子どもの可能性を引き出すシュタイナー教育の講師 兼 雑貨専門店ペロルのオーナー”井手芳弘”さん

プロフィール
出身地:佐賀県
活動地域:主に福岡県
経歴:中学校教員3年間勤務の後ドイツに留学。シュタイナー学校クラス担任資格、高学年クラス(生物、化学)教員資格所得。
現在の職業および活動 : 福岡、東京などで子供や大人の水彩及び手作り教室、大人向けのシュタイナー教育の学習会などの講師、シュタイナー学園の非常勤講師を務める。玩具店「ペロル」経営、木工玩具、家具、楽器などの製作、ドイツ語の翻訳通訳なども手がけている。ヴァルドルフ教員養成講座(東京)講師を歴任。らせん教室常任講師。
座右の銘:わかったようなことを言うのは10年早い

「仕事は自分の中の垣根をとること。できないと思ったことはやってみること」

Q:どんな心の在り方や認識の変化が今の活躍につながっていますか?

井手 まず活躍につながっているかはわからないですね。自分ではあまり活躍できていないと思っています。とりあえず自分がやることを日々淡々とやっていて、もっとやらなきゃいけないなって思っているところがあります。だからといってfacebookやSNSとかでわーっと話題になって、その話題性の中で力をつけてやっていくのもちょっと違うかなって。だからもうちょっと自分に厳しくやっていかなきゃなって。

記者 その中でも日々取り組みながら、特に大切にしていることはありますか?

井手 店の競争相手も含めて、相手をライバルってつい思いがちになりますよね。そういう自分の中にある垣根をどう取り払っていくか。そういう人と仲間になっていこうとする動きを大切にしています。

記者 井手さんはあくまで自分に向き合うんですね。

井手 そうかな。でも何のために仕事をするかが大切で、仕事はあくまでそのための手段だと思うんですよ。以前、つみきやさんと一緒に仕事をしていた時に、つみきやのオーナーに言われたことですけど。「仕事って修行だね」って言ったら、「店では修行しないでね、店は商売するところだから」って(笑)。仕事って、自分を開いていこうとする方向性、自分との戦いみたいなところがありますね。

それと今まではできないと思ったことをとりあえずやってみます。以前、シュタイナー学園の子たちを教えてほしいって言われたときに、できないだろうと思ったんです。でもとりあえずやれることを精一杯やってみました。そういう形でやれるようになったことがたくさんあるんですね。自分が準備できなかったことには悔いを感じますけど、その結果うまくいったかはあまり考えません。お店で商品を見せるのも、自分にとっての課題はお客様にきちんと紹介できたかどうかで、お客様がその結果その商品を買っていただけるかどうかはあまり考えない。自分ができることを全部できたならO.Kなんです。

「違和感を感じることができるか」

Q:AIが活躍する時代に必要とされるニーズは何だと思いますか?

井手 違和感。例えば合成写真とかも含めて、最初に感じるのは違和感。最初に違和感を感じなかったら、それが何かおかしいって探し始めない。AIは今人間が蓄積したものを形にしている。そこが限界だと思います。外の自然のものって人の考えを超えているところがあるけれど、AI的なもの、それが合成写真に代表されるかわからないけど、その社会の写しをそれらしく創りあげる。人はそれが真実だと思う。だけどどこか違うんです。

合成写真の限界がどこにあるかっていうと、例えば、一度、地球に太陽が隠れている画像をネットで探したことがあります。宇宙に行って月側から見たときの画像で、本物の写真のように見えるけど、みんな間違っているんです。実際の写真がほとんどないっていうのもあるんですけど、頭でこう見えるだろうってイメージからつくった合成写真はとても本物っぽいけど、現実はそれとは違います。思い描いた絵だったら稚拙だから絵だってわかるけど、今の技術は本物の写真と思わせる画像が出来あがります。でもそれは人が考えた画像だから本物を映していないんです。月と地球の写真ですけど、一度だけ本物の写真を見たことがあるんです。本物はえもいわれぬ美しい色合いを呈している。赤からオレンジになって、黄色、緑、青、紫。人が思い描いたものとは違うんですね。だから最初に何かがおかしいって気づく違和感が、今一番必要とされているのではないかって思うんです。

「自分の足元を見るところから。問題の要素は自分の中にある」

Q:100年後、どんな美しい時代を創っていきたいですか?

