「死ぬときに良い人生だったと思えるようにしたい」須田美貴さんインタビュー
プロフィール:
1974年京都生まれ。東京理科大学卒業後、就職活動をせずバイト先の塾に就職。少子化の影響で教育業界を辞め、職を転々としたのち、社会保険労務士に。労働者の味方として全国から年間200件相談を受ける。ハラスメントやいじめの調査のために、探偵業も行っている。
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Q.須田さんの夢・ビジョンは何でしょうか?
須田美貴さん(以下、敬称略):この記事を読んでいる人の中には「夢がない自分はだめだ。」「目標をつくらないといけないプレッシャーを感じる。」と悩んでいる方がいるかもしれません。
私は夢はなくても良いと思っています。目の前の興味があることをやり続けていけばよいのです。それだけで毎日が楽しくなります。
Q.ビジョンを実現するためにどのような目標を立てていますか?
須田:死ぬ時に「良い人生だったな。」と思うことが目標です。
人間はいつ死ぬかわかりません。もしかしたら今日死ぬかもしれないし、10年後かもしれません。だからこそ、人生のどこを切り取ったとしても、どこで死んでも良い人生だったと思える毎日を過ごすことが目標です。
1日1日が充実して、楽しく有意義に過ごすことの大切さを知ってもらえると、楽しいことを見つけようというエネルギーにもなります。
Q.活動指針や基本活動は何でしょうか?
須田:世の中の動きを読むのが大好きで、今みんなが何に興味を持っているのか、アンテナを張るようにしています。
その中で、自分の軸・考えはしっかり持っておくようにしています。「軸」というのは、自分が正しいと思ったこと、自分が経験してきたことを信じることです。
基本活動としては、労働相談がメインの仕事です。労働相談というと敷居が高いと感じる人もいます。
職場の人間関係で法律相談に行くほどではないけれど、少し愚痴を聞いて 欲しいくらいの感覚で気軽に参加できる相談会を月に2回、東京と大阪で開催しています。例えばバーベキュー相談会、ピクニック相談会、6月は餃子パーティー相談会を行います。
ここ2年では、会社員を辞めて 独立したいという相談が多く「会社に頼っていられない。」「会社の言いなりになっているのが嫌。」という声をよく聞きます。
相談を受けるときに大事にしていることは、相談しにくる人の話をしっかりと聴いて、いろいろな解決方法をお伝えすることです。
相談者本人がどうしたら一番すっきりするのかを聞くようにしています。例えば慰謝料をもらうことですっきりする方もいますし、お金ではなくて謝って欲しいという方もいます。中には、相手にも同じ思いをさせてやりたいという方もいます。「できる・できない、可能・不可能を気にせずに何でもしてみたいことを言ってください。」と言うと、一番多いのは謝ってほしいという声です。
(コロナパンデミックの影響で)会社から大人数での食事・飲み会が禁止され、外出も控えるように言われ続けていたら、誰であっても病むでしょう。みんな我慢のしすぎて精神的におかしくなってしまっているのです。だからこそ、みんな楽しいことを求めています。
人は良くも悪くも他者から影響を受けるものなので、人に会うのが基本です。それをシャットアウトや制限されていることが精神的におかしくなってしまう原因ではないでしょうか。
だからこそ、私自身はみなさんのお手本になるように、この2年半は特に毎月外へ出かけるようにしました。毎週のように飲みに行って、みんな引きこもるなということをアピールしてきたのです。
Q.今のビジョンを目指すようになったきっかけは何でしょうか?
須田:自分の思うように生きた方が良いと最初に感じたのは、小学校4年生の担任の先生との出会いがきっかけです。
私はみんなと一緒に遊ぶことがあまり好きではありませんでした。クラス全員でドッジボールする時間がとても嫌で、休み時間は教室で一人で読書をしていました。
しかし、担任の先生は活発な子が好きだったので「休み時間に教室で本を読んでいるような子は将来不良になる。」と言ったのです。私はそう言われたとき「絶対不良にならずに、人生成功してやる!」と決意しました。将来、有名になって立派になった姿を見せれば、その先生を見返せるかもしれないと思ったのです。何があっても明るく生きていこう、成功してやろうと思ったのはその先生の一言があったからこそなので、今となっては先生に感謝しています。
また、中学1年生の担任は「やらずに後悔するのだったら、やって後悔しろ。」と言う先生で、先生の影響でとても行動力が身に付きました。
中学3年生の時「寒いのに、ジャンバーを着てはいけないという校則はおかしい。」とかなり強く抗議をしていたら、当時の担任が校則変更の動きを頑張ってくれて、私が卒業した後に校則が変わりました。そのことを私が卒業した後に電話で報告もしてくれました。
おかしいと言っていることを、どれほど周りに変な目で見られたとしても、主張し続けることで世の中を変えられるということをその先生に教わりました。
Q.先ほどのきっかけがビジョンにつながった背景には何がありますか?
須田:我慢が一番体に良くないというところへ行き着いたことです。今の世の中で言われている、自粛や人に会うなということも我慢の1つです。目の前にあるやりたいこと、楽しそうなことも我慢しないことが大事です。
例えば最近、私はスケボーを始めました。中学生の息子がスケボー始めたので、私もやってみようと始めたのですが、一般的には48歳という年齢的に危ないし、恥ずかしいと思われることもあります。しかし、YouTubeを見ていると、50歳でスケボーを始めたという人の動画もあります。
やりたいと思ったらとりあえず何でもやってみるようにしていて、自分に制限をつけないようにしています。そして、できなかったらすぐ諦めます。できるまで頑張ろう、というのはありません。自分の中に多くの選択肢を持っておいて、その中で得意なことは100個やったうちの1つぐらいだと思っています。
夢や目標にたどり着けない人は、まだまだ手を出している数が少なくて、ただ出会っていないだけなのだと思います。多くのことを経験する内に、自分の中にあるすごい才能と出会えるかもしれません。
私が得意なのは、27年続いている和太鼓です。和太鼓は叩くと町内中に響き渡るほど音が大きいですし、人を見下ろす場所で叩くことで度胸がつきます。櫓の上に乗って叩く盆踊りの和太鼓は特におすすめです。櫓の上に乗っていると「私だめかもしれない。」と思っている場合ではなくなるからです。
和太鼓を始める前は「間違えたらどうしよう。」という恐れがありましたが、和太鼓をしていると、失敗しても何があっても叩き続けなければならないので、恐れもなくなってきました。
Q.これまで我慢したことでよくないことがあったのでしょうか?
須田:我慢はとても大きいストレスですし、ストレスが病気のもとでもあります。私も会社員をしていた時、うつになりました。
みんな何かしら我慢 しています。会社員も言われてやっている仕事なので、自ら考えてやりたいことだけやっている会社員はいないと思います。
私は10年会社員をして、会社員に向いてないと思って独立しました。独立した後は自分の好きなことだけをして生きているので風邪すらひかなくなりました。今も夜中まで仕事していることもありますが、好きでしている仕事なのでとても健康です。
最後に、読者の方へのメッセージをお願いします。
我慢は良くないので、自分が楽しいと思えることを探してほしいです。嫌な事はたまたま出会ってしまいます。一方、楽しいことはたまたま出会うことは少ないと思うのです。楽しいことは自分から探していかないと出会えません。だからこそ、自分から楽しい事を探しましょう。