秩序より、カオスを積極的に創り出す無邪気さを持つ 一般社団法人クラウドナイン・エデュケーション代表理事”清水亜希子さん”
積極的に無秩序(カオス)を創りながら、幸福と経済、両方の豊かさがある世界を目指す、清水亜希子さんにお話を伺いました。
清水亜希子さんプロフィール
出身地:愛知県
活動地域:福岡県、静岡県、岐阜県など全国各地
経歴:20歳でアイドルになると決めていたあっこは、人前に出るのが好きだった。家庭ではその減らず口に手を焼いた母による「階段に手を縛る」「玄関の外に出す」などの大胆な子育てに耐えかね、英語の勉強のためという名目のもとボンジョビに会いたい一心で渡米。国は変われど人間関係のさもしさは変わらないことを知り、日本にて“生き直し”の事業を立ち上げ現在に至る。
現在の職業及び活動:一般社団法人クラウドナイン・エデュケーション「ひとのこと」代表理事。
座右の銘:「おにぎりをにぎらない」
幸福と経済の豊かさが両方ある世界を創る
記者:清水亜希子さん(以下、Acco 敬称略)はどのような夢やビジョンをお持ちですか?
Acco:幸福と経済の豊かさが両方共にある世界を創りたいです。それが実現することがどういうことなのかわからないので、やってみたいです。やりたいことはシンプルにそれだけです。
幸福度や経済の豊かさは人それぞれ違っていて、それらが一律であってはいけないと思っています。人間を環境に当てはめて「これが幸せですよ。はい、入ってください。」というスタンスのコミュニティは世の中にはたくさんあります。そうではなくて、一人一人の幸福度・満足度が集まった時にできる社会が何かを知りたいのです。
2020年に、誰もが幸せを感じる”村”を創る
記者:「幸福と経済の豊かさが両方共にある世界を創る。」という夢を具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?
Acco:2010年に”10年の計画”を立てました。それが「2020年に、誰もが幸せを感じるコミュニティ(村)を創る。」でした。10年間を、目に見えない意欲、目に見える機能的な部分とを合わせて、両方の計画を立てています。
当時欲しかった”村”と今考えている”村”は全く異なりますし、今でも常に変化し続けています。集まる人達の意欲や豊かだと感じるものはそれぞれ違います。その違いを画一化せず、集まった人達が幸せだと感じる時間が増えるコミュニティにしたいです。今まさに、それを実体験してもらうよう練習しているところです。
積極的カオスを生み出す
記者:Accoさんは現在どのような活動指針を持って活動していますか?
Acco:以前は社員が8人いたのですが、私が余りにも無邪気すぎて、半数が辞めました。以前は保育園をしていたのですが、半数が辞めたことで事業も名刺も全くの別物に変わりました。
世の中には面白い人達がたくさんいて、そういった人達が入ってくることで会社の形はアメーバのように変わっていきます。メンバーが変われば意識も変わるので、会社という大軸・ビジョンは変えずに、やり方を変えることを楽しんでいきたいです。
新しく入ってくる人に対して私が興味関心を持たなければ、変化・変容も私の勝手になってしまうので、自分という眼鏡を外して相手を見るようにしています。
記者:どのようにして、Accoさんのように自分の眼鏡を外すのでしょうか?
Acco:眼鏡をしていることをまず知ることが大事です。そのためには、まず最初にその人のことをとても大切に扱い、触れることです。人間は触れられる経験が少ないので、まず触れるようにしています。個というものを自他共に認めることができる状態にならなければ、眼鏡を外すことはできません。
そもそも、どこに向かって何をどのように変容させていけばよいのかを知らない人が多いです。人間も自然の一部ですから、常に変化しています。「昨日と今日、髪の毛何本違うか知ってる?」と聞いたら、同じ本数だとは絶対に言わないでしょう。このような質問をすれば、変化していることを認めざるを得ません。
記者:確かにそうですね。
Acco:普段の活動としては、自分とは何かを最深で知る環境を創り、自分を知れるほどの関わりを持つ人・知識がある講座・セミナーをしています。
どのような状態でも、どのような言葉を吐いても、どのような行動を取ってもまずその人を受け入れるようにしています。「自分を知る」という講座を行っているので、その人自身が向き合いたくない自分と向き合うこともあります。講師をしている私は、初対面の人からでも罵られることがあります。自分と向き合うための道具として私の体を使っているのです。
私たちの会社では、適材適所で分業をしています。私は創造力を発揮するタイプの人間で、放っておいてくれたら上手くいきます。山田博揮もアーティストのようで、自由にしている時にとても面白いブログを書いたりします。そのような時間を与えず、何かやれやれやれ、と指示を出すと彼の芽を摘んでしまうのです。
(写真)山田博揮さん
茂原大亮は生み出したものをきちんと計画していくのが得意です。だから、私たちが新しく何かを生み出さなければ、彼の仕事が無くなってしまいます。
(写真)茂原大亮さん
実は、今日この取材があることを忘れて、植物を買いに出かけていました。もし、会社に私だけしかいなければ、今日の取材も無かったかもしれません。いたかもしれないし、いなかったかもしれないからです。3人がいるからこそ成り立っています。
記者:普通、組織を取りまとめるために秩序を創っていくと思うんですね。でもAccoさんは逆で積極的に無秩序(カオス)を創ることで、自然とチームプレーが生まれているのがすごいです。
Acco:嬉しい!ありがとう!最高の褒め言葉!
そのままを認めることが大事
記者:そもそも「幸福と経済の豊かさが両方共にある世界を創る。」という夢を持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見があったのですか?
