「正しく評価される社会にしたい」クラウドファンディングサービスMakuake キュレーターの鈴木 壮司さん

明確な方向性「正しく評価される社会」に向け、時代の当たり前に惑わされず一歩引いた視点を持ちながら、産業支援を目的をしたクラウドファンディングを道具にひとつひとつ真剣勝負の姿勢で立ち向かっている、鈴木壮司さんにお話を伺いました。

出身地:札幌市
活動地域:北海道
経歴:立教大学卒業後、
2008年にキーエンスGrへ新卒入社。
関西地区にて大手企業の工場や研究所などへ営業を経て、
プルデンシャル生命保険へ入社。
その後北海道へUターンし、測量会社の経営改善に成功。
2018年より株式会社マクアケに参画。
北海道拠点の立ち上げに従事。
現在の職業及び活動:株式会社マクアケ北海道拠点キュレーター

「実行者さんの成功が何なのかをしっかり見定めて、私がその為にどんなサポートができるのかを1番大切にしています。」

Q現在どのような活動をされていらっしゃるのですか?

 クラウドファンディングサービス「Makuake」で、キュレーターという仕事をしています。キュレーターとは、「新しいことをやりたい!」という実行者さんに対して、
①企画立案のサポート
②プロジェクトを整理する交通整理
③商品の魅力に気づくこと
④ターゲットの整理
を行います。誰に、どう打ち出したらいいか?の見せ方のコーディネートをすることが主な役割です。
 
 よく勘違いをされやすいのが、資金調達ができると目的達成と思われやすいことです。寄付や応援系のクラウドファンディングでは、資金調達は1つの目的達成を図るものさしではありますが、Makuakeは産業支援を目的にしているので、必ずしも資金調達をできたことがゴールではないと考えています。
 例えば目的が、商品のテストマーケティングを探すことなら、目標金額にいかなくても、この打ち出し方がだめだと分かることも、1つの成功と言えます。それが見極められることで、この商品は違う見せ方をした方がいいと分かりますからね。それに、目標金額にいかなくても地元紙に紹介されることで一般販売に繋がり、その商品の魅力に共感してくれる味方が増えていくこともあるのです。
 資金調達も大切ですが、それぞれの実行者さんの成功が何なのかを見定めることが1番大切ですし、私がその為にどんなサポートができるのかを日々追求しています。

「世の中にあるものが正しく評価される社会にしたい」

Qキュレーターのお仕事を選んだのは、どんな夢をお持ちだからですか?

 私は、世の中にあるものが正しく評価される社会にしたいと考えています。
 例えば、小学校や中学校はテストによって評価されますが、それは成績という一部分にのみフォーカスをして評価しているので、生徒1人ひとりの得意な面を多面的に正しく評価されていないと思います。
 評価すべきものが正しく評価される社会となるように、私は産業という面から貢献したいと考えています。

「まるでパチンコ屋ですった時の空虚感に似た、満たされると思っていた自己欲求が満たされないという衝撃と出会いました。」

Qその夢を持つようになった背景には何かあるのですか?

 大学卒業後、キーエンスというグループ会社→プルデンシャル生命→測量会社へと会社を移る中で自分の夢が整理されていきましたね。
 以前は、大学の合コンでモテたいとか、自分1人で仕事ができる感を感じたいなどの自己欲求がありました。なので、キーエンスは一部上場企業で年収も良かったですし、プレデンシャル生命にいた頃も含めて自己欲求が満たされることをとことんやりました。北新地で一晩で何万・何十万使ったりもしましたね。けれど、いざやってみると、満たされるはずなのに満たされないんです。まるでパチンコ屋ですった時の空虚感に似た状態、満たされると思っていた自己欲求が満たされないという衝撃と出会いました。

 「ちょっと待て鈴木!」と1度立ち止まって考えた時に、大事にしたいことが2つ出てきました。
①社会の為に何かすること
②家族に対して自分の価値を還元すること。
です。

 家族に対して自分の価値を還元するということを思った時に、それで少し赤字経営だった父の会社である測量会社で働く為、札幌にUターンしました。その中で、正当に評価されないことへのジレンマと出会いました。街中で測量したり、あまり知られてはいませんが災害があると真っ先に投入されるのが測量会社なのです。縁の下の力持ち的な測量屋さんの図面をもとに建築会社が設計をして、工事屋が工事を行うのですが、その測量会社への正当評価がされないので、人材不足や技術向上が難しい状況にあることを知ったのです。当事者になってみるとその辛さは半端じゃないですし、汗水垂らして命を削ってやっていることに対する不釣り合いな感覚がありました。
 ただ、父の会社経営は安定していき、私が大事にしたかった家族を満たすことは達成することができました。なので会社を辞め、次は社会の為に何ができるだろうと模索しました。この時、中途半端は良くないとプータローになったんですよね。

