「みんながやらないことをやる」これからの医療・環境に働きかける小児脳神経外科医 大森義範さん

大森義範さんプロフィール
出身地:北海道帯広
活動地域:北海道札幌市
経歴:持続可能な食料生産と環境維持の研究者を目指していたが、兄の病気をきっかけに急遽医学部への転身を決意。脳神経外科医として北海道各地で多くの脳卒中患者さんの診療した後、脳神経外科の中でも特殊な小児脳神経外科を選択。現在、北海道立こども総合医療・療育センター脳神経外科医長。

農学部から突然、医学部へ

記者 今のご活躍のきっかけを教えていただけますか?

大森義範さん(以下大森) 元々医者になるつもりは無かったんですが、自分が高校生の時に兄が統合失調症になりまして。

それまで次男として感じなかった「責任」のようなものを感じるようになりました。

兄さんは一体どんな病気なんだろう?と思ったのと、将来的に兄さんを養う必要性を感じて

月並みですが安定した収入が期待できる医学部を目指しました。

中高生の時は農学部志望で、持続可能な社会づくりとか、砂漠に強い植物を作るとかそういったことを目指してましたね。

今もそういったことには関心があって。小さなことですが、ゴミ拾いとかにも参加しています。厚岸の牡蠣の活動でも、牡蠣を維持するのに「森づくり」が大切だと知って、何か力になりたいと思って関わっています。

学生の時に登山をしていたんですが、卒業後も山小屋の維持活動や環境保護の勉強をしていました。

医学生の時、精神科医を目指していましたが、どうしても家族のなかにその病気の人がいると感情移入しやすくて、これは精神的によくない!と思ってその道は手放しました。

でも別なアプローチから心の首座である脳や神経に関わることがしたくて、脳外科を選択しました。

医者になって5年間は脳外科研修と研究をして、その後地域の脳卒中医療を経験する間に、あるコラムと出会いました。

それを読んで小児の脳神経外科という特殊な分野にチャレンジすることにしました。

記者 どんな記事だったんですか?

大森 脳外科の雑誌だったんですが、そこに掲載されいてる小児脳神経外科の先生がすんごい登山家で・・・しかも、とんでもない、ヒマラヤの未踏峰に発登頂者として2つも名を刻んだって言う人本当にすごい人で。

僕は有名な先生方のような技術があるわけではない、20年で400人の人を手術したとしても、他の若い人やもっと上手い人のほうが成功率が高いかもしれない。だったら数は少なくても、自分にしか出来ないような手術ができる人間になろう」

と言う記事を読んで

「みんながやらないことをやる、自分しかできないことが出来る人間になろう」

と思うようになり、小児の脳神経外科を選択しました。

小児の脳神経外科を選択する人って本当にすごくレアで。元々どちらかといえば野球やサッカーより、アイスホッケー、登山とか。自分にはその傾向がありましたね。

実際やってみたら「やりがい」、というか。相手の人生にすごく貢献した実感がありました

記者 なるほど〜その視点からみたらすごく今の大森さんが理解できるような気がします。今は未来にむけてやっていることはどんなことがありますか?

大森 北海道、その他の地方も同じ状況かと思いますが、これからどんどん子供が減ってきますよね。その中でどう今の医療体制を維持していくか?を対策を練る必要があると思います。

例えば手術の技術習得。神の手とか、そいういうスーパースターが1人くらいいても良いって思いますけど、そういうのじゃなくて。さぼらず普通に努力したら、習得できる環境づくりが大事です。

専門医の不足や入口となる総合診療医の導入、医者が持続的に維持できる体制づくりですね。

記者 大森さんの科はたしか・・・医師3名でしたか?

大森 いえ、医者2名体制です。大学病院の脳外科の研修で3ヶ月間レジデントが来てくれるので、その時は3名ですが。24時間、365日を外来、入院患者、手術、救急対応を2名で行っていますし、さらに小児の総合診療的な救急当番も担っています。

病院内の効率化やさまざまなシステムの向上のためにも東京や海外へ勉強にいくことも必要だと感じて、なんとか2人体制の中で上手く外へ出られるように調整しています。自分の持っている課題を後身に残したく無いって思います。なかなか難しいですけどね。

記者 その体制の中でソウルへ研修に行かれたと言うことは・・・・

大森 はい、上司がその期間24時間待機してくれていました。本当に、本当にありがたい。

記者 上司に待機させるって結構気を使いそうですね。しかも「待機」と言っても常にスマホの音など気は使いますし、待機の時は無茶できないですよね。

では、韓国、ソウルの研修で感じたことを聞かせてください。

大森 韓国は脳神経外科のある小児医療センター自体が実質2つ、日本にはその10倍近い数の小児センターがあります。人口は韓国の方が少ないですが、それでもものすごい数の患者さんがいました。患者さんが多い分、システマチックに診断、治療が行われている部分では効率的だと思いましたね。

