発達障がいの正しい理解を社会へ広げる ”株式会社エイド代表取締役 白石浩一さん”
発達障がいについて、多くの人に正しい理解を浸透させたいと、純粋な想いで仕事をされている“白石浩一さん”からお話を伺いました。
白石浩一さんプロフィール
出身地:福岡県
活動地域:福岡県
経歴:後天性の障がいがある父を持つ。社会に「障がいとは何か?」を認知してもらえるよう、行政に対して働きかける父の姿を見て育つ。介護職として病棟勤務の後、理学療法士として病院勤務。医療系専門学校教員を経験した後、株式会社エイドを創業。
現在の職業および活動:株式会社エイド 代表取締役、一般社団法人 発達障害支援アドバイザー協会 代表理事、エイドケアカレッジ 理事長
座右の銘:「義理人情」
「発達障がいを社会に知ってもらいたい」
Q1.白石さんが思い描くこれからの夢・ビジョンを教えてください。
白石浩一さん(以下、白石):発達障がいを広く社会に知ってもらうことです。
まず、”発達障がい”という言葉に対して、医療従事者の中、例えば、理学療法士と作業療法士の間でもイメージが違います。理学療法士は脳性麻痺をイメージしやすいです。精神科で働いている作業療法士であれば本来の発達障がいについてイメージがつきやすいかもしれませんが、今は精神科でない病院に勤務する方も増えているのが現状です。たとえ精神科で勤務していても、薬で治していくイメージを持っている人が多く、環境や状況の変化によって改善するイメージが無い人が多いです。
医療従事者でさえこの状況であれば、一般の人たちは発達障がいを正しく理解していないことが多く、知的障がいのイメージを重ねてしまっている人も少なくありません。しかし、スティーブ・ジョブズが発達がいだと言われていたように、彼ら彼女らは突出した能力・可能性を持っているのです。
記者:なぜ医療従事者の中で発達障がいのイメージが違うのでしょうか?
白石:私は理学療法を専門としていて、その講師もしていたのですが、医療系の学校でも授業をするのは90分くらいなんですよ。普通は3,4日かかる内容にも関わらず、90分だけしか授業で教えないのです。それくらい、発達障がいが重要視されておらず、その結果理解にばらつきが生まれてしまうのが実情です。
記者:今、お話を伺っただけで、発達障がいについての共通認識を持つことが難しいことが伺えます。とても難しいことにチャレンジされているわけですね。
「発達障がいについての”学びの間口”を広げる」
Q2.白石さんは夢を実現するために、どのような目標や計画を立てていますか?
白石:発達障がいについて、どれくらいの濃度で学びたいのか、人それぞれ異なりますので、学びの間口を広げたいです。
一部の人は、
「いくら?」
「いつあるの?」
「何時間あるの?」
「どこまで教えてくれるの?」
といったことを気にします。このような懸念があると、なかなかオフラインで受講しに来ません。
誰でも気軽に受けられるよう、2,3年以内にはオンライン化していきたいです。
また発達障がいについて学ぶ理由は、発達障がいのお子さんを持つお母さんが実生活に必要だから学ぶ場合もあれば、人によっては専門的な知識が必要で学ぶ場合もあります。このように、必要とする知識の範囲が人によって様々なのです。
オンライン化することと、どんな人でも必要な知識が得られるように、学びの間口を広げていきたいです。
記者:なるほど、発達障がいに対する認知度を上げるために工夫されていることが伺えますね。
「発達障がいの人との接し方を変える」
Q3.白石さんはどのような活動指針で、活動をされているのでしょうか?
白石:発達障がいの人との接し方を変えることで、関係性も変化できるということを伝えていっています。発達障がいがあったとしても、接し方によっては一緒に働くことができますが、今の日本の仕組みではそれが難しくなってしまっています。
世界を見渡すと、発達障がいの人と一般の人とが一緒に学んでいるのが多いです。しかし、日本ではわざわざ学校を別にしています。小学校から高校まで別々で学んだ人たちが、その後いきなり一緒になるのです。それだと接し方が分からなくて当然です。だから発達障がいの人への接し方を変えることを伝えていっています。
記者:当たり前になっていることをまず疑い、工夫することで変化の道標を作られているわけですね。
「人間は変われる!」
Q4.白石さんが「発達障がいを広く社会に認知してもらう」という夢を持ったきっかけは何ですか?
白石:私は「人間は変われる!」という前提をもとに活動していますが、それは変化の可能性は誰にでもあるはずだと気づいたからです。
発達障がいのことは医療職の人でも分からないことがある分野だと気づき、4年くらい前に「これは広めていった方が良い。」と思いました。
記者:なぜ白石さんは人間を可能性で観ることができるのでしょうか?
白石:人を信じやすいからですね。
人間、1人だけで頑張っていても限界がありますが、他人が少し手を加えることで、越えることができます。越えることで、その人にとっての自信にも繋がります。
記者:現代は不信社会とも言われますが、そのような中でも人間を可能性で観ることができる白石さんの純粋さを感じます。
「寂しがり屋の自分を認識」
Q5.「人間は変われる、という前提を持っている」ことに気づくことができた背景には、何があったのですか?
白石:「自分は寂しがり屋だ。」という自己を認識したことです。
私にとって会社が家族のようなものです。去年、会社の経営理念を変えました。「ワクワクする夢を創造すること。」という、お客様向けだけではなく、スタッフにも向けた経営理念です。働いているスタッフたちがワクワクすることを大事にしていれば、そのワクワクがお客様にも伝わります。
寂しがり屋の自己を認識できたからこそ、スタッフも含めた周りの人達を巻き込んで楽しく仕事をしてもらい、発達障がいを広く社会に知ってもらうという今の夢に繋がっています。
記者:以上でインタビューは終了です。
「人間は必ず変化できる!」と、可能性で観ることができることが素晴らしいと思いました。
本日は貴重なお話、ありがとうございました!
—————————————————————————
白石浩一さんの活動、連絡についてはこちらから↓↓
HP:
【編集後記】インタビューの記者を担当した吉田&山口です。
子供のような笑顔が印象的で、45歳という実年齢を聞いて驚きました。インタビュー中も熱く想いを語られている姿は子供のような純粋さに溢れていました。
境界線が無いところから、寂しがり屋の自己を思い込んだことによって、楽しく周りを巻き込みながら夢へと向かわれている白石さんでした。
今後の更なるご活躍を楽しみにしています。