横須賀初の絵本専門店をオープンして6年 『うみべのえほんやツバメ号』店主 伊東ひろみさん

6年前に横須賀市初の絵本専門店をオープンされて、今は地域の文化発信基地としても、地元に愛されている”うみべのえほんやツバメ号”の伊東ひろみさんにお話を伺いました。

伊東 ひろみさん プロフィール

出身地:名古屋市

活動地域:神奈川県

経歴:短大保育科の時に絵本の魅力、奥深さを知り、大人も子どもも楽しめる絵本屋を開くことが長年の夢に。6年前、二人の息子たちが成人するタイミングで横須賀唯一の絵本屋として夢を実現。街の絵本屋として地域とのつながりを大切にし、地域の作家、文化なども発信。豊かな街づくりの一助となりたいと思い活動中。

現在の職業および活動:「うみべのえほんやツバメ号」店主

座右の銘:『人生はチョコレートの箱のようなもの』


「ここが好きで来てくれる人が、戻って来れるようなお店でありたい」


Q.最初に、まず夢やビジョン、理想について聞かせてください

伊東さん(以下、敬称略) まず、こういうお店を開くことが長年の夢でした。開いてからは続けることが夢ですね。近くの高校に通っていた子が、6年経って、お母さんになってまた来てくれたり、小さい子がどんどん大きくなっていく様子が見れたらいいなと思います。できるだけ長く続けて、ここが好きで来てくれる人が、また戻って来れるようなお店でありたいですね。

お店を始めて、地域とのかかわりも増えてきました。意外と地域に知られていなかった横須賀ゆかりの作家さん(コロボックルの本を書いた横須賀出身の作家、さとうさとるさん)をもっと広めたいなと思います。あと、万代会館という、近くにある茅葺の古民家も、住んでいた万代さんが素晴らしい人だったと知って、これは残す意味があるんじゃないかと。同じように感じる仲間と保存の活動や、知ってもらうための活動もしています。

やりたいことがどんどん増えてきますが、一番はお店を続けることなので、それには、お店の外に出ることも大事だと思っています。親御さんが本に馴染みがなく、お店に来る機会がないお子さんにも、本に興味を持ってもらえたらと、昨年から学校の図書ボランティアの活動も始めました。

「次につなげられるような道筋をみつけたい」


Q.夢や理想の実現のために、どんな目標や計画を立てていますか?

伊東 本当は、開店して5年後には、自分が(このお店を)できなくなった後も、次につなげられるような道筋をみつけたい、と思っていました。ここがずっと残って欲しいなと思っていて。誰か人でもよいし、何か違う方法でも。まだそれは見つけられてないのですが・・・。なので、次の5年の間には見つけたいと思っています。

作家の落合恵子さんが、自伝的な小説の中で、子どもの本のお店を74歳で他の人にバトンタッチしたという話を書いているのを読みました。そんな風に、うまくバトンタッチできる人がいたらいいなと思います。それまでは、今やっていることを続けていくことですかね。これからやっていきながら考えていきたいと思います。

以前、ふらっと来られたおばあちゃんが「やっと横須賀にも文化的なお店ができるようになったのね」と仰ってくださった一言が嬉しくて。横須賀の豊かな文化や、歴史を知ってもらう場所のひとつになったらいいなと。

「どんな人が来ても喜んでもらえるように」


Q.そのために、日々取り組んでいること、気を付けていることはありますか?

伊東 続けていくことが大事かなと思っています。続けている先に何か見えてくるんじゃないかなと。続けていると、いろんな人とのつながりが見えてくるので、そこから自分の発想では思いつかなかったことが見えてきたり助けてもらえたりするんですよね。

そして、来てくれたお客さんを、がっかりさせないこと。お客さんがどういうことを求めてここに来たか、本を探しに?原画展に?お茶を飲みに?いろんな目的があると思うのですが、どんな人がきても喜んでもらえるように、また来たい、と思ってもらえるように、そんなことも考えながら、お客さんと接しています。

あとは、日常とは違う空間になるように、ということも心がけていますね。生活感が出ないように、ここにいる間だけでも、夢のある空間で、現実と離れて絵本の時間をゆっくり楽しんでもらえたらなと思います。お店つくるときもそれをすごく考えて、壁材や床材にこだわって、どうやったら可愛くなるか、生活感のない夢がある空間になるかを考えました。予算もあるから自分でできるところは自分でDIYして、壁も友達が来てくれて塗ってくれたんです。

この前嬉しかったのは、小さな男の子をつれて親子で来られたお客さんに、帰り際に「何歳?」と話しかけたのきっかけに、そのお母さんが「実は、ここがオープンした頃に一度来てるんです。その時は、まだこの子生まれてなくて。今は都内に住んでいるのでなかなか来れないんですが、子供も一緒にすごく楽しめたので、また来ます!」と話して下さいました。しかも、「6年前来たときに、このお店をオープンしたキッカケをきいたんです。そのときすごく感激して」と。私、何を話したかは覚えてないんですけど(笑)、そんなお話を聞けると嬉しいですね。6年間が飛んじゃったくらい、あっという間だったなーと思いました。

「生かされているならば、自分に悔いなく生きよう」


Q.絵本のお店をやってみたい、と思われたのは、どんなきっかけだったのでしょう?

