未来の宝、子供達をめぐる社会課題をビジネスで解決する 株式会社ten “西村淳さん”
大事にしている価値観は「愛と感謝と希望」そして「責任感」。社会課題をビジネスによって解決していくべく、先頭を切ってイノベーションを起こす「西村淳さん」からお話を伺いました。
西村淳さんプロフィール
出身地:熊本県
活動地域:福岡県
経歴:23歳で飲食店を経営、その後整体院事業へ。30歳で結婚と同時にすべての事業を譲渡・売却。1000万円の負債を残すも、3年後に完済。2017年に既存のモノから新しいモノを生み出すイノベーターとして株式会社tenを創業。
現在の職業および活動:保育園の開設事業等を行い、日本企業の競争力、存在感を高めるための活動に従事している。
座右の銘:「一日一生」
「社会課題をビジネスで解決したい!」
Q1.西村さんが思い描く、これからの夢・ビジョンを教えてください。
西村淳さん(以下、西村):私の夢・ビジョンは「社会課題をビジネスによって解決していくこと」です。
特に今は保育士の労働環境改善に取り組んでいます。これから少子高齢化によって、確実に労働人口は減少していき、税収も減っていきます。
税収が減っていくと、保育事業もいずれは維持できなくなっていきます。福岡市は良いとしても、田舎の方ほどより厳しくなっていきます。法律が変わり、異業種も保育事業に参画できるようになりました。財源は拠出金で企業の融資で出し合っているので、税金に依存しない形で保育園を作っていくことができます。
保育士が厳しい給料で働いていることに対して課題感がありました。「私だったらこのようにしたら改善できるのに!」と思ったのです。
世の中の困っていることを解決していくことで、人々の希望になっていけるという確信があります。
記者:日本という、国の範囲で広く社会のことを考えてらっしゃるのですね!
「保育園の開園を中心として、周辺の事業へ」
Q2.夢を具現化するために、どんな目標や計画を立てて、どのような活動をされていますか?
西村:これまでに採択された38園の保育園の内、30園の保育園を無事に開園まで運び、経営の波に乗せていきます。30園の保育園を中心として、その周辺で人材派遣や人材紹介、質を上げるための研修事業を行っていきます。
保育園をどんどん作ってはいますが、ただ単純に待機児童を0にすることが目的というわけではありません。日本社会では専業主婦が減り、共働き夫婦が増えていく中、女性の就業率を向上させることで経済政策になります。これからは女性が活躍する時代です!
今後、保育士と園児の募集は課題になっていきます。この課題を解決するために、株式会社グローバルキッズと業務提携契約を結びました。「えんマッチ」というサービスを使い、東京にある企業の人事部に対して、九州の保育園を紹介し、保育士のマッチングを行います。保育士が引っ越しをしても再就職の支援ができますし、待機児童の減少にも貢献することができます。
記者:何でもやるというよりも、中心と周辺という、範囲を決めて分けて取り組んでらっしゃることが伺えます。
「キーワードは”責任感”」
Q3.西村さんが「社会課題をビジネスで解決する」という夢を持ったきっかけは何ですか?そこには、どのような発見があったのですか?
西村:「責任感を果たすことで、自分の居場所を作ることができる」ことに気づいたことです。
社会課題をビジネスで解決する必要性を感じたのは、九州大学のMBAが開催する専門プログラムに参加したことがキッカケでした。そのプロジェクトでは、社会課題をビジネスによって解決するチームでリーダーを務め、様々なことを調べていました。調べていく中で、これから日本は税収が減って、国として立ち行かないことに気づいたのです。特に都市よりも田舎の方から末梢神経が死んでいくように壊死していきます。壊死をしていく様をただ見るのは我慢できませんでした。
今の会社の起業を決断したのも、周りに頼られたからです。「こうすればいいのに。。」という自分の中にイメージが湧いてくるので、頼ってくれたことへの責任感を果たしたくなるのです。みんなが足踏みしているときほど、自ら飛び込んでその責任感を果たしたい思いが強くなります。
責任感を果たす上でも、大事にしている価値観は「愛」「感謝」「希望」です。
何のためにビジネスをやるのかが重要です。経済的に潤った後、例えば高級車に乗ったり、遊ぶことにお金を使いすぎると人が離れたり、家族と別れることがあります。愛も感謝も無く、希望を与えない行為だからです。
私は自分のことだけで心が満たされることはなく、人のために仕事をする方がパワーが出ます。愛を与え、感謝をされ、希望を与える行為です。この時、責任感を果たし、自分の居場所を作れるのです。
記者:日本という国を1つの体のように捉えられているのですね!まさに”愛”を感じる話です。
「自分の居場所が無いことを認識」
Q4.「責任感を果たすことで、自分の居場所を作ることができる」と気づくことができた背景には、何があったのですか?
西村:シンプルに言うと「自分はどこにも居場所が無いんだ。」ということを認識したからです。
これまでの人生、ずっと「半身」で生きてきて、自分の居場所がどこにも無い感覚を持っていました。
今の会社を起業したときも「半官半民」(政府と民間とが共同で出資し、事業を経営すること)でした。
元々、私は飲食店や整骨院経営を行う「民」の世界にいて、「官」の世界を知ったのは、整骨院時代のことです。2年間、公益財団に出向していたことがあり、そこが厚労省の外郭団体と取引があったところでした。どのように政策ができ、どのように広がっていくかを見ていました。
起業家としては、このように全く異なる2つを組み合わせることでイノベーションを起こすのが強みとなります。
半官半民という、半身でいる自分を「官」と「民」の外から認識できたからこそ、官と民どちらでも責任感を果たし居場所を作ることができる自分に気づくことができたのです。それが、社会課題のビジネスによる解決、つまり今後確実に立ち行かなくなる日本を、立ち行かせるようにするという、大きな責任感を果たす夢へと繋がっています。
記者:以上でインタビューは終了です。
「どこにも居場所が無い自分」を認識できたことで、官と民どちらでも責任感を果たし、居場所を作ることができる西村さんになれたわけですね。日本という大きなスケールで社会課題を解決していく夢とも繋がるお話でした。
本日はありがとうございました!
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【編集後記】インタビューの記者を担当した吉田&木村です。
「社会課題をビジネスで解決したい」という夢を持たれた背景、キッカケが伺えるお話でした。半身で生きるという、ある意味弱い自分を認めることができる強い自分に気づかれた認識センス、本当に素晴らしいと思いました。
今後の更なるご活躍を楽しみにしています。