日本と世界の懸け橋になりたい。有限会社フォント代表取締役 宮外真理子さん
通訳・翻訳会社を経営し、自らも翻訳・通訳・ガイド・ライター業をこなされている宮外さんにお話しを伺いました。
宮外真理子さんのプロフィール
出身地:大阪
活動地域:都内 取引先は世界中
現在の職業及び活動:有限会社フォント代表取締役就任(2012)
使用言語は 日本語、英語、ドイツ語(日常会話)、留学した国はカナダ、ドイツ、ニュージーランド、デンマークなど。
資格 総合旅行業務管理者 総合旅程管理主任者資格 高等学校教諭免許(英語) 小学校英語指導資格
国際学会やフェスティバルなどでの通訳、テレビ番組でのインタビュー、書籍の翻訳まで幅広い分野で活躍。
座右の銘:Everything is possible for him who believes
言語の違いから起こる問題をなくしていきたい
Q1.宮外さん(以下、敬称略)はどのような夢やビジョンをお持ちですか?
宮外:言語の違いから起こる問題をなくしていきたいです。大学卒業後に今の会社を立ち上げましたが、色々な言語を使える人達がいるのでその力を最大限に利用して、人と人の間の壁になってしまう言語の問題を乗り越えるお手伝いをしたいです。
最近は新しい技術にも興味があり、音声認識の技術に注目しています。日本にいる外国の方が医療機関を利用する時や、犯罪を起こしてしまった時の取り調べなどの際の通訳の手助けができたらと思います。言語が違うことで問題が大きくなったり悪化したりする場合があります。あとは教育分野でも、お母さんが外国人だと学校や行政と上手くコミュニケーションがとれなくて、子供が通訳者になることがあります。家と外とのやりとりを現地語のわかる子供中心で行ってしまうと、子供が親を頼りづらくなるという問題があったりします。
他言語で発信されていることや他言語を話す人達の情報などを素早く得られるようなシステム
Q2.ビジョンを具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?
宮外:今はAIやロボティックスが発達してきているので、機械のサポートも取り入れながら、他言語で発信されていることや他言語を話す人達の情報などを素早く得られるようなシステムを考えています。
2020年のオリンピックと2025年の大阪万博に向けて、動画翻訳のシステムを構築できればと思っています。5Gが一般化すると、情報がやりとりされるスピードがあがって、今よりもインターネットで動画をみる機会が増えるのではないかと言われています。動画の再生の際、音声を聞ける環境とは限らないので字幕付きの動画の需要が高まると予想されています。字幕であれば外国語に切り替えるのが音声切り替えよりも容易なので、動画字幕翻訳の需要も高まるのではないでしょうか。
言葉が通じたという最初の瞬間が好き
Q3.活動指針というか、どんなことを大切にされていますか?
宮外:外国に旅行に行く時は、旅行会話レベルで、現地の言葉を書き文字も読み文字も勉強してから行くようにしています。
記者:わざわざそうされるのはなぜですか?
宮外:英語は合意をとるとか、表面的に話す時というか、いろんな人と共通にフラットに話す時は便利ですけれど、ローカル言語で話すほうが失礼ではないと思います。向こうの方にとっては英語は第二、三外国語なので、ローカル言語を話すとフレンドリーになってくれます。それにローカル言語がわかると入ってくる情報が増えて、選択肢が増えるとその国をもっと楽しめるので、なるべく現地のものを食べる・現地の言葉で話す、を心がけています。
あとは言葉が通じたという最初の瞬間が好きです。初めての言語だとレベル0からスタートだからそれが味わえます。なかなかうまくいかないけれど一発で通じた時の、勉強したものを使えたんだ!という感覚が気持ちいいです!
なんでわからないんだろう、わかるようになりたい!!
Q4.そもそも夢を持ったきっかけは何ですか?そこにどんな発見や出会いがあったのですか?
宮外:父が仕事でドイツ語や英語を使っていたので、元々言語が周りにある環境で育ちました。アルプスの少女ハイジをアニメで見ていて、2歳の時からドイツに行きたいとずっと言っていたらしいんです。ハイジになってチーズが食べたかったんです(笑)。それでやっと8歳の時に連れて行ってもらえたのですが、周りが言っていることが全然わからなくてすごく不思議だったのを覚えています。アニメのハイジは日本語だから、ドイツに行っても当然話が通じると思っていたんですね。だから痛烈になんでわからないんだろう、わかるようになりたい!!と思いました。
記者:ローカル言語を使うとその国の人たちの印象が変わったりしますか?
宮外:はい。言語が変わると考え方が変わるし、ものの見方が変わります。同じ言語ですら同じものを地域によって違う言葉で表したりします。たとえば普通のドイツ語だと「Kartoffeln (語源は、イタリア語の「tartufo」「tartufolo」で、トリュフを指す言葉)」なのに、南部やスイスドイツ語だと「Erdapfel(地面のりんご)」という言い方をします。
また、デンマーク語の好きな言葉でHygge(ヒュッゲ)という言葉があります。意味の説明が難しいのですが、「クリスマスの時に家族団らんでいる時の雰囲気」のイメージだそうです。日本だと「わびさび」みたいな感じでしょうか。このようにその国の特徴的な言葉があるんです。色々な言語をやることによって、一つのことに対しての見方が多視点になるのが面白いですね。
記者:言葉だけじゃなくて言語の背景のイメージをみていらっしゃるんですね。
その人が考えていることをもう一回想像しなければなりません
Q4.言語を多視点でみる感覚がついたのはいつですか?
宮外:小さいころに英語だけじゃなくてドイツ語もやっていたのが良かったのかもしれません。英語だけだったら、日本語と外国語が一対一となってたかもしれませんが、一杯ある言語の中の英語、日本語という感覚を持っていたので、言語は一対一の対ではないという感覚がありました。
言語は思いを伝えるツールの一つですが、人がアウトプットした時点で思ったことを100%は表現できていないと思うので、その人が考えていることをもう一回想像しなければなりません。そのために相手の文化を知る必要があります。同じものを見ているのに言語によってイメージが違って、アウトプットが変わり、しかも100%表現しきれてはいないということを前提に話さないとどんどん話が食い違っていきます。
だからこそ言語の壁が原因で問題が起こっていたりするのをみると、つなげたいという気持ちがあります。自分が海外に行くとマイノリティで、病院に行くのも言葉が通じないから大変です。そういう時、現地の人が助けてくれたりしたので私も日本にいる時は助けてあげたいですね。
記者:貴社のHPにある「世界と日本の懸け橋」というのは表のビジョンで、その裏に言語によって起こる問題から人を助けたい想いがあるんですね。インタビューは以上です。貴重なお話をどうもありがとうございました!
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【編集後記】
今回インタビューの記者を担当した見並と戸来です。
言語が導いてくれる世界の人とのワクワクする出会いと、言語の違いから起こる問題という両面をしっかり見据えている宮外さんから、新しい言語の可能性や魅力を知ることができました。どうもありがとうございました!!