自身の経験から導き出した答え「日本文化を教育として世界へ」 株式会社フォーハンズ 代表取締役熱海正宏さん
子育て支援サポートを中心に日本の教育を学びに来る中国人のツアーも受け入れて、アジアを視野にいれた教育事業で活躍されている熱海正宏さんにお話を伺いました。
【プロフィール】
出身地:宮城県
活動地域:東京都内、中国
経歴:アパレル、派遣営業、保育園起業、㈱フォーハンズ
現在の職業及び活動:保育屋、子育てプロデューサー
座右の銘:不撓不屈
日本の子どもたちに世界へ飛び立てる経験を!
記者:本日はよろしくお願いします。
早速ですが、今、熱海さん(以下、熱海 敬称略)はどんな夢やVisionを持って活動されていますか?
熱海:大きく2つあります。
1つ目としては、子どもたちが日本から世界に出ていけるような道筋を作ってあげることです。
日本の子ども達の一生が日本だけで終わるのではなく、もっと世界に飛び立てるような環境を作ってあげたいと考えています。
そのためには子ども達の自信や勇気が必要なので、子ども達を目いっぱい承認してあげられる保育園や学童施設を作り、現在は様々な体験機会の提供をしています。
また、インターナショナルスクールなどの運営も手掛けられたら、そこが世界への入口になり、さらなる展開が見られるかなと思っています。
もう一つとしては、世界に日本の文化を伝えられる施設を創りたいと考えています。
例えば、日本文化の中には「道」とつく伝統がたくさんあります。
その「道」とつく伝統文化を年代問わず体験し、学ぶ。
そんな日本文化の発信基地を世界中に創りたい、日本の良い教育や文化を話し合える場づくりをしたいというのが大きな夢です。
記者:いいですね!「日本から世界に!」
熱海:そうです。日本にもたくさん良いものがあるのに、海外の教育ばかりに日本人は目を向けています。日本教育にももっと目を向けよう!焦点を当てようと思っています。
日本の保育は現在世界からも注目を浴びていて、中国の保育事業者が研修に来たり、教育関連企業向けに日本式教育体験ツアーなども組まれています。
世界に日本が必要とされているのを私は肌で感じているので、もっともっと外に出していこうと日々活動しています。
日本のマーケットは縮小傾向にあるので、日本国内の保育や教育の質をさらに高め、日本の教育の良さを世界へアピールしていこうというのが私の考えです。
中国からアジアへ
記者:それを具現化するために、どのような目標や計画をお持ちですか?
熱海:すでに中国企業向けのサービスは展開しており、中国からアジアへという構想はすでに進んでいます。
海外向けの研修事業からスタートしていますが、まずは国内の保育の質の担保の為に様々な研修を行っています。
また、子ども達の興味関心を引き出せるコンテンツとして「バルシューレ」という、遊びの中から運動能力を高めるプログラムの採用や、子ども達に生きる楽しさを伝えられるようなコンテンツは常に探しています。
<バルシューレ https://ballschule.jp/>
記者:中国から始めた理由はあるのですか?
熱海:日本の十数倍の市場は非常に魅力的だと感じています。
また中国の方と話していて思うのは、決済含めビジネスのスピードが速いということです。
その場で答えを求められ、何度か戸惑いました…
但し、信用を得た後は大分スムーズに話も進められるようになりましたね。
そのためには大分お酒を飲みましたが(笑)
日本人はとても遠慮がちで不完全な言葉でのコミュニケーションを嫌い、コミュニケーション能力がどんどん低下していると感じます。
中国や海外に出て思うことは、コミュニケーションが上手い下手ではなく、恐れずに自分の意見を主張してきます。
日本人としてすごくいいものを持っていたとしても「恐れ」が一番のブレーキになります。それをまずは取っ払いたいと思っているし、すべては環境をつくり、慣れを生み出す。
海外に子ども達がもっと出られるようなチャンスを与えたいと思っているのは、その環境に身を置かせることだし、当たり前を早くつくってあげたい。
いいところも、苦手なところもまずは自分を知ること、自分を出せる土台をつくることが大事ですね!
記者:まずは中国、そして世界へということですが、中国の次の展開はどのようにお考えですか?
熱海:アジアですね。
親日国もたくさんあるし、勢いのあるアジアに軸足を置いていきたいと考えています。
私の知り合いもアジア進出をしていて、そういう人たちと一緒に「日本の教育を世界へ」というプロジェクトに出来たらおもしろいと思います。
人を大事にする。人と会ったら自分のやることを公言する
記者:その目標や計画に対して、現在どのような活動指針を持って、活動されていますか?
一番の基本活動であったり、日々大切にされていることはどういうことですか?
熱海:一番は人に会うこと。人との出会いに感謝し、人を大事にすること。
人が良ければ事業は安定するし、拡大もできると考えています。
あとは、人に会った際に自分のやりたいこと、やろうとしていることを公言するようにしています。ふとした時に私の顔を浮かべてもらえたらうれしい!
全ては人との出会いによって生まれ、人のつながりで大きくなっていくと身をもって感じています。
記者:人を大事にするということは、一番どのようなことに配慮されているのですか?
熱海:自分が人と付き合う上では、してあげることを優先的に考えます。
何かしてくださいと自分のお願いをするのではなく、この人が困っていることは何だろう?というところからスタートします。
それが思い遣りであり、心配りです。
この人がどうやったら喜んでくれるだろうってことを想像します。
こどもたちに与える『海外に行ってもいいというライセンス』
記者:そもそも夢やvisionを持つようになったきっかけには、どんなことがありますか?そこにどんな発見や出会いがありましたか?