伊東 20歳くらいから漠然と、いつかお店をやりたいとは思っていました。でもいろんなことを考えると無理だなあと。やりたい気持ちだけはあったんですが、どうやって始めたらよいか分からなくて。自分で諦める理由をつくるような感じで他の仕事をしていました。

そんな私に、火をつけたのは息子の一言でした。
ちょうど震災があったころ、息子が東北の大学に行っていて、無事だったんですが、将来についてすごく考え直したみたいで。

その息子に、私が「お母さんがあなたぐらいのときには、絵本屋をやりたいと思ったり、海外に行きたいと思ったり、いろいろ夢があった」と話したら「じゃ、なぜそれをやってこなかったの?」って言われたんですよ。
そっかー。私は「やってこなかったんだ」ということに気付かされて。やりたい気持ちはあっても、やろうとしてこなかったから、やれないんだ、って気付いた時、悔しかったんですね。そう言われるのが。息子に「自分はそういう生き方はしない。やりたいことをやっていく」と言われて、厳しいなあ・・・悔しい!と思って。
でも、それがキッカケで、やりたいことの火が消えてなかったことに気付いて、火をつけてもらいました。

震災があって、そんな日本自体が大変なときに、自分の夢を追いかけるようなことを考えていいのだろうかと思ったんです。でも、「生かされてる」と思ったら、いつ何がおこるかわからない、それなら自分に悔いなく生きることが大切じゃないかなと。やりたいことは実現する努力をしたいと思ったんですね。だから、2年後にお店を持ちたいという目標が、2年経ってできていなくても、チャレンジしている姿は、息子たちに見せたいと思いました。

そこから2年間、どういうふうに始めたらいいのか等、いろんなお店に行って話をきいたり、いろんなところに学びに行って、そしてこのお店を始めました。お店を持つことがゴールとは思っていないんですが、自分が開いたお店が、たくさんの人に受け入れられてるのって嬉しいですね。


Q.20歳で絵本屋さんをやりたいと思ったのは?

伊東 名古屋の短大で、保育科だったんですが絵本の授業があって、絵本と子どもの文化や、絵本の選び方を学びました。学校の近くに絵本屋さんがあって、住宅地の中のこじんまりとしたお店だったんですが、何回か好きで行っていて、切り株みたいな椅子があったり、こんな絵本屋さんがあるんだ!って衝撃だったんですね。

実は子供のころ、あまり絵本を読んでもらった記憶がなくて、「ぐりとぐら」なんかまったく知らなかったので、「なつかしい!」と言っている同級生がうらやましかったんです。その短大の時に、いろいろな絵本に初めて出会ってとっても楽しくて。これに子供のころ出会ってたらどんなに楽しかっただろう?小さいときにワクワクしながら読みたかったなー!と思いました。

もし、地元に絵本屋さんがあれば、小さいときから、絵本と出会えるんじゃないか?絵本作家ではなくて絵本屋さんになりたい!と、その時に思ったんですね。卒論も絵本と子供のことを書きました。

「絵本は、子どもだけじゃなく、大人にも十分たのしめるということを伝えたい」


Q.子供にも大人にもわくわくしてほしい!という気持ちがおありなんでしょうか?

伊東 子供向けの絵本でも、大人にとっても楽しいし、ジーンとくるものもあります。私は「しろいうさぎとくろいうさぎ」という絵本がすごく好きなんですが、読んだときに、「この絵本は、子ども向けなの??」って思ったんです。20歳の私にとっても、すごく素敵な絵本でした。

そんな風に、絵本には、子どもは子どもなりの、大人は大人なりの楽しみ方がそのときどきであると思っています。同じ本を何回も読むのもいいし、娘さんやお孫さんに読んであげるのもいいし。10分かからずに読める絵本がすごく心に残ったりするんですよね。

絵本って、こんなにも幅広くて深いものなんだよ、子どもだけじゃなく、大人にも十分たのしめるものなんだよ、ということを絵本屋として伝えていきたいと思っています。


Q.最後に、座右の銘を教えて下さい。

伊東 『人生はチョコレートの箱のようなもの』です。

韓国ドラマの『私の名前は、キム・サムスン』の主人公が、面接のときに話した言葉ですが、この考え方で、私は目が覚めた思いがしました。

人の人生はチョコレートの箱のようなもので、何が入っているかは、それぞれ違っていて、食べてみないと味もわからない。いつ、どれを食べるかは自分次第。

今までの人生も、これからの人生も自分が考えて選んできたチョコレートと思うと、失敗したり、苦い思いをしても、すべて自分が選んできたものだから、大切にしようと思えて、後悔しない生き方が出来るようになった気がします。


記者 今日は、貴重なお話を聞かせていただいて、どうもありがとうございました。

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●HP『うみべのえほんやツバメ号』
URL http://umibenoehonya.com/

【編集後記】
インタビューを担当した平野、久保、宮崎です。
絵本のことを、わくわくしながら紹介してくれる伊東さんの姿と夢のある空間に、3人ともすっかり魅了されてしまいました。そして、大人も子供も、どんな人も受け入れて、「また来たい!」と思わせる空間と人柄が、そのまま伝わってくるインタビューでした。
今後の伊東さんのご活躍を、心から応援いたします!

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