井手 まず自分の部屋を片付けること。100年後につながるのは自分の身の回りをちゃんとすることかなって。みんな、周りを見すぎていると思ううんです。例えば美しい環境とか、美しい世界と言うけれど、自分の足元をほったらかしにしているんじゃないかな。まず自分の周りの環境をどうするかを考えたほうがいいと思います。そこから何かつながっていく気がします。

自分と外の世界って呼応している気がするんです。自分が変わると外の世界が変わる感じがあるし、イメージが変わる。外の世界を変えるためにはまず自分を変える必要があるかなって。例えば誰かが問題、事件を起こす。「なんでそんなことやったんだ!」と、人に非難したりすることが多いですけれど。まずはそんなことが起きた要素は自分の中にあるのかと考えることが大切だと思います。

「自分の中に生きたイメージをもつこと」

Q:人の心を動かすことが難しい原因は何だと思いますか?

井手 その人に理解させることと、その人の中にイメージを育てることは違うと思います。だから頭で理解しても行為に結びつくかというと違う。R・シュタイナーの考えの中でも、人の意思と感情と思考は独立していると言っています。シュタイナー教育ではどう考えるかというと、「先生の中にあるイメージが生き生きするほど、子どもにそのイメージが伝わる」と言っています。一人の人間はひとつの宇宙です。そして一人ひとりの宇宙は、全く別の世界です。自分の世界に持っているものを相手の世界に投げることはできません。共鳴でしかない。こちらで作ったイメージを相手が自分の中につくりあげたときに何かがつながるんです。

記者 イメージをどう伝達するか、ですね。

井手 話がすごいうまい人の話を聞いている人は、自分がどういう職業かどういう地位かとか忘れて全て話しに入っていくところがあります。そういう状態をつくっていくには、その人がどう自分の中に生きたイメージをつくることができるか。本当に生きたイメージをつくることができたら、聞いている人は自分に個人的に話しかけられている気がします。

記者 でもそれって、みんなそれぞれ宇宙が違うから難しいでしょうね。

井手 まず違うものだと思って。その人に直接何かを入れ込むことはできないんです。完全に世界は分かれているから。それを開いていくのは、その人のより個人的な生きたイメージではないかって思います。

記者 自分の中のイメージが生き生きしていること。それを大切にしているから井手さんは自分に向き合うのかなとつながりました。

井手 シュタイナーで好きな言葉があります。

お日様は草木に光を与えます。それはお日様が草木を愛しているから。同じように人の魂の光は、一人の人からもう一人の人へ伝えられます。でも与えようとする人がもう一人の人を愛しているときに。

何かが伝わるときって、表面的に何かが伝わっているかもしれないけど、相手の存在の魂を育てるには、愛情がないとダメだし、愛情を持ってかけられた言葉とかが必要です。さらに「愛している」を伝えるために別の言葉やいろんなことをやるわけじゃないですか。笑いを投げあったり、笑いに言葉をのせてやり取りしたり。だから今のコンピュータによる教育とかは問題だと思うんです。伝えようとする人の責任がないから。人から教えてもらった学びを他の人たちに伝える時には、その人を背負っている感じがあるんです。自分がR・シュタイナーのことやシュタイナー的な理科なことを話すときに、イメージとしてはその人たちが背中にいる気がするんです。人との関わりの中で、知識だけを伝えたいのではなく、そこに込められている目に見えない人の熱のようなものを伝えたいと思っています。

記者 「生きたイメージ」という言葉が胸に響きました。自分の中を見つめなおすところからだなと思います。今日はありがとうございました。

周りに振り回されることなく、あくまで自分に向き合う井手さん。AI時代になってもどんな時代なっても、それは変わらず人間が取り組んでいくべきことだと思いました。

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井手芳弘さんの詳細情報についてはこちらから↓↓
ペロルHP:https://perol.jp/
著書:「子どもの未来に必要なこと」出版 らせん教室

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【編集後記】
今回、インタビューの記者を担当した小水です。
初めてお会いしたにもかかわらず、とても気さくに話してくれました。「昔も今も自信がないんです」そういう井手さんは、常に自分の中に向き合い続ける強さを持った方でした。こんな先生に教えてもらったら授業が何倍も楽しくなると思います。
井手さんの今後の益々のご活躍を応援しています。

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