「個性が生かせる世の中に」こどもばんぱく主催 自己表現家 中井けんとくん

こどもばんぱくを主催している14歳の中井けんとくん。自己表現家として絵やイベントなど多様な活動をすると同時に、子どもたちが自己表現できる環境づくりをしている中井くんにお話を伺いました。

プロフィール
出身地   福岡県
活動地域   福岡県を中心に全国へ
経歴   
2005年3月28日生まれ
小学5年生の時にイベントにて初めて絵本を販売
中学1年の春にホームレス小谷さんの交流会を企画主催したのがイベンターのきっかけ
その後、こどもばんぱく、乙武洋匡さんの講演会などを企画主催
現在の活動および職業   自己表現家、こどもばんぱく主催者
座右の銘   マイナスをプラスに

個性が生かせる世の中に

Q:どのような夢やビジョンを持っていますか?

中井  けんとくん(以下、中井  敬称略)   夢は二つあります。一つは、僕がつくったプロジェクションマッピングをみんなに見てもらう場が欲しいです。もう一つは、社会にある意味のない固定概念を壊して、個性が生かせる世の中にしたいと思っています。

   僕は自己表現家です。自己表現とは、思っていることや感情などを形にすることと定義しています。僕の場合は、絵を描いたり絵本を販売したり、色々なイベントをしています。プロジェクションマッピングも自己表現の一つです。

   この自己表現が意味のない固定概念によって抑圧されると、マイナスの方向へいってしまうと僕は考えています。特に子どもたちは親や学校で自己表現を抑圧されていると思います。だからいじめも起こるんです。世の中の意味のない固定概念をなくしてマイナスをプラスへ変えていきたいです。

   子どもたちが自由に自己表現できる場としてこどもばんぱくを立ち上げました。2018年に一回目を開催し、今二回目を準備しています。こどもばんぱくは、子どもが主催、子どもが出店者、子どもがスタッフである子ども主体のワークショップイベントです。マニュアルはつくらないので、子どもたち自身で一生懸命考えながらつくりますが、面白いアイディアがたくさん生まれます。僕が思うことですが、大人は面白いアイディアを思いついても、これを言ったらバカに思われるのではないかと先を考えて常識の範囲内で収まろうとします。子どもにはそうした枠がないので、大人が驚くようなことが生まれるんです。

   こどもばんぱくでは仮想通貨も使いません。原価何割が良いかを自分たちで調べて価格設定します。その結果、売れても赤字になる子もいますし、売れなかった子もいます。そこから何が良くなかったのか、自分が提供したことがどれほどの価値があったのかを可視化でき、とても学びになります。2045年問題もあり、僕たちの未来は仕事がなくなっていく中で、アイディアを形にしていく力が大切だと思っています。今からこどもばんぱくで取り組んでいたら、大人になってから役立つと思います。

   子どもにはとても可能性があります。でも子どもにはイベントはできない、障害者は健常者と一緒に遊べないなど、意味のない固定概念が人間を苦しめているだけです。抑圧をなくして、マイナスをプラスに変えて生きやすく楽しい世の中にしていきたいです。

こどもばんぱくを全国へ広げる

Q:「個性が生かせる世の中に」へ向けてどのような目標や計画を持っていますか?

中井   こどもばんぱくを全国へ広げていきたいと思っています。今、全国の子どもたちが自己表現を抑えられて困っていると僕は思います。こどもばんぱくに出店するという形であれば、自己表現するハードルがかなり下がると思うので、自分の可能性を広げるツールとして、こどもばんぱくを使ってもらいたいです。

   今は僕が 主催で行っていますが、いずれは全国の子どもたちが誰でも自由に主催できるようにしていきたいです。それが広がっていくと、子どもの自己表現を抑える環境が世界中からなくなるのではないかと思っています。

   もう一つ考えていることが、音楽フェスです。音楽フェスは素晴らしい自己表現の場ですが、良くない偏見が多いので、偏見をなくしたいです。また、今の音楽フェスは立ったり持ち上げられたりと、誰もが自由に楽しめる場になっていません。障害者の人は参加しづらいですし、座っているだけでも、聞くだけでも良いといった一人ひとりが自由に楽しめるフェスにしたいです。

プラスを見る

Q:「こどもばんぱくを全国へ広げる」に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような基本活動をしていますか?

