「誰かの一歩を踏み出すきっかけであり続けたい」HR LABO代表 宮治 有希乃さん
人材・組織開発コンサルタントとして北海道にとどまらず広く活躍されている宮治有希乃さん。企業のコンサルティングから個人セッションまで、幅広く柔軟なサポートをされています。その実践力の背景をお伺いしました。
プロフィール
出身地 北海道
活動地域 北海道を中心に全国
経歴 2007年より民間企業で人事労務・人材育成に携わり、 現場の最前線で人材採用から社員育成・定着化、人事制度構築、 キャリア支援などを経験したオールラウンダー。
外資系人材総合サービス会社、ITベンチャー企業出身。
2018年10月、寄りそうコンサルタントグループ HR LABOを立ち上げ、独立。現在は人材・組織開発コンサルタントとして、主に人材育成や採用・定着化などの組織人事コンサルティングを中心に活動中。
現在の職業および活動内容 寄りそうコンサルタントグループHR LABO代表
座右の銘 「人生は掛け算だ。どんなにチャンスがあっても君が「ゼロ」なら意味がない」
誰かの一歩を踏み出すきっかけであり続けたい
Q:どのような夢やビジョンをお持ちですか?
宮治 有希乃さん(以下 宮治 敬称略) 高校生のころから一貫して思い続けていることがあります。それは「誰かの一歩を踏み出すきっかけであり続けたい」ということです。それは「自走力」を身につけることでもあります。
「自走力」とは、自分で考えて、自分で行動する力です。現場でコンサルタントをしていて感じるのは、自分で考えるよりも答えを求めてくる人が多いということです。「どうしたらいいですか?」「何が最善ですか?」とよく聞かれます。もちろん先方がそれを求めているなら私なりに考えたことをお伝えしますが、本当にそれがその人のためになるでしょうか。その人も考える力がないわけではなくて、子どもの頃から親や先生の意向にゆだねてきて、自分で考える習慣や環境がなかっただけだと思うんです。あるいは「こんなこと言ってはダメだ」って思っていたり。ですから、まずは自分の考えを素直に言っていいんだよ、脈絡も言葉も気にしなくて大丈夫、まずは話してみようってお伝えします。そして話してみるとやっぱり皆さん自分の考えや思いを持っているんですね。話しながら自分が何を考え、何をしたいのかに気づいていきます。自己対話ができるようになって初めてスタートラインに立てます。それで自分がやりたいことがわかったら、次にやってみようと実行する段階へと入れます。そんな「自走力」を持てるようにサポートしていきたいです。
人生は一度きりであり、皆さん一人ひとりのものです。人生は自分で選択してほしいですし、私もそうありたいです。どんな選択であっても自分で選択できることが自由だと思いますから。でも実際は「誰かのために」「周りに言われたから」と自分の本心からズレた選択をしてしまうことがあります。ズレた違和感を覚えながらもそのままやり続けてしまう。これは個人でも組織でも起きることなんですね。私は企業様のコンサルティングを行っていますが、最初に会社を立ち上げた思いから外れているように感じた時は、「今向かっているゴールは本当に目指していることですか?」とお聞きします。そうすると「実は・・・」と本音が出てくることがあるんです。こういうことってがんばっている人や組織に対して水を差すようなことでもあり、言いづらいことです。でも、それが本当に相手のために必要なことなら、社長やどんな立場の人にでも私はしっかりお伝えします。これで仕事がなくなるかも、自分の立場が危うくなるかも、と感じたこともあります。でもそれ以上に相手が一歩を踏み出すきっかけであり続けたい思いが私の根底にあるんです。その覚悟は決まりましたね。そんな私だからでしょうか、気づけば「侍」と呼ばれています(笑)。
そうして私が誰かの一歩を踏み出すきっかけになれたらとても嬉しいですし、踏み出した姿を見て刺激を受けます。「自走力」を持ち出すと表情が全然違うんです。最初は目線が下向きで自信なさげだった人が、だんだん目線が上がって目力が強くなり、口角もあがって生き生きするんです。そんな変化を見ると、私も励まされて良い循環が生まれます。ですから、皆さんが「自走力」を持てるようになるきっかけをつくれる自分であり続けたいと思います。
積み上げ指向型
Q:「誰かの一歩を踏み出すきっかけであり続けたい」という夢やビジョンへ向けて、どのような目標や計画をお持ちですか?
宮治 私は仕事に対しては逆算指向型で、期限や目標に対してしっかり設計しますが、自分の夢やビジョンに対しては積み上げ指向型なんです。
私が好きなことや夢には期限がなく、生涯やり続けるものなんですね。それに普段から私が発信している想いに反応して声をかけてくださっているので、声がかかったこと自体に意味があると考えます。ですから声をかけていただいたら、全力で取り組むだけです。もちろんその都度の自分の取り組みを振り返ることはします。「自分会議」をして、違和感がなかったか、大切にしたいことは全うできたか、といったように必ず振り返ります。そうした蓄積をしながら、目の前にきたものに対して一歩踏み出すきっかけをつくれる自分で生涯あり続けたいです。
継続力と再開力
Q:その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような基本活動をしていますか?
