NPO法人 地域医療連繋団体Needs代表理事 伊東浩樹さん

NPO法人の他にも、建築関連の株式会社、社会福祉法人の施設管理者など、5つの仕事を手掛ける伊東さん。それは全て未来への準備。「人と人を繋げたい」その心ひとつをもって、日々新しいことにチャレンジし続けている伊東さんにお話を伺ってきました。

プロフィール
出身地:福岡県
活動地域:北九州市
経歴:医療従事者として病院勤務をしていた際に、地域医療や医療福祉の新しい在り方を模索。病院などの医療機関以外でも地域住民に医療を身近に考えてもらうためNPO法人を設立。
現在の職業および活動 : NPO法人、社会福祉法人、教育機関に従事しながら全国各地を周り地域医療についての講演や医療コンサルタント、ライターとして医療、福祉に関連する事柄も執筆している。ライターとしては、マイナビコメディカルやセラピストプラス、その他、地方の医療福祉関連企業、冊子のコラムにも携わる。
座右の銘:個として戦い抜く力を大事に

記者 今日はよろしくお願いいたします。

伊東浩樹さん(以下、伊東 敬称略) よろしくお願いします。

「人と人を繋ぐ仲介役は自分にしかできない」

Q:どんな心の在り方や認識の変化が今の活躍に繋がっていますか?

伊東 変わるきっかけになったのは20歳の時ですね。20歳まではお笑い、歌、勉強など、あらゆる挑戦を徹底的にしてきました。それである程度そういう道筋での自分の限界点を知ることができたんです。同時に、それとは別に自分しかできないことがあると気づいたんです。それが、人と人が繋がるっていうことの仲介役になるということ。

記者 それで今も、伊東さん自身がみんなの中に入るよりは、みんなが働くシステム、育つシステムをつくる立ち位置をとっているんですね。

伊東 自分が率先して前線に出て何か進めていくよりは、一歩下がって全体を見ながら管理と運営していく方が向いてるかなって。

記者 人と人を繋ぐことが自分にしかできないということは、なぜ気づくことができたんですか?

伊東 他の人もそれをチャレンジしていただけどできなかったことが自分がやるとできたのがわかった時です。「あの人が言ったら一緒にはやりたくないけど、あんたが言うならやろうか」という声が増えてきたんですね。

記者 何をやるにも一人では限界ですから、人と人を繋ぐ仲介役の役割は大きいですね。

伊東 はい。だから団体名の「連携」も「連繋」にしています。

記者 想いのこもった名前ですね。

「繋がりをつくることは人間にしかできない」

Q:AI時代に必要とされるニーズは何だと思いますか?

伊東 AIは効率的に物事を運んでいくとか、人じゃなくてもできるような作業はかなりやってくれると思います。けれど繋がりをつくったり、それを進めていったりとかは、人にしかできないと思うんです。

記者 まさしく伊東さんたちがやっていることはAIにはできないということですね。

伊東 対話して目を見て表情を読み取って、人が何を考えて、何を感じているのか。そうしたものを読み取った上で一緒に作っていくものなので。これからはそうした事業を考えて構築していく人だけが、人として台頭していくのかなと思います。

記者 ちなみに目を見て、表情を見て、繋がりをつくっていく時に特に大切にしてることはありますか?

伊東 相手の話を最後まで聞くこと。

記者 シンプルだけど難しいことですよね。

伊東 そうですね。対話する時って、自分の持っている引き出しが多ければ多い人ほど話をしたがる。それをいかに我慢して、相手が言い切ってからこちらの話を展開するのか、それとも聞かずにするのかでは、全然違ってきます。本当に相手が聞きたいことを読み取ること。その見極めはAIにはできません。表情を見ながら相手が話を言い切るまでのタイミングを知るのは、直接会って話す人間同士にしかできない。そこはAIが進化しても、これからも変わらないと思います。

