大学職員として多様な課題解決に取り組む 九州産業大学職員 “一ノ瀬大一さん”

九州産業大学の職員として大学・社会課題の解決に取り組まれている、熱い情熱をお持ちの一ノ瀬大一(いちのせ だい)さんにお話を伺いました。

一ノ瀬大一さんプロフィール
出身地:福岡県
活動地域:主に福岡県
経歴: 大学を卒業後、九州産業大学に入職。総務部に配属され、10年間学長秘書を務め、教務部に異動。教務係長として、大学改革の重要事項の中心的役割を担う。また、準硬式野球部コーチとしての活動をはじめ、2030SDGs及びSDGs de 地方創生ファシリテーターなど複数の認定資格を取得。近年は、学内外からの依頼による研修や講演を行っている。2018年8月より現職。
現在の職業及び活動:九州産業大学 学生係長
心掛けていること:「タイミングとバランス」

大学職員としての課題解決

記者:一ノ瀬さん(以下、一ノ瀬 敬称略)はどのような夢やビジョンをお持ちですか?

一ノ瀬:大学職員として、目の前の多様な課題解決に取り組んでいくことです。大学の課題を解決することを通して、社会の問題を解決したいというのが私の根本にあります。

具体的には中退率を減らすこと、大学職員の育成、高大接続やSDGsの推進に重点を置いています。

大学の中退率は公表している大学が少ないのが現状です。中退率が高いと意欲の低い学生が多く、しっかりと教育できていない印象になるなど、ネガティブイメージに繋がると感じています。

本学の中退率は、現在約4.5%ですが、一時期は6%に近かったこともあります。この5年間は、中退率を減少させたいとの強い想いで様々な活動をしてきました。今では中退率が減少傾向に転じているのですが、この中退問題には、大学職員だからこそ、取り組めることが多々あると感じています。

独立行政法人労働政策研究・研修機構の『大都市の若者の就業行動と意識の展開-「第3回若者のワークスタイル調査」から-(2012年)』では、高等教育中退者の70.9%が非正規雇用、15.0%が失業・無業であり、正規就労者は7.5%となっているなど、社会的課題にもなっていると言わざるを得ません。

課題に対して真摯に向き合い、当事者として主体的に取り組む大学職員をどのように育成し、増やすのか、次世代のリーダーをどう育成するのかが非常に重要だと考えています。

次に、喫緊の大きな課題としては、高大接続(高等教育と大学教育、それを結ぶ大学入学者選抜の一体的改革)があります。

大学の教職員としては、学生に少しでも意欲高く大学生活を送っていただきたいです。そのためには、本人の興味・関心などと大学・学部・学科をマッチングさせることが必要です。

高大接続を推進することによって、意欲高く学生生活を送る学生を増加させることが可能になりますので、結果的に中退率の減少に繋がると考えています。

複数部署や他者との横断的な連携・協働

記者:一ノ瀬さんは現在どのような活動指針を持って、どんな活動をされていますか?

一ノ瀬:1から10までの仕事を自分一人だけで完結することも重要なことだとは思います。しかしそれ以上に、自組織以外の関係組織や他者と連携や協働して業務遂行するように意識しています。

また、学内よりも学外の方々と接点を見出すことによって課題解決のヒントに繋がることが多いと感じていますので、学外での活動も積極的に行っています。

例えば、NPO法人NEWVERYと協働してWCV(Weekday Campus Visit)という、高校生が1日大学生となる教育プログラムを5年前から展開しています。九州産業大学では普段の大学生活を体験するWeekday Campus Visitを開催高校生が大学で学生と一緒に授業を受ける「ウィークデー・キャンパス・ビジット(WCV)」を開催www.kyusan-u.ac.jp

高校生に、1日大学生として朝から大学のキャンパスで過ごしてもらい、事前事後にガイダンスと振り返りを行うことで、気付きを深めてもらい、自分が成長できる環境かどうかを見極める能力を身につけてもらうことができます。

他には、九州北部豪雨の復興支援として朝倉市に学生たちと一緒にボランティア活動をしたり、SDGsのワークショップやコーチングのファシリテーターをしたり、学会活動(発表)や準硬式野球部のコーチとして毎朝7時から練習するなど、様々な活動を行っています。

また、1日を振り返ることを習慣にしていて、主な活動はFacebookで共有しています。「1日の中で自分は何に気づいて何を学び、それをどう広げていきたいのか?誰と共有したいのか?」などを考えながら生活しています。

対話力・信頼構築の重要性に気づく

記者:そもそも「大学職員として、多様な課題解決に取り組んでいく。」という夢を持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見があったのですか?

