いえを個性や価値観から共につくる設計事務所H2DO一級建築士事務所建築家”久保和樹”さん

自ら造った住宅によってクライアントさんのパラダイムシフトを起こし、社会の価値観を変えていきたいと語る、H2DO一級建築士事務所 建築家の久保和樹さんにお話を伺いました。

出身地:広島県広島市
活動地域:全国
経歴
1998年 広島大学工学部第4類建設系卒業
2000年 広島大学大学院工学研究科環境工学専攻修了
2000年 設計事務所、インテリアデザイン会社に勤務
2006年 H2DO一級建築士事務所設立
現在の職業および活動:
建築家、建物・内装・家具の設計デザインや、ワークショップ
座右の銘:エポックメーキング

Q. 今、主にされているお仕事、活動を教えてください。

久保和樹さん、以下、久保)
基本は、新築の住宅系、一戸建て、注文住宅とか、リノベーション等を メインでやっていますが、その他頼まれれば、オフィスや店舗もやります。基本的には空間設計です。全般的にやるのは、クライアントさんと出会った時に、僕とクライアントさんが相乗効果で何か一つのコンセプトとか新しいイメージや価値観を作るということをメインにやっています。うちと他の違いは、家作りワークショップをやっていることですね。参加者の方に自分で家を考えてもらい、コンセプト作りから間取りと模型までつくってもらうことをやっています。

記)ワークショップをやろうとしたきっかけは?

久保)一生のうちに100とも住宅を建てられないペースだったと考えた時に、社会的インパクトが少ないなと思ったのがきっかけです。
社会的インパクトを思った時に、建築家に頼むのがハードルが高かったとしても、家づくりをもう少し深く考えられる場所があるといいなと思いまして。

記)社会的インパクトとはどういったことでしょうか?

久保)基本的に僕が住宅等を設計しているのも、ゴールが決まっていて、建築の設計を通して、エポックメイキングが起こせることがベストだと思っています。転換。例えば僕が造った住宅によって、社会の価値観が変わるということ。パラダイムシフトとか。それは、大学の教授に埋め込まれたのですけど(笑)
基本、家って何LDKだよねっていうところから始めてしまうと、なかなか難しいのですが、既成概念にとらわれず、やりたいことをどうやったら実現できるかというところを深堀していくといいとはいつも思っています。あとは、家具を設計するのもうちの特徴ですね。建築、内装、家具というのをトータルでデザインするのもコンセプトでやっています。

Q.では、未来に対して夢やビジョンがあったら教えてください。

久保)最近は地方に興味があって、もともと東京でメトロポリタンというか、刺激とか情報が集まった所を若いうちに経験しておきたいと思って20代後半で東京に出てきたのですが、今は40代前半になって、感覚も変わってきています。地方の仕事もするんですけど、その際に本質的な豊かさや新しい未来の可能性を感じることが多々あります。

東京というところが大都市としてあったらいいとは思いますが、そこに本質的な豊かさはあるのか?と疑問が出てきて、資本主義成長経済の限界も感じつつ、地方に興味や可能性を感じるようになったと思います。

あと、最近、興味あるのが、古民家を改修すること。意匠のみではなく、現代テクノロジーを使って、環境・構造性能をアップしつつ、設計改修したいと思っています。
そして、家が家だけの役割じゃなくていいと思っていて、家の機能は持ちつつもその他の機能も持っていて、例えば住宅を開いて地域の公民館のような機能を持たせるとかそういうことを設計を通してできたらいいなと思います。

Q.将来やりたいことのために、現在立てている目標や計画はありますか?

