中小企業から日本を元気に! ICI株式会社代表取締役 ”島田昭規さん”
日本を元気にするため、全事業所の大部分を占める“中小企業”を支援する仕事をされている島田昭規(しまだ あきのり)さんにお話を伺いました。
島田昭規さんプロフィール
出身地:福井県
活動地域:福岡県、全国各地
経歴:大学卒業後、某コンサルティングファームに入社。その後、エンタテイメントビジネス系シンクタンクに転職し、2004年に現在の会社を創業。2009年に一般社団法人中小企業事業推進機構の設立に参画。2010年からは同社団法人においてソーシャルビジネスの推進役も担い、地域経済振興や雇用創造の担い手でもある中小企業等の支援を本格的に行う。
現在の職業及び活動:ICI株式会社 代表取締役、一般社団法人中小企業事業推進機構 代表理事、一般社団法人九州の食 事務局長、特定非営利活動法人ハッポスプロジェクト 理事長
座右の銘:「面白きこともなき世を面白く」
日本を元気にしたい!
記者:島田さんはどのような夢やビジョンをお持ちですか?
島田:学生の時から一貫していて、日本を元気にしたいです。目指すのはみんなが笑って仕事や生活ができる社会です。
日本を元気にするために、中小企業を応援しています。キャリアの中で、中小企業を専門にコンサルする会社と出会いました。その会社の案内に目を通した時、日本の事業者数の98%は中小企業だということを知りました。大企業は多くても2%です。また、全労働人口の75%が中小企業で働いています。この構造は今でもさほど変わっていません。そのことを知って、「日本の中小企業で働いている人たちが元気にならないと日本が元気にならない。」と感じました。
私が2万人、3万人を雇える会社をつくるよりも、中小企業にいる、多くの経営者、社員が幸せになってくれたらよいのです。
クラウドのコールセンターを活用
記者:「日本を元気にする」という夢を具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?
島田:都市部には人口も多いし、大企業も多くあります。一方で、地方には中小企業が多く、そこが経済の基盤になっています。
3年前くらいに、中小企業を応援することにも優先順位をつけ始めました。福岡の中小企業を応援することは他の人たちもやっているので、それ以外の地方が大事です。
具体的には、クラウドのコールセンターを使ってどうするのかを考えています。災害の時は電話線が切れる時がありますが、クラウドは災害時にも使えることがメリットです。
クラウドであれば、サブスクリプション(期間貸し)ができます。コールセンターを作っても仕事が安定しているわけではないので、細かく設計するとその分お金がかかり、それを払える中小企業は少ないのが現状です。なるべくコストを抑えながらリスクシェアできないかを考えた時、私たちがコールセンターのシステムをつくって地方にオペレーターを配置するアイディアを思い浮かべました。つまり、注文を先に取って、それを各地方の個人や企業に割り振るわけです。
私たちはクラウドのコールセンターという”道具”を提供することに徹し、ノウハウは教えますが、それを活用して何をやるのかは各企業の自由というわけです。
続けることを大事に
記者:目標を具現化するために、現在どのような活動指針を持って活動をしていますか?
島田:理想や夢も大事ですが、まずは”続けること”を大事にしています。もし本当にやりたいことがあるのであれば、途中で諦めてもまた復活してきます。歩みは遅くても続けていきたいです。そうすると、必ず誰かが助けてくれます。夢を実現するために急ぐ気持ちもわかりますが、急ぎ過ぎると本当に夢で終わってしまうので、注意しています。
人の喜ぶ顔を見て嬉しかった
記者:そもそも、「日本を元気にする」という夢を持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?
島田:私の人生は本当に紆余曲折があり、大変な時もたくさんありました。
学生の時、政治が良くなれば日本国民が幸せに元気になるだろうと思って政治家になろうと大学は法学部に入りました。政治のことを大学のゼミで学ぶうちに私には向いていないし、違うなと思いました。
就職活動をしていた時は就職バブルだったので、多くの人がいい会社に行っていました。その時、私は会社の社長になろうと”一瞬”考えました。社長であれば、社員の幸せは作れると思ったからです。しかし、会社に入ってみてすぐ、社長になれないと気づきました。当時の私は幸せをもらう側に過ぎなかったのです。
就活が終わりかけの時期、実家の跡取りである兄が、ある事情で実家を飛び出してしまい、親から「跡を継ぎなさい。」と言われたのです。兼業農家をしていたので地元で就職することを考えました。仕方なく会計事務所に入ったのですが、仕事内容を知っていくうちに段々と虚しくなり、この会社で働くのは無理だと思って、入社式で「辞めさせてください。」と言ったところ、めちゃくちゃ怒られました(笑)。会社側からすると当然でしょうね。
辞めたことを親に伝えたところ「恥ずかしいから出ていってくれ!」と言われる始末でした。その時、実家を飛び出した兄が戻ってきていたことも会社を辞める理由になりました。実家に戻る理由も、我慢して会社にいる理由もなくなったからです。
その後、大学時代を過ごした京都に行き、友達の家を転々としながらアルバイトをしていました。ある日、原付バイクで居眠り運転をしてしまい、車と衝突する事故に遭いました。
救急車に運ばれ、朦朧(もうろう)とする意識の中、
「バイクの修理代どうしよう?」
「生活費はどうしよう?」
などと考えていました。
救急救命士から保険証を持っているかを尋ねられ、「持っていません。」と答えたところ、「全額負担だ。」と言われました。つまり、1000円払う必要がある場合は1万円払わなければならないということです。お金が無いので、すぐ救急車から降ろしてくださいと言いました。
このやり取りを聞いていた警察からすると、異常に見えたでしょう。頭から血を流しているのに、「お金がないから治療しないでください。」と言うのですから。結果的に何とか治療はしてもらい、警察に事故現場まで連れて行ってもらいました。
このような背景があって、「自分は何をやりたいのか?」を考えるようになりました。私と同じように、家の事情で翻弄されている人も多いので、「働きながら収入を得て楽しく生きる方法はないかな?」と思いました。
その後、再度就活をしていた時、経営コンサルタントの募集があり、調べていると会社案内に「中小企業が日本を元気にする。」とあったのです。このフレーズにピンときたことが今の夢へと繋がっています。労働人口の大部分を占める中小企業の人達が元気になることが、日本を元気にすることにも繋がるのです。
大手企業のコンサルは会社の中での役割に徹しますが、中小企業は良いことにも悪いことにも一喜一憂します。人が喜んでいる顔を見るのが嬉しいです。
無くならないように続けていく
記者:「中小企業で働く人たちの笑顔を見るのが嬉しい」という発見の背景には、何があったのですか?
島田:若い時、交通事故に遭ったことで何もかも無くなってしまいましたし、人生何が起きるかわからないことを経験しました。死んでいたかもしれないし、生活ができなくなる可能性も大いにありました。
全部をゼロにしてしまうと不安になりますが、何かが無くならないように続けていく方が不安ではありません。何を残して何を捨てるかの基準としては、続けていけることを大事にしています。
事業者の数としては圧倒的に多い中小企業を応援することが、続けていけることでもありましたし、それによって日本を元気にしたいという夢を叶える道でもあります。
記者:お話を聞いて、本当に壮絶な体験を繰り返してこられて、今の島田さんがいらっしゃるのだと思いました。
島田さん、今日は本当にありがとうございました。
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編集後記
今回インタビューの記者を担当した吉田です。
実家の事情によって人生が翻弄され、交通事故の経験を通過して、「無くなる」という不安と同時に「続けられる」ことへの希望を感じたことが今の島田さんの夢へと繋がっているのだと思いました。
今後の更なるご活躍を期待しています。