台湾と日本を繋ぎ、アジア・世界の平和をつくっていきたい  株式会社アジア市場開発 藤重太さん

32年間台湾と日本を往来し、日本とアジアの架け橋として、経済、政治など様々な分野で活躍されている藤重太さん。台湾を通して出会った本来の日本の素晴らしさ、そしてアジア、世界の平和のために、日本の立て直しを真剣に考え、精力的に活動している藤さんに、今の時代や日本の可能性についてお話をお伺いしました。

 

藤 重太(ふじ じゅうた)さんプロフィール
出身地:東京生まれ・千葉県佐倉市出身
活動地域:台湾・日本
経歴:1986年千葉県成田高校卒業後に単身で海外台湾に渡り、台湾国立師範学校語言センターに留学。中国語学習中は、多くの日本時代経験の台湾人と交流し、特に台湾東部の原住民と交流を深め、日本への考えを改めさせられる。その後、台湾大学(旧第七帝大)国際貿易学部に入学する。夜間は私立大学のオープンカレッジで日本語の講師を4年間務める。
1992年香港にて創業し、株式会社アジア市場開発を設立する。
2011年以降 小学館、講談社の台湾法人設立などをサポート、台湾講談社では総経理(GM)を5年勤める。その間、台湾の政府機関や多くの出版社との関係も築く。台湾の資訊工業策進会(台湾経済部系シンクタンク)の顧問も歴任、政府や企業の日台交流のサポートを行い、各地で講演会も行う。2016年 台湾でも富吉國際企業管理顧問有限公司を設立。
現在、台湾歴32年。台湾と日本のデュアルライフをしている。

日本の良さを取り戻せるような社会づくりに貢献していきたい

記者:どのような夢やビジョンをお持ちですか?

藤 重太さん(以下、藤 敬称略):
私は、高校卒業後に海外に留学をしたのですが、その時初めて海外に足を踏み入れた外国が、「台湾」でした。
そこから約32年の間、日本と台湾の2拠点を行き来しています。
日本に対しての自尊心を、私に植え付けてくれたのが台湾です。
台湾は私にとって第2の故郷でもあり、台湾が大好きですが、一番大事なのは日本です。
日本がしっかりと立ち上がれば、台湾も救えるし、アジアも救えると思います。
大正や昭和時代の本を読むと、本気で日本人は世界を救おうとしていて、天皇陛下の元で世界を平和にしようって思っていたんですよね。
アインシュタインも1922年に日本を訪れたとき、感動したと言われていますが、日本を知れば知るほど、すごい国だと思っています。
私は日本がとても好きですし、日本の良さをうまく取り戻せるような社会づくりに貢献したいと思っています。
本気で日本人が変わったら、世界は気づくと思いますし、むしろ感性の強い外国人の方が日本人のすごさに気づいていると思います。
外国人は気づいているけれど、当の日本人が気づいていない。
今の日本人は日本人の精神を捨ててしまっています。それがとてももったいなく、日本にとっての最大の損失だと思っています。
日本は西洋文明や資本主義など色々なものに侵されて、自分の会社だけ、自分のことだけを考える個人主義が強くなっていて、日本の社会や将来について考えられなくなっていることに、危機感を感じています。

記者:それを具現化するためにどのような目標や計画を立てていますか?

:今年の目標はアウトプットしていくことです。発表や講演会や本も書きたいと思っています。自分が正面きって、もっと発信して、責任を持ち、人に受け入れられるかは別で突き進みたいです。
発信することで少しでも多くの日本人に何か響いたり、感じたり、気づいてもらいたいなと思っています。

日本は今、台湾に学ぶべきではないかと考えています

記者:その目標や計画に対して、どのような活動指針を持って活動をしていますか?

日本は今、台湾に学ぶべきではないかと考えています。
日本人は「日本はそこそこいい国だ」と思っている。しかし、外国から見たら、そうではなくなってきています。「日本人はかわいそうだ」と思われる一面があるのが事実です。実際、最近会った敏感な日本の若者達も、日本社会の閉塞感や違和感を「何か変」と感じていました。
私は日本が一緒に手を取り合えるパートナーのひとつが台湾だと思っています。台湾に残っている過去の日本の遺産を活用したいと思っています。日本にとって台湾は日本を知るための良い教材だと思っています。最近発表された国連の幸福度ランキングでも台湾はアジアNo.1の25位、日本(58位)より上ですよ。
日本は外圧がないと変わらないと言われていますが、友好的でよい外圧として台湾には、活躍してもらいたいと思っています。それが、日本にも台湾にとっても良い事だと信じています。

日本の良さや日本の本来の心は台湾で気づかせてもらいました

記者:そもそも、その夢やビジョンをもったきっかけは何ですか?

:私が台湾に初めて行った約32年前の当時は、日本が優秀で強い国だと思っていました。
けれど、『失われた20年』と良く言われていますが、だんだん日本より外国の方が良くなっているし、「日本人やばくない?」って疑問をもつようになりました。

記者:日本を良くしたいと思ったきっかけは、台湾に行かれた経験が大きいのですか?

