飲食業界や接客に関わる全ての人が、喜びわくわくに包まれる世界を創っていきたい 株式会社 プティ プレジール ジャポン 糸澤 晃さん
日本各地で様々なジャンルのお店の立ち上げやお店のテコ入れを行い、繁盛店へ導いているレストランコンサルタント及びサーヴィスクリエイターの糸澤晃さん。
そんな糸澤さんにこれまでの道のりをお伺いしました。
糸澤 晃(いとざわあきら)さんプロフィール
出身地:神奈川県横浜市
主な活動地域:主に関東近郊、関西および九州
経歴:1995年飲食業界に入る。フレンチレストラン 『神楽坂 ラ・トゥーエル』にて、一流サービスの礎を10年間で築き上げる。
その後、フレンチレストラン『オーグードゥジュールグループ』で6店舗の統括支配人兼シェフソムリエとして店舗立ち上げとスタッフ教育・オペレーション構築・ワインリスト構築・顧客ロイヤリティ向上に伴い、ミシュランガイド東京星獲得に貢献。
2011年に株式会社『プティ プレジール ジャポン』を設立。2012年にコンサルティング業を開始。各店長・店舗責任者及びPAスタッフ教育指導をベースに、幅広いジャンルの飲食店立ち上げや店舗テコ入れを行い繁盛店へ導いている。
質の高い豊かな人間力と人格者を創出し、社会に貢献していきたい
Q.どのような夢やビジョンをお持ちですか?
糸澤晃さん(以下、糸澤 敬称略)
サービスのプロフェッショナル集団をつくることが私の夢です。
今の業界に入って約25年、レストランコンサルタントという形で7年やってきています。この業界にも貢献していきたいですし、食に関わる人材を育成していくこと、また発掘して育成してリリースしていくことを通して、社会貢献につながればと思っております。
Q.それを具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?
糸澤:サービスのプロフェッショナル集団については、サービスや料理のプロなど、プロが集まった人達のプラットフォームをつくっていくイメージがあります。
実際に人材開発や育成に携わっている会社の方から声をかけてもらって、そういうことを一緒にやらないかっていう話が来ています。
人材派遣の会社は人が集まってくる器を持っているじゃないですか、そこから僕らが発掘して育成して、プロの集団をつくっていくほうが効果性や効率性は高いと思っています。
この業界も狭い業界ですが、飲食店はこれからも増え続けていくと思っていますし、どんな会社でもオーナーさんは高い質を求めてきます。
お店って立ち上げの3ヶ月がすごく大事なんですよ。
お店を立ち上げて、3ヶ月でどれだけいいチームをつくって、そういう風土をつくって、フレームを作っていくか、それによってその後の半年、1年、3年先が決まってくるんですね。ですので、立ち上げ部隊としてそのようなプラットフォームがこれからは必要になってきます。
そのようなプラットフォームをつくって、自分が今まで育ててきた若い世代の人達のブレーンを、それぞれ独立させて、一つのチームとしてプラットフォームに参加していくことも同時進行でやっていきたいと思っています。
飲食店って簡単に始めることができるんですけど、始めておしまいではなく、始めてからが勝負です。それは現場スタッフの一人一人の志だったりとか、気持ち次第だったりします。
グラス一つ置くのもすごく丁寧においてくれる接客もあれば、逆にグラスを乱暴に置いて、お客様に悪いイメージを与える接客もあります。
後者の接客は、その時の従業員の気持ちや感情、体調なども影響していると思いますが、最初からそのような接客をやらない風土ができてしまえば、やりづらくなっていきます。最初の3ヶ月間が大事です。
僕は10年前に発表されたアメリカのサービス理論学術である『サービスドミナントロジック』をもとにコンサルティングをやっています。理論と体系の両輪で効果性と効率性の定着を図っています。
現場の肌感覚を大切に、立場に関わらずクライアントさん一人ひとりを尊重する意識を心がけています
Q.その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような(基本)活動をしていますか?
糸澤:一番意識していることは、現場スタッフの気持ちを汲み取ることです。
もちろんクライアントさんはオーナーですけど、気持ち的には現場よりです。現場スタッフの気持ちを汲み取りながら、表情が曇っていたりすると声をかけ、コミュニケーションをとっています。もちろんオーナーと話す場合は、オーナーの気持ちに寄り添っています。
業務はコンサルというよりは、カウンセリングのようなものに近い気がします。
実際にスタッフの面談をよくやっていて、面談することによって今悩んでいることや他の人に言えないことが出てくるわけですよね。アドバイスしたり、一緒にやってみることによってその人が納得して悩みが解決できるんですよ。そうすると「もっと上を目指したい」という気持ちが生まれるので、それを後押ししていくのが僕らの仕事だと思っています。
それが店舗の店長だと業務を抱えていてなかなかできない場合が多く、そこまで回らないところに僕がサポートに入って、ケアをしてあげることによって、店長の気持ちを代弁してあげたり、仲介役みたいな役回りの仕事の方が多くなっていますね。
現場にいることによって、問題に気づいたり、新しい発見があります。現場を肌感で感じていないとこの仕事は難しいところがあるので、現場から離れたくないなというところがあります。現場にいる時間を大切にしていますね。
記者:糸澤さんのような方がお店にいると従業員やオーナーさんは心強いですよね。
糸澤:そうですね、そのように感じてくれる人が多く、おかげさまで継続的に仕事の依頼がきています。
記者:クライアントさんはご紹介が多いと聞きましたがその秘訣はなんですか?