一ノ瀬:中退率の問題に気付いた当初は、学生との面談の量さえ増やせば中退者は減ると思っていました。しかし、面談をすればするほど中退者が増えてしまったのです。この時、対話力、信頼構築の重要性を感じました。

学生に聞いてみたところ
「面談に行っても怒られるばかりだし。。」
と言われ、学生たちは一度怒られるとわかったら面談に来ないことに気づいたのです。

このままでは駄目だと思い、まずどんな傾向の学生が中退するのかなどのデータを仲間たちと一緒に分析したところ、1年次に10単位を修得できなければ4年次までに約9割が中退することがわかりました。また、卒業率も非常に低いこともわかりました。それならば、逆に単位が修得できるような環境にすればよい、と思ったのです。

そのためには、面談の質を高め、やり方を変えなければなりませんでした。学生が少しでも話しやすいための心理的安全性が重要ですので、学生から考えや想いを引き出し、信頼関係を構築して、対話力を向上させる取組みとしてコーチング導入しています。組織のエグゼクティブ層や次世代のリーダー層などに、コーチング導入している組織は多々あります。

実際に、低修得単位(10単位以下)に至った学生たち約100名を教職員13人で、コーチング研修→実践→研修→実践を継続して4カ月繰り返したところ、単位が修得できる学生(20単位以上)が40%以上になるなど、一定の成果が確認されています。

その他、教員と職員、立場や環境が異なる職員同士などのも、対話の重要性を感じています。

記者:特定の範囲だけではなく、学内外での対話を大事にされているのですね。昔からそうなのでしょうか?

一ノ瀬:いえ、学長秘書をしていたときの経験が大きいと思います。

22歳から10年間、学長秘書を仰せつかったことの影響が大きいと思います。学長のスケジュール管理、政策立案や渉外関係対応、緊急時の対応、学内の情報把握や調整、国内・海外出張の随行など、様々な経験をさせていただきました。

歴代の学長の佐護学長と山本学長には、「物事を俯瞰してみることや視野を広げること、固定観念は悪ということ」などをご教示くださるなど、大変お世話になりました。その経験が今の考え方につながっていると思います。

人との出会いを大事にしたい

記者:「対話力、信頼構築の重要性」という発見の背景には、何があったのですか?

一ノ瀬:やはり「人間関係の重要性。」ということです。

私は小学校から大学まで、野球の練習・試合に明け暮れていました。高校の時の担任でもあり指導者である江口先生や大学の恩師である秋山先生(現在、副学長)や奥村監督から人間関係の重要性を学びました。

大学4年の時、主将として全国大会に出場し、優勝しました。その時に真っ先に頭に浮かんできたのが、家族や恩師や仲間たちへの感謝の想いでした。

決して1人では成し遂げることができないものだと思いましたし、この人間関係こそが大きな壁を乗り越えることに繋がると感じました。

記者:野球や学長秘書としての経験を通して、多くの学びを得たからこそ、対話力・信頼構築の重要性に気づかれたことが伺えました。そしてその気づきがあったからこそ、大学の課題解決を通して社会の課題を解決していくという、今の夢・ビジョンに繋がっているのでしょう。

一ノ瀬さん、今日は本当にありがとうございました。

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一ノ瀬さんについての詳細情報についてはこちら

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Webサイト:

コーチ・コントリビューション株式会社

Facebook:

一ノ瀬 大一さんのアカウント

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編集後記

今回インタビューの記者を担当した吉田&島崎です。

一ノ瀬さんの印象は「間(ま)」そのものの役割を全うされている方でした。多くの大学職員が着手していない領域に着手していることで、反対されることも多い中で、道なき道を突き進む姿勢に感銘を受けました。

今後の更なるご活躍を期待しています。

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