東京都仙川で地域に根ざした街づくり (株)グローバル設計代表 菅哲生さん
近年、東京都仙川はマイナビウーマンのサイトで「新婚夫婦が暮らしやすい都内の穴場駅ナンバーワン』に選ばれるなど、都内でも若者に人気でおしゃれな街として注目を集めています。
38年間仙川エリアを中心に、建築家として活躍している株式会社グローバル設計の代表取締役〝菅哲生さん″からお話をお伺いしました。
菅哲生(かんてつお)さんプロフィール
出身地:熊本県・阿蘇
活動地域 :東京都調布市仙川
経歴:九州の熊本から建築家を目指して上京し、日本大学で建築学を修め、㈱石本建築事務所をへて、昭和56年(1981年)8月に(株)グローバル設計を設立。
現在の職業および活動:調布市を中心に、地元に根ざした設計事務所として、集合住宅・商業施設・住宅等多岐にわたる建設設計を手がけている。
座右の銘 :『無理なく、そつなく、されど限りなく』
「父親の姿を見て、迷いもなく建築設計の道に進んだ」
記者 今の設計のお仕事をするようになったきっかけは?
菅哲生さん(以下、菅 敬称略)
父親が熊本で県会議員もしていたけど建築設計士もやっていて、熊本市及び阿蘇にある仏舎利塔など設計していたんですよね。
小さい頃現場によく連れて行ってもらっていました。
親父がよく図面を描く姿を見て憧れてね、何の迷いもなく建築設計をやりたいと高校の時から思っていました。
そのためには、熊本でやるのと日本の中心地東京でやるのは違うと思って、東京の大学に入って上京したんです。
記者 仙川の土地を選んだ背景は?
菅 兄弟7人いて全員東京の大学に来ました。
そのときに親父が仙川の70坪の土地を買って2階建ての住宅を建てたんですよ。(笑)
そこに7人の兄弟が順番に住むことになりました。親父がその仙川の土地を選んだ事が、先見の明があったと思います。
なぜ仙川で仕事ができたのかというと、大学を卒業して石本建築事務所に入って、調布市役所などの設計に携わるようになりました。
その時期に、友達の下宿先だった、書店のオーナーさんと親しくなり、書店の建て替えの依頼を受けることができたんです。
後でわかったんですけど、そのオーナーさんが仙川で一番の大地主の分家だったんです。
その建物の完成披露のときは商店街の会長がきて、当時そんなデザイン性のあるビルは仙川になかったので、商店街の会長がびっくりしていました。その会長さんからの設計依頼が2件目で、さらにそこから会長さんの紹介で次々に依頼を受けるようになりました。
みんなが応援してくれるようになり、そこで独立を決意して、グローバル設計を立ち上げました。その後、大地主の本家からも設計依頼を受ける事が出来るようになりました。
「人として好かれ、信頼を得ることが大切」
記者 仙川駅周辺だけでも70棟もグローバル設計の建物が建っているそうですが、一つの建築事務所がここまで建てているのは珍しいそうですね。
日々、設計のお仕事をする中でどんな苦労がありましたか?
菅 グローバル設計は地主さんから直接の仕事をやることが多いんですが、打ち合わせをしながら進めていく中で、地主さんは色々な考え方があるんですよね。
特に事業収支というのがすごく大切で、建物がかっこよければいいというわけではないんです。事業収支を最優先に考えながら、企画設計を進めるんです。
地主さんの望んでいるものに対して、私の夢をそこにつぎ込んで、地主さんの夢につなげていくことが私の仕事です。
色々な人と会うことは大変なことも多いですし、大きな地主さんは個性的な人が多くいます。
その地主さんの信頼を得るのが大変です。
まずは人として好かれることが大切ですね。
私が仙川に来た頃は、商店街通りは砂利道で、周りには建築家なんていませんでした。
そこから街が徐々に発展してきて、仙川は昔、各駅停車しか停まらなかったんですが、今は区間急行まで停まるようになりました。
今では仙川は若い人に魅力がある街で、色々な人気のある店舗もあるし、緑も多く残っているし、スーパーマーケットが5つもあります。
「個性鮮やかに、主張ある街づくりを」
記者 どんな心の在り方が今の活躍につながっていますか?
菅 自分で言うのも何だけど、設計に対し一生懸命で真面目だったし、地元の人間じゃなかったから、可愛がられたと思います。
九州熊本から上京して、一生懸命に頑張っていて、みんなが認めてくれて、みんなが手助けしたいな、という風に思われたんですかね。
営業等でたまに建設業者さんが来ると、「菅さんは、仙川生まれですよね。」と良く言われました。(笑)
もちろんそれだけじゃありませんよ。
今までの仙川にはないデザイン性のある、かっこいい建物を建てていったのもあると思います。
お客様一人一人が個性ある建物を建てたいという気持ちがあり、その希望をヒアリングして、希望に沿うように設計しています。
うちの設計は決して同じデザインはないんですよ。
好みに合わせて作るから、今の仙川があるんです。
今の賑わいがあるのは、一つ一つの建物がちゃんと個性を持って並んでいて、変化があってショッピングするのに、街並みが面白いから。だから人が集まってくると思います。
お客様は、自分の一生をかけて、借金をして建物を建てます。
なので、個性的な自分らしい建物を建てたいと、みんなが思っています。
その希望をくみ入れて、全部違うデザインで建てたからこそ、仙川が個性的な街になって、新婚さんや若い人が住みたい街になったのではないかと思います。
記者 これからの時代、どんな美しい街づくりをしていきたいですか?
菅 最初は砂利道で田舎だった仙川が、最近では都内で一番若者が住みたい町だと言ってくれているのを聞き、うれしく、そしてびっくりしました。
仙川の街をつくってきたという信念と誇りを持って、これからも老若男女、誰にでも人に住みたいと言われるような街づくりをさらに広げて、社会に貢献できればと思っています。
記者 今日は貴重なお時間をありがとうございました!
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(株)グローバル設計代表 菅哲生さんの詳細情報についてこちら↓↓
●会社HP http://www.global-sekkei.com
編集後記
インタビュー記者を担当した岩永です。
今回、グローバル設計の事務所にお伺いする際に、初めて仙川駅で降りて街並みを観ました!
人が賑わっていてとても活気があり、色々なお店や個性的な建物があるけれど統一感がある素敵な街だと感じました。
人との出会いや繋がりを大切にしてきた菅さんの姿勢態度が、この仙川エリアの地域活性化につながっていることを知り、このような街並みがどんどん広がっていけば良いなと思いました。