糸澤:従業員の方との接し方ですね。そこはかなり意識しています。
あまり上から目線で言わないですから、基本的に従業員の方と同じ目線で仕事をしますし、もっというと新入社員の子も“さん”付けし、尊敬して一人の人として扱っていくことを意識しています。
業態によって、“くん”とか“ちゃん”をつけたほうが良い場合はそのようにしますけど、そうでない場合は一人一人を尊重する意識を心がけています。
毎回の挨拶の仕方もそうですね。必ず朝は関わるクライアントさんのところに、LINEで挨拶したりということを欠かさずやったりしています。
関わった人を大切にして、決してこちらから裏切ることはしませんし、その姿勢を信頼していただき、紹介に繋がっています。
記者:このお仕事されていて、心がけていることはなんですか。
糸澤:日々、楽しく過ごせるように心がけています。
僕が楽しく接していると、相手もそのように接してくれますし、こういう仕事をできていること自体ありがたいことだと思っています。
今、結構大変な時代じゃないですか。僕も結構水面下では大変なんですよ(笑)。
それを見せずに、前向きでポジティブなことを意識して言葉にしています。
マイナスのことを言った瞬間にマイナスのことが起きちゃうんですよね。
以前、自分が苦しい時期があって、そこである人と出会いました。
その人から経営や精神面などいろいろ教えてもらって、支えてもらいました。その人への恩返しは、僕自身が人としてもっともっと成長して、社会貢献できることだと思っています。
飲食店から日常をより豊かに、そして未来へ繋ぐ
Q.そもそも、その夢やビジョンを持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?
糸澤:コンサルタントの仕事は、一緒に仕事をしていたパートナーと話した時に、「外部に今までのアセットを提案していきたいよね」って話したことがきっかけです。
実際にやっていることはコンサルというよりは、どちらかというとスタッフや社長のメンター的な役割や、悩み相談などお父さんみたいな役割かもしれないですね。
それでお店に貢献できて、結果的に売上や数字になって貢献ができていれば、別にそれはそれでいいのかなと思っています。
コンサルのお客様も全部、元々のレストランのお客様なんですよ。
お客様ですから、自分がやってきた飲食のサービスが結果的に喜ばれていたことがあるんですよね。
そういう自分のアセットややり方を、今の若い子たちに見せることによって、気づきがあったり、将来の役に立つのだったらいいなと思っています。
だから以前と同じように、現場でサービスは変わらずにやっていたりしますね。
Q.その発見や出会いの背景には、何があったのですか?
糸澤:飲食の世界に入ったのは、僕の姉が嫁いだ先が、フランス料理店の家系で、お店は神楽坂に今もあるのですが、人手が足りないので手伝って欲しいって言われたのがきっかけです。
26歳の時にお話しがあって、飲食店なんて勤めたこともないし、フランス料理なんて、姉が結婚する時に食べたぐらいで、なんにもわからない状態でいきなり現場に入りました。毎日満席で、大変でしたよ、何もわからない状態で、フランス用語って難しくて、毎日のように勉強していました。
フランス料理界で働くのであれば、ソムリエは資格として持っていたいなと思って、29歳で資格をとってからは楽しくなりましたね。
周りの見る目も変わったし、糸澤さんって頼ってくれるお客様が増えて、自分でも努力しましたし、休みの日に別のお店に食べに言ったり、セミナーに出たり、一番勉強してた時期です。
元々、食べることも好きなんですよね。休みの日も自分が携わっているお店で食事をすることも多いです。あえてお客様目線になることも大切だと思っています。
こう見えても子供の頃は人見知りだったんですよ。高校時代に3年間コンビニでバイトをしていて、その店長がおしゃべり好きで、「男だったら将来独立しろ」などと言われてきたことも影響していると思います。その店長がお客様とコミュニケーションしている姿に憧れたこともサービス業に入ったきっかけだと思います。
レストランの語源は『回復させる、元気づける』という意味が含まれています。レストランに来た人が、サービスを通して、そこで癒されたり人と会話を楽しんだりして、リセットして次に向かえるような場をつくっていきたいですね。
人手不足と言われながらも飲食店が増え続けているのは、現代人にとって癒しの場が必要だからだと思います。
これからもサービスを通して、人を癒し、社会貢献していきたいと思っています。
記者:お話を聞けば聞くほど、糸澤さんが手がけたお店に行ってみたくなりますね!
本日は忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございました!
糸澤晃さんの詳細はこちら
https://www.facebook.com/akira.itozawa
編集後記
今回、インタビュー記者を担当した岩永です。
一流レストランでのサービスの経験や現場が伴った人の育成について、糸澤さんのお話から、飲食店に限らずあらゆる仕事において必要な要素を沢山聞かせていただき、大変勉強になりました。
それでいて、フラットで気さくにお話をしてくださり、人に対する配慮や気配りをされている姿に感銘を受けました。
糸澤さんの、これからのご活躍を応援しています!