フットサルコネクット ~ 絆ファミリーフットサルスクール ~ 代表 安枝 龍さん
フットサルを通じて、”ただいまとおかえり”が言い合える居場所をつくられている安枝 龍さんにお話を伺いました。
プロフィール
出身地:福岡県田川郡
活動地域:筑豊地区(主に田川)
経歴:U-15福岡県代表 九州大会2位
U-15九州代表 全国大会優勝
U-18福岡県代表 西日本大会優勝
現在の職業:高校の活性化として勤務、フットサルコネクット運営
座右の銘:初志貫徹
「子供たちにも心の面での居場所をつくっていきたい」
Q.どのような夢やビジョンをお持ちですか?
安枝 龍さん(以下、安枝 敬称略):”ただいまとおかえり”の言い合える居場所をつくることです。絆ファミリーフットサルスクール(以下、絆FFS)を卒業した後にでも、仕事の相談に来てくれたり、卒業生が子供たちに教えてくれたり、循環ができる家族のような居場所をつくっていきたいと思っています。田川という地域は共働きの家庭が多く、母親が忙しいこともあり、子供が親に対して会話が出来なくなっている家庭もあります。「どうせ話しても聞いてくれない」と会話をすることを諦めるようになり、可能性が知らず知らずのうちに消されてしまっているのです。絆FFSがそんな子供と親の”間”になることで、親子での会話が生まれ、子供がチャレンジ出来るようになり、アイデアがどんどん生まれていっています。家庭や学校で何かあったとしても、子供たちが何でも話せて、帰ってこれる居場所にだんだんとなってきています。
絆FFSでは、子供の言うことは否定して押し付けるのではなく、ペップトークのように全部肯定して受け止め、その上で正していきます。例えば、「廊下を走らない」と言うのではなく、「廊下を歩こう」と言い方を変えるだけでも、受け取り方は全然違います。その在り方が私から始まり、スタッフ、スクール生、保護者や地域にまで広がってきています。先日、ある大学教授がスクール生と話した時に、「すごいですね。あんな挨拶は大学生でも出来ませんよ。」と言われました。私たちには当たり前のことだったので驚きましたが、在り方が子供たちにも伝わっているのが実感できて嬉しかったです。絆FFSには悪魔の言葉というものがあります。「できない、無理、わからない、めんどくさい」を言わないようにすることで、魔法の言葉に変わります。悪魔の言葉を話すと、脳のマイナススイッチが入ってしまい、本当にできなくなってしまいます。悪魔の言葉を子供が言った時には、否定せずに子供たち同士で指摘し合い、どう魔法の言葉に換えれば良いかをトレーニングしています。そうすることでだんだんと悪魔の言葉を言うことが減り、魔法の言葉が入ってくるようになります。以前ご相談を受けたことのある生徒の中で、母親がお手上げしてしまうくらい口の悪い子供がいました。その子と関わり続ける中で一年後にはほとんど悪魔の言葉は使わずに、魔法の言葉に変わるようになりました。その影響を受けて保護者や地域も変わって来ていますし、その範囲をどんどん広げていきたいと思っています。
記者:安枝さんの言われる居場所が、どんどん広がっていることが伝わりましたし、子供の変化にはすごく驚き、可能性を感じました。
Q.「”ただいまとおかえり”の言い合える居場所づくり」を具現化するために、どんな目標や計画を立てていますか?
安枝:3年後には他人のことも考えて何かができる社会人として、活躍できる人を育て海外に輩出したいと思っています。社会とは、仕事だけではなくボランティアであったり、何か人の役に立てることだと思います。子供たちが「あれをしたい、これをしたい」と言った時に、実際に活動できる場所を増やしていきます。今の高校生は夢を持っている人が少ないと思います。だからこそ夢を持てたり、自分で決められる人を増やしていきたいです。
また、5年後には日本で個人事業主の集まる会社を設立しようと思っています。整体師やSEなど、お互いの強みや弱みを解って補い合ったり、マッチングして依頼し合える、今までにない新しい働き方を創ろうとしています。
記者:子供がどんどんチャレンジ出来るように海外も視野に入れて活動されていたり、新しい働き方も視野に入れた、新しい居場所づくりの可能性にワクワクしました。
Q.その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、どのような(基本)活動をしていますか?
