弁護士 北村真一さん 当たり前の視点を変える。世界を可能性で揺さぶりたい。

弁護士事務所と株式会社を兼任し、コンサルティングや独自事業にて活躍。環境保全、文化芸術、医療、地域活性事業等、世の中をより良くしていく活動への寄付制度など幅広く取り組みを行う“北村真一さん”にお話を伺いました。

北村 真一(きたむら しんいち)さんプロフィール

出身地:大阪府茨木市

活動地域:大阪ほか全国

経歴:昭和60年6月1日生まれ。京都大学大学院修了。

現在の職業:大阪弁護士会 弁護士法人まこと 代表

株式会社macoto.creative 代表取締役社長

座右の銘:常若(とこわか)

Q:今、どのような夢やビジョンをお持ちですか?

北村さん(以下 北村 敬称略):今、一番取り組んでいるのは “finale(フィナーレ)”という”お一人様のための終活サービス”の事業です。相続人がいない方の財産で国庫に入るものが年間500億くらいあるのですが、少子化や結婚しない人が多くなっている影響で年々増えています。そこに対して事前に「こういうことに使ってほしい」ということを決めておきませんか、という運動をしています。
これは何かというと、もっと日本に寄付の文化を作りたいんです。世界的にみても日本の寄付の割合は低い。文化はすぐには変わらないので、こういう活動から少しづつ増やしていければと考えています。
財産というものは自分だけの力で築いてきたものではなく、世の中のいろんな人の恩恵をこうむってできているので、それを少しでも世の中に返すというようなことが根付いていったらいいなと思っています。
さらに言うなら、民間から民間へのお金の移動を起こしたい。今は一回税金で上にあげてそこから公的に配られるという仕組みになっているので、公平性などが必要で特異なところには配れない。けれど、

世の中を変える、時代を動かすというのは、何を言っているのかわからないものなわけですよ。今までと全然違うわけだから。

そういう人たちの応援を、国が行うというのは無理なわけです。
でも、「この人は何を言ってるかわからないけど、すごいことをするんじゃないか」という人たちを応援する文化、「こういう未来にしたい、もっとこういう世の中にしたい」という夢に共感した人たちが民間から民間へ支えていける流れができれば、かなり可能性の広がる世の中、日本になると思うので、そういう下支えをしたいなと思っています。

記者:何を言っているのかわからないところに、可能性があるわけですね!

北村
:そう。わかっちゃうというのは、その程度の話なんですよ
きっと坂本龍馬とかは何を言っているのかわからない奴だったと思うんです。だけど、何か一所懸命やっているから応援する人たちがいて、それで世の中を動かしていった。そういう体制をつくりたいんです。あとはもっと皆に世の中の可能性はすごいんだよというようなことを認知していってもらうことが、そういう土壌をつくっていくことになるかなと思っています。

Q:今のお仕事をするきっかけは何ですか?どんな発見や出会いがあったのですか?

北村:新しいものに興味があるわけではなく、こういう観方、こういう可能性もある、というようなことに非常に興味があるんです。今の世の中で常識とされているものや当たり前と皆が思っているようなことは、必然的に今の形になり得たわけではなく、そこに生きる人たちの決断・迷い・エゴの集積から可能性の中の一つが選びとられているだけのことで、全く違う方向にいっていたということもありえるんです。

僕たちが常識であるとか、正義であるとか思っていることの土台は、そんなにはっきりしたものではないんだという気持ちがあって、そういうことを提示したいというか、揺さぶりをかけたい

例えば今ではこのスマホが当たり前になっていますが、こういう形になることが論理必然なわけではなく、チップを身体に埋め込む、というのが先にスタンダードになっていた可能性も全然あり得る話です。そういうことがあらゆる分野で言えるということです。
大きい話では、恐竜が絶滅した理由は今も謎が多く諸説ありますが、氷河期がきたからという説に対して、氷河期は一瞬では来ないので対応して生き延びた奴もいるはずだと。そこに対して”重力変化説”が出ています。恐竜のあの大きさで空を飛ぶ、あの足の小ささで巨大な体重を支えて走るなどは、今の重力では無理ではないかという研究もあり、総合的にみると恐竜が闊歩した時代の重力は今より弱かったのではないかという説です。重力は地球の自転と公転の早さにより変わると言われます。重力という基礎条件そのものが変わったことで、対応して生き延びることができずに一撃で絶滅したのではないかという説です。信憑性は不明ですがとても面白い話です。
何が言いたいのかというと、今の生活をする上で重力など意識もしないレベルの常識のような話ですが、そういう”基礎条件すらも当たり前なわけではない、変化しうる”という話です。世の中のルールを守らなくていいという話ではなく、もっと世界は可能性に満ちているので、そのマインドでいこうという話です。そういう趣旨で、新たなあり方の可能性を提示しようとしている人たちと一緒にいろんなことをやっていきたいし、応援していきたいという思いがあります。

記者:そういう追求に至ったきっかけが具体的にあったのですか?