 この模索している時期に龍馬伝の1シーンと出会いました。「この世の中を変えなあかんぜよ」というシーンです。「残り50年ぐらいの自分の命を使い、自分がやれることは何だろう」と思いました。「せっかくやるなら社会全体を変えるようなことをしたい」そう感じました。 この時期にMakuakeを紹介され、書籍を読みながら感銘を受けたのです。この仕組みであれば、世の中を産業の面から、正しく評価される仕組みに変えられるなと思いました。

 Makuakeは最初のサイト掲載に手数料はかからず、成立してから手数料が支払われる仕組みで、ネットに掲載して評価を受けた上で受注生産もできるので誰もがチャレンジがしやすいシンプルな仕組みなのです。
 この仕組みを例えるなら、子供が積み木遊びをする時にお母さんから「ここにこうやったらいいよ」とやりとりをしながら段階的に積み上げていくように、段階的に市場評価を入れながらマーケティングをやっていけば、一歩一歩自分の事業を進めることができるのです。

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「人間として認めてもらえる感じ」

Qお話を伺っていて鈴木さんの情熱の源は、大学以前から繋がっているように感じるのですが何かきっかけはあるのですか?

 親がちょっと変わり者で、「勉強なんてそんなに大事じゃないよ」と言う親でした。私の父は勉強は少しできたけれど、勉強に夢中になっているのではなく、親が言うから勉強はしたという生き方をしてきた人です。もともと自由でシンプルな発想をする人だったので、私の言ったことを肯定してもらえると言う自信はありましたね。人間として認めてもらえている感じです。

 その前提があったので、学校が画一的に感じましたし、先生の言うことが常に正しい訳ではないじゃんと思っていました。私はテストの点はあまり良くありませんでしたが、意見を積極的に言うタイプでそこを評価されて成績はめちゃめちゃ良かったのです。親だけでなく社会でも、点数ではない部分で自分の個性を評価してくれる人がいることを小学校5・6年生の頃に実感できたことは大きかったと思います。
 だからこそ、ちゃんと勉強をした人はそこを評価されてその道に進めばいいし、運動ができた人はその道に進めばいいのにということを小さい頃から思っていたことがありますね。

「キュレーターの仕事をブラッシュアップすることが第一だと思っています」

Q夢の実現に向けての計画をお聞かせください

①キュレーターの仕事をブラッシュアップすることが第一だと思っています。新しい見せ方などに磨きをかけることですね。
②その次に、より多くの人に仕組みを知ってもらう為に、社内の後輩や新入社員に対して私自身が身につけた技術を伝承すること。
③その上で教育分野にいくかもしれません。今は能力がある人ほど、1つの職業に留まらずに複業になると考えています。なので、自治体や学校などその時に課題を感じた組織に入っていくようになるのかなと感じています。そこには時代の押しがあるのかなと感じています。

「和して同せず」

Q最後に座右の銘をお聞かせください
 その時のメンタルによるのですが、「和して同せず」です。時代に乗っているけど同一化しない。常に「今のままでいいんだろうか?」とどこかで思い続けながら、でも時代には乗っている状態。時代の波に乗ると、時代に順応している人たちの気持ちもわかるので、それも大切なことなのかなと思います。
 ですけれど、自分の意に反してやり続けることは苦痛なので、常に違うことも考えながら、いつの日か実行に移してやると思っています。それが私の場合は急転直下にやってしまう時があるのですが笑。好きな言葉でもありますが、人生のコンセプトでもありますね。

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鈴木壮司さんの活動、連絡についてはこちらまで⬇︎
 Facebookアカウント :  鈴木壮司

【編集後記】
インタビュー記事を担当した、赤尾・堀江です。
 鈴木さんにお話を伺い印象的だったことは、何となく行動するのではなく、意思を持ち目的を明確にしてやりきり、そして次のステージを歩む生き方をされていらっしゃることでした。インタビューの際も、1つの質問に対して的確で完結に答えて頂く姿が印象的でした。
 時代に順応し過ぎずに、まだない未来を創ろうとする真っ直ぐな姿勢がこれからの生き方のモデルそのものだと感じました。鈴木さん、ありがとうございました。

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