宮治 継続力と再開力を大切にしています。継続力は大事ですが、やろうと決めても、予定が入ったりイレギュラーなことが起きて、続けることはとても難しいものです。それはもう仕方ないと割り切って、最初から途切れることは前提の上で、どれだけ早く再開できるかを重要視しています。ですから私が立てるプランは結構余白が多いんです。自分が決めたことをやり続けなきゃって力が入りすぎて縛られる人が多いので、続けられなくて当たり前、そこは気にせず、早く再開することを大切にしてサポートしています。
また、金銭的報酬よりも経験報酬を大事にしています。お金の価値以上に、私の想いに共感してくれたり必要としてくれる人たちを大切にしたいですし、一緒にやっていきたいので、そうした人たちと新しい経験を積むことや、想いを共感できる経験を優先的にしています。
とは言いながら、実は子どもの頃から私はものすごく貯金好きで、貯金がないと不安で仕方ありませんでした。でも2年前に一旦仕事を休もうと決めた時に「貯金ばかりして何のために使うんだろう」とふと頭をよぎったんです。「どうなるか分からない未来のために貯めておく必要は私にはない」と気づいて、しばらくは貯金で生活しようと決断できました。それからはより一層、稼ぐこと自体よりも自分がやってみたいことを優先するようになりましたね。
どんな人でも1個のきっかけで変化の道筋をつくれる
Q:「誰かの一歩を踏み出すきっかけであり続けたい」という夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?
宮治 大きなきっかけは高校生の時でした。私は北海道生まれの北海道育ちですが、小学校6年生から中学校2年生まで父の転勤で長野で過ごしました。中学校3年生で札幌に戻ると、全然勉強が追いつかなくなっていて、先生には「このままでは高校生になれないぞ」と言われたんです。実際テストも全然分からなくて本気で「やばい!」って思いました。それでもう鬼のように必死で勉強したんです。そんな自分の状態を私を知っている同じ区の子たちに知られるのは恥ずかしかったので、わざわざ違う区の塾にまで通い行って。それだけがんばったから平均点は超えて、無事高校に入れました。
けれど、高校に入ったら燃え尽き症候群になってしまって(笑)。勉強する気がなくなってダラダラしてました。当然成績は落ちますよね。そんな私を見て、ある日先生が「やればできるのにね」って言ったんです。それがきっかけでその先生の教科だけは勉強したら良い点数がとれて、「本当にやればできるんだ」って自分を再認識しました。たったひと言で人生が変わるんだというリアルな体験でした。しかも正直、その先生のことが特別好きだったわけではないんです。よく憧れている人の言葉に影響を受けて変わったっていう話はあるじゃないですか。でも憧れている人でなくてもカリスマ性がなくても、人は誰でも変化をつくれるんだって気づいたんです。自分が大切にしていることを発信することで、私でも誰かの役に立てる、背中を押して変化のきっかけをつくれる、そう思いました。
そこから教員になりたいと思うようになりましたが、私の成績では大学進学は難しくて。ところが偶然指定校推薦の枠が余っていて、希望の大学に入れたんです。社会人になってからも「井の中の蛙」ではいたくないと思って、積極的に色んな価値観に触れようとコミュニティに参加したりしました。たったひと言のきっかけで全く予想外の道筋ができるのだという確信が、私の原動力となって今の仕事にも繋がっていると思います。
自分の気持ちを守りたい
Q:「どんな人でも1個のきっかけで変化の道筋をつくれる」というきっかけや発見の背景は何ですか?
宮治 「やればできるのにね」って言われた時、モヤッ、イラッと色んな感情が渦巻きました。嫌なことがあっても一晩寝れば収まる私が、翌日になっても10人くらいの友だちに「何かあった?」って聞かれたので、相当トゲトゲした感情がにじみ出ていたみたいです(笑)。そこまで聞かれるとさすがに冷静になって客観的になれて、今自分と向き合わないといけない時だなって思ったんです。
本当は私は自己肯定感が低くて、ものすごくネガティブです。要領も悪くって何でも人の3倍以上はがんばらないとダメ。でもすごく負けず嫌い(笑)。諦めずにがんばったことはしっかり身につきます。だから勉強を休んでいた時も、そろそろやらなきゃダメだなって自分でもわかっていたんです。元々真面目で規律正しいことを好む方だったのでなおさらです。でもやれない。やれてなかったらやっていないことと同じですよね。そんな自分に気づきながらどうしようもできなかったので、先生から言われた時に「言われなくてもわかってる!」って反発心が出ました。葛藤している私の気持ちの何がわかるの?って。自分の気持ちを守りたかったんですね。それに元々その先生が「ちょっと休んでいいんじゃないか」って言っていたので「いつまで休んでいるの?」と言われたことに嫌悪感もありました。そんな自分の気持ちに友だちのおかげで向き合うことができて、変わるきっかけになれたので本当に良かったと思います。
この経験があって、言いづらいことを言えるようになったり、嫌われたとしても相手のためになるならやろうという覚悟につながっていると思います。これからも誰かの一歩を踏み出すきっかけであり続けたいです。
読者への一言メッセージ
宮治 自分で決めたことをやる続ける力は大切です。でもその決めたことに縛られることはありません。過去の自分の選択に違和感を覚えたなら、今の自分がいくらでも選択し直していいと思うんです。「自分で決めたのに」って情けなく思う必要もありません。人生は選択の積み重ねですから。
記者 自己肯定感が低い自分に向き合いながら、どんな人でもちょっとしたことで変化のきっかけをつくり、人の役に立てると人間の可能性、自分の可能性を見て、「自走力」を高め続けておられるのですね。本日は貴重なお話をありがとうございました。
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宮治さんの詳細情報はこちら↓↓
Twitter 宮治有希乃 人と組織の自走力を高める人
【編集後記】
今回インタビューをした小水です。
優しい笑顔と侍のような力強さが印象的な宮治さん。
誰もが人生を大きく変えるきっかけをつくれるし、変えていけるだけの可能性を持っていることに確信を持ち、そのきっかけづくりを実践し続ける様は、まさしく最高の一振りを目指した刀を振り続ける侍のようでした。
そんな思いに共感した人たちと、心の結集をつくっていくことで誰もが可能性を開花できる社会になるイメージが広がりました。
宮治さんの今後のますますのご活躍を応援しています!