娘の大学入学を機に母親卒業宣言!産後ケア記念日(3月5日さんごの日)に協会を発足し、もっと子育てをサポートする社会を目指す”大久保 ともみ”さん

産後の女性が利用できる多様なサービスを社会に提案していくことで、赤ちゃんのお世話や家事に追われずに自分の人生を見つめ直したり、深く考える時間がもてるような社会をつくりたいと「一般社団法人日本産後ケア協会」を設立した大久保ともみさんにお話しを伺いました。

プロフィール
出身地:芦屋市
活動地域:日本全国
現在の職業及び活動:一般社団法人日本産後ケア協会代表理事
座右の銘:常識を疑え!

── 社会の仕組みを変えていきたい

記者 今のお仕事をするきっかけを教えてください。

大久保さん(以下、大久保) 私たちの協会「日本産後ケア協会」は、誰もがそのネーミングを聞いただけで想像がつくような名前にしています。
娘が高校を卒業し、海外の大学に入ったのを機に“母親卒業宣言”をして、子育てに頑張っている後輩の女性の助けになりたいと思い、娘が大学に入った年、2013年3月5日で 、“さんご” 産後ケア記念日に協会を立ち上げました。

記者 どうして産後ケアのお仕事をしようと思ったのですか。

大久保 独身の時から、アロマテラピーを基にした企画会社の経営をしており、主に老人の方や、死を目前にされているホスピスで過ごしている方々に香りを活用したケアを行ってきました。
そのあと自分が、子育て経験をしたことで、ケアの対象が老人から“お母さま“に変わったということで、私の人生の中では、基本的に“人のケアする“という軸は変わっていないですね。

記者 ケアする対象が、お母さんになったのは、具体的にどんな経験があったからですか?

大久保 ほとんど休みなく会社の経営と子育てをしてきて、特に子育ては社会のあらゆる資源を活用しながら行いました。
関西にいる母親に新幹線の回数券を渡して、毎月自宅まで通ってもらったり、娘が3ヶ月の時に住んでいた、大田区の(保育士の資格を持っているお母さまが3名まで預かってくれる)保育ママ制度を使ったり、1歳になって保育園に預けることができましたが、仕事の入る土日は、民間のベビーシッターを利用したり、友人に預かってもらったり。本当にもう、あらゆるサービスを活用しながら子育てをしてきました。

記者 子供が小さいうちは預けるのも大変ですよね。いろんなところを活用してこられたんですね。

大久保  今でこそ、子育て団体のNPOや民間の団体など、手軽に利用できるサービスも増えてきていますが、当時はいろんな意味で大変でしたね。
しかし、本当に今の時代のお母さんは恵まれているのだろうか?と考え、少しでも子育て環境をよりよく変える一端を担うことができれば、という思いは常にあります。
将来的には、子育てを頑張りすぎているお母さんたちの社会インフラをもう少し整えていく、その担い手になれればと、この協会を設立しました。

記者 子育てで大変な思いをして、下の世代の方々をケアしようと思うのはなぜですか?

大久保 そうですね、協会は今年で7年目になりますが。私も自分が、ケアをしていく団体を立ち上げるとは思ってもいませんでした。
でも、社会の仕組みは変えていきたいという思いは、根本的なところでありましたね。

記者 自分の力で仕組みを変えていきたい、と思う原動力はどこからくるのですか?

大久保 昔から、自分よりも年下の人や困っている人や、立場の弱い人を守ってあげたいと思ってリーダー性を発揮したり、学生時代から元々チャレンジ精神・挑戦者的なところがありました。
既存の仕組みの中で、楽をして何もしない人に対して、自分が何か変えるきっかけをつくる取り組みをしていきたいと思っており、私自身の存在価値はそこにあると思っています。ですから他の団体がやらないようなこと、できないような先進的な取り組みをやっていきたいです。

記者 他の団体ではやらないことと言うと、こちらの協会では、具体的にどんな活動をされていますか?

大久保 私自身、アートが好きなんですが、出産して突然行けなくなるスポットが、映画館と美術館・コンサートです。
この3つは、私自身が出産を経験して、そこに、すごく行きたかったのに、行けなかった。そして、子育ての日常生活では、ご飯を食べながら、おむつを替えたりもしないといけない。
ちょっと綺麗なもの見たいな、綺麗な音楽を聴きたいな、と思っても、子連れで参加できるものがありませんでした。
ですから、森美術館さん、HISさん、日本財団さんと協業して、子連れで現代アートの美術鑑賞ができるバスツアーを企画したり、高級サロン型のバスを貸し切り、助産師さんも同乗してもらい、午前中は千葉の金谷美術館、その後はおいしいランチを食べて、夕方は木更津のアウトレットでお買い物三昧の日帰りバス旅行など。業界初の試みになる企画をしたて、どれも予約開始3日でソールドアウトになりました。

── ママに深い気づきのきっかけをつくりたい

記者 大久保さんアイデアマンでもありますね。今の仕事をされての気づきはありますか?