中井   今はこどもばんぱくの開催へ向けて集中しています。開催資金も0から自分たちでクラウドファンディングと協賛を集めています。そのためにSNSで毎日のように発信しています。SNSで繋がったご縁で交流会に参加したり、そこから紹介をいただいたりしています。

   色んな場に行っていますが、人と話す時はやっぱり緊張します。けれど子どもの可能性を広げたいですし、僕が恥ずかしいと思っていても進まないので、飛び込んでみることを心がけています。イベントに行くのに気持ちが重くなる時もありますが、そんな時はそのイベントの楽しいところを探します。マイナスなことばかり見ると、マイナスしか見つかりません。だからプラスの方向を見て、気持ちが明るくなるようにしています。

自分を認めること

Q:「個性が生かせる世の中に」という夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこにはどのような発見や出会いがありましたか?

中井   小学5年生の時にいじめにあいました。最初はいじめられていることを誰もわかってくれず、とても辛かったです。大好きだった絵も描きたくなくなりました。何をやっても全否定されるイメージしか来なくて被害妄想がひどくなり、何もやる気が起きなくなりました。学校に行かなくてよくなったら、1秒ほっとしたらすぐにまた不安に襲われました。このままニートになってしまうって。テレビで2045年問題を知って、ますます暗い気持ちになりました。マイナスばかり見ていて、もう死ぬしかないって思っていました。

   ずっと一人でいたマイナスな気持ちを絵本にして出展したら、人から買ってもらったり褒められたりしました。自己表現した絵本を人から認められることは、間接的に自分自身を認められたことに繋がります。人から認められた自分を自分で認めることができた時、気持ちがとても楽になりました。自分のことを認められることの大切さに気づいたんです。

自己表現できないマイナスな自分

Q:「自分を認めること」の背景には、何があったのですか?

中井   自分を認められると、マイナスな気持ちで書いた絵もプラスになりました。不登校のことも、不登校はダメだといった固定概念が入っていただけで、今の自分のままで良いのだと気づくとマイナスはなくなりましたし、僕をいじめていた人たちのことも恨まなくなりました。意味のない固定概念に抑圧されて自己表現ができないからマイナスになっていた自分に気づいたんです。それは僕だけではなくて、僕をいじめていた人たちも同じでした。それに気づいた時「この世の中を変えないと!」と強い思いが湧いてきました。僕は意味のない固定概念を壊して、自己表現を止めない世界をつくりたいです。

   もともと人間はプラスでもマイナスにでもなれると思っています。生まれた時は、ぬいぐるみみたいに空の状態で、そこに家庭や学校などのいろんな環境がその人をつくっていきます。その環境が自己表現を抑圧するような場所ならマイナスになり、プラスに肯定される場所ならプラスになっていきます。抑圧されるのは楽しくないと思うんです。僕もいじめられて楽しくありませんでしたし、負の連鎖が起きるだけです。根本にある自己表現の抑圧を取り除ける環境をつくって、みんながハッピーになる世の中にしていきたいです。

今の子どもたちへ向けて一言メッセージをお願いします

中井   自分がやりたいと思っていることがあればリスクばかりを考えずに、とりえず楽しい方を考えてみて欲しいです。プラスを考えて外に飛び込んでみたら意外と楽しいかもしれません。

記者   意味のない固定概念による抑圧が人の可能性を潰しているだけで、人間はマイナスをプラスに変える力を持っているのですね。自由に自己表現が溢れる未来のイメージが広がってとてもワクワクしました。本日は貴重なお話をありがとうございました。

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中井くんの詳細情報はこちら↓↓

2019こどもばんぱくホームページ

【編集後記】
今回インタビューを担当した小水と池田です。
マイナスもプラスもないところから、プラスを生む見方や環境をつくろうと活動している中井くん。世の中を変えたいという彼の志は、自己表現を抑圧されている多くの子どもたちの心の声を代弁してくれているのだと感じました。こどもばんぱくを通して、自由な自己表現家たちがどんどん増えていき、明るい未来が広がっていきますね。
中井くんの更なる活躍を応援しています!

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