久保)将来的には実家のある西のほう(広島とか大阪)を拠点に生活したいと思っています。具体的には決めてないですけど、帰ることは決まっていて、イメージ的には50歳位には多拠点生活は始めたいと思っています。

Q.  50歳くらいを目処に、どんな実践を考えていらっしゃいますか?

久保)僕の実家は自然豊かな山や田んぼ、畑があって、僕が子供の頃はおじいさんが薪を山から切ってきて、井戸水でお風呂を薪で炊いてやってたんですよ、多分そういう生活と現代的な生活をうまく合わせることで、豊かな生活が出来るのではないかと思っています。更に設計を通してコミュニティがうまれる場所をつくれたらいいなというのはずっと思っています。

Q.  ありがとうございます。では、今、色々活動される中で、何か気づいたことや、発見などあれば教えてください。

久保)基本的には皆さん(お客さん)既成概念にとらわれているなーと思っていて、例えばNLDKで家を考えるとか、家ってこういうものだよねっていう感じがあると思います。
3LDKの家を作って欲しいですとか、2LDKの家を作って欲しいとよく言われるのですが、それってもう既に既成概念の中にはまっていて、そもそもNLDKなんて家作りに決まりはありません。それをコミュニケーションしていく中で、ひとつひとつ解いていくという感じですね。
そうすると家って別に自由に考えていいんだよねって言う感じになってきて、だんだん本質的なことが聞けるようになっていけると思います。
そういう過程はある程度必要だし、人は各自のオリジナリティ、深いものがあって、皆それぞれ違うと思っているので、その人のやりたいこと、オリジナリティというかこだわりを極力引き出すのにコミュニケーションとかディスカッション、ワークショップを使いながら見つけようとしています。
その中でも、ほんとにこの人のこだわってるところは何なんだろうかって言うのは結構考えます。クライアントさんが気づいてない価値観みたいなものを引き出せた時は凄く嬉しいですね

(↑自宅兼事務所。色んなからくりがありました!)

Q)建築家に行きつくきっかけやルーツを教えてください

久保)ひとつは、うちの父親がゼネコンで、土木のコンクリートの橋とかをやっていて、それを子供の頃完成したら見に連れて行かれてたというのが一つと、高校ぐらいの時に企業とか資本主義じゃないところで生きていけないかなっていうのはうっすらと考えていた記憶はあります。
あと、大学2年か3年の時、杉本先生の授業を受けた時に、エポックメーキングとかパラダイムシフトの話をしていて、それに興味を惹かれたのは間違いないです。

僕の場合はバックグラウンドがあったにせよ、杉本先生に会ってなかったら建築家にはなってないと思いますね。先生はバウハウスの研究をされていて、今の設計にその影響は少なからずあるかと思います。研究室には哲学書があって、もちろん設計もやっていたのですが、思想みたいなものも結構教えて頂いたと思います。

記者)哲学を学ぶのと学ばないのとは何が違いますか?

久保)表層の流行とかっていうことにあんまり興味がなくなってきて、歴史的観点から言ったらどういう位置なんだろうみたいな俯瞰するような感じになっていると思います。ただ、歴史的な価値変換ではなくても個人住宅の設計を通して、個人レベルでのパラダイムシフトが起きるといいなと思っています。
既製の価値観をほどいて、その人が本当に思っていることを気づけたら、それはそのクライアントさんの中でパラダイムシフトが起きているということなので、そこは意識したいといつも思っています。

Q)最後の質問ですが、H2DOの意味を教えてください

久保)H2Oで水なので、そこに、デザインのDを間に入れました。それで、「水のようなナチュラルなデザインをしたい」っていう。水って色々状態が変わるので、気体や、液体になったりして、その要望に応じた柔軟性のイメージです。あとは、飲み水として絶対必要とか、必要でありナチュラルで変幻自在、型はないんです。そんなイメージでH2DOにしました。

記者)水みたいなナチュラルなデザインというコンセプトが、とても作品から伝わる感じがします。今日は貴重なお話ありがとうござました!

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久保さんの活動、連絡はこちら
↓↓

HP:
H2DO http://www.h2do.net
NewAccount http://newaccount.jp
Facebook:
https://www.facebook.com/kazuki.kubo.77

【編集後記】
インタビューの記者を担当した、原と岩永です。
静かで柔らかい感じでお話される中にも、今の社会、時代に対して変化を起こしていきたい深い思いを感じました。
自ら既成概念にとらわれない為には、衣食住への拘りがある等、掲載されていない中でもまだまだ素敵なお話がありました!

これからの更なるご活躍を楽しみにしています!!
ありがとうございました。

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