baby’s fun!「子どもと子どもに関わるすべての人をHAPPYに!」株式会社sketchbook代表取締役CEO 多田出昇さん
食の世界に関わり続け、「冷凍離乳食キット」「冷凍幼児食食材キット」を保育園や家庭に提供され、業務や家庭での食事作りの負担の軽減から心の負担の軽減にも貢献されている多田出昇さん。その活躍の背景をお伺いしました。
プロフィール
出身地 栃木県宇都宮市
活動地域 東京
経歴 18歳〜22歳までアメリカ合衆国カリフォルニア州に留学、帰国後「飲食」の世界へ。2014年に娘が生まれ、娘の離乳食作りを期に食の大切さを再認識。「娘に食べさせたい離乳食」を基準に商品開発をし、baby’s fun!を完成。
2019年6月より保育園給食向けに「冷凍離乳食キット」「幼児食カット食材キット」の販売を開始。
現在の職業及び活動内容 株式会社sketchbook代表取締役
座右の銘 どうせやるなら楽しくやれ!
子どもと子どもに関わるすべての人をHAPPYに!
Q:どのような夢やビジョンをお持ちですか?
多田出 昇さん(以下 多田出 敬称略) 会社の理念にもしていますが、「子どもと子どもに関わるすべての人をHAPPYに!」という夢を掲げています。子どもに関わる全ての人というのは、その子のお父さんとお母さんはもちろん、保育園のスタッフ、関わる業者の人たちなどみんなです。「誰かがHAPPY」ではダメなんです。「みんながHAPPY」でないと1人のHAPPYも成り立ちませんから、全ての人になっていくんです。
子どもは不思議な力を持っています。意図せずこちらを笑わせてくれますし、心を豊かにしてくれます。ずっと付き合っていると体力的な大変さはありますが、無性の愛が湧いて気持ちが充実してくるんです。そして、そんな風にプラスな気持ちになっている大人たちが接すると、子どもも自然と元気にHAPPYになります。そんな相互作用を起こしていきたいです。
しかし、子供を育てる現場の保育園や家庭は厳しいものです。保育園では人手不足で気持ちに余裕がなかったり、仕事にやりがいが持てずに辞めていきます。ニュースで保育園の先生が10人一気に辞めた、という出来事がありましたが、実はこういうことは珍しくないんです。家庭では、子どものためにお母さんが一生懸命ご飯を作るけれど、忙しくて余裕がなくなるとイラッとしてしまい、子どものためを思ってやっていることなのにこれでは本末転倒になってしまいます。そんな保育圏の先生やお母さんたちに「離乳食、幼児食食材キット」を使っていただくことで、食材を切る手間が省けて、簡単調理で時間にゆとりができます。そして、少しでも心に余裕ができたらと思いますし、「がんばりすぎないで」ということを伝えていきたいです。
食は体を作るものだからとても大切です。何より食を通して人との繋がりが生まれます。家族で食卓を囲んでバランスの良い食事を取りながらワイワイと楽しむ、そんなHAPPYをどんどん広げていきたいです。
子どもをもつ父母へ情報発信、サービスを提供していく
Q:「子どもと子どもに関わるすべての人をHAPPYに!」という夢やビジョンへ向けて、どのような目標や計画をお持ちですか?
多田出 会社としては成長フェーズに入っていると見ています。今までは保育園の給食サービスを中心にやってきましたが、これは拡張しながらもあくまで土台づくりです。その環境が整ったら次は保育園の通わせる父母へ働きかけていきたいと考えています。
通常、離乳食はドラッグストアなどに置いてありますが、食べるものなのに食品売り場に置いていないのはおかしいじゃないですか。ですから、食品売り場に置いてもらえるようにしたいと思っています。又、子どもと一緒にご飯を食べる大切さをお父さんやお母さんたちにもっと伝えていきたいですし、そのための情報提供をできる状態を整えていきます。
気持ちを切り替えてやり続ける
Q:その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような基本活動をしていますか?
多田出 社長として自分がやれることは旗振り役だと思っています。みんなに「こっちだよ」と方向性を示し続けることです。私たちには向かいたい到達点がありますから、そこへ向かうために後ろ向きなことは考え込みすぎず、気持ちを切り替えるようにしています。もちろん失敗はたくさんありますが、そこでくよくよして立ち止まっていても進みません。中学生の時、私が勉強が大嫌いだったのですが、先生から「どうせやるなら楽しくやった方がもっと頭に入るぞ!」と言われたことがあります。その時から楽しくやるように気持ちを切り替えるようになりました。もちろん失敗はたくさんしますし、なぜ失敗したのかも考えますが、気持ちは引きずらないようにしています。大切なのはやり続けることです。やり続けている間は失敗ではありませんから。
そうは言いながらも、実は私は弱い人間です。ですからTwitterを基盤にして自分自身を鼓舞しています。「今日はこれをやるぞ!」と言ってしまったらやるしかありません(笑)。自分自身に言い聞かせる気持ちで発信して、それを実践しています。そんなわたしのツイートに何千人もの共感をしてくれる人がいるので本当にありがたいと感じています
娘の誕生
Q:「子どもと子どもに関わるすべての人をHAPPYに!」という夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?
