「自律して人生を楽しむ」株式会社ヴィエリス代表取締役 佐伯真唯子
脱毛サロンを中心に、痩身エステ、パーソナルトレーニングジムなどの事業を展開しつつ、SDGsで女性活躍推進の活動もされている株式会社ヴィエリス代表取締役の佐伯真唯子さん。わずか7年でここまで事業を拡張された背景をお伺いしました。
プロフィール
出身地 兵庫県
活動地域 東京都を中心に全国各地
経歴
大学卒業後、大学グループ会社に入社。
その後、エステティシャンへと転向し現場や運営の経験を積んだ後、株式会社ヴィエリス創業メンバーに加わる。
同社営業統括本部長、COOを経て2019年に現職に就任。
女性が輝く世界の実現への取り組みが評価され2018年、2019年「国連ニューヨーク本部SDGs推進会議」にてスピーチを行う。
第一回国際女性デー「HAPPY WOMAN AWARD 2019 for SDGs」 に選出される
現在の職業および活動
株式会社ヴィエリス 代表取締役社長 兼 CEO
FOUNウィメンズダイヤモンドコミッティ チーフコーディネーター
世界連邦青年会議 事務次長
自律した女性たちを増やして、内面から溢れる美しさを
Q:どのような夢やビジョンをお持ちですか?
佐伯 真唯子さん(以下 佐伯 敬称略) 自律した女性を増やしたいと思っています。昔から両親に「自律した女性になりなさい」と言われていました。最初はどういうことかわかりませんでしたが、私の中では「自立」は経済的に自分で立っていること、「自律」は自分で考えて、行動し、自己承認をすること、と理解しています。自律することで、主体性を持った仕事の仕方、生き方ができるようになると思います。
会社としては、日本一の脱毛エステサロンを目指していますが、それは店舗数や売り上げのことだけではありません。まずは従業員満足度(以下、ES)とお客様満足度(以下、CS)において日本一になることが大切だと思っています。ESは、数値としては定着率を上げることです。スタッフにやりがいを見出してもらいたいです。CSは、まず「脱毛といえばキレイモ」と第一想起してもらうことです。「キレイモを選んで良かった」と全てのお客様に思ってもらえるように努めて、もっと認知度をあげていきたいです。
そのために大切なのは、スタッフたちの「インポスター症候群」を克服することです。インポスター症候群とは、自分を「私なんて全然ダメ」と過小評価し、周囲の評価を気にして自信をなくしてしまう症状で、若い女性に多く見られます。ヴィエリスは98%が女性で、平均年齢が25歳ということもあり、自社で行ったインポスター症候群のアンケート調査において多くのスタッフがインポスターであることがわかりました。自分で自分を認めることにより自信を持って楽しく働いてもらいたいです。そんなスタッフの変化がお客様への最高のサービスに繋がると思っています。
人生は1回きりです。自分で選択し、自分でやりきって、自分の人生が楽しいと思ってもらいたいですし、私自身もそうありたいです。そんな生き方になると、自然と内面から美しさが溢れるようになると思います。
メンズ脱毛サロンの拡張
Q:夢やビジョンへ向けてどのような事業目標や計画を立てていますか?
佐伯 5年後までに日本一の脱毛エステサロンになることを目指しています。そのためには、少子高齢化のこともあり、女性だけでは顧客数に限界があります。現在、メンズ脱毛サロンに力を入れており、6月に4店舗目をオープンしました。これから男性のエステティシャンの雇用も増やし、事業を拡張させていきたいです。
スタッフとコミュニケーションをとる
Q:目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような基本活動をしていますか?
佐伯 コロナ禍で業務のweb化が進み、時間が有効活用できるようになり、その分より多くのスタッフと話すようにしたりと、社内コミュニケーションの時間を増やすように意識しています。そうすると今まで聞くことのなかった各事業での課題などが色々見えてきました。やはり事件は現場で起きているので、現場の声をもっと聞くことが重要だと改めて感じています。
スタッフと話す時には、なるべく聞き役に徹するように意識しています。私は想いが高まると、つい語ってしまうので、質問をして相手が言いたいことを引き出すことを心がけています。スタッフと話すのは好きですし、何でも話せる雰囲気をつくれるようコミュニケーションをとる機会はこれからも大切にしていきたいです。
自己肯定感が低い
Q:「自律した女性たちを増やして、内面から溢れる美しさを」という夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?