藤:そうだと思います。台湾が良くなっているのに、なぜ日本は良くならないのかと疑問を持つようになりました。
1986年に台湾に行ったのですが、当時日本経済はバブル時代の後半で、ものづくりの力によって「メイド・イン・ジャパン」が“世界一”へと昇りつめようとし、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれた時代でした。
当時は日本語を学ぶ外国人が沢山いて、日本人は当時、経済力もあったのでちやほやされていました。
けれどだんだん日本について語られなくなり、日本に対するリスペクトを外国が感じにくくなってきて、次第に、「日本すごかったよね。」って過去形になってきました。
反対に台湾が、日本の失敗を反面教師にするように社会制度をどんどん革新して、目覚ましい改革 発展をするようになったと感じました。

昔の日本は皆 「お互いさま」で「好い加減」で、皆が良くなっていく社会でした。けれど今の日本人は皆、今ある目の前にある利益や享楽、見せかけの幸せにしか興味がない、「自分だけは、得したい」にしか関心がない、逆に「失敗」におどおどしている。そんな社会に危機感を感じています。
日本人としての根っこやあり方(死生観)がないから、日本人としての自負心も自尊心もなく、日本人として、一個人としても何をすべきなのかがわからない状態だと思っています。ここ数年、誤魔化しばかりで何も変わらない日本に危機感を持っていました。
日本の良さや日本の本来の姿は台湾で気づかせてもらいました。
その本来の日本の心を取り戻したいと思っています。

日本人とは何なのか

日本とは何なのか、「武士道」とは「大和魂」とは、「日本の心とはなんだ」と冷静に考えたときに何もわかっていない自分がありました。
そこで数年前から本格的に日本について勉強を始めました。古事記の勉強会や知られざる日本の裏の歴史を学んだり、いろいろなセミナーに出会いを求めました。小学校の先生の勉強会にも参加しました。
いろいろな書物も買いあさり、読みました。
2600年以上続く日本については学びきれません(大和言葉 神話 古事記 日本書紀 御製 神道 仏教 論語 国史など)。
そして、出会った多くの賢人達の名著古典(聖徳太子、法然、親鸞、道元、吉田松陰、石田梅岩、中江藤樹、二宮金次郎(尊徳)、西郷南洲、山岡鉄舟、新渡戸稲造、大川周明、森信三、出光佐三、安岡正篤、中村天風、松下幸之助など)。そして一流の先達 専門家 先輩(執行草舟氏、境野勝悟氏、池間哲郎氏、江崎通朗氏、齊藤武夫氏、高森明勅氏、井口潔氏、本田実氏、小柳左門氏、齊藤武夫氏、小名木善行氏、白駒妃登美氏、石川真理子氏、糸井利則氏、池川明氏、李登輝氏、黃文雄氏、片倉佳史氏、徳光重人氏、呉善花氏、故 中條高徳氏、故 森本喜久男氏、元台湾皇民の諸先輩など)の訓話とも出会いました。
今では、日本の心を実感したくて、「茶道」のお稽古も始めました(笑)

ようやく、「海外・台湾から見た日本」の経験と日本についての自分なりの考えがまとまりつつあるので、それを伝えて生きたいと思いました。
本来持っていた日本の良さを取りもどすだけ、「原点回帰」が今の僕のライフワークになっています。

藤さんを育てた「台湾」に何を伝えたいですか

記者:今度、台湾の会議でスピーチを中国語ですると聞きましたが、何を伝えたいですか?

:その時、台湾の方にまずは「3つのありがとう」を伝えたいと思っています。
一つ目は、台湾が日本統治時代を非常に客観的に公正公平に評価してくれていることと日本の当時の建物を修復保存してくれて、今でも大切に使ってくれていることです。台湾に行くとたくさんの日本時代の建物に出会えます。台湾総督府や台湾大学病院以外にも日本の旧家屋もどんどん修復が進み、喫茶店とか憩いの場として使われています。
二つ目は、1972年の台湾との断交後も、日本と変わらぬ付き合いを続けてくれた事です。日本は1945年の終戦で台湾を放棄するしかありませんでした。その時に多くの台湾の方が悲しんだと聞いています。その後、再度 断交という形で日本から台湾との絆を断っています。多くの日本時代を経験した美しい日本語を使う台湾の方が、再度 たいへん落胆したと思います。
日本政府はその後も多くの失礼な対応を台湾にしてきたと思います。しかし、多くの台湾の人たちは、良く耐えて寛大に日本を懐かしみ、愛してくれたと思います。
三つ目は、やはり311東北大震災での義援金とその後の友好関係へのお礼ですね。

記者:台湾に残る日本を知ることで、本来の日本を感じることができ、とても感動しました。
藤さん、お忙しい中で、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました!

株式会社アジア市場開発 藤重太さんの詳細情報についてこちら↓↓

http://ez-asia.co.jp/

 

編集後記
インタビュー記者を担当した岩永と池田です。
お話を伺いながら、日本人を代表して、台湾、アジアで一貫したメッセージを発信している藤さんの勇気と責任感、日本や台湾に対する愛情に心を打たれるものがありました。
また、国際ビジネスをされている藤さんの綺麗で繊細な言葉遣いや、とてもわかりやすい説明やお話に非常に感銘を受けました。
同じ日本人として希望を感じ、藤さんのご活躍を心から応援しています!

 

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