幾多の事業を展開する、人結びのプロ。 株式会社三根自動車代表取締役、大石秀一さん
人と人の触れ合いを大切にされながら、本人が展開される事業だけでなく、地方創生、政治団体、倫理法人会など様々な場所で活躍されている株式会社三根自動車代表取締役の大石秀一さんにお話をうかがいました。
プロフィール
出身地:佐賀県三養基郡
活動地域:佐賀県内を中心に九州、沖縄など全国
経歴:九州産業大学を卒業。富士火災海上保険株式会社に3年勤務した後、家業であった三根自動車整備工場に勤める。
現在の職業および活動:株式会社三根自動車代表取締役。
株式会社plan代表取締役。
NPO法人Link 相談役 など。
座右の銘:出逢いが人と地域を創り出す
人の夢を叶えることも、自分の夢。
Q.今後はどのような夢やビジョンをお持ちですか?
大石さん(以下大石、敬称略):
これから地域レベルではなく国レベルでの、大きなことをやっていこうとイメージしていたものもありますが、正直このコロナ(COVID-19)の影響で、大きく変わりそうな気もしています。
今までの考えでいくと、人と人、地域と地域、人と地域をつないで形にしていくことが私の使命と思っていました。
この状況下で確信しているのは、コミュニティを絞っていくことかと。
ネットが普及しどんどんデジタル化して、電車や飛行機で遠くにもすぐに行ける環境が整ったけれども、何かすぐにこれ欲しいと思ったとき、目の前の人と物々交換できるような助け合える環境は小さなコミュニティだと思うのです。
商売の在り方、人との付き合い方、今はすべてが原点に戻るときだと思います。
あとは、人の夢を叶えるのが、自分の夢ですね。
自分がやりたいことよりも、誰かがやりたいことへのサポートなど、自分がやれることをやっていく方が満足度が高いんです。
Q.そのビジョンの実現のために、どのような目標計画がありますか?
大石:極端にいうと、地域で全部が補えたらいいなって思ってるんです。
そんなに収入が高くなくても、心許せる仲間が近くにいて、居場所があること。みんなにそんな環境があれば、心が豊かになって、生活も賄っていけるだろうし。
昔は、いい車に乗りたい、収入を増やしたい、大きな会社にしたいっていう目標があったけれど、果たしてこれが望みかな?って、なんか違うような気がしたんですよね。
最近は自分がやってきたことに対して、これやって貰えませんか?って周りからの相談が集まってきて、解決していくことが多くなりました。自分ってやっぱりこっちかなって思うようになったんです。もちろんできないこともあるけれど、できないことはできる人に頼めばいいし、今までのネットワークをつなげながらやっていけばいいかなって。
これだけ色々やっていると、色々な人が寄ってくるんですよ。怪しい人もいました。(笑) 付き合える人も限られてくる中で、お互いに嘘をつかない、本質で付き合える仲間をつくっていきたいし、そんな仲間とやっていけたらおもしろいって思うんです。
記者:「つながり」を大切にされていることがよく分かりますね。
大石:そうですね。でも過去と比べると付き合う人がだいぶ変わったなと思います。「自分が求めている人としか出会わないし、求めている人しか残らない」って言われたことがあります。どれだけずっと一緒に過ごした仲間でも、自分の考え方や路線が変わったりしたら、今までの人と縁を切らなくても自然に離れていくし、もしまたその人たちを必要としたときは自然にまた出会うようになる。今の周りを見渡してみたら、その通りだなって気がします。
時間は有限だから、ビジョンを共有したい人たちとつながっていきたいし、そういう人たちのために時間を費やしていきたいと思っています。
Q.普段から大切にされている活動指針はありますか?
