こども・若者・大人が出会い、学び合う場をつくる NPO法人JAE 代表理事“坂野充さん”
周りに合わせる生き方ではなく、自分で決める生き方をしてきた坂野さん。
自分たちの役割をしっかり自覚し、最高のパフォーマンスを届ける為に柔軟な姿勢と決断力を持って活動されている坂野さんにお話を伺ってきました。
坂野 充(ばんの みちる)さんプロフィール
出身地:愛知県東海市
活動地域:大阪府、京都府、兵庫県
経歴:立命館大学在学中に、議員インターンシップを運営する「NPO法人ドットジェイピー」の学生スタッフとして関わり、インターンシップに可能性を感じる。
社会と教育のギャップを埋める活動に関心を持ち、2004年NPO法人JAEに参画。
インターンシップ事業のマネージャーを経て、2010年事務局長に就任。
2013年より代表理事に就任。
座右の銘:一燈照隅万燈照国
僕らがいなくなることがゴール
Q:坂野さんが描く夢やビジョンを教えてください。
坂野充さん(以下、坂野) 若者が希望と誇りを持ち、挑戦する社会をつくることです。
若者に対して色んな人との出会い、色んな経験やチャレンジができる環境をつくっていきたい。現在、提供しているのは“きっかけ”づくり。それぞれの学校や企業ごとでカスタマイズしながら、地域・学校・企業が連携しながら方向性を共有し、自然といい方向に結びついていくことを理想としています。
そして、最終的には僕らがいなくなることがゴールです。
僕らが関与しなくても多くの先生や企業を巻き込んでいたり、地域の人も一緒に関わって新しいものが生まれていたり、その地域の人が主体となって何かしらのプログラムが生まれて、より進化していけるものが見えれば僕らとしては「じゃあ後は、、」という感じで引いていけるかなと思っています。
なんか世界が広がったような感じがした
Q:今の仕事を始めたきっかけは何ですか?
坂野 大学3回生の時にインターンシップに参加したのが始まりですね。
その時は政治家の秘書を経験しました。別に政治に興味があったわけじゃなく、知り合いに議員さんがいたので、カッコ良さそうだな、面白そうだなと思ってふらっと行ってみました。
そこで感じたのが、「こんな人がいるんだ」「こんな世界があるんだ」っていうことを知ることができました。そんなに深い意味もなく外に出てみたらもっと色んな世界があったっていうことがすごく新鮮でしたし、面白かったです。
しかし、また日常に戻った時に慣れた親しんだ学校の環境だけで過ごすことがもったいないなと思いました。
その後、インターンシップを運営している「NPO法人ドットジェイピー」の学生スタッフになりました。そこもNPOだったのですが、たくさんの経験をさせてもらいました。うまくいったことも壁にぶつかることもありましたが、大学の中で授業を受けただけでは得られない経験をすることができたのがすごく良かったです。
そこで、「出会いで人生変わる」「人と人を結びつけるのって価値あるな」と思いました。
今の大人はみんな余裕がない
Q:理想の環境を作る上で学校や企業側の課題とは何ですか?
坂野 学校も企業も共通して思うのは、一人一人を認める、受け入れるっていうのが課題。学校は学校の型に、企業は企業の型にはめていきます。どちらも“教育”という名のもとに。どちらも型にはめていきながら結果的にその個人を見ていない。
認めていない、受け止めてはいない。そのことによってこども一人一人が自分というものをなくしていく。そこにはまらなければ、ドロップアウトしていくか、妥協してその中でやっていくかということが求められているというのを感じます。
Q:そうなってしまうのは何が原因だと思いますか?
坂野 みんな余裕ないですよね。
ちょっとざっくりとした話ですが、大人たちも型にはめていく教育をずっと受けてきた結果、そういう経験しかしてきてないから結果的にそれやってる感じだと思います。
企業でも昔ちょっと余裕があったときは、新入社員が入ったとしてもまだ遊びの期間というか即戦力で現場に出すのではなくて、もう少しゆっくりと社会を知るとか、自分のあり方を見つめるという期間があったという事は聞いたことがあります。でも僕らの頃からはもうそれはないですよね。
そして、入社してなんか思っていたのと違うなって、理想と現実のギャップを感じてしまいます。
将来に対する希望を失わずチャレンジしてほしい
Q:こどもたちにはどんな風になってほしいですか?
坂野 僕らのミッションは希望と誇りを持つ。そして、チャレンジをする。
今のこどもの将来に対する希望(前向きに将来を見据える)が数値としてはめちゃくちゃ低い。
日本の将来は捉え方によっては大変。人口は減るし、経済も小さくなってくる。
公共的な機能も維持できないというのはもう目に見えてる。そういう中でも前向きに希望を持ってほしい。誇りとか自尊心とか自己肯定感を大事にしてほしい。
自分の意志を持っていないこどもが多いように感じます。周りからのすごいプレッシャーもあるし、同調圧力もある。
そして、親からの期待、「安定した方がいいよ」、「いい大学行きなさい」、「いい会社に入りなさい」というのが非常に強くなっている。
それ以上に自分らしさとか、自分が興味があることとか、得意なこととか、自分はどうありたいかみたいなことを自分で持って欲しい。
それと社会でありたい人生を作っていくためにチャレンジをしてほしいですし、どんな結果になったとしても納得できる人生をつくってほしいです。
記者 最後に、記事を読んでいる読者の方へメッセージをお願いします。
坂野 自分の人生悔いなく生きて欲しいなと思います。
僕は自分で決めたら自分のせいだとなりますが、親が決めたレールに乗っかったことを後悔したり、人のせいにしちゃうともったいない。
そういう人が一人でも減らせるように頑張っていきたいと思います。
坂野さんの活動、連絡についてはこちらから
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●Facebook(坂野充さん)
【編集後記】
インタビューの記事を担当したCallinger帆足と清水です。
坂野さんの柔らかさの中にある意志の強さを言葉一つ一つに感じました。本人は話すのが得意ではないとおっしゃっていましたが、活動に対する想いがすごく伝わってきました。
自分の為だけではなく、周りとの関係性を大事にし、あるべき社会の実現に向けて活動する姿に感動しました。
坂野さんのこれからのご活躍を応援すると共に楽しみにしております。