安枝:子供と同じ目線で話をすることと、挨拶をすることです。子供たちは私が話したトーンと同じトーンで挨拶を返してきます。私は4歳の頃から病気で左耳が聞こえませんが、子供たちに背中を見せるためにも、スタッフも含めて誰が見ても大きな声で挨拶をすることを徹底しています。
また、海外に行っても大丈夫なように、子供たち同士は下の名前を呼び捨てで呼び合うようにしています。海外では年齢は殆ど関係なく呼び捨てです。日本では馴染みがないと思いますが、先を見据えて取り組んでいます。他にも、絆FFSではキャプテンと副キャプテンが毎月子供たちの投票によって変わります。キャプテンを経験することで、チーム力を押し上げる側になりますし、メンタルトレーニングの一環にもなります。リーダーシップにもどんどんチャレンジして貰っています。
記者:常にチャレンジができる環境づくりや、先を見据えた取り組みが素晴らしいと思いました。
Q.そもそも「”ただいまとおかえり”の言い合える居場所づくり」をしようと思ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見や出会いがあったのですか?
安枝:20歳の時にサッカーの実業団に入るか、就職するかの岐路がありました。迷いましたが、私はサッカーとの縁を持たない選択をしました。それから30歳になるまで、サッカーとは一切関わりを持ちませんでした。そして30歳になった時に、10代のときに知り合ったパートナーと出会う機会があり、そのパートナーから「好きなものをやったらいいんじゃない?」と言われました。ちょうどその時「人生このままでは終わりたくない」と思っていたこともあり、今度は指導者としてもう一度サッカーと関わる選択をしました。私にとってサッカーは、みんなが認めてくれる居場所でした。今度は指導者として、子供たちに心の面での居場所をつくっていきたいと思い絆FFSを設立しました。
絆FFSに来る8割が初めてフットサルをやる子ですし、運動が苦手の子も多くいらっしゃいますが、私はその子に合ったパフォーマンスで出来ればいいと思っています。絆FFSを始めてびっくりした気付きがありました。それは、親が子供たちのパフォーマンスを下げていることです。子供たちを紹介する時に、「この子は○○が苦手で」や「この子は○○ができないんです」と子供を否定する親が多いのです。それを聞いた子供は、「自分はダメなんだ」と思ってしまいパフォーマンスが下がってしまいます。だから親には、「この子は○○が得意なんです」など良いところを見つけて貰うようにしています。
記者:色々な決断があって今の事業に至ったことや、ご自身の経験を通じて子供たちにも居場所をつくろうとしている心意気がとても素敵だと思いました。
Q.「心の面での居場所をつくっていきたい」と思えた背景には、何があったのですか?
安枝:私の両親は共働きで、小学生の時は一人でいることや親戚に預けれることが多く、自分の居場所は家には無いと思っていました。小学校4年生からサッカー少年団に入らせて貰い、その時もすごく楽しかったのですが、同時に寂しさもあり、「どうせ一人なんだ」と思っていました。だから友達とワイワイするのが好きでしたし、ずっと存在意義を求めていたと思います。中学校に入ると、地元から離れた福岡市のクラブチームに通うようになりました。外部からそのクラブチームに通う第一号でしたし、サッカーが上手だったら年齢は関係なくレギュラーになれるので、上手になるために、どうしたらパフォーマンスが上がるのかを考えて行動するようになりました。そしてある日に、相手の監督から「安枝が出ていないから試合に負けるぜ」という言葉を聞いた時に、チームにとって必要な存在となれたと思い、居場所を勝ち得たことがすごく嬉しかったことを覚えています。サッカークラブでは先輩にすごくかわいがってもらい、遊びに連れていって貰ったり、色んなことを教えて貰い、地元が狭い世界だったことを痛感しました。そしてサッカークラブに通うことを通じて嬉しいことがありました。親が忙しい中試合を見に来てくれたり、サッカーを通じて家族が集まる機会が増え、居場所を得れた気がします。忙しい中支援してくれた親には感謝しています。
記者:今の安枝さんからは感じれない、寂しさや孤独感がすごく伝わって来ましたし、サッカーを通じて得れた居場所の喜びもすごく伝わりました。
Q.読者の方に向けて一言お願いします。
安枝:今を戦えない者に、未来を語る資格はありません。私は常に向き合うことをしていますし、それくらいのものを持って、何かをやって欲しいと思います。
記者:安枝さんの居場所をつくることへの、情熱や想いがひしひしと伝わってきました。ご自身が体験したことを活かして、人の可能性を花開かせようとする姿勢が本当に素晴らしいと思いました。貴重なお話ありがとうございました。
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https://www.kizuna-since2011.info/
【編集後記】
インタビューの記者を担当した不知です。
記事には書き表しきれない程、波乱万丈の人生を送られている安枝さん。その経験があるからこそ、人を無限の可能性で観れたり、常に自分と向き合っていることがわかりました。もっと安枝さんのような方が増えて欲しいと思える素敵な方でした。
安枝さんのますますのご活躍を楽しみにしております。