大石:自分の人生「ここまで」って範囲が分かっていたら、今が2割くらいでもまだいいかと思えますが、誰もそのタイミングがいつくるか分からない。その中で、今の位置にすら満足できていなかったら絶対後悔しますよね。だから悠長な時間は使いたくないと思っています。
今、誰と付き合っているのか。今、何をしているのか。「今」を大事にしています。先(未来)は変わるものだけど、今は誰しも変わらない。人は今しか分からない。
あとよく言うのは、やり方と在り方の違いです。
人間として、企業人として、という在り方を変えずに大切にしていれば、やり方は極端な話、筋道に合えばなんでもいいんです。
全体的な総論は変わらないけど、具体的な各論は変わるし変化していい。思わぬものが入ってきても、それも受け入れて変えていけるような、ニュートラルな感じで生きていけたらいいなと思っています。そうやって人生設計を楽しんでいるんですよ。
記者:なるほど。つい目先のやり方に意識が行きがちですが、「在り方」の大事さが伝わりました。
Q.たくさん人をつなぎながら事業展開をされていますが、やろうと思ったきっかけを教えてください。
大石:2008年頃、地元の商売人同士で不景気だから商売が厳しいという話をする中で、人口減少や社会的な問題のせいにするだけではなく、その中でもやれることがあるだろう、みんなで地域を盛り上げていこうよって話が出たんです。
でも、集まったのはいいものの、じゃあ何をやればいいの?ってなって(笑)
私たちは商売人なので、とりあえず人を集めよう!イベントやろう!って話しになりました。
その中で、今でも私たちが大切にしているのは「自分たちがやりたいのはボランティアではない」ということです。NPOはよくボランティアと言われるけど、私たちはあくまでも商売人です。商売人である自分たちが地域にできることをやることによって、多くの方に知ってもらえるし地域のためにもなります。社会貢献をするためには、それだけのお金と時間も必要だし、それを得るためにも自分たちを売り込むことも必要です。
二宮尊徳のたらいの水の話にあるように、自分の方から利他の精神で相手に水を押しやれば、必ず自分に返ってくる。だけどそもそも、たらいの水が入っていなければそれもできないですから。
記者:本当にその通りですね。営利と非営利の関係性は非常にナイーブですが、とても重要な考え方だと思います。
Q.その利他の心を持つようになった背景にあるものはなんですか?
大石:田舎で育ったことだと思います。田舎は隣の人が大根を持ってきたり、近所同士がおすそ分けする機会が多くあります。そういう中で育っていると、お互いが助け合うのが当り前、自分だけでは成り立たないことが重々分かっています。地元で商売を始めた時から、お客さんが車検に持ってきてくれているのに、お土産持ってきてくれたりして。こっちが仕事もらっているのに、普通逆でしょ(笑)
近所の人達が、「あんただから」って、近くにきたとき寄ってくれたりして、温かみがあるんですよ。
自分が今何かをできる環境にあるなら自分も何かをやるし、でも会社が厳しければ何かやりたくてもできない。そんな余裕がないし、そういうマインドにもならない。だから自分の商売をうまくいかせるのは大前提です。
自分の商売がうまくいっているから、地域や人のため、ボランティアもできるわけですからね。これができて初めて利他でやれる。この順番を崩さないことを大切にしています。
これからの方向性も早急にしっかり考えなきゃいけません。
これから起こることは世界恐慌のレベルじゃない。業態を考え直したり、180度目線を変えてでも生き残るのにどうしたらいいかを考えていかないと。
人としてどう在るべきかを外さなければ、過去や何かにこだわる必要もないと思います。考え方の柔軟性が必要ですね。
Q.最後に読者の方にメッセージをお願いします。
大石:これからの変化に乞うご期待!
記者:経営者として、人として、「在り方」の大切さと柔軟性の重要さを改めて学ばされました。大石さん、本日は貴重なお話ありがとうございました!
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大石秀一さんの活動、連絡については、こちらから
【編集後記】
記者を担当した荒牧(写真右上)、不知(写真下)です。
株式会社、NPO、財団法人など多種多様な事業を展開される大石さんは、まさに何かと何かをつなぎ合わせる「間」のようなポジションの方だと思いました。
力強い言葉の裏に、とても深い愛情をひしひしと感じます。
大石さんの益々のご活躍とご健勝をお祈りいたします。