遊びゴコロいっぱいの新しい体験を生み出す anno lab(あのラボ)代表 藤岡定さん
福岡を拠点に活動するクリエイティブ・ラボの代表である藤岡定さん。知的好奇心を大事にし、インタラクションの創造とプロセスの可視化をテーマとしています。人が楽しさから“つい”動いてしまい、それをきっかけに新しい視点・行動・興味・思考が広がるようなクリエイティブを心がけている藤岡さんのお話を伺いにいきました!
藤岡さんプロフィール
出身地:山口
活動地域:福岡
経歴:anno lab 代表、メディア・アーティスト、芸術工学博士。九州大学にて学術研究員として勤務後、2012年にanno labを設立。
https://annolab.com
座右の銘:笑顔の周りに笑顔が集まる
「今の自分が幸せであることを認識する」
Q.どんな心のあり方や認識の変化が今の活躍につながっていますか?
藤岡さん(以下、藤岡 敬称略) 小さい頃から「自分は周りの子とは違う」
そんな違和感を感じていました。それで周りに迷惑をかけていると思っていたんですね。
例えば、音楽や映画で感動したときに、歌手や俳優さんには興味を持たず「誰がどうやって創ったのだろう?」と監督さんや作曲家に関心をもつ子供でした。
「何でだろう?どうしてだろう?」そんな疑問が多い子供だったんですね。
どうしても人に合わせることができずに、ずいぶん悩みましたが開き直って人との違いを自分の強みと考えようと決め、いつも笑顔で居られるようになりました。
自分自身を受け入れられた。それがとても大きかったと思いますね。
記者 そうだったんですね。
藤岡 ええ、笑顔の周りには笑顔が集まりますし、ネガティヴな人の周りにはネガティヴな雰囲気が伝染します。
自分の心の状態によって、周りに集まる人も変わりますね。
人と自分の違いを強みにし、自分が興味関心ある分野をとことん突き詰めた結果、自分が創った作品が「社会にも貢献できるんだ」って事がわかりました。
最初は、ずっと自分自身が楽しむ為に創作活動をしていたのですが、社会と繋がる、人の役に立つ作品を生み出せたことはとても大きかったと思います。
Q.AIが活躍する時代に必要とされるニーズとは?
藤岡 これまでは利便性のために生きるとか効率的に生きることが重視されてきたところがあると思いますが、AIによって便利な生活を創っていく先に、自分はどういう状態が幸せなのだろうか、人が豊かになるためには、どういうものが必要なのかと突き詰めることが大事だと思っています。
技術も最終的には人を感動させることに繋がっていくと考えてて、その時に人間性、つまりいかに手垢をつけれるかがポイントになってくると思っています。
人が感動するポイントは、簡単に出来たものよりも、人がどれだけ手を動かして、どれだけ時間を費やしたのか、という過程に感動すると思っています。
記者 人間性や手垢というのは、どういうイメージですか?
藤岡 知的好奇心です。自分の興味あることを繰り返しすることは、お金に匹敵する価値があると思っています。
例えばアーケードゲームをして、ゲームがすごく上手くなるというのはボタン1つでなる訳ではないです。
毎日ゲームセンターに通って、ゲームをやり込まないとその人のスキルは上手くならないはずなのです。回数を重ねてしっかり愛を注いで何かに打ち込むというのは、お金に関わるぐらいの価値があると思っています。
愛を注いで打ち込むのであれば、それが学問であっても芸術であっても、スポーツであっても、ゲームであっても変わりません。
自分の専門外のことでも常に興味を持って、どういう愛情や哲学を持った人なのかなと思いを馳せることも大事だと思います。
AIを研究している人が、どういう科学的な興味を持ってAIを研究しているのか、想像してみたときに、多分、自分が日々打ち込んでいることと同じように愛を持って研究しているんだろうなと想像することができれば、専門的な知識は理解できなくても感覚として、相手に共感することができます。
そういった理解があれば、世界はより良い方向に向かうのではないかと思います。
Q.どんな美しい時代を創っていきたいですか?
