これからは市民がパワーを持つ時代。プロデューサー、バクロスTVキャスター平山秀善さん

市民による社会の仕組みやかかわり方をプロデュースし、市民自身がパワーを持つ時代を目指して活動されている平山秀善さんにお話をお聞きしました。

平山秀善さんのプロフィール

出身地:東京

活動地域:全国

経歴、現在の職業及び活動:大叔父は川島正次郎で、自民党副総裁、専修大学総長、千葉工業大学理事長を歴任。父は平山善司で、中央学院理事長を務めた。音楽で世界を変えたい、と14歳からギターを始めるが日本の芸能界ではそれが果たせないと感じ19歳で音楽活動を引退。

〈学歴〉1992年明治大学経営学部卒。1994年慶応大学大学院経営管理研究科ビジネススクール卒。20歳まで高卒で過ごしたが、明治大学経営学部に編入学し、ほぼトップの成績で卒業した。経営戦略、マーケティングの専門領域で、MBA(経営学修士)を取得。

〈政治〉1993年大学院生であった平山が中心となって若者に政治の道を開くために、数十名の学生らが党本部に要請した事により、「新生党学生塾」が創設され、代表を務めた。1994年に新進党学生部として活動を継続。ここから小沢一郎事務所、小池百合子事務所の第一秘書ら多くの地方議員を輩出。翌年、新進党から千葉県議会選挙に初出馬。1999年31歳で千葉県議会選挙に無所属で2回目の出馬。

〈事業〉1996年28歳から医療系コンサルティング会社(WELCOACH)を立ち上げる。 2000年、(株)エポックインターナショナルを創業し社長に就任。

93億円もの負債を抱えた企業の再建を手掛け、4年後すべての負債を整理。

2004年から映画「THE WINDS OF GOD -KAMIKAZE-」のスーパーバイザーとして俳優の故今井雅之とともに、日本映画初となる全編英語、グラウンドゼロでの映画界世界初のロケを実現し全米公開。米国にて外国映画部門最優秀賞を受賞。2006年、ノーネスチャンネル、ノーネス株式会社 代表取締役兼CEO。2017年バクロス TVキャスター、2019年ママ♡エンジェルス チェアマン 。

一人のスーパーリーダーが出ることは市民のためにならない

Q1. 平山さん(以下、敬称略)はどのような夢やビジョンをお持ちですか?

平山:実は30年以上前からずっと考えて実行していることなのですが、これからは個人や市民がパワーを持つ時代になると思っています。
今まで社会の仕組みは企業や政府や病院や大学が力を持つべく動いています。ところが社会構造がそうなってしまうと市民がそこに台頭できない。30年前にそう思って自分は徹底的に市民が前に出る仕組みを考えていました。市民というキーワードなんですけれど、僕がやらないことがミソなんです。
僕はやり方を教えるだけで、市民がやってできたら自分たちの力になります。そしてどんどんやるようになるんです。昔のリーダーのように「俺がやるから」というのは僕は興味ない。そんな風になっても世の中変わらないですね 。一人のスーパーリーダーが出ることは市民のためにならないと思っています。
僕がやって変えたのなら、僕がいなくなって次に出てきたリーダーが、物事をわかっていなければまたおかしくなるわけでしょ。ところが僕ではなくてみんながやっているんだったらみんなで代々続けていけばいいと思っています。

本気だったら市民のテレビを作るべきでしょう

Q2.その夢やビジョンに向かってどんなことをされていますか。

平山:2016年に2人の主婦に出会いました。彼女たちに「 なぜテレビでは本当のことを言えないのか」と聞かれたので「民放といってもあれは企業しかお金を出していないから企業テレビですよね。企業が消費者に物を売るためのツールなのでその目的以外はないですよ。」と説明して
繰り返し議論している時に「だったらお金を出します」と言われました。

記者:その方たちがスポンサーになったということですか?