多田出 娘の誕生をきっかけに仕事も考え方も全てが変わりました。娘が生まれる前はケータリング会社を経営していましたが、事業が落ち込みこのままでは潰れてしまうのではないかというところまで来ていました。しかし、突破できるようなアイディアも思いつかず、あの頃は気持ちを切り替えるどころでなく毎日ずっと悩んでいました。
そんな時に娘が生まれたのです。泣きたくなるほどこんなにも愛しい存在がいるのかと、初めての出会いでした。
共働きだったので、私も娘を寝かしつけたり離乳食を準備したりしましたし、何よりも家族で一緒にご飯を食べるようになったんです。しかし、離乳食を作るのは大変です。仕方なくレトルトを試してみましたが、おいしくないですし、食は体をつくるとても大切なものですが安全で健康的な離乳食がなかなかありません。少しでも離乳食を作る負担を減らし、かつ娘にも安全でおいしいものを食べさせたいと思って始めたのが今の事業なんです。要は怠け心から始まったんですね(笑)。けれど、私だけでなく、離乳食を作る大変さに悩んでいる人たちはたくさんいます。レトルトはあっても離乳食用ミールキットはまだなかったんですね。離乳食用ミールキットなら手間が省けますし、簡単に調理はするから自分で作ってあげているという気持ちも持てます。この事業で会社も持ち直すことができ、本当に娘のおかげです。
人や仕事に対しての考え方も大きく変わりました。今までは、「どうしたら売れるのか?」「お金持ちになりたい」といったことばかり考えていました。人との付き合い方も、正直言って軽いノリでごまかしていましたね。レストランに勤めていたのでその場の冗談でやり過ごしていたんです。今は人に対しては嘘はつきたくないですし、誠実でありたいと思っています。あと、「娘に何か残してあげたい」と思っています。具体的な何かはまだ見つかってないんですけど。それもあってか、気づけば「社会にも何か貢献したい」と思うようになりました。それで、商品を売るのではなく、HAPPYを提供していきたいと思うようになったのです。
まずやってみる
Q:「娘の誕生」というきっかけや発見の背景は何ですか?
多田出 何でもやってみないとわからないですし、一歩踏み出さないとその向こう側には出会えないので、まずはやってみるようにしています。そんな緻密に計算をしっかりできるようなタチじゃないんですよね(笑)。それよりは自分の直感を信じています。「やろう」と思ったもうやっていますね。とはいえ、無茶はしません。最低でも6:4くらいで勝てる勝算があることをやります。
私の実家は祖父が会社を起こし、父も母も叔父もそこで働いている会社です。そして、私は長男な上、従兄弟の中でも一番上の年齢という立場でした。普通だったら会社に入って後を継ぎますよね。でも、私は引かれたレールには乗りたくなかった。栃木という狭い世界から外へ出たかったですし、もっと楽しいことをやりたかったんです。それで会社に入ることは丁重にお断りしました。バカ息子ですよね(笑)。
大学の時は母の勧めもあってアメリカに行きました。言葉も何もわからなくて大変でしたね。でも楽しくて行って良かったです。帰国してからバイトで勤めた飲食店は有名なお店で、来られるお客さまやスタッフの人たちとの交流がとても楽しかったんです。お給料も良かったですし。そこから自然と食の世界に入るようになりました。
去年から始めた保育園への給食サービスも成長が見えてきました。こんな私に共感して共に戦ってくれるスタッフがいて、Twitterのフォロワーさんたちがいます。正直、何に共感してくれているのか今だに不思議ですが、でも本当にありがたいことです。だからこそ何とかしたいとやり続けることができます。人生は何においても人ありきです。私はこれからも「食」を基本としながら人に誠実であり続けたいと思います。
読者への一言メッセージ
多田出 人と接することは大切です。コロナウイルスをきっかけに食を囲んで人と触れ合う時間を改めて考える時かなと思っています。ぜひ皆さんにも家族との時間を大切にして欲しいです。
記者 娘さんの誕生をきっかけに事業が変わり人に対しての接し方も全く変わって、誠実であり続けることを大切にされるようになったのですね。全ての人にHAPPYを届けようとするその背景に、まずは何でもやってみるというエンジンが多田出さんを動かしているのだと思いました。本日は貴重なお話をありがとうございます。
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【編集後記】
今回、インタビューをした小水と登坂です。
保育園は家庭の現場の問題をシャープに見抜き、かつ心情に立場チェンジして理解を示している心の柔らかさに感動しました。
心の結集を起こした関係性が広がっていくことで、さらに多くの人たちの共感を呼んで、世界中の人たちが食を囲みながらHAPPY!になる未来のイメージが広がりました。
多田出さんの今後のますますのご活躍を応援しています!