藤岡 お金をベースにしてお金持ちになるのを目標にすると、今の自分の状態とのズレに対して苦しさも感じてしまいます。仮に目標達成したとしても、もっとお金持ちになろうという次の欲求が出てしまって、永遠に幸せな状態に辿り着かないですよね。
そういう生き方はすごくもったい無いので、今の自分が幸せだと認識するのかが、すごく大事だと思っています。
好きなことに打ち込めている人は、今はこれをやってて幸せだと、今の状態に満足する、満足度が高い気がする。今の状態が幸せであることを世界中全員が認識できたら良いですよね。不幸せな状態は、自分で勝手に、相手の方が幸せだ、とか、自分の方が幸せだ、とか決めつけてしまうことで起こるんじゃないかと思います。
他者への理解があれば争いは生まれません。他者が例え自分には理解できないことをしていても、他者は他者の幸せを追求しているんだと実感を自分の中で持てるかどうかが美しい時代を創ることに繋がるのかなと思います。
記者 今そこへ向かうために実践していることはなんですか?
藤岡 自分自身が楽しむことと笑顔であること、あと周り巻き込んでいくことです。
今の活動のほとんどは、お金のためにやっている訳ではないので、自分が実践して実例を創って、こういう生き方があるんだねと他の人に知らしめていくしかないなと思っています。
僕らは何かビジネスモデルがあるから会社にした訳でもないですし、1年目に何をするかを決めていない状態で会社をスタートさせました。
少なくとも自分たちはいろいろ創ってきたという手垢・経験はありますし、なんらか創ることはできるな、という自信はありました。何よりも、自分達の好きな楽しいことをしたいという知的好奇心がありました。
そこで楽しいことをやり続けた結果として、楽しいものが生まれて、楽しいものがあるなら、そこにお金を払ってくれる人はいるだろうと信じて活動してきました。
結果として7年目に突入して会社が続いてるというのは、世の中が優しいんだなと思っています(笑)
自分の楽しいことをやったらそれが仕事になって、お金が付いてくるっていうのが理想ですよね。でも、みんな自分が楽しいことにはお金を払っているんだから、それは実現可能なんです。
Q.お話の中で「愛」という単語がありましたが「愛」はどんなイメージですか?
藤岡 1つは妄想です。人が想像する世界はすごいなと思っています。
お恥ずかしい話ですが、実は、僕は理系でプログラミングしていく中で、技術書が全然読めず、技術書で何かものを創るアプローチは得意ではありません。
でも、フィクション、例えばドラえもんを読んで、ドラえもんに出てくる道具を創るようなアプローチは得意だったのです。
人の想像力や、こういう未来が来たらおもしろいなという妄想力は、ものすごいなと思っていて、これが1つ人間の愛を感じる部分ですね。
学生の頃、数学科の先生が「数学は愛だ」と言うのを聞いて衝撃を受けました。数学も人間が培ってきた知識を集めた1つの妄想の世界だと思いますが、そんな世界も突き詰めれば愛に辿り着くんだな、と。自分には退屈だと感じていた数学の世界も、愛や人生、生命と繋がっているのかもしれない、という可能性を感じました。
人は繰り返し考え、想像することで、それが自分の人生と繋がっていて、人間のリアルな営み、例えば仕事をするとか、子供が生まれるとか、相手と一緒に暮らすとか、宇宙の中に存在するといった、自然への興味と繋がった時に、それを愛と呼ぶのかな、と思いますね。
学校でも数学を教わるときにそういう大切なことを教えて貰えずに理論だけ教えられても、知的好奇心はわきませんよね。
僕にとっては知的好奇心=愛とも言えるのかな、と思います。
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藤岡さんの活動、連絡については、こちらから↓↓
●HP
https://annolab.com/member/sadam-fujioka/
●Facebook
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https://www.youtube.com/user/annolab
【編集後記】
今回、インタビューを担当した清水と三浦です。
子供のような笑顔で話してくれた藤岡さん。子供ような心がクリエイティブを生み出し、多くの人の心に感動を与えていると感じました。
貴重なお話、ありがとうございます!
これからの活動も応援しています!
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