平山:はい、僕はそれを想定していました。本気だったら市民のテレビを作るべきでしょうって。今まで出来なかったけれど、ママさん達にテレビ業界の事を全部話しました。どうやったら変えられるのかという話をしたのです。そうしたら小さいけれど市民メディアができました。暴露するのが面白いという意味で「バクロスTV」と名付けました。そこでテレビでは出来ない理由をたくさん言ったわけです。それから企業も悪いけれど視聴者も悪いということを分かって下さいという話をしていました。悪い商品がなくならないのは消費者がいるからなんですよ。本当のことじゃないですか。
プロデューサーという立場で市民にパワーを供給したわけですが、ママさん達はそれまでメディアの悪口ばかりを言っていたけれど、今は自分達も作れるから悪口を言っている暇がない。それが自立ですよね。
同じように法律が悪い、政治家が悪いという話になった時に、でも投票に行っていますか?と聞くとママさん達自身は行っているけれど「ご家族も?」というと皆さん黙るんですね。息子さんが行っていないとかなら連帯責任でしょう。
うちの家系は自民党を作る時に関わったメンバーでしたし、アメリカと国交を開く時はナンバー2の幹事長でしたし、その後岸さんが辞めてからずっと副総理をやって沖縄返還も手掛けているし良い悪い抜きに一応やってきたという感覚は一族にあるんです。政治が悪いということなら「うちはやったけどあなた達は選挙に行っているの?いやなら、他人事じゃなくて自分たちもやればいいじゃないですか。」と言うと「やり方が分かりません」と言うので、じゃあ市民立法つくろうよ、と始まったのがママエンジェルスなんです。

記者:それはどんなことをされているのですか?

平山:「日本の変え方マニュアル」という講座を開いて、法律はこうやって作っているから市民がやるなら、とやり方を教えたんです。子供の頃から父が大学をつくる時に文部省とどう交渉していたのかとか見ていたので、こうやったら変わるっていうことはわかります。しかも自民党を作った家系でもあって仕組みを考え抜いた人達だから、その過程も子供の時から見ていて感覚でわかるんですね。新潟や栃木、神奈川、鹿児島のママさん達は勉強会をしょっちゅう行っています 。県の条例は法律みたいなものなので、そういうところに影響を与えていける可能性はあるわけです。

バクロス TV を地上波にしたい

Q3.これからの計画などはありますか?

平山:バクロス TV を地上波の番組にしたいです。過去に東京MXテレビやTBS系の長崎放送でも市民メディアが取り上げられて放送されました。「将来ネットからできた企画が地上波に上がると面白いね」と8年ぐらい前に言っていたのが実現したので、もっと加速したいです。しかもスポンサーが市民だったらもっと面白いですよね。じゃあ市民のために作らせていただきますと現場が思うのは当たり前ですからね。
もう一つはママエンジェルスについて言うと「市民立法」です。種苗法が国会で審議されているのですが、国会議員が農水省からレクチャーを受ける前に農水省に取材して、それをノーカットでネットで公開しているんです。多分日本初だと思います。国会議員がまだそれを聞いていないうちに市民が全編聞けているわけです。民放もそんな全部なんて流せるわけないことを僕らはやって、取材で40分くらい説明があった後、さらに1時間ぐらい意見交換しているんです。官僚がもし「ママさん達の言う通りですよね」と法整備や運用に加えていれば、完全にそれは市民立法なんです。

記者:すごいですね。

普通に働いたら普通に幸せにならなきゃおかしい

Q4.そもそも市民が前に出るというビジョンを持つようになったきっかけは何ですか?

平山:父が癌になってしまい、早いうちから働かなくてはならなくなりました。弁当屋の工場でアルバイトをした時、働いている人達をみて、一生懸命働いているのになぜこの税金を払っている人達が良い思いをしていないんだろう、普通に働いたら普通に幸せにならなきゃおかしいと思いました。
市民の側の気持ちもわかる一方、でも政治が悪いと言われても、家に帰ると父が頑張っている姿を見ているし、何で父が悪いんだろう?と悩みました。父は大学づくりに携わっていたけれど、お金をもらわずボランティアでやっていたんです。

記者:お父様も、お弁当屋さんで働く人達も頑張っているのに社会がうまくいかないのは何が問題だと思われましたか?

平山:すごく簡単で人々の心です 。日本人の元々の魂に戻るべきです。今は日本人らしくない。僕の父や叔父叔母には、明治や大正生まれの人が沢山います。母の家系も武士だったりするので、当時の日本人がどういうことを美しいと思っていたか、なんとなく分かります。そこと比べると今は人が自分勝手になりすぎています。自分さえよければいい、それで恥ずかしくないと思っているんです。
父が昔「これから世の中どんどん悪くなるぞ」と言っていました。なぜかというと「やっていることがみんなおかしいだろう?企業のトップには人格が一番の人物を持ってきたものだ。能力がある人を持ってきてはだめなんだよ。能力があっても人格ができていなかったら力があればあるほどその組織はおかしい方向に行くよ。能力がある人をすごいなんて言っていると人間、日本もおかしくなっていく。」
自分の生きていることを信じられるようになるには、信じられる未来とか信じられる仲間達とかが根底にあります。
今は信じられないでしょ。政治家も、大企業も、テレビも不信だらけですよね。それは幸せではない。信じられていればまだ何とかなると思うんですよ。信じられていれば自分の力でここを良くしていこうと思うじゃないですか。そうでなければ仲間同士協力なんかし合わなくなります。民族が崩壊します。でもそれじゃ人間切ないですよね。

愛情はすごく受けてきたと思います。でも今の親の愛情とかなり違います

Q5.信じられる未来や仲間ということを考えるようになったきっかけは何だと思いますか?

