「正しく理解すること」ディーキャリア代表取締役社長 金光孝男さん

発達障害の子どもの自立支援、大人の就労支援をしている”金光孝男”さん。全く福祉の経験がない中でこの仕事を始められた背景にある思いを伺いました。

プロフィール
出身地   福岡県北九州市
活動地域   福岡県
経歴   遊技場、レストラン、雀荘、不動産賃貸業、TSUTAYAのFCなど様々な事業を興す。
2006年10月  盛和塾福岡入塾 
2015年2月  ハッピーテラス株式会社とフランチャイジー契約、10月ハッピーテラス唐人町教室を開所
2018年1月  就労移行支援「ディーキャリア福岡赤坂オフィス」開所
2019年3月  就労移行支援「ディーキャリア博多オフィス」開所
「私たちは社会の課題解決にかかわる事業を通じて全従業員の物心の幸せを追求し、しあわせ社会の創造に貢献します」という経営理念を持ち、凸凹が活きる社会を創ることに邁進している。
現在の活動および職業 
座右の銘  謙虚にして驕らず、更に努力

一緒に働くスタッフに経済的な安心を

Q どのような夢やビジョンをお持ちですか?

金光  孝男(以下  金光  敬称略) 福祉の仕事は人の役に立つ素晴らしい仕事です。そして福祉に携わる人たちは「自己犠牲を払ってでも支援したい」というくらいの思いを持った心根の良い人たちばかりです。しかし、この仕事は平均年収が低くて続けることが難しく、技術を持った良い人材は離れていってしまいます。特に男性は結婚すると経済的に厳しくなるので辞めていきます。僕は会社のスタッフたちが経済的に安心して勤め続けることができるようにしたいと思っています。

  僕の人生に大きな影響を与えたことの一つに稲盛和夫さんとの出会いがありましたが、稲盛さんから教えてもらった言葉で「敬天愛人」があります。「正しい道で人の役に立つ。それが人間として最高の行いである」ということです。そして「愛人」とは「一番大事なのはお客様より一緒に働く人を守ること」と稲盛さんは言っていて、僕もそんな仕事がしたいと思いました。

  僕自身は福祉の経験はありませんし、会社のお給料は決して高くはありません。けれど面接すると「楽しそう」と言って来てくれます。そんなスタッフたちを少なくとも福岡市内の企業の平均待遇まで持っていきたいです。経済的に安定すれば、安心して支援に集中でき、より良い支援ができます。何よりみんなが楽しそうに働いているのが一番楽しいのです。

  そのためにも利用者様たちの就労率を上げていきたいです。発達障害であっても、自分のことを正しく理解し、周りも正しく理解できるようになれば、十分に仕事ができます。発達障害の人達も仕事ができるようになると自信がつきますし、僕たちもご両親から感謝されます。又、受給者を納税者にしていくことで、国や企業も豊かになっていきます。誰もが正しい相互理解がある上で安心して勤められる状態をつくっていくことで、全てが豊かになっていくと思います。

10年後の指針書

Q 「一緒に働くスタッフに経済的な安心を」へ向けてどのような目標や計画を立てていますか?

金光 10年後の指針書をつくりました。10年後は売り上げ10億円、経常利益2億円。ここまでくると資金を心配しなくてよいレベルになります。その前段階として、3年後には売り上げ2億円、経常利益5000万円を目指しています。間近な目標としては、来年の秋にもう一つ施設つくりたいと思っています。

謙虚であること

Q 「10年後の指針書」に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような基本活動をしていますか?

金光 会社としては就労者を増やすことを中心として取り組んでおり、そのために教育訓練のプログラムをつくっています。ライフスキル、ワークスキル、リクルートコースの三段階を設定していますが、一番重要なのがライフスキルです。これは安定した日常生活を送れるようになるためのプログラムですが、そのために自分を正しく理解できるように自己取扱い説明書をつくっています。そして最終的には自己決定できるようになることを目指しています。

  僕自身としては、謙虚であるように努めています。会社の中にいると甘んじてしまうことがあるので、常に外に足を運ぶようにしています。僕より頑張っている素晴らしい方たちがたくさんいるので、そうした環境に身を置いて学ぶことで、謙虚であるよう自分を律しています。

自分は死なない

Q 「一緒に働くスタッフに経済的な安心を」を持ったきっかけは何ですか?そこにはどのような発見や出会いがあったのですか?

金光 以前経営していた会社が倒産しかけた時「どうしよう!?」と思い、とても怖かったです。「なぜ怖いのか?」と自らに問いかけた時、命をとられることが怖いのだと気づきました。けれど考えてみると、僕には助けてくれる友達がいますし、探せば何かの仕事があります。僕は死ぬことはないのだと気づきました。

  同時に死ぬことのない日本のすごさに気づきました。日本に生まれているだけで僕は選ばれた人間だと思いました。

  それ以来「日本のために何かしたい」という感謝の心が生まれたのです。

正しく理解すること

Q 「自分は死なない」という発見や出会いの背景には、何があったのですか?

金光 実は僕は在日韓国人でした。ですから子どもの頃から常に周りと何か違いました。例えば、パスポートは皆と色が違いましたし、空港では並ぶところが違いました。なぜ皆と違うのだろうかと子どもの頃から疑問でした。

  僕の家は代々事業をしていて、長男の僕は必然的に後を継がなくてはなりませんでしたから、自分がやりたいことを考えることはできませんでした。考えても叶うはずもないので悲しくなるだけです。事業を継いだ時も、借金がある状態から始まり、2回倒産しかけ、会社を維持するのが大変でした。

  自分は一体何のために生きているのか、自分は何者なのか。考えても答えは出ず、荒れ狂う感情をぶつけて、あおり運転をしたり空につばを吐きかけていました。

  けれどホテルの事業を始めた時に、初めて人から助けてもらい、とても驚きでした。それまで周りにいたのは損得ばかりのお金目的だったんです。さらに稲盛和夫さんとの出会いや、経営者塾に入って先輩経営者方たちから多くのことを教えていただきました。

  日本国籍を得ることもでき、何かもっと人のため、日本のためになるビジネスをしたいと思っていた時に、発達障害の子たちを支援する事業に出会ったのです。

  発達障害の子たちはとても可愛らしく、人の話をちゃんと聞いていることに驚きました。彼らに対して思い込みをして、正しく理解していなかったのは自分の方だったことに気づきました。僕自身が子どもの頃、正しく理解されず受け入れられない社会的弱者だという思いを抱えていたので、彼らの姿がその自分の姿と重なりました。又、僕の弟が発達障害であることや苦労をしていた母に何もしてあげられなかった思いも重なって、この事業をしたいと思いました。自分のことを正しく理解し、違いを受け入れて個性が生かされる社会にしていきたいです。

記者 誰もが正しい理解の下、個性が生かされる社会のイメージが広がっていきました。自由な選択がなく、違いが受け入れられない痛みを知っている金光さんだからこそ、発達障害の人たちを正しく理解し、一人ひとりが社会で生きて行ける道を案内できるのですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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【編集後記】
今回インタビューを担当した小水、木村、島崎です。
自由な選択も正しい理解もない人生を経て、今ではスタッフのため日本のために生きようとされている金光さん。お話を聞いていると、個性が生かされる安心の社会になるイメージが広がっていきます。
発達障害や福祉の仕事を始めとして、勝手な決めつけで思い込んでいるのが自分の方であり、その思い込みを手放して誰もが正しい相互理解ある社会をつくっていくことがこれからさらに必要となる時代になっていきますね。
金光さんの今後の益々のご活躍を応援しています!

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