イケてる年齢不詳スタイリスト集団・美容室経営の阿部高士さん

東京豊島区東池袋・小竹向原で20年、地域密着型の美容室経営を通して、お客様はもちろんのこと、スタッフ、家族、地域の方々への想いから社会が豊かになるようにと日々尽力されている阿部高士さんにお話しを伺ってきました。

阿部高士さんプロフィール
出身地        山形県
活動地域 東京都 池袋
職業        美容師、美容室経営
経歴        都内4店舗を経て独立。現在は『HAIR DRESSING小竹向原』『DEEP OGALE東池袋』を経営兼スタイリストして活躍中。

両極端な美容室から経営を考える

Q.どんなきっかけで今のお仕事をするようになったのですか?
阿部高士さん(以下、阿部 敬称略) 最初に入ったお店は、関東やロンドンに12店舗、スタッフ100人程、最初所属したお店はスタッフ20人くらい、毎月1000万を売り上げる大手美容室でした。スタイリストがいて、アシスタントがいてアシスタントは勉強とお手伝いしながら学ぶっていう普通の形態。0から育成していく上ではよかったんです。ただ、基本給8万5千円、寮に入って2万引かれる。バブル期でしたが、僕は味わってないですね。  

 お店は値上げするけど自分の給料には反映されない。4年目からスタイリストデビューして稼いだ時でも還元されてる実感はなく、育成するまでの投資の意味合いはわかるけど、あまりにもバランスが悪すぎるかなと。いつ自分の将来につながるのか道筋が見えず、自分で勉強しようと完全歩合制の美容室へ行きました。今まで200万売り上げて給料が18万以下だったところから、100万売り上げて給料が50万だったので店つぶれませんか?大丈夫ですか?って。今までと比較して、経営の両極端(人件比率の最小と最大)を体験して、こっち(人件比率最大)の振り切りをみたので、当時はよくわからなかったです。

美容師とお店とお客さまの三方よし

 次の店はスタイリストたちが先輩だろうが後輩だろうが、キャリアが長かろうが短かろうが、男性だろうが女性だろうが、公正に平等に数字で評価され、うらみっこなしの実力主義で、僕はそういうのが好きでした。先輩も後輩もキャリアも性別も関係なく、やればやっただけ、それこそ下克上で公正な中でやるのはいいなと。ただ、そこのデメリットは人間関係が殺伐とするんです。最初のお店はスタイリストがいて、アシスタントがいて、チームプレーでお客様に応対する、次のお店は個人プレーすぎる。チームプレーでお客様に応対することを、ここまで0にしなきゃいけないのかと疑問がわきました。
 両極端の職場を経験したことから、チームプレーのよさと個人の実力主義を融合させたような店で自分がやりたかったので 作ったというのが経緯です。ゴールはお客様が満足して喜んでまた来店してもらえればいい。美容師個々のやり方はお任せしているんです。自分の結果が出せるやり方はそれぞれあると思うので、おしりだけ合わせくれればいい!っていうように。一字一句これでやって!ではなく、最後にこうなればいいのねと。その方が本人も楽しいと思うし。
個人の成長とお店の成長を連動させる動きを考えて、お客様に満足し続けていただけるように、発信・提案していく。三者がいいようにというのは常に考えてます。


犬が自分で骨投げる

Q.どんな心のあり方や認識の変化が今の活躍に繋がっていますか?
阿部 スタートして約丸20年になりました。最初は、やるくらいだからこうすればうまくいくはずだと理想論というのがあったけど、実際やるとその通りうまくいくものだけではなく、修正して経験して学んで今があるというのがありますから、今となっては絶対うまくいくだろうなとイメージしたことはそうなりますけど、100%ではない。やってみたらこういう問題点や穴があるのかと、そこに対して微修正をしてる感じ。経験で積み重ねて足して足してというイメージかなと。あとは、目の前のことをこつこつやるのは大事だけど、経営者だと一回勝負してやってみるというのが必要。犬って骨やオモチャを投げてあげると必ず取りに行って飼い主に持ってきてもう一回投げて!という感じで永遠に終わらないところがあるんです。これを飼い主が投げるのではなく、犬が自分で骨を投げて自分で取りに行く感じ。周りに公言して逃げ場をなくす有言実行のやり方もそうですかね。自分を追い込むきっかけを自分自身で作るイメージですかね。