平山:それは家族の言葉や行動ですね 。父が入院している時、もう心臓が止まっているのに一生懸命母が上に乗っかって心臓マッサージをしていたんです。まだ中学生だった僕はそれを見て何も声をかけられなくて、そのまま家に帰ったんです。もうこれは駄目だ今日でお葬式だと思った。
でも母はそんな状況でも、なけなしのことをやっているわけですよ。お弁当つくれないから五百円おいてあるとか。
ギリギリでも何かしようとしてくれてるというその繋がりですね 。
後は、兄弟会議があって母が一人ずつ呼び出したことがあったんですね。4人兄弟の最後に呼び出されて 「あなただけはなんとか高校だけは出してあげたいの」と言われました。その言葉で、上の兄弟3人は学校をやめろと言われたことも理解できました。こういう状況でも何とかしてあげたいという親の想いがよく伝わってくる場面でもありました。
それで、悲観的になり、もう家族や家を捨てて歌舞伎町で遊んだ方が楽だと思ったこともありますが、親が悲しむだろうな、と思いとどまりました。病気の父のことを考えても、本当に一生懸命やってたきたんだろうな、とも思いましたし、すごく真面目な人でもありましたから。その想いに応えたいというか、親が亡くなった後でも悔いがないようにというのがあります 。

愛情はすごく受けてきたと思います。でも今の親の愛情とはかなり違います。大変厳しかったですし、父にも死ぬまで敬語でした。ある出来事があって父がものすごく怒って、「もう出入りするな」と言われ、亡くなる前の3年間くらい会っていませんでした。ある出来事というのは僕が他人のことを悪く言って怒られたのですが、「世話になっている人のことを悪く言うな 。お前が口にすべきじゃない」と、人として踏み外したら許さない、という厳しさでした。
母は武士の家系の出身で、ある時「座りなさい」と正座させられて「戦国時代だったらもう少しで大人になる元服のころよ。あなたがちゃんとしていないと家がなし崩しになるんです。あなたが男として生まれたなら、ちゃんと正しい判断をできるようになりなさい」と言われました。
武士が何で刀を持っているのかといえば、それは人を殺すためではなく、人を諭すために持っているんだということです。武士は目利き裁判所のような役割でこの人が心改められると見えた瞬間に「名を変えて生きなさい」と諭すことが本当の武士の仕事なんだと言われました。

記者:本当の強さを教えてもらったんですね。

平山:厳しかったですけれど母から「あれダメこれダメ」という風に言われた記憶はないんですね。「あなたがちゃんとしていないと一家は困るんですよ」ということは言うけれど。

記者:自分で考えるように自然に持っていたんですね。凄いお母さまですね。

平山:母は根底のことをサッと言ってそれ以上言わないですね。ただ「何が正しいか判断しなさい。仮にみんながそうだと言ってもあなたが正しいと思ったならそれをやりなさい、もしかしたら時代が間違ってるかもしれないから。どんなに貧しくてもいいと思いますがうちの家の血が入っている以上、卑しい人間にだけはなってほしくない。」と強く言われました。卑しいというのは恥のある人間にだけはなってほしくないということです。すごく必死に伝えてくれて気迫を感じたのを覚えています 。

記者:最後に、読者の皆さんに一言メッセージをお願いいたします。

平山:これからの時代は、西洋で生まれた価値観よりも我々の先人達である縄文のあり方が注目される時代に入ります。
ビジネス、暮らし、家族、教育、医療、メディア、政治、エネルギー全てにおいて日本人の生み出すものが世界から評価を受けるようになるでしょう。その意味で、最も日本人が輝いて生きていける季節になると思います。
どうぞ皆さんの想像力を活かして、個性あるアイデアを生み出して発信していっていただければと思います。

記者:平山さんはお話していてすごく柔軟な印象がありました。良い悪いと決めつけず色々なものに触れて自分の判断をもっていらっしゃるから柔らかさがあるんですね。それとご両親から受け取った考え方がベースになって物の見方が本質的であると感じました。今日は貴重なお話をどうもありがとうございました。

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【編集後記】
今回インタビューの記者を担当した喜多島、見並です。
政治にかかわってきた家系でありながら、日本人としての在り方を大事にして市民が前に出ることが大事なんだ、と30年以上も前から実行し続けている平山さんのお話にとても感動しました。本当にどうもありがとうございました。

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