自己肯定感をあげる教育で、可能性にNoを出さない社会を創りたい Golpe(ゴルペ)非言語コミュニケーショントレーナー 新木美代さん
自己肯定感の低さが問題になっている今の日本。ご自身の体験から“非言語“の蓄積が自己肯定感を育んでいる事を発見し、メソッドを広めていかれている新木美代さんにお話を伺いました。
プロフィール
出身地:ドイツ
経歴:ドイツとアメリカに14年間住む。容易に言葉が通じない環境で
育った事から、言葉によらないコミュニケーションを読み解く方法を
身につける。
海外女性の自分が中心にある行動や発言、自信ある非言語行動を見て、
自分を含む日本人との在り方の違いを痛感。700名の日本成人女性の非言
語コミュニケーションを分析し日常習慣行動がいかに自信や印象、人間
関係、キャリア設計に影響するかデーターを集め事業を立ち上げる。ボ
ディーランゲージや声の抑揚等を変える事で自己肯定感を上げるメソッ
ドを体系化。6年間で70本登壇。行政、公的機関、教育機関から注目さ
れ執筆・講義多数。
現在の職業及び活動:非言語行動・非言語コミュニケーション研究家・講
師、鎌倉女子大学非常勤講師、東洋英和女学院大学外部講師、個人・企
業・行政・教育機関での研修多数。
平成28年度神奈川県社会参画推進事業受託
「自分が想像しなかった人生の道が拓いた時の、素晴らしさ!」
記者 よろしくお願い致します。
新木美代さん(以下、新木) よろしくお願い致します。
記者 今お持ちの夢をお聞かせください。
新木 幾つかの夢はあるんですけど、人生全般において、自分の可能性がどこまで広がっていくのかを知っていきたい、というのが凄く強いですね。
事業面でいえば、大学の教員採用試験対策講座で「自己啓発力」を高める内容を担当させて頂いています。私はこれでいいわとか、みんな自分の可能性を低く決めてしまいがち。でもそうじゃない。人が無理だと言ってても、もしやりたいのであればやってごらん、って。やった先には、自分が想像できない世界があるっていう事を、自分も知りました。新しい可能性を見つけた時の楽しさ、嬉しさ。そこからまた自分が想像しなかった人生の道が拓いた時の世界が素晴らしい。人生に対してワクワクしていくっていう事を、これから社会に出て子供を教えていく立場の学生に、自分の経験を通して伝えていけたらいいな、と思っています。
今、日本では自己肯定感が凄く低い、という統計が出ています。この自己肯定感を上げる方法は沢山あるのですが、学校の授業に組み込めていないのが現状です。他者を尊重する社会って皆さん言うのですが、その前に自己理解をしなければいけない。自己理解って何かっていうと、自分の自己肯定感を上げていくこと。それが凄く大切なんです。上がっていないと、他者を尊重できないですし。いじめや虐待、動物虐待、そういったものがなくて、自分がやりたい事をのびのびとやれる社会創りができたら嬉しいな、と。なので最終的には人権問題の方にいきたいと、思っています。
「相手の可能性にNoを出さない」
記者 人権問題というのは、どんなイメージなのでしょうか?
新木 世界的に目を向ければ、女性の地位に対する問題。また身近な人権問題という視点でいえば、相手や相手の可能性にNoを出してしまうこと。
自分の生きてきた経験値の中で、試した事もない相手の夢や希望や目標に対して、「それは無理なんじゃない」って言うのではなく、応援する気持ちが凄く大切だと思っています。
私達は社会の中で人間関係を構築して生きていますが、関係を構築する要素として、言葉だけではなく、心の状態が表れる表情やボディランゲージも会話の一部として組み込まれています。皆さん、自分の気分を変えて貰えるように何かいいことないかな、って他人に求めがちですが、実は表情やボディーランゲージは、自分の心理状態をも変える力がある、と云われています。意識的に自分の姿勢を整えたり、笑顔をする事で、ホルモン値が変わり、気分もよくなってくる。1人の笑顔が1000人に影響するって、これ本当に影響するんです。お互いが気分よく社会生活を送るために、まず自分を大切にして、気分よくいられるためのボディランゲージや表情をプロデュースする事で、相手に対する思いやりや余裕が生まれるのではないか、って思っています。なので人権っていった時に、相手を攻撃しない。あなたも私も違う人よねって。否定をお互いするのではなく、応援してあげればいい。凄い、頑張って!って。それだけで関係は変わりますよね。
特に女性は凄い力をもっているんですよね。人の心を察する力がもの凄くある。これは相手の表情を見る事で同じ気持ちになれたり、察したりする力が男性以上にあると感じています。これが人間関係を構築していく時に必要な共感や信頼へと繋がっていくんですよね。他にも雰囲気を変える力とか、相手や周囲を見守る力がある。これは凄い力です。社会が女性活躍推進っていってますけれど、それは社会に出て働いてお金を稼ぐという意味だけではなく、女性が自分らしく、自分をHappyにして、他人をHappyにする事も、私は女性の活躍推進だと思っています。
「自信に携わる教育を変えていきたい」
記者 夢に向かって何か計画は立てられているんですか?