ですが、医療レベルは自分達が札幌でやっていることと大きな差はないということも、わかりました。

実際行ってみるのと、話に聞いているのでは違うな、ということも感じましたね。

記者 東京やさらに海外にも学び、前進しつづける大森さんだからこそ、お伺いしたいのですが、この地域(北海道)に対してはどんな思いがありますか?

大森 人口減少は、人間にとっても悪かもしれません。でも、地球規模でみたらどうなんでしょうね。でも、少なくとも急激な変化(少子高齢化)はよくないんじゃないかな。自分は今そこに住んでいるから、住んでいる人達を元気にしたい。

医療が劣っているから北海道に住みたくない、とは言わせたくない。
だから、東京は良い意味で刺激になりますね。「対抗心」というか(笑

東京に負けたく無い。

東京にしか出来ないことはもちろんあります。便利ですし。自分も学びに行くこともあります。

仮に北海道に不便があっても、それを解決していくのも住んでいる人でありたい

それに、静岡県や長野県の小児病院でも充実した診療体制を敷いています。東京にしか出来ないわけじゃない、札幌で出来ない理由はないはずです。

手術が無くなっていき、人間らしさの追求を必要とする時代

 

記者 最近さまざまな分野で、AIやIoT、ロボットのなどが話題ですが、どう思われますか?

大森 自分の分野ではまだまだロボットやAIの応用は入って来てないですね。でも、(成人の)脳外科医をしているころから、脳卒中の手術自体が頭を切らずに出来るようになるなって、手術無くなるなって思って。カテーテルに移行しているのを目の当たりにしました。

単純作業的な医療はAIの導入で大きく変わると思います。

AIがあまりに進化すると人間が必要なくなっちゃう・・・AIができない「人間らしさ」を追求する必要があるんじゃないかな。

 

記者 大森さんご自身はどんな美しい時代を創っていきたいですか?

 

大森 美しい時代って、月並みですが、皆が幸せな時代、であること、だと思います。

それは、明日もっと幸せになるためにはどうすれば良いか?を問い続けることでもあります。

幸せになる前提として、自由に使えるまとまった時間が現代人にとってもっと必要かと思います。どの人も働き過ぎかなって。過重労働の上に立っている社会ってどうでしょうか?仕事を頑張ることは大事だけどツラい人も沢山います。

どうやったら自由に使える時間が増えるのかもっと考えるべきだし、

自分も制約があるなかでも可能な限り自由にふるまっているつもりです。

 

記者 最期に読者へメッセージを頂けますか?

 

大森 若いうち(自分が若いと思う歳!まで)に24時間打ち込めるような、24時間そのことばかり考えていられる、恋人のような?(笑)趣味でも勉強でもいいので一つ、できれば一緒にできる仲間も併せてみつけてください。

仲間は頑張って探せば必ず見つかると思います。

それぞれの道でナンバー1を目指すこと、本職に自然体で24時間打ち込めること、ができる人は尊敬しますし応援もしたいです。

本職とそれ以外の自分の融合で何か生まれると思いながら活動を続けるのが明日の自分と社会の活力を生むのに良いのかなと。

あと、疲れたらちゃんと休んでいます

ある時は人を巻き込んで、ある時は人に巻き込まれて、一緒に美しい時代を作っていきましょう。

 

記者 自分が夢中になれること、そしてその仲間を見つけること。他人に合わせ、環境に合わせるだけでなく調和しながらも自分自身の道をみつけること。その道を模索し続けるのが人生と言えるかもしれませんね。

本日はお忙しい中、貴重なお話をいただきありがとうございました。

大森義範さんの詳細情報についてはこちら↓↓

https://www.facebook.com/peak1839

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/db/hkr/examine_03_11.htm

【編集後記】
インタビューの記者を担当した深瀬と中西です。

医療でも自然環境でも、今の課題を客観的に見つめ、一歩一歩着実な変化を作る、その心粋が行動力や周囲への影響力となって波及しているのを感じました。みんながやらないことをやるからこそ、次の一歩を作る第一人者として個性を発揮できる生き方ができるのだと実感させて頂きました。今後も大森さんの活躍を楽しみに私たちも「みんながやらないこと」に挑戦していきたいと思いました。

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