「スウェーデンを拠点に、日本と北欧がコラボレーションする新しい国の姿を模索するために活動している」川崎 一彦さん

課題先進国日本から、課題解決先進国日本にしていくことは大人の責任と捉え、面白いことが好きで常に世界の情報にアンテナを張りながら、お互いを補完し合あえる人間づくりと国づくりに向け、教育の分野から働きかけている、川崎 一彦 さんにお話を伺いました。

プロフィール
出身地:滋賀県
活動地域:北欧及び日本
経歴:ジェトロ(日本貿易振興会=当時)ストックホルム事務所勤務・北海道東海大学助教授、教授(2013年定年退職)
現在の職業と活動:無職・BEYOND 2018の名称で世界に貢献するために日本と北欧がコラボするプロジェクトをスタートアップ中。

「課題先進国日本、これを解決する責任が大人にあると考えています」

Q. 今の日本をどのように見てらっしゃいますか?

 今の日本を課題先進国と見ています。私の妻はスウェーデン人です。
1970年、アメリカ留学から日本に帰る途中に、当時文通のやり取りをしていた妻に会うために初めてスウェーデンに寄りました。その後、結婚してスウェーデンに住むことになり、今はスウェーデンから日本を見ています。そこから見た日本は、元気がないし、少子高齢化・経済低迷・巨大な財政赤字などがあり、このままだと日本が続かないことは分かっているのに議論ばかりして、誰もアクションを起こしません。沈むことがわかっている日本丸をみんな黙ってみている状態です。それによって困るのは若い世代なので、これを解決する責任が大人にあると考えています。

 シンギュラリティに向かう21世紀の技術革新のスピードは、20世紀の200倍と言われています。議論をしている間に、前提条件は変わってしまいます。なので走りながら考える必要があります。

「日本の変化を作るには、起業家精神の教育が必要だと思います」

Q.課題先進国日本から変化するために、何が必要だとお考えですか?

 囲碁でAIが勝ってしまう今の時代は、一人で頑張っても限界がある時代です。2人以上がチームを組むと違いが面白いし、お互いを補完し合うことができるのです。私は起業家精神の教育が必要だと考えています。チームによる創発は1+1を3以上にします。「創造性」と「自己効力感」が必要です。「創造性」とは、他の人が思いつかなくて役に立つことを思いつくことです。「自己効力感」とは、自分でもできる、という確信です。

 私が開催しているワークショップでは、分かりやすいように①から③のステップでご案内しています。創造性は行動から生まれるので、①行動してみよう②小さいことから始めよう③他の人と一緒に行動しよう。

 これは、大企業に勤めていても公務員でも必要な能力です。日本人は頭がいいし、問題を理解しているけれど行動に移すのに時間がかかりすぎています。背景に、丸暗記の日本の教育の問題があります。東海大学で教鞭を取っていた当時、起業家精神を持たせる教育を取り入れようとしましたが、小学校から高校まで丸暗記教育を受けてきた学生たちに、急に大学から始めようとしても難しいと感じました。フィンランドやスウェーデンでは、就学前から起業的な精神を学ぶ教育を行うことによって、自分で考えて自分で判断して自分で行動できる人材を育てています。

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「日本は軍事力ではなく、”文化”と”イノベーション”のソフトパワーで世界により大きな役割を果たして欲しい」

Q どのような日本になっていく夢・ビジョンをお持ちですか?

 私は日本と北欧が密接に協力関係を作っていくことを通して、課題解決先進国日本になっていく必要があると考えています。何故、北欧かと言いますと、例えばフォーブスが3年前に公表したカントリーブランドランキングで日本が1位、そしてスウェーデンは4位でした。この2つの国が協力関係を組めば世界的にも大きなインパクトがあると考えています。これからは、人と同じように国と国との、コラボレーションも大切です。日本とスウェーデンがお互いを補完していくことで、1国ではできないすごいことが世界に発信できると考えています。

 新たな時代の環境条件に対応しないと日本の未来はないと考えています。かつて、”Japan As No1”と言われた時代がありました。あの時代は何がNo1だったのか。それは製造業です。しかし、今、日本国内での製造業は賃金ななどの理由からだんだんと縮小している現状です。
 今後も、物づくりは中国やベトナムなどに任せて、日本が進むべき道は特許デザイン、著作権、ソフトなどの知的財産を創造していく道だと見ています。

 知的財産を生み出すイノベーションのためのポテンシャルが日本にはあります。たとえばこだわりを除去する禅の心です。スティーブ・ジョブスは自分の作った会社に解雇された時に禅の修行をしました。彼は禅によって自由な心と心の強いエネルギーを得たことによって、後のイノベーションにつながったといっています。

 イノベーションを起こす為にも禅は有効であると考えています。日本の心や禅は、世界に通じる普遍性を持っています。日本は軍事力ではなく、こういったソフトパワーで世界に大きな役割を果たして欲しいです。

「BEYOND 2018の名称で、世界に貢献するために日本と北欧がコラボするプロジェクトをスタートアップ中です」

Q その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような活動をされていますか?