「みんなが幸せに笑顔で過ごせる地域医療社会を創る」

Q:100年後どんな美しい時代を創っていきたいと思います

伊東 NPO法人は僕ともう一人共同代表の男がいますが、僕らは5年後、10年後と先の計画を立てているんですね。それで、僕らがいつも言っているのは「僕らが生きてる間は僕らが想像しているみんなが笑って過ごせる地域医療の実現は難しいだろう」って。生きてる間ってのは、今僕ら30歳なので寿命を考えるとあと50年くらいかな。ある程度の所まで実現できると思います。でも色んなイベントをやっていく中で顔を出す人たちはいいんですけど、出せない人たちにまで幸せな地域医療が浸透するっていう時代は難しいと思っています。

記者 自分の目の届かない範囲までは難しいと。

伊東 そうですね。50年では目の届く範囲まで。100年後は今進めている後身の育成や生まれてくる子供たち、その子たちが僕らの意志を受け継いでどんどん裾野を広げていって、僕らの目が届かなかったところにまで想いを伝播することによって真にみんなが笑顔で過ごせる地域医療が実現すると思っています。

記者 ちゃんと自分たちの目が届かない範囲のところまで考えているんですね。ちなみに50年の範囲ではどのぐらいの規模感まで成し得ると考えていますか?

伊東 自分の住むなんとか市とかなんとか区のところまでは大丈夫だと思います。全国的、世界的にまで広めるのは、さっき言ったように50年では無理。様々な突破しないといけない壁があります。人の価値観の壁もあるし、人種や文化の壁もありますから。

「まずは相手を全部受け止めること」

Q:人と人が連携することを難しくさせている原因は何だと思いますか?

伊東 個々が動いている形がいっぱいあるので、自分たちの我というか壁が出来過ぎてしまいます。そうすると他者を受け入れないというか、見えない壁ができてしまうことが原因のひとつだと思います。

記者 確かに我というのは他者を受け入れる妨げになることもありますが、個性とも言えます。そこのジレンマはどう考えますか?

伊東 だからこそ僕らが仲介者という役割をやっています。僕らが介入することによってそれぞれの個性を失わずに、既存の良いものはそのまま残った状態で連携ができるように尽力したいと思っています。

記者 仲介者という役割をする中で、特に大切にしていることはありますか?

伊東 その人やその団体自身を全て受け止めることです。やっぱり話しているとこの人と価値観が違うなとか出てきます。宗教観もみんな違いますし。でもそれを僕らがはねのけてしまうと「お前ら言っていることが違うじゃないか」、「真の仲介者になるんだろう、繋ぐんだろう」と。繋がるって本当に難しいんです。だからみんな、なかなか繋がれてないじゃないですか。だからこそまずは全部受け止めることを僕らから始めることだと思っています。

記者 すごい覚悟ですね。全部受け止めて色んなものが全部入ってきて、自分の中で整理しきれなくて、自己内の矛盾などが起きたりはしませんか?

伊東 それはもちろん色んな団体さんに足を運ぶと、この団体の会員になってくださいとか、やっぱりありますよ。でもそこをうまくコントロールして、その後も繋がり続けることが僕らにしかできないことなので。僕はそれを大変と思ってないんです。むしろ楽しいと思っています。僕らが仲介者となって、相手の人たちが自分たちの価値をもっと知ってもらおうと、舞台に一歩出ようと思われた瞬間の顔が本当に素敵なんです。その顔を見るために、そしてさらに繋がっている人たちが影響を受けて笑顔になっていきます。それを楽しみにして今は頑張るだけです。

記者 笑顔が繋がっていくんですね。ありがとうございました。

人と人を繋ぐという難しくも人間にしかできないこと。人との繋がりの先に、誰もが笑顔で過ごせる地域医療社会が実現されますね。

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伊東さんの詳細情報についてはこちら↓↓

NPO法人地域医療連繋団体Needs HP : https://www.npo-needs.com/
Facebook:https://www.facebook.com/hiroki.ito.98871

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【編集後記】
今回、インタビューの記者を担当した小水です。
人と人を繋ぐ仲介者としての役割に徹しながら、誰もが笑顔になれる地域医療社会を目指す伊東さんの姿は坂本竜馬を彷彿とさせました。すでに自分のこと以上に、次世代の育成に取り組んでいる伊東さん。
今後、益々のご活躍を応援しています!

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