熱海:私の祖母は教育者で非常に厳格でした。共働きの両親に代わって、字の書き方や挨拶など、厳しかったのを今でも覚えています。
そんな環境の中育ったので、小学校の先生になりたいと何となく思って受験に挑戦したところを失敗。アパレルや派遣会社等いろいろな事業で力を発揮してきましたが、心の中には教育やこどもの事業にはふつふつとした思いがあったのだと思います。
そんな思いの中始めたのが保育事業で、事業を進めていくにあたり少しずつ子ども達を世界に飛び立たせたい、そのお手伝いをしたいと思うようになっていきました。
ベースになるのは、アパレル会社勤務時代にヨーロッパ研修に行った時の感動が忘れられず、あの時の異国の空気感、なんだかワクワクする気持ちは今でも覚えています。
日本だけにいると日常のちっぽけな悩みに翻弄されてしまいますが、あの解放感や空気感は若い世代にどんどん体験してもらいたいと思っています。
子どもの時にいろいろな国の子たちと触れ合える機会があると視野も広がるし、今後の選択肢も増えてくると思います。
あのワクワクを子どものころにぜひとも体験してもらいたい、子どもたちに海外に行ってもいいというライセンスを与えたい、そう感じています。
祖母の教育と蓄積した日本の“道”の精神
記者:夢やvisionを持つきっかけということで、海外に行きたかった思いを話してもらいましたが、その背景には何があったのでしょうか?なぜ、海外に憧れや意識がいったのでしょうか?
熱海:祖母がよく昔話をしてくれていました。戦時中の話や中国の話など。満州はこうだったなんてよく耳にしていました。
いろいろな世界観や教育観を教わった気がします。
祖母の勧めで小学校から英会話教室にも通わせてもらっていたので、自然と世界に目を向ける環境下にあったのかもしれません。
海外に目が向きだしたのはこのお仕事をさせて頂いてからでしょうね。
モンテッソーリ教育やシュタイナー教育などいろいろな教育法が海外から日本に入ってきて、注目が集まってきたぐらいに保育園事業を始めたので自然と世界の教育に興味関心が沸いたんだと思います。
“自由の中で個を大切にする”、これは海外から入ってきたものではなく、日本の中にもこの教えを伝えた方がいます。
倉橋惣三さん、日本のフレーベルと呼ばれる方です。
子どもの尊厳を大切にし、信頼し、見守る。育つもの、育てるもの双方が互いの結びつきを楽しむ心を提唱している方です。
世界に目を向けたおかげで、日本の保育のすばらしさを改めて感じることが出来たし、日本人特有のきめ細やかさが保育に生きていることにも気づきがありました。
その中で、「日本のすばらしさを世界に」という発想が徐々に大きくなっていたのだと思います。
人のことを思いやっている時の方が幸せ
記者:教育に携わっている熱海さんだからこそ聞きたい話なのですが、今からAI時代になると言われている中で、人間にしかできないこと、人間の可能性だったり、人間の美しさだったりというのはどういうところにあると感じますか?
熱海:心でしょうね。人間には心があります。相手の気持ちを先回りしてやってあげる事が出来るのは人間特有のものだと思います。
私は、「思い遣り」って言葉が大好きで、相手を信頼し、尊敬し、承認し、その思いあう気持ちを日本人だからこそ大事にしています。
どんなにAIが発達して、いろんなデータを蓄積したとしても、人間の裏側の思いってものは人間にしか伝わらないと思いますね。
みんな自分のことを考えているよりも、本当は人のことを思いやっている時のほうが幸せなのです。あの人元気かな?何をしているかな?なんて考えている時は、心が寂しくはならないでしょう。
そこが欠如するから、我が出て、他人に感謝せず蔑ろにする。
人の美しさって、ありきたりかもしれないけど「心」や「愛」だと思うし、人間にしか作り出せないかけがえのないもの。
最終的に行きつくのは「慈愛のこころ」で、親が子どもを可愛がるように、お互いを思いあい、敬えるのが日本人としての美しさだと感じるので、そこをどんどん発信していきたいと思います。
楽しくバカであれ!
記者:最後の質問です。こちらのマガジンの読者のみなさんへメッセージをお願いします。
熱海:みなさんの人生、楽しんだもの勝ちです。
楽しいことや人の良いところに目線を合わせていけば、みんな幸せになれるはず。
笑っている人、笑顔いっぱいの人にはいろいろな人が集まってくる。
楽しさの渦を拡げていくには、大人がまずは目を輝かせること、これが一番重要です!
子ども達の笑顔を増やすのが大人の役目だし、そんな大人が下を向いていちゃいけない。
しっかりする必要なんてない。楽しく生きればいい。子どもはそんな大人の背中を見て育ちます。
「楽しくバカであれ!」
私が生きる上でのモットーです。
他人の目を気にせず、日々に感謝し、自分の人生に責任を持つ。バカになれる大人を増やす計画を現在実行中です(笑)
記者:長時間ありがとうございました。
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熱海正宏さんについての詳細情報についてはこちら
↓↓↓
株式会社 フォーハンズ
Web:https://fourhands.co.jp/
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編集後記
今回のインタビューを担当した安藤と那倉です。
1つ1つの質問に真剣に向き合い、お答えいただいた姿がとても印象的です。
常に保育者として、子どもの親として、未来の子どもの“今”を考え、行動している姿勢を伺え、日本の「道」の精神をみたように感じます。
今後も益々のご活躍を応援しております。
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