Acco:両親が厳格で、私を型にはめることを幸せだと思っていました。私は暴言を吐いたり、暴れたりしていたので、叱られる時に階段に縛られたり、玄関の外に2時間も3時間も出されていました。
一方、弟は大人しくて、彼のストレスの発散口は素行が悪い友達と付き合うことでした。弟はバイクを盗む時の見張り役をさせられ、警察に捕まりました。その時、父親が弟の人格を否定する発言をしたことで、弟は自尊感情を全て失ってしまいました。
天真爛漫だった弟が塞ぎ込み、体は生きているけれど精神は生きていないようになってしまいました。私は「なぜ人間は愛情もあるのに、愛情そのままを表現せずに、人間の人生を奪ったり奪われたりするんだろう?」と疑問を感じ、そこから探求を始めました。
このままでは父親を殺すかもしれないと思って、選んだのが留学でした。1年して留学から帰ってきたら、弟はさらに荒んでいました。いじめられ、体にタバコを押し付けられた跡がつき、私の銀行口座からはお金が無くなっていました。
弟は学校を辞めて引きこもり、生きる意味はないけれど、死ぬ勇気もないから、と今でも生きています。私は大人になっても弟の面倒を見ていたのですが、ある日弟から「もういいよ、俺に構うな。」と言われた時、本気で両親に死んでほしいと思いました。
私は弟と比べると元気が良すぎて、枠を飛び出る力があり、飛び出た先で出会った人たちが本当に素晴らしかったです。初対面の人が「そのままでいいよ。」と一言残して去るということが何度もありました。そういった、名前も知らない人達に助けられて今の私がいます。
こういった経験を踏まえてきたからこそ、人間は家庭で育まなくてもよいと思うようになりました。家族のような人達と共に、生き直しや失敗を何度でもでき、人を罵ることさえも愛される環境を創りたいです。
私も子供をDVしていた時期がありました。自分でもどうしていいかわからなくて、そのタイミングで出会った”親業”の先生に「あなた辛かったね。よく頑張ってきたね。」と初めて言われた時、号泣しました。やっとほっとして、初めて誰かのために貢献しようと、起業して、英会話の教室を始めました。
人間は、信じたいけれど信じたくない、裏切りたくないけど裏切られるという体験をたくさんしていて、みんな本当は裏切っているわけではないのです。ただただ、自分を大切にしているだけです。
良いとか悪いではなくて、そこにあるものそのままを認めることが大事です。
「あなたはただ、そうやって思って、そう生きているだけで、誰もが幸せになりたいけれど、どうやってそうなるかは選んでいいんだよ。」ということが許される環境を創ろうとしています。
2019年の春以前の私は今よりもっと厳しい人間で、計画を立てることや形にすることを大事にしていました。2019年春に「自分自身も愛されたいし、許されたいし、立派である必要は無い。」と思って、全部を手放し、私自身が率先して許されようとしました。まだまだ私自身が形にこだわっていたことに気づいて変化したのです。
超絶素直に生きること
記者:「そのままを認めることが大事だ。」という発見の背景には、何があったのですか?
Acco:私は、どれだけいいことを言われても、心が動かないものには一切、時間もお金も出さないようにしています。心が動かない人とは絶対に会いません。質問に対する答えとしては「超絶素直に生きるという事実」です。
記者:超絶素直に生きるAccoさんがいるからこそ、「そのままでいることの大事さ」に気づくことができたわけですね。その気づきが「幸福と経済の豊かさが両方共にある世界を創る。」という今の夢・ビジョンに繋がり、インタビュー中も積極的にカオスを創りながら村づくりをされているのだと感じました。
Accoさん、今日は本当にありがとうございました。
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編集後記
今回インタビューの記者を担当した吉田&相良&洸です。
まるで昔からの友達かのように境界線の無いリラックスしたムードで迎えてくださったAccoさん、博揮さん、大亮さん。相当な経験を積み重ねてきての今があることが、インタビュー前の雑談からもバンバン伝わってきました。
インタビュー場所の刻刻は穏やかでとても居心地よい空間でまたお邪魔したくなりました。ティール組織の実践モデル創りを共に楽しめる同志と出会えたことに感動です!(吉田)
「ティール組織を実践している人がいる!」という情報を聞きつけ、どんな人だろう?と、とても楽しみな気持ちで迎えたインタビューでした。インタビューは、予想をはるかに上回るおもしろさで、これ以上ないぐらい笑いあり、涙ありの胸が震える時間になりました。ティール組織のコンセプトに「全体性の発揮」というキーワードがありますが、Accoさんはまさにティール人間といった感じで(笑)何一つ隠すことなく、自身の痛みや苦しみ、深い感動やそして下ネタまで(笑)さらけ出してくださって、その場にいるだけで、こちらの心が解けていくようでした。こういう人がどんどん増えていったらどんな社会になるんだろう?期待やちょっぴり不安が入り混じったカオスな気持ちになりますが、この出会いを通して、人間の深い美しさや涙を感じれたことは確かです。これからもAccoさんの活躍を応援しています。(相良)
私が、”ティール組織を実現する最新技術「nTech」の教科書”というティール組織ブログの運営のリーダーを務めているということもあって、ティール組織の実践に取り組まれてる方の意見はとても参考になりました。Accoさんのお話を聴いてるとティール組織の素晴らしさや可能性を再確認することができます。「ティール組織を実践してる人がここにいるんだ」ってことを1人でも多くの人に知ってほしいですね。
(洸)
今後の更なるご活躍を期待しています。