新木 3年、4年、5年後には、女性の活躍っていうのは、起業や就職、それが全てではない事を、自分らしく輝く女性を応援しているWoman Expoのような大舞台で話せたらいいなって思っています。女性が起業して法人化したり資格がなくても、一個人がどうやって一定のお仕事を貰えるようにするのか、そのノウハウをお伝えしていきたい。それを見て、じゃ私もやってみようと思う女性を増やしていきたい、と思っています。
最終的には、人権問題や日本の子供達の自己肯定感について話し合う有識者会議で話がしたい。子供達の自信に携わる教育を変えていきたいですし、子供達と子供に携わる大人に向けて発信していきたいです。そういった立場の人間になって、小学校でも講演ができたら嬉しいです。
記者 そのために、日々どんな活動をされていらっしゃるんですか。
新木 私が持っているメソッドの内容を広めるために、その場を提供してくださる方々にアプローチをして、見て頂く必要がありますので、自分のセミナーや講義を一度見にいらっしゃいませんか、と営業をしています。教育機関の方、企業でいえば人事の方に一度見て頂いて、活動の場を広めています。来年度には教育機関、例えば先生方や、自己肯定感を追及されている教育者の方々にお話ができたら嬉しいです。
「誰もが自信を持てないのは、社会病」
記者 特別の人だけじゃなくて、誰もが本当に可能性を発揮できるようにしたい、っていう、その思いが凄く出ていらっしゃいますね。
新木 きっと私が事業を立ち上げた時に、無理だ、無理だって言われてきたからだと思います。私にはたまたま「こんちくしょう根性」というものがあるんですけど、それがあって見返してやる、っていうのが凄く強かったと思います。でも段々見返す人は誰なんだろうって思った時に、自分自身なんですよね。
ずっと自信が無くって、就職活動の時に先生に「自信を持ちなさい。」って言われたんです。「でも先生、どうやって自信を持つんですか。」って聞いたら、「持てばいいんだ!」って。100人には聞いたんじゃないかな。霊能者にもセラピストにも聞いたし、本も読んだけど、誰一人として自信の持ち方を教えてくれなかった。もうメンタルクリニックに行かなくてはいけないんじゃないかと悩んでいました。でも、ふと誰しも皆、自信が無いと言っていた、その現状を考えた時、これは社会病なんじゃないか、と。これは社会が何か大切な事を見落としているんじゃないか、って気がついたんです。
当時は、自分が自信を持てるようになるには、メイクやファッションを突き詰めたらいいんじゃないかと思って、イメージコンサルタントにもなりました。しかし、ある程度の知識を声高らかに言う自分が凄く嫌でしたし、何かが違うという空虚感が凄かったんです。トライ アンド エラーと、挫折と悲しみ、そういうものを乗り越えていった結果が自信なのに、それをせずにずっと逃げてたんです。でも36歳になった時に、私凄いピンチだ、って思いましたね。このままいったら、おかしくなっちゃう、って。だから徹底的に自分との戦い。自分を見返す。見返しているんだな、って思いますね。
「笑顔のプロデュースで、心の環境を整える」
記者 36歳でなぜそこに気づいたんですか?
新木 自分を活かすにはどうしたらいいんだろう、と悩んでいた時に、渋谷の就職支援センターで行われていた就職フェアで、イメージコンサルをした時の事を思い出したのです。就職条件は合っているのに、面接に何度も落ちてしまう方がいらっしゃったのですが、彼にはカラー&ファッションではなく、今まで私が経験した海外の人のボディーランゲージ、身振り手振り、背筋を伸ばすこととか、それをお伝えしていた自分がいたんです。目をみて、深呼吸して、胸を張って、歩き方はこうして、って。そして、一緒に歩こう、って言って練習しました。そして彼が今まで嬉しかった事や成功した、達成したと思う思い出を話して貰ったのです。その時、カラー・ファッションじゃないんだ、人が変わるっていう時には、これが成り立っていなきゃだめなんだ、って気が付いたんです。
私達を木で描くと、木には根っこがありますよね。自分らしくありたいと願うとき、花や実をつけた健康的な木を、皆さん望むんです。健康的な木になるには、豊かな土壌に健康的な根っこが張っているんですが、どうやって健康な根っこを作るのかというのが、私がお話している自己肯定感を上げる日常習慣行動です。ボディランゲージがホルモンを作るのですが、声の抑揚も、言葉遣いも良いものにしてあげると、良いホルモンが勝手に出てくる。笑顔はチョコレート2,000個分の効果があると言われているんです。マナー講座で笑顔しなさいと、よく言われているんですが、それは相手へ良い印象を与えるだけではなく、まず自分自身のホルモンを整えて、より良い心の環境に整えるため。印象がいいというのは、結果であって、根っこを育てる事が大事なんです。でもその根っこを育てているのが、自己肯定感という土壌なのです。なので土壌をちゃんと整えていくためにも、自分をプロデュースする日々の日常習慣行動の蓄積が大事だと思っています。
記者 自分自身をプロデュースする事の蓄積が、自己肯定感をあげるだけではなく、結果的に周りとの関係をより良いものに変えていくことになるんですね。自信に満ち、生きる事にワクワクしている日本人が溢れる未来が楽しみです。本日はありがとうございました。
新木さんに関する情報はこちら
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◇HP
https://www.facebook.com/golpe.araki/
【編集後記】
今回、インタビューの記者を担当した、住吉と平野です。
西ドイツで生まれ、日本、アメリカとインターナショナルな環境で育った新木さん。沢山の限界と向き合いながら、自分の心に真っ直ぐ向き合われてきたからこそ伝えられる可能性と生きる事へのワクワク感。
笑顔はもとより、明るく楽しいボディランゲージで、インタビューは終始、笑いの絶えない時間となりました。ぜひこれからも多くの方にワクワクする生き方を伝えていって頂きたいと思います。貴重なお話、ありがとうございました。
この記事はリライズ・ニュースマガジン”美しい時代を創る人達”にも掲載されています。