大久保 そうですね。子育て関連の団体はみなさん同じような活動が多く、ママたちが”本当はこういった楽しみ方をしたい”という、かゆいところに手が届く活動が提供できればいいなと思いますね。

記者 ママも日常に追われていて、本当のニーズというものがわかりにくい。ママたちもわかっていないかゆいところに手が届く企画で、非日常を体験できればと?

大久保 そうなんです!

記者 しかも美術館。有名なタレントさんのトークショーなどではなく。非日常って本当は外にいくんじゃなくて、内面にいきたいですよね。

大久保 そうなんです。だからもっと心の深いところにアプローチしたい。私がアートや本を読むのも、仏教も好きだということもあると思います。
自分を奥底深く満足させようと思ったら、何に悩んでいるのか精神的な自分の悩みの原因に気づけること。例えばアートやカルチャーから気づきを与えられたら、人としての成長も助けてくれそうな気がしています。
そこから何か子育てや、悩みのヒントを見つけ出してもらえれば、それがママの財産になって、人生を豊かにしていく最初の一歩にもなると思うのです。

記者 そんな大久保さんが、仕事をしながら、どんな夢を描いていたのかお聞きしたいです。

大久保 協会のビジョンとしては、産後ケアのあらゆるサービスが日本中に溢れ、女性の産後と言われるある一定期間は、産後ケアのサービスが当たり前に受けられる世の中をつくっていきたいです。

記者 その一定期間っていうのはどのくらいの期間ですか?

大久保 通常1年くらいだと思っています。ただ、1年たったら悩みがなくなるわけではなくて、子供の成長とともに悩みの種類も変わりますから、子育てをしているお母さんや男性も含めて継続的にサポートできたらいいですね。
確かに「日本産後ケア協会」という名前で活動をさせていただいていますが、実際は幅広く産後から就学するまで対象になるイメージですね。

── 「リンク・ウィンク」ウィンクでつながる連携

記者 どんな美しい時代をつくっていきたいと思いますか?

大久保 産後の女性が、あらゆるサービスを利用できる社会を創っていくことで、自分を癒すための自由な時間がまずできますよね。
そしたら、子供や家事に追われるのではなく、自分の人生を見つめ直したり、深く考える時間ができるので、サポートや世の中のチャンスを平等に得られる社会であってほしいって思っています。

記者 具体的には、どのようなことを計画されていますか?

大久保 2019年には、京都の町屋をリノベーションしたインバウンドの方の簡易宿泊所の空室を利用した産後ケア施設(産後、家に戻る前に滞在するところ)の事業を始めます。
そこで悩みを細かく救い上げることもできるし、相談もできるサービスを提供していこうと思っています。

記者 子どもや家事に追われない時間が持てる場所ですね。

大久保 そうですね。ママたちにそんな立ち止まる時間、考えられる時間を与えられる世の中になればいいなと思っています。

記者 産後ケアに関して、いろんなサービスが増えて、子供を産みたいという人も増えてくるかもしれないですよね。

大久保 今は年間の出生数が、100万人を切ってしまっています。ママは1人で子育てを抱え込まなくてもいいんだ!という概念をまず認知させていきたいと思っています。
今年の協会のキャッチコピーが「Link! Wink! リンク・ウインク」。ウインクで世界がつながるという意味で、日本において産後ケアのサービスを利用していただくと、1利用あたり200円を開発途上国の女性の妊婦健診や産後健診の費用として支援ができる仕組みも作っています。

記者 生き方のデザインをしている感じがしますね。

大久保 そう、人の長所を伸ばしてお互いに成長し豊かになっていく。この喜びを他の人にも共有したい。個人だけでなく、他の団体とも連携して、お互いに成長してくきっかけを創っていきたいです。

記者 今は楽しいですか?

大久保 ええ、20代に戻りたいとは思わないですね。今が一番楽しいです。

記者 いいですね。ママ自身が何に悩んでいるのかに気づいて、1人で頑張らずにイキイキと輝いていける社会を創る活動にこれからも期待しています。本日はありがとうございました。

一般社団法人 日本産後ケア協会

編集後記

インタビューを担当した、三笠、中谷です。
新規事業に取り組んでいらっしゃる、大久保さんの源を聞くことができました。今まで取り組みのなかったところを、改革の意志をもって取り組み続ける姿に生き方の美の追求、アート力を強く感じました。あるようでなかったサービスを具現化し、当たり前を当たり前にしないこと、そして皆をフラットにしていきたいという感覚が、大久保さんの魅力でもあるのだと感じたインタビューでした。

インタビュー担当 中谷 靖子、三笠 惠美
Interviewer Yasuko Nakatani
Editor Yasuko Nakatani, Emi Mikasa
Photo by Emi Mikasa

この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。

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