいの?っていうのを、みんなで考えていきたいですね。
記者 多様化が進んだこの時代は、私たち一人ひとりに多様性を受け入れる広い心が必要になっているけれどそれが難しい。そこに対して春口さんは、多様性を受け入れる心をはぐくむきっかけを住を通して創造し、更に多様性を生かすことができる街づくりを先頭切って取り組んでくれているのだと思いました。本日は貴重なお話をありがとうございました!
—————————————————————————
春口さんの活動についてはこちら↓↓
●ひかり生活デザインHP
https://hikarisd.com/
●SUMATCHI
https://sumatch.net/
【編集後記】
インタビューの記者を担当した新原、荒牧、池田です。この記事に書くことが出来たのは春口さんのお話のほんの一部ですが、他にもいろんなエピソードを伺い、自分出発の固定された観方ではなく、常に相手の目線に本気で立とうとする春口さんの意志や、一人ひとりの人間に対して尊厳をもって観ようとするまっすぐな姿勢を感じました。
春口さんはまさに今からの時代の新しい街づくりのモデルを創っていく人だと思います。ぜひ多くの方に春口さんのお人柄と活動に触れていただきたいです!春口さん、今後の更なるご活躍を楽しみにしています!