数学×切り絵アーティスト 岡本 健太郎さん

中学校時代から大好きな数学を土台に、切り絵アートと掛け合わせてアート活動などをされている、岡本 健太郎さんにお話を伺いました。

岡本健太郎さんプロフィール
出身地:山口県
活動地域:福岡県
経歴:九州大学で数理学の博士号を取得後、ドイツのチュービンゲン大学で研究員として滞在。また、日本学術振興会の特別研究員として様々な分野の研究者との交流を深め、血管の数理モデルの構築など、純粋数学から応用数学にかけて研究を行う。
現在の職業及び活動:切り絵アートなど数学を使ったアート活動、学生や社会人向けの数学教育
座右の銘:「とことんこだわる」

数学という価値あるものを社会に広げたい

記者:岡本 健太郎さん(以下、岡本 敬称略)はどのような夢やビジョンをお持ちですか?

岡本:数学は価値があるものだと一般的には認識されていない現状があります。しかし、私自身、今まで数学を勉強してきて価値があるものだと思っていますので、その感じている価値をもっと社会に広げていきたいです。教育分野だけで数学の価値を広げることにも限界があるので、趣味として取り組んでいたアートも加えることで価値を広げていきたいです。

4,5年前に興味本位で切り絵を始めました。切り絵独特の美しさ、圧倒される立体感、表現の幅が広いところに数学との親和性の高さを感じ、数学と切り絵を組み合わせようと思いました。

「デザインの数学」によってアートをより豊かに

記者:「数学の価値を社会に広げていきたい。」という夢を具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?

岡本:社会人向けに数学を教える企業で、講師としてセミナーを行ってきました。今までは統計分野を教えることが多かったのですが、デザインの数学を2020年4月から始める予定です。アートには昔から数学がよく使われていて、数学を知ることでアートはより豊かになると思います。騙し絵で有名な画家であるエッシャーがいますが、数学を使って彼の絵の中身を知ることでぞくっとする感覚があるので、そのようなことをより多くの人に知ってもらいたいです。

2019年のアートブックに掲載され、大阪のアート関係の大企業からお声がけいただいたことがキッカケで、2020年10月にフランスのダ・ヴィンチ展、2021年には上野の森で開かれる展示会で作品を展示する予定です。

また、会社では数学の個別指導も担当していて、中学校から大学の数学まで全般的に教えています。

記者:教えることとアート活動は違うようですが、2つのことを切り替えられるものなのでしょうか?

岡本:私は両者は同じだと思っています。数学の「景色」を作ることが、作品を作るアート活動であり、作品を作った後に、どのような作品なのか教えるのが「授業」です。

数学はアートであり、別の表現をすると山登りのようなものです。中学校や高校の数学は近所の小高い公園にみんなで登る、大学は実際の山に登る、研究はまだ登ったことがない山に登るというイメージです。研究で登る山は雲がかかっていて、高いのかどうかすら分からない点はリスクでもありますが、近所の公園に何度も何度も行くのは楽しくないので、山を登りたくなるのです。

根本的なことを考える、わかりやすく伝える

記者:岡本さんは現在どのような活動指針を持って活動していますか?

岡本:高校までの数学は積分や極限を曖昧なままで終わらせていましたが、大学で学ぶ最初の数学はもっとなぜ、なぜ、なぜと一番深くまで掘り下げていきました。そのように、なぜ、なぜ、なぜ、と一番深くまで考えることで「根本的に何なのか?」を考えることを大事にしています。

また、人に教える仕事をしているので、いかに相手に分かりやすく伝えるかを大事にしています。しかし、それは難しいことです。私は何かを学習する時に時間をかけて行うタイプですので、しっかり理解して完全に1から話せるようになってから人に対しても教えるようにしています。例えばある定理を1から証明できる人とできない人がいます。あらゆる定理を1から証明できる状況をいつも作っておくことが、分かっていることの定義だと思っています。

また、いろいろな事柄に対して比率や構造を考えるようにしています。例えば、今日新宿を通った時、青空と建物の比率がきれいに見えました。きれいに見えるのがどのような時なのかを考えるのが好きです。このように、まずは感性的なところを入り口にして、その原因を追究していくようにしています。

感覚的なところと論理的なところ、あえて対極的な両者を融合した作品を作っています。

人に教えるのが好き、模様・形が好き

記者:そもそも「数学の価値を社会に広げていく。」という夢を持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見があったのですか?

岡本:母親が書道家であり、中学校の国語教諭をしていて、幼い頃から人に教えるところを眺めていたことで、教えるのが好きになりました。

数学やアートは分かる人と分からない人とのギャップが大きいので、分からない人に、もっと知ってもらってもいいと思っていました。数学ができるようになってもらうというよりも、数学に対する観方を変えてもらいたいです。

0歳の時から筆を持たされ、幼稚園の時からずっと筆を握っていました。書道も、中学生から好きになった数学も、模様や形を扱う点では共通していました。基本的にビジュアルが好きだったこともあり、目で見て美しい写真やアート全般が好きになりました。

こだわりの強さと負けず嫌い

記者:「人に対して教えるのが好き。」という発見の背景には、何があったのですか?

岡本:私はこだわりが強く、負けず嫌いだということです。

これまでの人生で一番数学に取り組んでいたのは、浪人生として予備校に通っていた時期で、当時は私語禁止だったこともあり、1日中ずっと数学をしていました。そうすると自然と数学の景色が見えてきて、日常の全てが数学に見えてきました。

予備校での数学の授業は、毎回、問題を解けた人が前に出て板書をするスタイルで行われていました。私はこだわりがあって、さらに負けず嫌いでもあったので、毎回必死に回答を続けていました。最初はみんなが板書をしていましたが、徐々に脱落していき、1年後には私ともう一人しか板書する人がいなくなっていました。みんなの前で発表するとなると「良い回答をつくらなければいけない。」という自分の中でのルールがあったからこそ、数学に打ち込んでいたのです。

切り絵を始めた時、カッターとカッターマットを買いに行きました。カッターマットの値段が思った以上に高かったので、1、2回だけで終わるのは良くないと思い、本気で2、3回は切り絵に向き合って取り組んだからこそ、切り絵にのめり込めました。もし、カッターマットが安かったら、今切り絵をしていないと思います。

記者:こだわりが強く、負けず嫌いな岡本さんだったからこそ、人に教えることが好きになり、切り絵との出会いがあったことでアートと数学を組み合わせて数学の価値を社会に広げていくという夢に繋がっていることが伺えました。今日は本当にありがとうございました。

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編集後記

今回インタビューの記者を担当した吉田&播磨です。

インタビューを通して、数学者がどのように世界を見ているのかが今までより理解できました。岡本さんは1つ1つの質問に対して本当に真摯に考えて答えてくださりました。数学を通して見える景色をより多くの人達と共有することによって、深く考えられる人達が増えていくと思いました。

今後の更なるご活躍を期待しています。

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