記者 先へ先へというイメージがあるんですか?
阿部 まず目の前のことを精一杯やることは大事だし大前提だけど、それに集中しすぎてしまうと中長期目標を先延ばしにしてしまうデメリットがあると思うんですよ。自分の場合は特に。期限が決まってないと無期限先伸ばし(笑)
なのでどこかで犬が自ら骨投げるっていうのをちょこちょこやるべき時があるかなと。実際例えば3店舗目を出してうまくいかないから2店舗に戻りましたっていうマイナスが起きるリスクがある反面、出したら出したで3店舗をうまくやるために全身全霊やらざるを得ない環境になる。(例えば 経済力に余裕がない状態で子供が何人生まれても結局はなんとか育ててしまうというのに近い気がしています。)

記者 何に対してやる必要があるんですか?
阿部 自分の成長です。成長するための自分のきっかけづくりを自らするという感じです。目の前のことを着実にしっかりクリアしてというのを5年もやってそこまで進んでないということであればやっぱりバンとやる必要があるんですね。

Q.これからはAIが活躍する時代と言われてますが、AIが活躍する時代に必要とされるニーズは何だと思いますか?
阿部 美容で考えると、現実感はないと思うんですよね。僕も考えるけど技術的にちょっと難しい。プログラム作って、できる技術まで持ってけばできると思いますけど、頭を測って髪質をみて希望聞いて、あなたに似合う形の選択肢を与えて、仕上がりはこうなりますって画像でイメージしてもらって、自動でバーンって完成したらすごい!と思うんですけど、僕がひっかかってるのは技術的なところかなと思う。美容がAIになる可能性も考えたけど遠いかなって思いましたね。
技術以外では、お客様の顔の筋肉を読んで、本当は気になってるのかな、ここ気に入らないのかなとか、お客さんの視線の先が、どこに向かっているのかを観察して分析して、それこそ空気を読むのが生命線のスタイリストと同じことができるのかと思うとピンと来ないかなって思ってます。
逆に人でしかできないから、こちらのチャンスなのかなと。

でももしかしてお客様の顔の筋肉や視線の先をAIがどこに向かっているのかを観察して、分析して、空気を読んで、「お客様この辺り気になりますか?」って聞いてきたりして(笑)

100%人見知りでも行ける美容室の出現といったところでしょうか?
証明写真の自販機のようなイメージですかね?

現実感はない!って言いつつ、メッチャ考えててすみません!

相手を成長させることで自分も成長

Q.今後どんな美しい時代を創っていきたいですか?
阿部 そんな壮大なものはないですけど、美容を通じてスタッフが技術的にも人間的にも成長して、その結果お客様を喜ばせさせ続けて、物心両面で豊かな人生を定年以降も送れるそういうのを作りたいと思ってずっと目指してます。まずは自分のところのスタッフにそれがのできなきゃそんなでかいこと言ったところでどうなんだという想いですかね。

記者 すばらしいですね。壮大ではないって言ってましたけど壮大ですよね。一人の人間を成長させて自分も成長させて巻き込んで豊かになっていくって。
阿部 そこしかないと思いますし、結局まずいつも関わっているのがそれこそ家族、地域であり、家族より長い時間を過ごすうちのスタッフ、あとはお客様は施術の時だけかもしれないですけど何回も何回も来続けていただいているそういう目の前の人を喜ばせたりとか、成長をサポートする目の前のそこなくして明日、明後日のこと言ってもっていうのは思うんです。

記者 やはり経営者は違いますね。
阿部 いえいえ。まずはそこから。ここがこうなっていけば、こうなるかもって広がるかも。まずは目の前のことができないのに、そんな荒唐無稽なこと言ってどうなんだっていう思いは自分にあります。

記者 今ここの幸せが社会の幸せにつながっていくということでしょうか。
素敵なお話ありがとうございました!

阿部さんのお店はこちら

http://deep-beauty.jp/

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【編集後記】
今回、インタビューの記者を担当した樋口と中川です。
「イケてる年齢不詳スタイリスト集団」をモットーに活躍する美容室DEEP。
どうしたら美容師が満足でき楽しく人生を送れるだろうか?お客様が満足してまた来てくれるにはどうしたらよいだろうか?日々問いかけ、答えを得て極めた集大成であるように感じました。
また、自分の成長だけでなく、そこからつながる人々が幸せに豊かに暮らせることへの想いがあり、それには経営者として先を見通すことが必要であると同時に、今ここの満足なくして明日は語れないという、ご経験からの蓄積があるようにも思いました。
これからのご活躍も楽しみにしております!

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