北村
:父親が小学生の時に亡くなっているので、生きること、死ぬことについては、周りよりも早く深く考えるようになったとは思います。
本も好きで、松本一志の『遺書』を何回も読んでいるような小学生でした。哲学の本『ソフィの世界』の最後にあった「科学がいかに進んで、僕たちがこの世界の始まりが一つのオレンジからきたということが判明したとしても、そのオレンジがどこからきたのかという問題については、科学では解明できない」という意味合いの一節には非常に衝撃を受けた記憶があり、今思えば影響を受けていますね。
また、最近は般若心経や量子力学などを学ぶ中で、アジア的な”主観と客観を分離できないすべては一体化している”という世界観と、西洋的な”分析”探求の世界観が最終的に同じところに到達していく事に、すごく世界の不思議さ、豊かさ、面白さを感じています。
それなら一体、このくだらないことに悩んでいる世の中って何なんだろうか、もっといろんな可能性あるんじゃないか、もっとみんなすごいんだよ、いろんなことできるんだよ、ということを言いたい。みんなの思考をひっくり返したい、ちゃぶ台返ししたい、というような気持ちがあります(笑)。
衝撃を与えたいし、自分も衝撃を受けたい、それを共有して欲しい。
常識というか、人生観を揺さぶられるような経験を何回できるかということが「いい人生だったね」みたいなところにつながるのかなと思っています。それが世界の可能性のようなものかなと思っているので。
例えば、世界地図というものでさえ、いろんな角度から観ると、僕らが常識と思っていることに揺さぶりをかけられるんです。どんどん揺さぶっていきたい。そこから新しいものが出てくると思う。視点の転換が、新しい時代に求められていると思っています。

Q:AIが当たり前となる時代、人間としてのニーズは何だと思いますか?

北村:やっぱり、ダイヤモンドはダイヤモンドでしか磨けない、というように、人間性を高めるというのは人間同士の磨きあいがどうしても必要になってくるところがあると思います
この人に学びたい、この人みたいになりたい、この人に好かれたい、など人には成長欲求のようなものがあり、それを得ることによる満足感のようなものがあるんだと思います。例えば「こいつにこんなこと言われたから、悔しすぎて絶対乗り越えてやろう」とかは、AIに言われたとしても湧かない感情ですよね。
また、AIがどれだけいい曲を創ったとしても泣けないですよね。そこにある”物語(ストーリー)”というか、その人間と接しているということによって得られるものがあり、それはまさに人間固有の価値なので、それはなかなか侵食されないのではないかなと思っています。

記者:何によって心が動かされるのかというところですね。人間側にも進化が生まれそうですね!

Q:最後に読者に一言お願いします。

北村:AIによって大量のデータ分析等ができるようになり人間が気づかなかったような発見もあり、人間を超えるのではないかということが言われていますが、データというものはあくまでも過去の集積で、”今までの世界のあり方”を前提としたものです。その、”今までの世界”にパラダイムチェンジが起きるということが、大いにありえる話なんです。
インターネットが存在しなかった頃の購買行動のデータは、今のマーケティングに全く役立たないように、世の中の動きがどんどん早くダイナミックになっているので。
今までのデータが全く役立たないようなパラダイムチェンジを起こす、起きる余地というのはいくらでもあるし、起こせるんです。なので、今までの世の中の、今の世界が当たり前だと思わずに発想してほしい。

でも、どれだけパラダイムが変わっても、変わらない価値というのは絶対あるので。前提を覆して変わる、変えられる可能性のものと、その中でも変わらないものというのをどう見極めるかというのが大事かなと思っています。

座右の銘の「常若(とこわか)」は非常に深い日本古来の思想で、20年に一度建て替えられる伊勢神宮本宮の式年遷宮に由来するのですが、建物自体は常に新しくなっても、その佇まいは1300年前に見たものと同じ。そこに宿る精神性は残されている。伝承され続ける技術と精神性というのはすごい財産です。生き残り続けるために建替え続けるということに非常に興味を持っています。
人間の細胞も常に入れ替り、一年前と今の自分では全く違うと科学的に言われていますが、その中で人間としての同一性は維持されている。世代でみればDNAは固体を乗り移りながら生き残っている。その細胞や生命のあり方と「常若」の精神の話はつながっているのではないかと思っています。
ビジネスも会社も生命体なので、どう生き残り続けるかというのは全世界的なテーマになっているわけですが、そのヒントはまさにそこにあるのではないかと思っているんです。

常に変化し続けることで変えないものを遺す、というところで「常若」というキーワードを推しています

記者:非常に共感します。伊勢神宮は日本人のDNAのルーツでもあると思いますし、さらに生命の仕組みと社会の仕組みがつながる大変興味深いお話でした。本日はありがとうございました!

******** 北村さんの活動についてはこちら ↓ ↓ ↓ ********

◎まこと弁護士事務所:    http://makoto-law.com/
◎finale(フィナーレ)
株式会社macoto.creative:   https://finale-macoto.com/
◎blog:           https://profile.ameba.jp/ameba/makotoconsulting
◎twitter :       https://mobile.twitter.com/fgsslczukzngdgi       

【編集後記】
今回、記者を担当した福田と小池です。
事務所のメンバーみんなで毎日ランチにいくという家族的な繋がりを大事にしながら、世界や時代の変革を見据えた本質的な視点で、書ききれないほどの面白いエピソードを聞かせていただきました。「面白きことのなき世を面白く」の実践を共にしていきたいと感じました。ありがとうございました!

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