佐伯 ヴィエリスを立ち上げてから、女性のスタッフたちが「役職に就きたくない」「マネージャーを降りたい」と申し出てくる状況に直面しました。正直、私には理解ができませんでした。けれど、よくよく話をしていると、彼女たちは決して甘えたり責任逃れをしているのではなく、自己肯定感が低いのだということに気づいたのです。周りが認めても自分に自信がなく、自分を認めないのです。それがわかってからは、面談をしたり、心理カウンセラーをつけたりして、自信をもってもらえるように様々な取り組みをしました。
そして3年前、ヴィエリスの女性の自律への取り組みがSDGsに該当するとのことで、国連で私たちの活動を話す機会をいただきました。その時、国連の方から、自己肯定感が低い現象は「インポスター症候群」だと教えていただき、なるほどと腑に落ちました。
インポスター症候群だと客観視することで、スタッフたちも自己理解が進み「なぜ自分はこうなったのか?」と疑問を持って自分自身に向き合えるようになったのです。私もスタッフに期待を押し付けたり感情的にならずに話せるようになり、とても建設的な対応ができるようになりました。
社会的弱者を向上させたい
Q:「自己肯定感が低い」という発見の背景には何があったのですか?
佐伯 私には、社会的弱者を向上させたいという想いがあります。私の母はバリバリ仕事をする人でしたが、女性と男性の扱いの格差についてよく疑問を持っていました。子どもの頃は母が言っていることがよくわかりませんでしたが、自分自身が社会人になった時、身をもって知りました。同年代の男性と給料の差があったり、キャリアを積む機会をもらえなかったのです。私は長く働きたかったですし、できるところまでキャリアを積んで成長していきたい想いもありましたから、とても悔しかったです。そんなある日、エステサロンに行くとエステティシャンの方たちはとてもやりがいを持ってキラキラと働いていたのです。そんな風に働きたいと思って仕事をしながら専門学校に通い、エステティシャンになりました。しかし、いざエステの世界に入ると、やはりトップは男性でした。そんな女性の立ち位置を変えたくて、ヴィエリスの立ち上げメンバーになったのです。
全くのゼロからのスタートで、立ち上げの本部長になりました。「絶対に成功させなくては!」というプレッシャーを抱えながら、周りが求める本部長になろうと、周りのことばかり気にしていました。無愛想で無口だったのですが、そんな本部長像を求められていると勝手に思い込んでいたんです。そうすると、偽りの自分と本当の自分がどんどん乖離していきます。初年度で20店舗を目指し、7人のスタートから1年で300人になった時には、心身ともにボロボロで、半年に1回は高熱を出して倒れる状態でした。それでも甘えるなんてダサい上司だと思い込んで一人でがんばっていたんです。でも、ついに限界まで来た時、「もういいや、助けてと言おう」そう思いました。本性をバラしてしまうと開放感でいっぱいでした(笑)。心がとても楽になって、仕事を楽しめるようになりました。スタッフともよく笑って話し、共に涙するようになって、距離が近くなったと感じています。振り返ってみると、当時は私も「私なんかでいいのかな」とインポスター症候群になっていたのですね。
ヴィエリスを立ち上げる時、「この会社に入って良かった!」と、スタッフに思ってもらえるような楽しくやりがいがある会社にしたいと思い、それはずっと変わりません。スタッフのご両親から「娘はヴィエリスに入って変わった」というお言葉をいただいたり、感謝のお手紙をいただいたりした時は本当に嬉しくて、「もっと頑張ろう!」と私の何よりのモチベーションになっています。これからもスタッフと共に自己肯定感を高めて、自分の内面から溢れる美しさを育てていきたいです。
読者への一言メッセージ
佐伯 個性を大切にありのままの自分でいてください。
記者 女性と男性の社会的な格差や、自身もインポスター症候群になった経験を通して、誰もが自己肯定感を高めて自律した輝く生き方をつくることで日本一を目指しておられるのですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。
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【編集後記】
今回、取材を担当した小水です。
自分で自分を律する人間の本質を大切にされ、それが毀損されていることに対して立ち向かう志と実践力がある素晴らしい方だと思いました。一人ひとりに向き合いながら、社会全体を大きく変革していくエネルギーを佐伯さんの内面から溢れる笑顔に感じます。インポスター症候群になる原因が明確になった時、自律した女性、自律した社会を具現化する未来が加速度的に広がっていくと希望を感じました。