 私は今、年金生活でどこかの組織に所属しているわけではないので、基本、自分が面白いと思うことをやっていますが、日本に来た時には創造性を育成するワークショップや北欧の教育をご紹介する活動をしています。

 今まで行った取り組みと例としては、日本とフィンランドの幼稚園で相互交流をする支援を行ってきました。たとえば2つの国の子供たちが協力して1つのアニメーションを作るという試みです。日本の東海大付属本田記念幼稚園の園児たちにアニメを作ってもらい、アフレコをフィンランドの園児に入れてもらう取り組みもなされました。その他、日本と北欧の幼稚園で、自動車をコンセプトから考えてモデル(プロトタイプ)まで作ってもらいました。そうすると、日本の子供はメカに関心がいき、フィンランドの子供はデザインに関心がいく様子が見えました。それが分かることで、お互いの強みと足りないポイントが明確になり、補完しあえる可能性を感じています。

 またスウェーデンと日本をつなぐ試みとして、2018年はスウェーデンと日本の国交が樹立して150周年という節目でした。12月に「BEYOND2018」というテーマで講演をさせて頂きました。「BEYOND2018」とは、”世界に貢献するために”日本と北欧がコラボレーションするプロジェクトのことで、現在スタートアップ中です。その講演の中で、1国でやるよりは国同士が協力していくことでインパクトが生まれることをお伝えしました。

「利他性の経済学」の著者 静岡大学の舘岡康雄先生と「優しさという技術」の著者 ステファン・アインホルン教授の対談の中で「人の為は、自分のためにもなる」というメッセージが伝えられていました。この方向はこれからの多くの人の価値観になっていくと感じています。

 私は既に教育の現場から退職しましたが、今でもさらに学び続けています。なぜなら、今までは人生は大きく3つのステージ(学び→仕事→リタイヤ)で分けることができましたが、これからはステージ分けが難しくなる人生100年時代となっていくからです。(『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)-100年時代の人生戦略』)

たとえば私は65歳で定年退職しましたが、その後35年もあるわけです。ですから、学び直すことが必要だと考えています。今、スタンフォード大学などの世界の大学の講座を無料でオンラインで学べる仕組みがあり、私は「創造性」や「デザイン思考」の講座を受講したことがあります。この仕組みで世界中から約3万人が受講しており、その中で、関心のあるキーワードを持つもの同士でグループを組み、ディスカッションをしました。私は、カナダとルクセンブルグとノルウェーの方と組み、そのやりとりの中で日本とスウェーデンの子供達が組んで”何か”ができる為のアプリのプロトタイプを作りました。

「開拓精神があり、”こだわりがない”心のポテンシャルを活用して日本の心を伝えることは、北海道が挑戦すべき課題」

Q 先生の日本での活動の中心は北海道だとお伺いしましたが、何故北海道なのか、北海道のポテンシャルについて教えてください。

 僕が日本から離れたのは1972年でしたが、もう日本には戻らないと決めていたんです。僕が北海道に住もうと思ったのは、北海道は”日本ではない”と感じたからです。北海道は気候が北欧ととても似ていたことや、こだわりのないメンタリティのポテンシャルを強く感じたからです。アイヌの人たち以外は皆よそ者ですから北海道の外から人が来ても、よそ者扱いをされないわけです。このような意味で僕は北海道は“日本ではない”と言えると考えています。
海外のビジネスマンが日本に来たいなら、まず北海道にきて馴染んだのち本州に行くと馴染みやすいと考え、東海大時代に”Soft Landing Japan Seminar”を開催しました。

 海外から日本へのインバウンドは昨年3000万人に達しました。海外からお越しいただく方に”こだわりのない心”日本の心を体験してもらいたいものです。かつての開拓精神を再起させ、こだわりがない心のポテンシャルを活用して、日本の心を伝えることは、北海道が挑戦すべき課題の1つだと考えています。

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BEYOND2018プロジェクト:http://bit.ly/2EX3UGO
Facebook:https://www.facebook.com/kawasakikazuhiko
HP:https://kawaski.jimdo.com

【編集後記】
インタビュー記事を担当した、赤尾・堀江です。

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 川崎先生のお話を通して、日本の中から日本を見る視点ではなく、世界のなかの日本、北海道を見ることで、日本の役割や希望が見えてくると感じました。これからの日本が勝負をしていくべきは心であり、教育にあることを強く感じました。
また、北海道は『日本ではない』というお話はスウェーデンにお住まいの方だからこそ見えてくる視点だと感じ、北海道のもつポテンシャルを感じることができる時間となりました。川崎一彦さん、ありがとうございました。

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